「動きで魅力を伝える」チームの誕生

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動画事業本部長 大谷

ギークスでは、2014年1月より動画事業本部を設置。2017年2月現在は7人体制で、エンターテイメント分野を主軸とするプロモーション映像の制作に取り組んでいます。

誕生のきっかけは、「開発するゲームにもっと動きをつけたい」という社内の声。

ゲーム画面のエフェクト(特殊効果)からはじまったその業務内容は、プレー画面の「実況動画」や、ゲームそのものの魅力を伝えるプロモーションビデオへと広がり、ついにはテレビコマーシャルを手掛けるまでに成長します。

さまざまな信頼に技術をもって応えることで、徐々に大きくなるニーズ。さらにそれに応えつづけることで、やがて映像制作そのものが事業として成り立つようになりました。

日々の業務を担当するのは、映像のディレクションから編集・エフェクトなど、いわゆる「コンポジター」と呼ばれるメンバーを中心に、3DCGを担当するメンバー、そして営業・プロデュースを担当するメンバーたち。一人ひとりが大きな役割を担う、少数精鋭型のチームである動画事業本部を率いるのが、部長の大谷です。

大谷は、大学生時代からオリジナル映画の製作に取り組み、卒業後は中国でのビジネス立ち上げや大手家電量販店の販売員を経て、映像制作クリエイターの道へ。これまでに遊技機業界のプロモーション映像や、WEBサイトのディレクションなど、数々のコンテンツを生み出してきました。

そんな大谷は、どのようにして動画事業本部を作り上げてきたのでしょうか。

絵コンテは描かず、最初から映像で提案するスタイル

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クリエイターのセンスを尊重したアドバイスを心掛けている

動画事業本部のポリシーは、「プラスアルファの価値を提供すること」であると大谷は考えています。


大谷 「クライアントからいただいた要望を単純にそのまま具現化するのではなく、その見せ方や装飾の要素をこちらで積み上げる。『このようにしたい』という思いはきちんと踏まえつつ、『こういうカタチはどうでしょうか?』とご提案しています。その時点で求められているとは限らない“先回り”ですが、この工程こそがお客様の満足度につながっていると実感しています」


制作アイデアの提案も、場面の流れをスケッチで説明する「絵コンテ」の過程を経ず、「映像を用いて提案する」スタイルが、ギークスの主流になりつつあります。


大谷 「たとえば、テロップが出てくるときのスピードにしても『こうじゃない、ああじゃない』と、感覚的な欲求がいろいろと生まれてきますよね。『ここ、もっとオシャレなテイストがいいな』といった要望をいただいて、そこから微調整を掛けていこうとなった際に、最初から映像の形で進めていくことで、基準となるテイストを担保していくことができるんです。『動画を作る』ということそのものがゴールなのではなくて、実際に映像が動くことで得られる体験そのものを大事にしています」


クライアント先やスタジオでの作業が多く、なかなか全員でオフィスに集まる時間がとれないような状況──そんな中でも大谷は、動画事業本部の核となるスタンスやノウハウをメンバー一人ひとりにじっくりと浸透させることを欠かしません。


大谷 「初期のころは、クライアントとのやりとりへ常に同席してもらう方針をとっていました。どんな判断をして、どんな進め方をしているのか。見て覚えてもらう。本当に職人のようなやり方ですが、この現場では『考える』ことではなくて、『感じる』ことに価値があることを理解してもらいたいんです」


アイデアを練り上げる場では、チームとしてのスタンスは明確に示しつつ、最後はクリエイターの「センス」を重んじています。


大谷 「映像制作は技術の世界なので、アプリケーションをこう操作すると作業が早くなるといったアドバイスを通じて、基礎プラスアルファのエッセンスを加えます。ここが統一できれば、チーム全員で一定したクオリティを担保できるようになる。そこから先は、メンバーそれぞれのセンスで勝負ですね」


2014年春には、これまで主軸としてきた遊技機業界に加え、住宅・ファッション業界における映像制作にも進出。幅広い分野において、映像を手掛けるようになっていきます。

「センス」を浸透させ、活躍分野を切り開く

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「”好き”を仕事にしている、辛かったことなど一度もない」と言い切る大谷

事業の成長にともない、多くなっていく仕事量……。これまで、立案から制作までを社内で完結させる「ワンストップ体制」をとっていた動画事業本部ですが、さらに案件を増やすため、外部パートナーとの協業(パートナーシップ)にも乗り出していきます。


大谷 「映像制作という仕事は、絶対に物理的な時間がかかるもの。個人個人が手を動かす方法をとりつづけると、物理的に時間が足りなくなってしまう恐れがありました。そこで、外部パートナーのみなさんに力を借りる方向へ舵を切りました。私たちはディレクターとしてその統括と、成果物のクオリティ担保に専念します。一つひとつの利益は少なくなりますが、たくさんのプロジェクトを回すことができ、売上は向上させることができました」


外部パートナーに関しても、大谷のスタンスは変わりません。これまでメンバーに伝えてきたことと同じように、自らのセンスを丁寧に伝え、より強い関係性でつながることを志向しました。


大谷 「いいもののはいい、だめなものはだめ。明確に答えを出すということを心掛けてますね。技術や手順の先にある、パートナーが持つセンスの部分としっかり向き合いたい。プロとしてのセンスを信じてまず作ってもらい、最終的に、自分たちのクオリティに近づけていく感じです。その積み重ねによって、みんなが自律的に安定したクオリティの映像を作り出す環境ができあがりました」


「これまで仕事をしてきた中で、辛いと感じたことは一度もない」── 大谷はそのように過去を振り返ります


大谷 「できることとできないことの基準が明確なので、迷いというものがありません。できないことは、できるメンバーを取り入れることで解決していく。なにより手掛ける分野が広がるにつれて、新たな知見がどんどん蓄積していくのがとても楽しいです。この前は大きなスタジオで、それこそハリウッドで使うような大掛かりな装置を使っての撮影にも取り組みました。毎回毎回が、とても新鮮な気分ですね」


実績を積み重ねながら、近年の映像業界全体の進化にあわせ、動画事業本部もさらなる進化へと歩みを進めています。

VRやホロレンズなどの新技術で実現する映像の未来

ギークスのエントランスに設置されているホログラム再生機

ギークス動画事業本部は、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)・ホログラム(立体映像)など、新しい映像技術の研究開発にも取り組んでいます。


大谷 「大手住宅メーカー向けに、住宅の機構をCGで体感できる映像を制作したのですが、ホログラムなどの技術を駆使し、これまで直接見ることのできなかった床下などの構造部分などを手に取るように見られるようにしました。今後は、映像の演出にくわえ、映像技術そのものを新たなサービスとして提供していくことができたらと考えています」


続々生み出される新たな技術トピックに興味津々の大谷。社内外で最新技術を組み合わせたゲーム体験の事例を語るその表情は、ワクワクに満ちています。

たとえば、Microsoft社がデモしていた「Hololens(ホロレンズ)」というMRデバイス。3D映像と現実映像を合成して体験できるというものです。


大谷 「ブロックを組み合わせて世界を構築するゲームを題材にした場合、構築したブロックの中を覗き込むことができたり、指をつまむ動作をすることで、実際に触るような感覚でCGのブロックを動かすことができたり……。こうなったらもう、すごい面白いじゃないですか! この仕組みを使うと、カードゲームをやるだけでも面白いものになる。たとえば将棋をバーンと打つと、それにあわせてエフェクトが出るような体験が作り出せるんです」


もうひとつ、大谷が着目しているのが「MagicLeap(マジックリープ)」というアメリカの企業が提唱するヘッドマウント型のMRディスプレイ。これは、人間が実際に視線を動かすときに行う「ピント調整」に合成CGの画面を追従させて、モノの遠近や質感まで、現実世界のものに近づけるというものです。


大谷 「公式のデモ映像では、体育館に巨大なクジラを出現させて、子どもたちが大喜び!といった光景まで作り出しています。ドラえもんのような、僕らの待っていた未来が来るぞ!と、本当にワクワクしますね」


ゲームがきっかけとなってはじまった、ギークスの動画事業本部。既存の枠を飛び越えて、社内でワクワクするシナジーが生まれる日も、決して遠くはないはず……。そんな未来を私たちは心待ちにしています。