深刻な「2025年問題」。そして2030年には、さらにエンジニア不足が
いまや、生活のあらゆる場所にIT技術を見ない場面はありません。私たちの暮らしは、エンジニアの技術なしに成り立つことはないと言えるでしょう。
しかし、いまの日本におけるIT業務の従事者数は、約92万人(※)。需要に供給が追いついておらず、エンジニアの数が慢性的に不足している状況です。
1947年から49年生まれのいわゆる“団塊の世代”が全員後期高齢者に達する「2025年問題」が世間では取りざたされていますが、エンジニアの世界においても他人事ではありません。現在の状況がこのまま続くと、2030年時点で必要なエンジニアの数は「マイナス78.9万人(※)」。なんと現在の倍以上の勢いでエンジニアが不足する見込みとなっています。
ギークスでは、フリーランスというワークスタイルにいち早く注目し、2001年より、経験豊富なフリーランスエンジニアと技術⼒を求める企業をマッチングする「IT人材事業」に参入。フリーランスとして活躍している経験豊富なエンジニアと、技術力を求めている企業をプロジェクト単位でマッチングし、約3,000社にのぼる契約実績をあげてきました。
しかし、エンジニア不足という大きな課題への道のりは、依然として厳しい状況なのです。
もっと、自分のキャリアや働き方に責任をもって取り組むエンジニアが増えてほしい。そのためにも、ギークスはさらなる進化を遂げなければいけない──。
IT人材事業本部長を務める小幡は、新たなステージにむけて立ち上がることを決めました。
小幡 「エンジニア不足が解消されれば、もっと色々なサービスが、もっと早いスピードで、もっと高いクオリティで生まれてくる。それによって、自身のキャリアや未来の姿を描けるエンジニアが増えて、さらに魅力的な世の中になっていくはずです。自分の好きな道を追い求め、着実に経験を積んできた人がしっかりと報われる社会になってほしいと思うんです」
※経済産業省より2016年6月の発表
IT人材事業本部に“マーケティング脳”を
これまで、マーケティング、PRプランニング、新規事業立案など、さまざまな分野での経歴を重ねてきた小幡。ギークスでも数々の斬新な取り組みを行い、社内に新しい風を吹き込んできました。
英語公用語人口が世界第3位であるフィリピンのセブ島で、英語学習とプログラミング学習を6ヶ月にわたって行う「geechs camp(ギークス キャンプ)」。
最新技術や業務改善、チームコミュニケーションなど多種多様なテーマにあわせたイベントや勉強会を無料で開催できるイベントスペース「21 cafe(ニイイチ カフェ)」。
そのどちらも、小幡が中心になって立ち上げました。エンジニアを「そだてる」「あつめる」「つなげる」というギークス独自の仕組み(ギークスバリュー)の基盤を築いたといっても過言ではありません。
「既存の形を壊してよいから、とにかく新しい場を!」というミッションを胸に、エンジニアがもつ本当の適性を発掘し、開花させるプロジェクトをつぎつぎと立ち上げる──。小幡の行動は、常に一貫していました。
2016年1月、小幡は40名にわたる事業本部メンバー全員に対して、面談とヒアリングを実施。一人ひとりと話をして、個人の強み弱みと、チームの強み弱み、そして個人として成し遂げていきたいこと、組織として成し遂げていきたいこと……。メンバーが考えていることを把握していきました。
そこから見えてきたのは、IT人材事業本部が組織として抱える課題——。メンバーそれぞれに蓄積されている知識や情報が、属人的なものになってしまっているという現状でした。
小幡 「みんな責任感が強くて、やるべきことをやるタイプ。プロとしての矜持をもったメンバーです。それゆえ、それぞれが自分の抱える理想に向かって別々に走ってしまっていたところがありました。せっかくの資産を、フルに活かしきれていなかったんですね」
そこで、小幡は考えます。
小幡 「私たちは、エンジニア不足という大きな課題に対して、サービスを打ち出したい。それを実現するには、いま目の前で取り組んでいること以外にも別の切り口があるはずーー。メンバーを、課題とその解決策を仕組みとしてつくりだしていく「マーケティング脳」へと変え、知見の共有や、効率化のための仕組みを整えることが急務なのではないか、と」
IT人材事業本部をさらに進化させるため、小幡は、メンバーがひとつの目標に向かって走ることができる新たな「ビジョン」の策定を決意しました。
「エンジニア不足時代の救世主たれ」
これまでIT人材事業本部がメインとして行ってきた、エンジニアと企業とのマッチングという仕事。これまでは、「日本にフリーランスという新しい働き方を普及させる」をゴールとし、追いかけてきました。
小幡は、これをも超えた「ビジョン」を探し続けました。メンバーをひとつに束ね、柔軟な切り口を生む、新たな言葉を……。試行錯誤のすえ、2016年7月、IT人材事業本部は、ひとつの新たなビジョンを掲げました。
「エンジニア不足時代の救世主たれ」
小幡が推進する新しいやり方に不安もあったかもしれません。属人性が薄れることで、自分たちの存在価値がなくなると感じてしまったかもしれない。それでも、仕事をこなすことそのものに存在意義を求めてしまっては、いつまでも変われないのですーー。
このビジョンによって、メンバーたちのスイッチが押されました。
最初の成果は、10年にわたり使用されてきた業務システムの大刷新。さまざまな課題を抱えつつ、長らく動いていなかったこのプロジェクトを、メンバーは自発的に推し進めました。
それにより、個々に依存していたさまざまな知識が迅速に共有され、部全体の知識量がノウハウの総量が増えていくことになります。メンバー同士での共有会も積極的に開かれ、得られた知見はマニュアルという形で、しっかりと浸透していくようになりました。
小幡 「今はもう、『小幡さんは、承認だけしてくれれば大丈夫です」とメンバーが言うんです(笑)。地方の拠点のいるメンバーたちも、『この領域は僕らでこなせます。別のところを見てもらえませんか? あとで報告はしますんで』と」
この変化は、これまで個々で仕事を進めていた事業本部が、組織として自走を始めたことを意味するものでした。
小幡 「みんな、『何かをもっとよくしたい』って思っていたんですね。ただ、どう動いたら良いかわからなかった。組織として強くなりたい、という気持ちを全員持っていたことは、本当に嬉しかったですね。自走をはじめたメンバーは、とても頼もしいです。もう、『信頼』しかありません」
「いいぞ、もっとやれ」 現場から続々と生まれる、新しいアイデアたち
メンバー全員が、ひとつのビジョンに向かって自走をはじめたIT人材事業本部。ここから、フリーランスエンジニアのモチベーションを刺激する新たな仕組み「フリノベコミュニティ」が生まれました。
「フリーランス」と「イノベーション」を掛け合わせて、「フリノベコミュニティ」。フリーランスエンジニア同士が自らの技能やアイデアを掛け合わせ、新しいものを生み出す場、という想いが込められた造語です。
月1回ペースのリアルイベントを軸に、オンラインコミュニティの運営や、年代別・男女別イベントの開催など、単なる“交流会”にとどまらず、お互いが継続的に繋がっていけることを指向したコミュニティを指向しています。
このほかにも、業務・キャリア面から、フリーランスとしてついつい疎かにしがちな健康管理や娯楽の分野にいたるまで、フリーランスエンジニアの仕事環境をもっと快適なものにする制度の準備も進めています。
加えて、ギークスがもともと得意としていた、エンジニア間のエコシステムを活性化させるサービスにも新機軸を導入していく構想もあります。
「ラボ型のオフショア開発」「公文式のノウハウを取り入れたプログラミング教室」「エンジニア採用に関するコンサルティング」に、「プログラマー育成アプリの開発」──
メンバーのさまざまなアイデアが現実になる可能性があります。
これまでの「エンジニアのマッチングだけ」という状況から脱却し、柔軟な「マーケティング脳」で、フリーランスエンジニアにとって必要なものを、先取りして構築していく体制へ──。
合言葉は、「いいぞ、もっとやれ」
この日本にフリーランスという新しい働き方を普及させるべく、ギークスIT人材事業本部の「第二章」がはじまっています。