21世紀でもっとも感動を与えた会社になるために

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代表取締役社長 曽根原稔人

ギークスはフリーランスエンジニアと企業のマッチングを行い、双方を支援する「IT人材事業」、スマートフォン向けゲームの企画、開発、運営を行う「ゲーム事業」、各種プロモーション映像を手がける「映像・動画制作事業」、スマートフォンの非ゲームアプリやインターネットメディアなど、新しい領域の仕事を手がける「新規事業開発」の4つの事業を行っています。

これらの事業の根幹にあるのが、「21世紀でもっとも感動を与えた会社になる」というグランドビジョン。このビジョンにはどの分野・どの産業で事業を展開するにしても、表面上の成果だけを追い求めずに、ビジネスの上で大切な考え方や順番を守ろうという想いを込めています。

たとえば「100億円の売り上げを目指す」という目標を置くと、なんでもいいから100億円の売り上げを達成しようという考えになってしまいます。もちろんそれもひとつの正解。ただギークスは、お客様を喜ばせることを第一に考えて、喜んでもらった結果として、対価を得たい。

私たちが感動を与える“お客様”は、フリーランスエンジニア、エンジニアを求める企業、ゲームやアプリなどのユーザー、株主、社員やその家族など、事業に関わる全ての方々。

まずは「ギークスは良いサービスを提供している」「ギークスのゲームは面白い」と感じて頂くために努力し、結果として売り上げにつなげていこう。そのような願いを込めて、”感動を与える”という言葉を選びました。

会社にとってビジョンはとても大切なものだと思います。それは私自身これまでに苦い体験もしたことから、身に沁みてわかっています。このビジョンの達成、つまり、どうしたら“21世紀でもっとも感動を与えた会社”になれるのか、私なりの考えを、これまでの経験を経て学んできた価値観とともにお話します。

組織づくりに苦戦した過去から感じた、ビジョンの必要性

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グランドビジョン「Make the biggest impression in the 21st century」

私のキャリアのスタートは、ホテルマン。高校生の頃から「はやく大人になりたい」という気持ちが強く、究極のもてなしを学ぶことによって“大人”に近づこうと考えたのです。

この仕事を通じて学んだことは、ひとりひとりのお客様が心地よく過ごすことができるよう、細かい気遣いをすること。これは、「お客様を喜ばせることを第一に考えて、喜んでもらう」という私自身の仕事観の礎となりました。そして、そのような空間を創り出すことに大きな喜びを感じる自分に気づいたのです。

しかし、仕事を通じてもっと自分の思うようにやりたい気持ちが膨らみはじめ、自らが社長となって経営することに興味を持ち始めました。そして、いつしか自分自身が“最高のサービスを受ける側”の人間に成長したいと思うように。そこで漠然と経営者を目指そうと考え、転職を決意しました。転職先の候補は「お客様が経営者であること」「とにかく厳しい環境」をキーワードに営業職で探し、不動産業界に転身しました。そこで経験を積んだのち、2001年、有限会社ウェブドゥジャパン(現クルーズ株式会社)を共同創業しました。

当時はまだ、「社会問題の解決をしたい」「このような商品を世に送り出したい」という大きなビジョンがあったわけではありません。とにかく売り上げを達成すること、それを最重要事項に置き、休み無くたくさん働いて事業を成長させていきました。

しかし、組織が成長し、メンバーが100名くらいになった頃、大きな危機に直面します。組織規模が大きくなったこともあり、意思統一が難しい状況に陥ってしまったのです。

この経験は私自身もとても辛く、単純にお金を稼ぐのではなく、組織が何を目指しているかを示すビジョンの大切さを感じるようになりました。そして、あらためて会社のことを見つめ直し、「21世紀で最も感動を与えた会社になる」というビジョンを定めたのです。

ビジョンを定めた後は、順調に組織規模を拡大。そして2007年には、株式上場を実現することができました。

子会社化、MBOでギークス誕生、そしてサブプライム・ショックを経て・・・

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べインキャリージャパン設立パーティーでの誕生ケーキ

その後、日本にフリーランスという新しい働き方を普及させることを目的に、100%子会社、ベインキャリージャパンを立ち上げ。2009年にはMBOを行い、ベインキャリージャパンを独立させました。

当時はちょうどサブプライム・ショックが訪れていた時期。それを乗り越えるためにも、「もう一度ゼロから組織を作っていこう」、その決意によって生まれたのが、現ギークスの社員全員が大切にしている価値基準「Buddyの心得」です。

ちなみに“社員”ではなく“Buddy”という言葉には「たとえ“どん底”の状態でも、力を合わせて成長していこう。この先もその想いを伝え続けよう」そんなメッセージを込めています。

時には、業績がなかなか安定せず、苦労をする時期もありました。創業時期は業務系IT企業へのエンジニアをご紹介する機会が多かったのですが、サブプライム・ショックの煽りを受けて、企業の大幅な外注費削減が断行されることに……。それにより、売上は50%ダウンの状況になってしまい、打開策が求められる時期でした。

これから会社をどの方向に進めようかーー悩んでいたタイミングでしたが、当時はスマートフォンの登場によってソーシャルゲームが流行しはじめ、ウェブ・アプリ系のBtoCの事業を展開している企業が伸びていた時期。そこにチャンスを感じ、今までの業務系クライアントから、インターネットサービスやモバイルゲーム系のクライアントに180°シフトすることで、一気に業績回復を実現しました。

そして2010年には、当社自身もゲーム事業をスタート。これまでとは勝手の異なるBtoC事業をゼロから立ち上げていくのは、まさに“手探り”。そんな中で、創業時からコツコツと積み上げてきたフリーランスエンジニアとのネットワークに大いに助けられました。彼らが事業を一緒に作ってくれる“仲間”としても活躍してくれたのです。

BtoC事業でさらにクリエイティブな価値を発揮しようという決意から、2013年には社名をギークス株式会社に変更。「はやくヒット作品を出さなくてはいけない」というプレッシャーを感じながらも、社内でのエンジニア育成をはじめ、人材会社からクリエイティブなものをつくる会社への転換はかなりの挑戦でしたが、焦らず着実に変化を実践してきました。

そして2015年には、ギークスが生み出した作品が、世の中に認められはじめました。さらにゲームに限らず、非ゲームのスマホアプリやインターネットメディアなど、社内のアイデアから新しい事業も生まれてきています。創業からちょうど10期目を迎え、「感動を与える」 その基盤ができあがりつつあるのです。

挑戦と変化で、ずっと続いていく組織を目指して

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Buddyが集まる半期に一度の全体会議

そしてこれからも、ギークスは新しいことに挑戦し続ける会社でありたいと考えています。

エンジニアを「そだてる」「あつめる」「つなげる」という、独自の仕組みがあること。そしてこれまで積み上げてきた経験から複数の事業を持ち、挑戦するための人材を社内に揃えていること。それが、私たちの圧倒的な強みです。

ギークスのBuddyは、目の前の“お客様”を感動させようと、全力で仕事に取り組んでくれます。その姿勢が、「21世紀でもっとも感動を与えた会社になる」というビジョンの達成に繋がると考えているのです。

Buddyがそれぞれ持っている夢、やりたいことを、仕事を通じて実現していくーーその先にビジョンの実現があるならば、私の仕事は、Buddyへ“活躍できる場”を用意すること。それは、ひとりひとりが自分の“可能性”を見つけられる組織にしていくことだと思っています。

正直、これまでは「事業のためには、こいつは絶対にここに必要だ」と、そのBuddyの“可能性”を縛りつけてしまっていたかもしれません。でも今は、それに耐えうる人数・規模になっています。実際に、営業でトップだった者を採用担当にポジションチェンジしたり、事業部長レイヤーでも、別事業部へのチェンジをしてみたり……。かなりダイナミックな人事を実行できる組織に成長してきました。

Buddy に“可能性”があると思ったら、私はその舞台を用意する。そして、それを「やらされている仕事」ではなくて、全力を尽くして何かを掴み取ってほしい。時には、どうしても「やらなきゃいけない仕事」もあるかもしれません。でもそれを「やりたい仕事」に変えられる人は、すごく仕事がデキる、かっこいい人だと思います。そして、日々の「やりたい仕事」と向き合って、社会に感動を与えていってほしい、そう思います。

また、私は経営者でもありますが、ある意味“インベスター”でもありたいと考えています。だから、Buddyからの「こんなサービスをはじめたい」「こんなアプリを作りたい」などのアイデアはいつでも歓迎していますし、事業として実現可能なアイディアには、会社としても積極的に投資していきたい。もちろん、取締役会などで決議はとりますが(笑)また、事業がうまくいって独立したい意欲があれば、法人化も支援して事業面以外にも組織作りなどの良きアドバイザーになりたいですね。

Buddyのアイディアから新しい事業を生み、ギークスの“柱”として育てる。そして、複数の“柱”が会社をより成長させていく。そのようにBuddy全員で大きくなっていくギークスでありたいです。

Buddy一人ひとりと出会うことができたご縁を大切にして、成長を手助けするために必要な環境を提供し続けていきたい。数ある会社の中で、ギークスを選んでくれたことへの感謝の気持ちです。半年に1回開催している全体会議は、私にとってBuddyの成長を感じることができる最高の喜びの空間です。

万が一、今の事業が衰退しても、Buddyが新しい事業を立ち上げ、感動を与えてくれる。そう信じて、今後も新たな事業に挑戦を続け、時代に合わせた企業へと進化しながら、未来永劫ずっと感動を生み続けていく会社にしていきたい。それがギークス創業者としての、私の想いです。