緊急事態宣言の発令を受け、ワークスタイル改革へ大きく舵を切ることに

▲株式会社ギャプライズ

株式会社ギャプライズは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大を受け、ワークスタイルの改革を本格始動することになりました。

改革に携わったひとりである、広報ブランド戦略室室長の鈴木 隆司は次のように振り返ります。

鈴木 「当社は以前から環境に依存しない働き方を積極的につくっていきたいと考えていました。『物理的な環境整備』だけでなく、従業員が仕事を通して人生に対する満足度を高める『制度面の環境整備』も重要視すべき事項ととらえ、両面において変更を予定していました。

ただ、計画から実施までに時間がかかり、なかなか進められていないところに緊急事態宣言が発令され、一気に改革する必要性を感じたんです」

コロナをきっかけにワークスタイル改革の実施へと大きく舵を切り、キーワードを「自己決定」としました。その意図を、管理部部長 兼 プロジェクト責任者の土井 愛己はこう話します。

土井 「自己決定できる環境の裏には、責任と覚悟が必要となります。責任感を持つこと自体、仕事に対する情熱やおもしろさにつながり、結果的に一人ひとりの満足度や幸福感を高めることにつながると私たちは考えているんです。実際、自己決定と幸福には強い相関関係があると言われています。

時間や場所の制約をなくし最大の成果を出すために、自分で働き方をデザインできる環境と制度設計をしていきました」

従業員一人ひとりが仕事に対してオーナーシップを持ち、仕事を“自分ごと化”していく機会に。そして、自己決定感と幸福感が高く、責任感が強い魅力的なメンバーで溢れる組織を目指すべく、2020年2月末、対策本部の設置から徐々に構想を広げ、4月20日から本格的にワークスタイル改革に向けた設計がスタートしました。

前例なし、時間の制約、リソース不足──それでも前に進めていく

▲ワークスタイル改革のプロジェクトメンバー

まず着手したのは、さまざまな雇用形態のメンバーを有志で集め、オープンスタイルのZoomディスカッションで意見の吸い上げを行うことでした。アルバイト・従業員・事業部長・役員など、立場を抜きにして「どういうスタイルで働いていきたいか」の意見を広く受け入れていきました。

鈴木 「もともと働き方に対する会社としてのベースになる考えがあったのですが、あらためてみんなの意見を聞いてみると、考えている方向が同じだったんです。働き方に対してみんなと答え合わせして確信に変わっていく感覚でした」

方向性には確信が持てたものの、新しい働き方に関する成功事例や他社事例といった参考にできる情報があまりなく、正解がない状態でプロジェクトを進行しなければいけませんでした。

土井 「『ないなら自分たちでつくっていく』そんな気持ちで、働き方や環境に対する固定概念や前提をすべて一度取り払い、ゼロベースから思考していきました。

コロナ禍で新しい動きをどんどんリリースしながら推進していく必要がありましたが、当社はベンチャー企業なので、プロジェクトに携われる人数が限られています。ただでさえ時間的な制約がある中、リソース不足も加わり、プロジェクトメンバーは通常業務を走らせながら同時に進行させるという状況でした……」

プロジェクト推進に向けた準備は決して簡単ではありませんでしたが、何度も会議を重ねた後、改革の方針が決定されました。

みんなの認識の一致が追い風に。3つのフェーズで段階的な実施へ

▲4つのカテゴリーごとに立てた施策たち

最終的には、役員を交えた約10回の会議を実施。5つの基本的な考え方に基づき、4つのカテゴリーごとに施策を立て、3フェーズに分けて取り組みを開始することになりました。

鈴木 「ワークスタイルを設定する目的は『みながベストパフォーマンスを発揮できるための環境を用意し、自信と誇りを手に入れる事』と『災害などの緊急事態時でも確実に事業継続を可能にする事』と定めました。これを実現する為に、5つの基本的な考え方をベースにした上で、設計を進めました。

第1フェーズを2020年6月中、第2フェーズを2020年7月〜9月、そして第3フェーズを2020年10月〜12月と3段階に分け、『働き方・物理的環境・コミュニケーション・業務体制』という4つのカテゴリーの施策を実施することにしました」

カテゴリーごとの施策に対し、インパクトの大きいものや必要性の高いものを先にし、時間がかかるものは第3フェーズにするなど、段階的に実行していくことに。

土井 「実施するにあたり、とくに人事とIT周りを担当したメンバーに負荷がかかってしまいました。人事は制度面を、IT周りはZoomの導入や勤怠システムの管理などの設備面で大変だったと思います。

ただ、ワークスタイル改革を実行していく中で、現場の従業員たちが変化に対し柔軟に受け入れてくれる土壌があったのはとてもありがたかったです。『忙しい中推進してくれてありがとう』というムードがあったので、負荷はかかったものの、プレッシャーや重荷にはならずに進めていくことができました」

鈴木 「コロナによって今までの当たり前の働き方が崩され、『働き方の改革をしないといけない』というみんなの認識が一致した機会だったので、正解がない中でも改革が進めやすかったんだと思います」

早めのタイミングで導入した「勤務環境整備手当」や「在宅勤務手当」は、多くの従業員に活用されており、2020年10月からは、次のフェーズとしてフレックス制度の導入を推進しています。

全社で推進したから見えたこと。トライ&エラーを繰り返した先に

▲出社率は常に30%以下に保っているため、オフィスは非常にがらんとしています

リモートワークに関するアンケート結果では、86.6%の人が「満足した」と回答し、ワークスタイルの改革自体に対しても満足度は上々。しかし、全社的に一気に進めたからこそ見えてきた課題や気付きがあります。

土井 「生産性に関しては課題が残りました。アンケートで『本人の生産性は向上したか?』問うと、『向上した』と答える割合が高いのですが、『チームとして生産性は向上したか?』に対しては、『上がっていない』と答える人が多かったんです。

一人ひとりを見ると、生産性が向上した人が多いはずなのに、なぜかチームで見ると下がったという人が多く矛盾が生じています。生産性に対する捉え方や全体的に最適化されていないという課題が見えました。

今後は、自己決定や自由を高めた上で、いかに生産性の向上に結びつけるか。たとえば業務自体を明確にし、それを満たしてさえいればどのような働き方をしても構わないというようなスタイルにしていきたいですね」

鈴木 「リモートワークになるとコミュニケーション不足と言われることが多いと思うのですが、週に一回オンライン全社昼礼を実施したり、部署ごとであえて業務とは関係ないディスカッションの機会を設けたり、逆にコミュニケーションは増えたなと思っています。

ただ、オンライン上でのコミュニケーションは部署によって親和性の違いがあることがわかりました。オンラインで常時接続する部屋が部署ごとにあるので、作業中は基本的にみんなそこに入って仕事をするのですが、管理部はデスクワークが基本なので、つないでいることでコミュニケーションが増えたんです。

逆に、カスタマーサクセスを多く取り扱っている部署ですと、顧客とのMTGがよくあるので、オンライン上にあまり顔を出せず、常時接続はうまく機能しませんでした。

仮説を持ってとにかく全社的に一度試してみたからこそわかったことなので、すごく良かったです。うまくいかなかったところは変化したり止めたりして、ブラッシュアップし続けています」

来年春には、オフィスのワークスペースを縮小する予定です。これは、リモートワークがうまく機能したからこそ。

また、より自己決定できる雇用形態を実現するために、フルタイムだけではなく、プロジェクト単位で関われるようにしたり、副業を今まで以上に取り入れやすい環境にしていくなど、働き方にオーナーシップが持てる環境作りを進めていく予定です。

今後も継続的にトライ&エラーを繰り返し、ギャプライズ流の「自己決定できる働き方」を推進していきます。