チームを率いるかたわら、企業の競争力向上のためのデータマネジメントを推進

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▲2023年3月現在、ジャパン・グローバルゲートウェイ クラウドアプリケーションDivisionに所属

“データはヒト、モノ、カネと並ぶ第4の経営資源”と言われるように、ビジネスの重要な場面で利活用される機会が増えています。データをうまく活用すれば企業の競争力になりますが、その真の価値を引き出すためには適切な管理が欠かせません。鈴木はまさにそうしたデータをビジネスに活かすための組織的な営みに携わっています。

鈴木 「私がマネージャーを務めるデータマネジメント推進チームでは、お客様である企業のビジネスをより強固にすること、あるいは成長させることをめざして、データマネジメントの推進を行っています。データを取り扱うための技術の提供やプロジェクトへの適用を行うことで、データの価値を継続的に高める取り組みをしています」

2023年3月現在、鈴木は大手メーカーなどの基幹システムに蓄積されたデータを整理して扱いやすくする、システム再構築のプロジェクトに関わっています。

鈴木 「基幹システムには、製品を製造するための設計情報や受発注情報など、ビジネスの根幹を支える情報がデータとして保存されています。それらのデータを活用していくためには、必要なデータだけを見つけ出して加工し、編集して外に出すという作業が必要です。

ところが、基幹システムの中に蓄積されているデータは複雑で、そのシステムを通さなければうまく扱えないことが多いです。加えて、長く使われてきたシステムには、不要なデータも多く含まれています。そのため必要なデータに絞ってスリム化した上で、システム内外で扱いやすいかたちに整えていく活動が、今私たちがシステム再構築の中で取り組んでいるおおまかな内容です」

現在のメンバーはチーム全体で12名。プレイイングマネージャーとしてチームを率いて日々プロジェクトに取り組むかたわら、メンバーの育成も手がけています。

鈴木 「日々データの重要性が増す中、データの扱いに困っているより多くの企業様の力になろうと、とくにここ数年はチームを拡大することに重きを置いてきました。最初は私を含め3人からなる小さなチームでスタートしましたが、社内で採用活動を行って人を集め、最近では新人も受け入れながら、私たちがこれまで培ってきた技術を伝えています」

そんな鈴木にとって、データマネジメントにかける想いの原点となっているのが、新人のときの出来事。小さな業務システムに携わり、そこに蓄積されているデータを利活用できるようにしたところ、お客様にとても喜んでもらえたことが出発点になっています。

鈴木 「お客様から感謝の言葉をもらえたことがとても嬉しくて。それ以来、お客様の役に立ち、喜んでもらえるかどうかを常に考えながら仕事に取り組んできました。また、楽しいと思える仕事をすること、自分がこの分野を引っ張っていくとの強い気持ちを持つことも大事にしています」

データの力に魅せられ、データマネジメントの世界へ

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▲実際の業務を通して「SEという仕事の魅力」や「データの重要性」を学んだという鈴木

大学時代に鈴木がシステムエンジニア(以下、SE)という職業を知ったのは、学部OBが大学訪問にやってきたことがきっかけでした。当時を次のように振り返ります。

鈴木 「在学中はシステムを扱う仕事があるということすら知りませんでしたが、SEの仕事を紹介されたとき、それがお客様相手の仕事であり、お客様の実現したいことをヒアリングし、それをかたちにしていく部分にとくに魅力を感じました。意識していませんでしたが、そのころからお客様に喜んでもらえることがやりたかったんだと思います」

2001年に富士通への入社を果たした鈴木が最初に携わったのは金融業界の案件。主に地方銀行に向けた情報系システムの開発でした。そこで蓄積したデータを利活用するためにツールの適用や技術指導を行う機会があったと言います。

鈴木 「入社1年目でデータの利活用を行ったところ、『これまで見えなかった情報が見えるようになり業務がやりやすくなった』とお客様からわざわざ電話をもらったんです。データがお客様の役に立つことを初めて実感した、自分にとってとても大きな出来事でした」

2005年に金融ソリューション開発センターへ異動し、メガバンク向けの基幹系システム開発などに従事した鈴木。企画や要件定義から構築、テストに至るまでの開発工程のすべてに携わりました。その中で、データに関する技術の重要性を思い知ったと言います。

鈴木 「開発の上流にデータモデリングという技術があります。データマネジメントの世界では、データの構造からきちんと理解して、その構造に合ったかたちでデータを蓄積していくことが大事なのですが、データモデリングはまさにそのデータの構造を明らかにしていく技術でした」

そして2014年、自ら希望してSI技術本部(当時)に異動。データモデリングの技術がより広く活用されることを目的として、データモデリングの技術支援を専門とするようになります。

鈴木 「データモデリングの技術が最も活かされるのは、いろいろな構造を見直すシステム再構築のタイミングです。そこで、システム再構築の際に現状を可視化するサービスを立ち上げ、チームをつくって仲間を増やしていきました。

データはすごい力を秘めていますが、きちんと扱えなければ、その価値を発揮することはありません。きれいに整頓して蓄積し、すぐに利用できるようにすることで、生活や社会をより良くするのに役立てることができます。

実際のところ、データがシステムに入っているだけで活かしきれていない企業がいまだ少なくありません。データの価値をうまく引き出し、より良い社会や組織の活動につなげていきたいと思っています」

データの取り組みを一貫して担当した5年越しの大プロジェクトが成就

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▲データの取り組みは「今日明日で効果が出るものではなく、長く継続して初めて高くジャンプできる」と語る鈴木

チームの発足以来、鈴木にとって印象に残っていることがあります。データマネジメントの取り組みを一貫してやり切ったときのことでした。

鈴木 「大手メーカーの大きな基幹システムを再構築するプロジェクトでした。2017年にプロジェクトがスタートした当時、世間ではAIがもてはやされ、AI学習用としてたくさんのデータを集めることばかりに、注目が集まっていたんです。そのため、基幹システムの中のデータを整理しスリム化することのメリットがお客様にとってイメージしづらく、ディスカッションしながらかたちにしていくのは本当に大変でした。

データは水の流れと同じで、上から下に流れていきます。データの利活用は一番下流にあるので、源流にある基幹システムの蓄積データが汚れていれば、利活用の際にいろいろな苦労が生じてしまうんです。

基幹システムのデータをきれいにする必要性を丁寧に説明することでお客様の納得を得て、無事にスリム化の実現に漕ぎ着けることができました。最初から最後の段階まで一貫して経験できたことは、非常に大きな財産になったと思います」

その後、2022年にシステムは無事に稼働を開始しましたが、データ活用の取り組み自体はスタート地点に立ったばかりだという鈴木。次のように続けます。

鈴木 「データの取り組みには、基礎体力づくりと似たところがあって、長く続けることで成果を発揮する側面があります。大切なのは継続すること。お客様に寄り添いながら、長期的な活動のお手伝いがしていけるといいですね」

データを扱える人材を増やし、お客様へ確実に価値を届けられることを富士通の強みに

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▲データに魅せられた鈴木が見据える「これから」とは

データに関する取り組みの必要性の認知を広げ、頼られる存在になっていくことがデータマネジメント推進チームの目標だと話す鈴木。将来をこう展望します。

鈴木 「今はシステム再構築におけるデータマネジメント推進が主な業務ですが、データの活用という意味では、まだまだ課題を感じています。データを使いやすくしてもっと広く、世の中のいろいろな場所で使えるようにしたいと考えています。上流から下流まで、あらゆる面でサポートし、データの価値がより発揮されやすいかたちにしていきたいですね」

また、データを活用できる社内の人材を増やしていくことにも意欲的です。

鈴木 「チームの強化・拡大に力を入れていきたいと考えています。最終的なゴールは、幅広いお客様に対して価値を確実に届けられるようにしていくこと、そしてそれを富士通の強みとしていくことです。そのためには、私のチームだけではなく、社内の各事業部にデータを扱える人材を増やしていくことが欠かせません。富士通グループには多くの事業部門がありますが、それぞれの部門に数人ずつでもデータを扱えるようになれば、今よりずっと大きな力になるはず。技術情報をライブ配信するなど、教育・普及活動の取り組みにも少しずつですが着手し始めているところです」

マネージャーとしての責任を果たすこともさることながら、技術者として最前線に立ち続けられるようにさらに研鑽を積んでいきたいという鈴木。クライアント企業を、そして社会をより良い方向へと導いていくために、これからもデータと向き合い続けます。