大学で情報工学に関心を持ち、富山富士通へ。現場で知識を肉付けした1年目

article image 1
▲入社理由であった「富山の地から、全国にアクションを」を実現している木村

大学時代は工学部に所属し、情報工学、機械工学、電子工学などについて学んだという木村。中でもとくに興味を持ったのが、情報工学。卒業後は仕事を通してさらに知識を深めたいと、ICT企業への就職を目指します。

木村 「たとえば、正しくプログラムを書けば、当然、その指示通りにシステムが動作するわけですが、そんな単純なことにおもしろさを感じ、のめり込んでいきました。ICT企業を中心に、地元の企業を探していて出会ったのが、富山富士通(2022年4月1日より富士通に吸収合併)です。この会社なら、富山にいながらにして、全国の富士通グループ会社の社員たちを支えるような仕事ができる。そんなところに魅力を感じて、入社を決めました」

入社後に配属されたのは、社内システムを担当するSE部門のソリューションビジネス統括部。そこで彼女は、社内システムの開発・運用を担います。具体的には、社内システムにトラブルがあった際、データセンターで監視員に異常を知らせるメッセージを出すための運用ツールの開発などを手掛けました。

木村 「新入社員研修で基礎的な知識は身につけましたが、やはり仕事となるとそれだけでは不十分。部署の先輩方から都度アドバイスをもらいながら業務を進めていました。先輩に頼るばかりではいけないという思いから、勉強を重ね、実務に即したかたちで知識を増やしていくよう心がけていました」

こうしてシステムの開発・運用担当として経験を積んだ木村でしたが、配属から約1年後、富士通本体のデジタルシステムプラットフォーム本部へ異動。そこで、社内外の「声」を起点とした変革活動「VOICEプログラム」に携わることになります。

VOICE Specialistとしての不安と期待。課題解決につなげることが使命

article image 2
▲「皆で一から覚えるというのは、とてもいい経験になった」と語る木村

新しい所属先での木村の役割は、VOICE Specialistとして「VOICEプログラム」を社内に浸透させ、DXフレームワーク「Fujitsu VOICE」(以下、VOICE)を運用・管理すること。しかし、当時はまだ入社2年目。不安を抱えていたと振り返ります。

木村 「『VOICEプログラム』自体がまだ始まったばかりの取り組みでしたし、私自身も『VOICE』で採用しているサーベイツールについて全くといっていいほど知りませんでした。

また、新部署では、課題を自ら発見し、強い意志を持って解決に取り組むという能動的な姿勢が以前にも増して求められる、と聞いていて……。私はもともと、『我こそが』と前に出るタイプではないと自覚していたので、その点にも不安がありました」 

とはいえ、富山富士通から複数の社員とともに異動したため、職場の顔ぶれはあまり変わらず安心感があったという木村。新しい仕事への期待も大きかったといいます。

木村 「『VOICEプログラム』は、会社の将来を見据えた全社的な取り組みです。社内はもちろん、グループ全体への影響が大きいことから、それだけ多くの社員に自分の仕事の成果を直接届けられる、とワクワクもしていました」

新しい部署では、まずは「VOICE」のアンケート機能を社内の多くの人々に活用してもらうための準備に取り掛かります。

木村 「たとえば、アンケートを作る側がどのような操作をすべきかを確認しながら、作成者にどんな権限を与えればよいのかを考え、整備していきました。また、私自身にアンケートを作成するスキルがなかったため、何かしら質問が寄せられるたびにリサーチして、知識として自分の中に落とし込んでいきました。最初のうちは、関わる方々とともに学んでいくようなイメージで取り組んでいましたね」

当時、VOICE Specialistチームは立ち上がったばかり。「VOICE」に関して、熟練者と呼べる人はいませんでした。

木村 「全員がスキルアップし、成熟したチームを作るためには、積極的に学ぶ姿勢で自分から知識を取りにいく必要がある。そうやって知見やノウハウの蓄積・共有につなげていかなければ、という思いがありました。

そんな中、私が大事にしていたのは、『VOICE』を使ってアンケートを取るだけではなく、その結果をどう施策につなげていくかということ。集めた『声』を生かして課題を解決すること、社員の行動変容をサポートすることを常に意識していました」

積極的な発信を続けて「他人事」目線をなくし、多くの社員を巻き込んでいきたい

article image 3
▲「利用者の方からの『声』に耳を傾け、アクションに繋げていきたい」と語る木村

木村 「以前、私が所属する社内ITサービスを提供する部署で、『VOICE』を活用して社内ITに関する満足度調査を全社で実施したことがありました。このアンケートの推進メンバーである同僚に話を聞いてみたところ、得られたアンケート結果がその推進チームの活動に大きな影響を与えたことがわかったんです。『VOICE』の存在価値をより身近で実感できた、ひとつの好事例ですね」

当時は、テレワークが普及し始めたばかりで、環境整備に不十分な部分が多かった時期。そのせいか、アンケートでは「ネットワークが重い」など厳しい声が多く集まったといいます。それらの課題を開発・運用担当チームがひとつずつ検証しながら解決に努め、社員の不満を解消していきました。

木村 「浮かび上がった課題の中には、比較的早期に解決されたものもあります。たとえば、『社内のIT情報が散在している』という声がありましたが、調査の1カ月後にはポータルサイトを一元化して対応しました。また、今後の社内ITのあり方に関わるような大きなテーマも見つかり、関連部門と連携しながら時間をかけて対処している案件もあります。

すでに社内のいろいろな場面で活用されている『VOICE』は、データを集めて終わりという単純なアンケートツールではありません。多様な使い方ができるのが魅力ですし、その部分も広く社内に周知していきたいと思っています」

そのためには、アンケート結果がどんな施策につながり、どう運用されているかという情報も積極的に発信していく必要があるという木村。

木村 「実際にはアンケート結果に基づいて施策が検討され、実行に移されたとしても、それについてきちんとフィードバックしなければ、回答した方に伝わりにくいと思うんです。『皆の声がきっかけで、こんな変化が起こっています』と具体的に示していくことで、アンケートに参加する側にも、参加する意義を感じてもらいたいと思っています」

変革活動においては、「上の方で何かが動いているらしい」という他人事目線をなくしていきたいと話す木村。次のように続けます。

木村 「私たちは『VOICE』に関するさまざまな質問を受けますが、そこから私たちが想定していなかったニーズを発見したり、便利なのに意外と使われていない機能を見つけたりすることもあります。今後はそういった『声』をもとにチームとして積極的に発信し、よりいっそうの社内浸透につなげていきたいですね」

推進力のあるビジネスパーソンに。全社員にとって変革が「自分事」になることを目指す

article image 4
▲VOICE Specialistとして、全社変革に取り組む現在の様子

「VOICEプログラム」を通して社内変革していくこと。自分自身が変化しながら、社内全体の変革を推進していくこと。チームに課せられた使命をそう理解する木村。まだまだ発展途上とはいえ、自分が少しずつ成長していることを実感していると話します。

木村 「現在の私は、チームメンバーの力を借りて試行錯誤しながら業務にあたっている状態です。日々進歩している実感はあまりないんですが、たとえば年度始めに前年度を振り返ってみると、1年前はできなかったことが今当たり前のようにできていたりするんですよね」

「VOICE」を使って多くの人の声を集約し、新たな意思決定につなげていく。フジトラ(富士通が全社で推進するDXプロジェクト)の中核を担う「VOICEプログラム」の可能性について、木村は次のように話します。

木村 「たとえばアンケートに答えることも、変革に参加していることになると考えているんです。居住する地域や所属する会社に関係なく、富士通グループの全社員が当事者感を持って変革を推し進めていく上で、『VOICE』は欠かせないものだと思っています。

また、『VOICE』を活用する上では、声を聞く人も声を上げる人も思いやりを持つことが大切だと思います。たとえばアンケートを取るとき、実施者に対して信頼感を持っていなければ、回答者は本音や建設的な意見を書こうと思わないのではないでしょうか。

ですから、声を聞く人も聞かれる人のことを思いやり、煩雑なアンケートは作らないなどの工夫が必要。回答者も、実施者がどんなことが聞きたいのかを汲み取り、信頼したうえで率直な意見を書く。お互いに信頼し合い、思いやってこそ、有意義な声を集められるのだと思います」

そんな木村の今後の目標は、「推進力」のある人になること。

木村 「私は皆をぐいぐい引っ張っていくタイプではありません。ですから、まずは周りの方との信頼関係を築くために、どんな仕事でも責任感を持って丁寧に行うように心がけています。

今取り組んでいる仕事には、明確な答えがありません。現時点では、まだ確固たる意見を組み立てられていませんが、自分の考えや想いを仕事に反映させられる楽しさは感じています。そうやって目の前の仕事に一生懸命に取り組む中で、チャレンジしたいと思えることに出会えれば、素直に挑戦していきたいですね」