お客様とも、メンバーとも、認識齟齬を起こさないための工夫が大切
金融事業本部 金融ソリューション部でリーダーを務めている萩原が、入社以来携わっているのが保険会社に導入しているSalesforceの保守と開発である。
「新しい保険商品や新プランなどが出たときのシステムメンテナンスが、業務の大部分を占めています。現在は、直接Web上から保険の申し込みができるフォームを作りたいというお客様のご要望を受けて、新たなサイトを構築しています」
萩原のチームは、開発からテスト、リリースまでの一連の流れをすべて担当している。Salesforceは素早くサイトを作れるのが特徴の1つなので、保守運用をしながら、追加開発を繰り返してより良いものに進化させていく。
「リーダーになってからは、直接手を動かしてプログラミングをするのではなく、プロジェクト全体の進捗管理や、開発メンバーの作業調整などがメインの業務です。リモートワークを基本に、週1日ほどお客様先に出社して、メンテナンスしたものを本番環境に反映させる作業などを行います」
メンバーとのコミュニケーションは週1で実施するオンライン定例のほかに、チャットも利用しているが、大切な要件を伝えるときには直接対話するように心掛けている。認識齟齬による手戻りを発生させないための配慮である。
「これはお客様に対しても同じです。Salesforceはさまざまな機能を持ち合わせているので、ご要望を受けてから、見積りを作成して、システムの要件などを決めていく際には、専門的な細かい話をするよりもイメージ図を描いて大まかにお伝えしながら、認識のすり合わせをしています」
プロジェクトを正確に推進することを大前提にしながらも、萩原が一番大切にしているのは、楽しいと思えるマインドで仕事をすることである。これは萩原自身だけでなく、メンバーに対しても同様だ。
「メンバーにも、つまらないという気持ちで仕事をしてもらいたくないですね。そのためにも、チームのメンバーと話すときは、仕事だけでなく、雑談なども交えて楽しい雰囲気を作るようにしています。社会人になって最初の上司が気さくな雰囲気で話してくれていたので、自分も同じようにしたいと思うようになりました。
今のチームは、みんな私より年下の若いメンバーなので、積極的に意見できる雰囲気づくりを心掛けています」
IT業界での具体的な目標がないからこそ、幅広い分野で活躍する会社を選んだ
大学では、理工学部で数学を専攻した萩原。当初は数学の教師をめざしていた。就職活動が目前に迫ったころに、これから一層発展していくIT業界でワクワクするような仕事がしたいと考えはじめ、IT企業へと舵を切る。
「大学のサブコースとして情報系の授業を履修していたので、少しでも学んだことが生かせるIT企業に焦点を当てて就職活動を始めました。ですが、ITの中で注力したい分野があったわけではありません。
富士ソフトは規模が大きく、幅広い分野で活躍している会社だったので、この会社に入れば、働いていくうちに自分のやりたいことが見つけられそうな気がしたのです」
入社後は、一般的な社会人研修の後にJavaというプログラミング言語の研修に1カ月ほど参加した。現在の部署に配属先されてからも、専門的な研修を行ったと振り返る。
「Salesforceに特化したグループに配属されたので、同期のメンバーとSalesforceを使った模擬システムを作り上げていく研修を行いました。Salesforce自体は大学で学んだわけではありませんが、論理的思考は勉強していたので、研修でも飲み込みが良かったように思います」
これまで金融事業本部でSalesforce一筋でキャリアを積んできた萩原。新しい商品への対応という比較的定例的な業務のほかに、令和になった際の元号変更の対応や、お客様の社名変更の対応などの、イレギュラーな業務にも携わった。
「元号変更の対応をしたときは、まだ経験も浅かったので、直す箇所を見つけるのも一苦労でした。そのときの上長がリードしてくれて、なんとか一緒に乗り切った記憶があります」
そんな萩原は、社内のスペシャリストとして認定されている。Salesforceの資格取得によるものだ。
「当社でも多くの社員が取っているSalesforceアドミニストレータを入社2年目に取得した後、業務の合間を見つけながら勉強に励み、Salesforceセールスクラウドコンサルタントの資格を翌年に取りました。今後忙しくなったときのために、今のうちに少しでも自分の知識をつけておこうと思って勉強しました。
業務に有効と判断された資格に対しては受験費用を会社負担にしてもらえる制度があったり、先に合格していた先輩に過去問をもらってわからないところを質問させてもらえたりしたのが、ありがたかったです」
その後2021年に萩原は、ヘルプデスクやコンタクトセンターのシステム構築に関する資格で、難易度が高いとされるSalesforceサービスクラウドコンサルタントも取得。自身の知識が大幅に広がったことに加え、毎月の給料に上乗せされる資格認定給という実質的なメリットも得られた。
業務の中でメンバーのためにリモート勉強会を開催し、資格取得を促進
萩原は2022年にSalesforceコンサルタントとして受注・売上拡大への貢献が認められ、優秀社員賞を受賞した。Salesforceでの実現案が未確定だったWebサイト新設の案件に対して、スピーディーに品質の高いものを開発できたことと、チームメンバーへの教育が、評価につながった。
「通常は工程に沿ってテストをしながら進めていくウォーターフォール型の手法を用いていました。ですが、期日が短いため、作りながら進めていくアジャイル型で挑戦してみることになりました。1週間ごとに開発したプロトタイプをお客様に確認いただいて、フィードバックをもらって見直していきました」
ウォーターフォール型で開発をしているときは、テストまで終わった時点で、実はここの考えが違ったと言われて、手戻りが発生するケースもあったという。
「アジャイル型に最初から自信があったわけではないのですが、少なくともお客様と会話をしながら案件を進めていくことで、認識のずれは絶対に起きないという確信があり、不安なく案件を推進できました」
ムダな手戻りが一切発生しなかったことから、素早いリリースにつながった。この案件以降は、お客様にもその手法の良さが伝わり、これまで以上に柔軟に対応できるようになったと感じている。また、荻原は自身のステップアップをチームメンバーへの教育につなげた。
「メンバーの資格取得に向けて、業務終了後などの空いた時間に、30分ほどリモート勉強会を開催していました。私自身も先輩から教えてもらってありがたかったし、自分が取った複数の資格についてはアドバイスができるので、過去問などの情報を共有して一緒に勉強しよう、という気軽な雰囲気で始めました」
メンバーに合わせた内容を個別に設定し、不明点はその場で解消できる環境を整えたことで、学習の効率化につながった。その結果、勉強会に参加した5名のうち、2021年の上期には2名が資格を取得。何より大きかったのは、資格保持の意義やモチベーションをメンバーに伝えられたことである。
社員同士が支え合える企業文化の中で、常に新しいことに挑戦し続けたい
優秀社員賞を受賞したことで、自分が期待されていることを強く感じるとともに、よりいっそう頑張らなければいけないと身が引き締まる思いでもあったと、萩原は言う。
「私がリーダーという立場になったのは入社5年目の2022年4月ですが、まだまだ力不足なのは否めません。今のプロジェクトを円滑にミスなく進めていくことが、ひとまずの目先の目標です。少し先を見るなら、今は7人のメンバーを10人くらいまで拡大させて、案件も拡大していきたいです。それが、自分の自信につながっていくのだと思っています」
入社前には、会社はかなり厳しいところだという不安もあったが、今ではまったく違う印象を抱いている。
「富士ソフトの社員は皆さん優しくて、困っていたら必ずなんらかの手を差し伸べてくれます。たくさんの社員がいて抱えている案件もたくさんあるので、誰かが相談に乗ってくれて、安心して業務を進められます。
たとえば、現場でお客様から『今度こういうことをやりたいんだけど』という相談があったときに、自分自身はわからなくても、部内に一声かけると情報をもらえます」
萩原が就職活動のときに感じた、規模が大きく、幅広い分野で活躍している会社という特徴が、会社の魅力として実感できているという。
「運用保守が多い今の仕事でも、一つとして同じ仕事はなく、時代の流れとともに少しずつ変わっていきます。常に考えながら新しいことにチャレンジできるところが、一番おもしろいのではないでしょうか」
立ち止まらずに進み続ける萩原の姿勢は、資格取得をサポートした先輩社員の影響であり、また萩原自身もチームのメンバーに大きな影響をもたらしている。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです