追加開発のプロジェクトを進めながら、BS制度で後輩育成にも携わる
荒川が所属するシステムインテグレーション事業本部 ネットサービス事業部は、データベースクラウドなどを用いて主にWebアプリケーションの開発を手掛けている。
「私が所属しているグループは、40名ほどのメンバーがプロジェクトごとに分かれて業務を行っています。私が携わっているのは行政プラットフォームの開発。これまでは紙でのみ行っていた交付申請をWeb上で一括して行えるようなシステムを構築しています」
現在、新規開発のプロジェクトとして行っていた業務がいったん終了し、追加開発の業務に関わり始めた。
「行政プラットフォームの開発をする中でCSV出力をする画面を担当し、お客様との仕様についてのやりとりや、設計開発、結合試験、性能試験などに携わっています。出力したい項目を新しく増やし、性能的な問題をクリアすることを目指しているところですね。ほかにも、機能を増やしたいという要望に対して、新しい障害が発生しないかなどの確認を行っています」
戻りがないように段階を踏み、お客様へ確認しながら開発を進める中で、少し形が見えてきたところだと言う。
「現在7名ほどのチームで動いています。今年は後輩が配属されたので、私がBS(ブラザー&シスター)員としてサポート役に付いています。プロジェクトもずっと一緒なので、知識面に重点を置いてサポートしていきたいと思っています」
週1回の出社以外は在宅勤務という状況にあるため、チャットなどを使用して後輩が質問できる機会を意識的に増やしている。
「未経験で入社した自分だからこそできるサポートがあるのではないかと思っています。例えば、後輩の質問に対して、そこは自分も分からなかったところだと伝えることで、頑張ればできるようになるという意識の向上につながるのではないでしょうか」
IT業界の中で見つけた、さまざまな技術が学べる場
荒川は物理学科で学び、卒論では量子学の研究を行っていた。就職活動をするまではITの知識はまったくなく、プログラミングも未経験だった。
「物理学科の学生は、就職というよりはアカデミックな研究の道に進む傾向があります。しかし私は、大学3年のころから何かまったく新しいことを学びたくなったんです。学ぶなら一番刺激的なのはITだと思い、IT業界を中心に就職活動をしました」
数多くあるIT企業を、「新しい技術」という切り口で調べたときに浮かび上がってきたのが、富士ソフトであった。
「富士ソフトは、AIとIoT、セキュリティ、クラウド、ロボット、モバイルに力を入れており、AIS-CRM(アイスクリーム)戦略を打ち出し、新技術に積極的に取り組んでいる会社だと知りました。しかも、50年以上の歴史がある会社なので、長年培った技術やノウハウを持つ方々がいらっしゃって、その人たちに技術力を乞うことができる。ここなら、さまざまな技術を吸収できそうな気がしたのです」
また、ほかのIT企業も受ける中で、富士ソフトは採用面接の際の対応が印象的だったと荒川は振り返る。
「人事の方が社内の技術に関してとても具体的に話してくださったことに驚きました。技術者でない社員でさえも技術的な部分をきちんと把握しているということは、社員の会社への想いが表れているように思えました」
BS制度など入社後のフォロー体制が手厚いという情報も、大きな決め手となったと言う。
「入社前に、少しでも知識のある人との差を縮めておこうと思い、基本情報技術者の資格を取得しました」
参考書を購入して独学で勉強を進め、難しいところはネットで調べながら解決していった。
「知識系の勉強はすんなり頭に入るのですが、プログラミングは慣れていないこともあって、かなり時間がかかりました。それでも調べながら1人で勉強した経験は、今の業務の中でも生きていると思います」
4月に入社してから2カ月間は、ビジネスマナーからプログラミング言語までの新入社員研修である。基本情報技術者の受験をしていたことで理解がしやすく、もっとほかの勉強も進めようという次への意欲につながっていった。
先輩などに相談しながら、初めての業務を滞りなく遂行
新入社員研修が終わった6月1日には、プロジェクトの即戦力として活躍し新人賞に輝いた。
「担当したプロジェクトは、次世代券売機の新規開発です。配属された時点で設計は終わっていたので、その後の開発から納品に携わりました。私は、Web上にある管理画面でメニュー情報を登録して、その内容を券売機に反映することで券売機のメニューを自由に変更できるシステムを開発しました。また、AWS上でのサーバーレスの知見を生かし、サーバー側から券売機に好きなタイミングで配信できるような仕組みをAWSのサービスを組み合わせて実現しました」
15名ほどのメンバーの中で、初めは周りのサポートを受けながら開発を行っていった。
「初めて扱うプログラミング言語に少し不安がありました。ただ、研修では一番代表的なJavaから一通り勉強できたおかげで、新しい言語でも理解が早かったと思います」
開発が順調に進んだことから、次の段階で荒川はプログラムが単体で動作するかを確認する単体試験の管理業務を任された。
「スケジュール通りに終わらせることが、一番難しかったですね。たくさんの人が関わっているので、どうしても自分の想定とのずれが出てしまったのです。悩んでいたときに、前任者の方やPMの方が相談に乗ってくださり、スケジュール管理のノウハウなども手厚く教えてもらいました。そのアドバイス通り、最初に余裕を持ってスケジュールを調整したおかげで、最終的にはスケジュール通りに終えられました」
一人で抱え込んでしまうようなときには、気持ちを吐き出せる場を作ってもらえたのがうれしかったと振り返る。
「責任を負うのは必要だけど、必要以上に自分が悪いと思わない方がいいと言ってもらえたことに救われました。ほかの人ができることは、ほかの人に頼った方が良いということも教えられ、今でも常に心がけるようにしています」
このプロジェクトで高い理解力を発揮してチームに貢献したことに加え、業務外でも常に自己研鑽を行って知識の向上に努めた点が評価され、2021年度の新人賞を獲得した。
「これまで新人賞を獲得した先輩を見るとすごい方ばかりなので、私が新人賞をいただいてもいいのかという思いで身が引き締まりました。新人賞を取った先輩に追いつき、いずれ追い越すことを目標に、より頑張っていきたいと思っています」
新しい技術を知れば知るほど、将来の夢が広がっていく
荒川は入社後も、新しい技術の習得を目指して積極的に資格の取得に努め、昨年末にはAWSの認定資格であるソリューションアーキテクト−アソシエイトの試験に合格した。
「ソリューションアーキテクト−アソシエイトの試験はかなり難しく、3回目でやっと合格できました。失敗しても試験の期間を空けないように、何度も挑戦することが重要だと思います。少しでも期間が開くと、イチからやり直しになってしまうので、短い期間を決めて勉強するのが効率的です。今の目標は、AWSの次の段階のソリューションアーキテクト – プロフェッショナル試験です」
知識と技術の吸収に意欲的に取り組む荒川にとって、新しいことを学ぶ醍醐味とは、どんなところにあるのだろうか。
「今までできなかったことができるようになるっていうのが、自分にとって一番楽しいことです。この技術があれば将来はもっとこういうふうになるんじゃないかと、知識が増えれば増えるほど、これまでは考えられなかったところまで想像が膨らみ、手掛けてみたい仕事への夢も膨らみます」
今はWeb関連に新しい技術がたくさん出てきているので、その辺りも勉強をして、実際の仕事に役立てるようにしていきたいと考えている。
「服が好きで、大学のころはアパレル系の仕事に携わっていたので、アパレルのEC系の仕事に携わりたいと思っています。とにかく、もっと技術力を深めていって、その上で管理職として働いていきたいです。いろいろなプロジェクトの理解をしながら、社員の前に立てるような人になっていきたいと思います」
IT未経験から入社して大きな成長を見せた荒川。富士ソフトには、人を育てる土壌があるからだという。
「IT黎明期から最新の技術まで携わってきた方々がいるので、ITの歴史を知り、これからの未来を考えることができる会社です。そういった知識の共有だけでなく、研修や資格取得への手厚いサポートなどがあるからこそ、新しい学びにチャレンジすることができるんです」
富士ソフトの技術の歴史を支え、さらにけん引していく1人として、荒川のさらなる活躍が期待される。