ハード/ソフトの連携は富士ソフトならではの強み

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組み込みシステム開発に従事する金澤 達人

インダストリービジネス事業部に所属する金澤。2022年10月現在は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を搭載する検出器のファームウェア開発案件に従事している 。

金澤 「もともと別の会社が開発していたX線関連装置のソースコードの整理・改善を行っています。本来の設計に甘い箇所があったことから、依頼を受けて修正しているところです。

同案件には2020年から関わっていて、チームには4人が在籍。うちふたりがハードウェアを、残りのふたりがソフトウェアを担当し、私はソフトウェアのリーダーを務めています。開発自体は以前にも経験がありますが、RTOS(Real-time operating system)を使うのは初めてでした。既存の設計を理解した上で、RTOSを使わないかたちに実装し直す必要があり、これまで何度も苦労する場面がありました」

入社以来、組み込みシステム開発ひとすじで取り組んできた金澤。富士ソフトで開発に携われるおもしろさについて次のように話す。

金澤 「チーム内にハードウェア担当もいるため、両者が協力しながら作業を進められるところに魅力を感じています。たとえば、最近ではこんなことがありました。

DMA(ダイレクトメモリアクセス)というデータの転送技術があるのですが、その処理を行うためのFPGAの回路が思うように動かなかったんです。ハードとソフトのどちらに問題があるのか、双方で知恵を出し合いながら調査を実施。無事解決に至りました。

『ハードのここがおかしい、ソフトのここに問題がある』という具合に、議論しながら課題を掘り下げ解決していく作業はとても楽しいですね。ハードとソフト両方の視点を持ち開発できるのは、富士ソフトならでは。とても貴重な経験ができていると思っています」

リーダーとして部下を指導する立場でもある金澤。相手の立場になって話すことの大切さを痛感しているという。

金澤 「私が新人のころ、専門用語を多用する上司の話が理解できず戸惑ったものでしたが、最近は無意識のうちに同じことをしていることがあります。相手に伝えるべきことの要点を理解した上で、必要な情報を分かりやすく提供しようと努めているところです」

大切にしてきたのは、システムの本質を理解すること

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学生時代のアルバイトが人生の転機になった

大学では電気電子情報工学科に所属していた金澤。情報工学への関心から、コールセンターで技術サポート窓口のアルバイトを始めたことが転機に。

金澤 「電気回路から情報工学まで幅広く学ぶ中で、自分の書いた通りに動くところにプログラミングのおもしろさを感じたのを覚えています。情報系のほうにだんだんと気持ちが傾くようになり、技術サポート窓口のアルバイトをしたことで、将来の仕事のイメージが固まりました。

技術サポート窓口では、インターネット回線への接続の案内をしていました。始める前は、自分がもっている知識でこなせると思っていたのですが、実際にはネットワークに関する専門知識が必要でした。最初はかなり苦戦しましたが、必死に勉強するうちにうまく対応できるようになっていったんです。自分の知識が人の役に立つことに喜びを感じ、お客様の困りごとを解決するような仕事に就きたいと思うようになりました」

なかでも、富士ソフトへの入社を決めた理由について金澤はこう話す。

金澤 「お客様の困りごとを解決するためには、親会社に縛られることなく柔軟に要求に応えられる独立系のSIerが良いだろうと考えていました。なかでも富士ソフトを選んだ理由は、大手であり事業領域が広かったことです。いろいろな仕事が経験できるのではないかと思って選びました」

入社後、映像処理基板のソフトウェアを開発する大規模な案件に参加し、評価の工程に関わりながらエンジニアとしての基礎を学んだ金澤。大切にしていたことがあるという。

金澤 「数万行というプログラムを初めて目にし、読解するのにもかなり苦労しました。そんな中、一貫して大事にしていたのは、システムの本質を理解すること。試験やバグ修正を繰り返す中で、何のためにこの機能があるのか、何のためにこの作業をやっているのかを考えるよう心掛けたことで、『この機能はここにつながっている』という具合にだんだんと全体をイメージできるようになっていきました。

意識して全体を見ようとしたというより、一つひとつきちんと理解し対応しようとしたことが、結果的に全体を見ることにつながっていったんだと思います」

そうした仕事への真摯な取り組みが評価され、同期の中ではもっとも早くソフトウェアチームのリーダーに抜擢された。

金澤 「比較的小さな案件ということもあり、要件定義からお客様とのやりとりや評価まで、すべてを自分ひとりで担当しました。最初の案件で評価工程が終わった後、機能追加の依頼があった際に設計の仕事も任せてもらっていたので、設計の進め方やシステムの組み方がすでに自分の中でできあがっていたことが大きかったと思っています」

マスター認定と優秀社員賞の受賞。一貫して持ち続けた「人の役に立ちたい」という想い

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2022年に優秀社員賞を受賞

エンジニアとしての高いスキルを評価され、2021年には社内のマスター認定(エンベデッド)を受けている金澤。

金澤 「社内にはスキルの高さによって技術者を5段階で評価するスペシャリスト制度があります。そのうち、組み込みの領域でマスターとして認定されました。専門資格を取得している、もしくは社員の能力・知識に対し上司からの推薦で認定されます。

私は上司に推薦してもらいました。経験を重ねていくと推薦されることが多いようですが、私のような若いメンバーが認定されるのは珍しいケースです。富士ソフトは、年齢や経験に捉われず実績を評価してくれるので、やりがいを感じます」

さらに、2022年には優秀社員賞を受賞している。

金澤 「上司からの推薦で、これまでの功績、とくにいま取り組んでいるX線関連装置の案件を滞りなく進められている点を評価してもらいました。同案件にはさまざまな会社が関わっているのですが、他社の担当領域も見ながらシステムの不具合の原因究明に取り組んだり、当社の担当範囲を広げたりしているところを見てもらえたのだと思います」

そして同年、入社4年という異例の速さでリーダーに昇格した金澤。背景にあったのは、お客様の要求に応えたいという想いだ。

金澤 「お客様とやりとりする中で、より良い提案をするためには、設計の責任を持つ立場にならなければと考えていたんです。そのため、早くキャリアアップしたいという想いはずっと持っていました」

また、周囲に助けられた場面も多いと話す金澤。

金澤 「わからないことがあればすぐ上司なり先輩なりに聞くようにしてきました。それを許す環境がありますし、社内にはハード、ソフト共にスペシャリストが多いので、難しいことでも尋ねればちゃんと答えが返ってくるのがありがたいです」

そんな金澤にとっての原動力となっているのは、人の役に立つこと。

金澤 「人に喜んでもらうことが何よりのモチベーションです。対外的な仕事であれ、若手の育成であれ、自分のしたことがいろいろな場面で役に立ち、お客様や会社に貢献できていると感じられることがやりがいになっています。入社以来、それはまったく変わっていません」

組み込みソフトウェアのスペシャリストとして、さらなる高みへ

システムを開発するにあたってC言語を使うことが多かったと振り返る金澤。プログラミングの基礎を叩き込めたことが財産になっているという。

金澤 「組み込みシステムの開発では、C言語を使うことが多いのですが、汎用性の高さを感じています。ほかの言語の場合、ライブラリを活用することで内容を理解しないままやりたいことが実現できてしまいますが、C言語はやりたいことを細かく分析し、設計する必要があります。

若いうちにしっかり設計をする経験が得られるのは、富士ソフトで組み込みシステム開発に携わる大きなメリットのひとつだと思います」

今後は、組み込みソフトウェアのスペシャリストとしてさらに高みを目指したいと話す金澤。

金澤 「まだまだ知識が足りないと感じています。これまで以上に学習と経験を積み、スペシャリストとして腕を磨いていきたいです。たとえば、いま取り組んでいるのが、Linuxカーネル。アプリケーションとハードウェアの架け橋となるものです。Linuxカーネルは、組み込みの技術が関わることが多いため、理解が進めばお客様に対してより良い提案ができると思っています。

また、組み込みに関する難易度の高い国家資格“エンベデッドシステムスペシャリスト試験”の取得を目指しています」

ハードウェアをはじめとする隣接領域のメンバーと密にコミュニケーションが取れる環境で成長を重ねてきた金澤。あらゆる専門分野に通じたスペシャリスト集団のひとりとして、これからも前に進み続ける。お客様や会社に貢献し続けることを目指して。