最先端医療機器のアプリ開発で病気の見える化に貢献!

マレーシア出身の黄 嘉億(コ カーイー)

黄の所属しているシステムインテグレーション事業本部は、画像処理ソフトウェアの開発実績が豊富で、それが強みとなり医療関連のお客様との取引が拡大している部署だ。

黄 「私はヘルスケア事業に注力しているメーカーのお客様を担当し、X線画像診断装置などで使用されている画像診断ワークステーションの開発を行っています。他企業との共同開発で、富士ソフトのメンバーだけでも36人が参加している大規模プロジェクトです。そのプロジェクトで8人体制のチームをマネジメントしながら、アプリ開発の一部を担当しています」 

レントゲン検査で撮影される画像は、静止画像として出力するのが一般的だ。しかし、黄が関わっているシステムは、動画で出力するかたちに進化している。

黄 「撮影したレントゲン画像を画像処理して確認のしやすさを向上させ、コマ撮りした画像を連続表示することで動画を作ります。私のチームは、情報のやり取りや表示をするインターフェース部分を担当しています。静止画と比べてより多くの情報を得ることができるので、吸った空気の量、呼吸しているときの肺の動きが詳細に表示でき、病気の見える化が可能です」

動画で出力することで、肺胞や肺血管といった肺組織のわずかな変化から生体情報を把握することができ、がんの早期発見などが期待できる。 

黄 「画像処理技術が進み、病気を発見しやすくなっています。レントゲン技師や医師の方々からのフィードバックが仕事の励みです」

最先端医療機器のアプリ開発に携わる黄は、常に挑戦する姿勢を持ち続けている。

医療機器の開発だけでなく、幅広い分野に挑戦できる環境が入社の決め手

大学院時代の学会発表をしたときの写真

黄はマレーシアの高校を卒業後、ロボティクス学科がある日本の大学に進むため来日。日本の大学への進学を決めた理由を聞くと、向上心のある答えが返ってきた。

黄 「ロボティクス関連の最先端研究を行っている大学を調べたところ、アジアの中で、日本の大学が最先端の研究をしていました。一番進んでいる環境で、機械系の知識を学びたかったのです」

日本語は全く話せない状態で来日した黄は、日本語学校で1年間、日本語を勉強した後、大学のロボティクス学科に入学した。 

黄 「ロボティクス学科では、機械工学、制御工学、電気工学、情報工学など幅広い工業分野の知識と技術を習得しました。大学4年のとき、医療分野にチャレンジしたいという思いから医療機器を開発する研究室に入り、医療機器の高度な技術や精密な部品にどんどん魅かれました。

卒業後は大学院へ進み、手術器具の開発などを行うなかで、医療機器操作するソフトウェアの開発を実践で使いたいという気持ちから、AIやIoTに興味を持つようになりました。卒業後はIT企業で医療機器のシステム開発をしたいと思い、IT企業に的を絞って就職活動をしました」

黄のやる気と実力は高く評価され、4社面接を受けて3社から内定をもらった。その中の一つが富士ソフトだった。

黄 「富士ソフトに入社を決めた理由は、医療機器や医療システムを含めた事業領域の広さでした。富士ソフトなら、医療機器関連の仕事に限定されることなく、AIやIoTなどを含めいろいろと挑戦する選択肢があることが大きな魅力でした」

入社当時の黄はプログラミング初心者。大学院でソフト開発を少々かじった程度だったが、好奇心旺盛な黄は、IT業界に飛び込んだ。

黄 「私は、日本の会社でずっと働きたいという気持ちがあったので、プログラミングを独学で一から学ぶことは苦ではありませんでしたが、プログラミングに対する時間のギャップが印象的でした。

IT業界はプログラミングをずっとやっているという印象があったのですが、ソフトウェア開発ではプログラミングの時間はそれほど多くはありません。たとえば、1カ月の開発だとすると、プログラミング期間は1週間程度。残りは企画書や設計図などのドキュメント部分でした」 

自分のやりたいことを叶えるために、どのような業務にも切磋琢磨して臨んだ。

仕事を振れず抱え込んだ経験──質問攻めにも応対してくれた先輩のアドバイスで脱却

在宅勤務をしている様子

入社後に配属された技術グループは、画像処理のプロが集まる部署だった。入社後2年間、サブリーダーになるまで、黄は上司や先輩を質問攻めにしていたという。

黄 「こんなことを聞いてもいいのかな、と思うことまで質問していました。しかし、上司や先輩は嫌な顔をせずに、丁寧に応えてくれました。尊敬できるロールモデルが近くに大勢いたので、モチベーションが上がりましたね」 

黄は日々努力を重ね、2017年にはサブリーダー、2018年にリーダーへと昇進した。 

黄 「富士ソフトは、実力主義。能力があれば、どんどん上に上がれます。尊敬できる主任に少しでも近づこうと頑張りましたが、主任もさらにスキルアップしているので、なかなか追い付けません」 

トントン拍子に出世したように見える黄だが、チームリーダーになったときに試練が訪れた。 

黄 「私は仕事を抱え込む悪い癖がありました。もともとコツコツと1人で仕事をするのが好きだったこともあり、人に教える時間があるくらいなら、自分でやった方が早いと考えてしまうタイプでした。サブリーダーのときは、部下が4人だったので何か問題がおきても対応できたのですが、リーダーになると人数が一気に増え、7人になりました。

日々の仕事を回すのに必死で、なかなかうまく仕事の振り分けができず、仕事がどんどんたまり、全部自分で抱えるわけにはいかなくなりました。でも、振り分け方法がわからず、困っていました」 

そのときに黄が頼ったのは、かつて質問攻めにした先輩だ。リーダー業務についてもアドバイスをもらい、徐々に改善していくことができた。 

黄 「チームメンバーに仕事を回す意識と習慣を身につけられたことで、メンバーに教えて次はやってもらえるという良いループができました。人に任せることで、チーム全体を動かす時間も増え、チーム全体を見渡せるようになったと思います」 

現在の黄は、自らが開発に携わったアプリが世に出て、役に立っていることにやりがいを感じている。

クラウド化とIoMTの大きな時流も捉えながら医療現場の負担を減らしたい

メンバーと課題解決の打ち合わせをしている様子

黄にとって今一番の関心事は、医療分野のクラウド化。2010年に医療業界でクラウドが解禁され、10年が経過しました。さまざまなクラウドサービスが展開されているが、まだまだ発展途上だ。 

黄 「医療業界では、顧客層が高齢者であることや、取り扱う情報のセキュリティレベルが高いことなどから、クラウド化の導入が遅れていました。ですが人手不足が深刻化する中、どこからでもデータを見ることができ、利便性が飛躍的に向上するクラウドサービスが普及することで、医療現場の負担を大幅減できます」 

コロナ禍でオンライン診療が解禁になり、在宅医療、訪問医療が普及する中、クラウド化の需要は高まっている。そのような中、医療機器とIoT技術を組み合わせたIoMT(Internet of Medical Things)の活用も時代の潮流となってきているのだ。 

黄 「IoMTは、医療機器にWi-FiやBluetoothを備えることで、医療データをヘルスケアシステムとネットワークでつなぐことができるようになります。それにより、医療従事者は正確な診断をすばやく下せるようになり、リスクのある患者の監視を強化できるようになります。

また、患者と医療従事者の距離を縮め、これまでになかった種類の治療を可能にしたり、利用者の生活の質を高めたりすることができるようになります。画像診断ワークステーションのアプリ開発がまさにIoMTデバイスです。富士ソフトは、エンジニアとして、世の中に貢献できるという喜びとやりがいのある仕事に挑戦できる環境が魅力です」 

医療分野でのIoMTの活用に意欲をみせる黄。理想とするリーダー像はどのような姿なのだろうか。 

黄 「今後は、プロジェクトマネージャーとしてより大きなプロジェクトを動かしていけるようになりたいです。お客様やメンバーとのコミュニケーションを図り、信頼関係を築いていくために、お客様や部下の抱えている課題や悩みを解決できる人になることが大切だと思います。

風通しの良い環境を作り、何でも話せる雰囲気が醸成できれば、悩みや課題を聞き出すことができますから、そこも重視して頼られる存在になりたいですね」 

黄が、今後一緒に働きたい社員像とは。 

黄 「コミュニケーションが取れる人、向上心がある人と一緒に働きたいですね。富士ソフトはグローバル化にも力を入れており、外国籍の社員も少なくありません。上司や先輩も面倒見のいい人ばかりなので、働きやすい職場ですからぜひチャレンジしてほしいです」 

黄は持ち前の強い好奇心を武器に、自分の思い描いたキャリアプランを歩んでいる。クラウド化とIoMTの大きな時流も捉えながら、アプリを進化させる黄の活躍に今後も期待が高まる。