技術力に優れたメンバーを率い、プロジェクトリーダーとして活躍

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年間MVP賞を獲得した山嶋 靖匡

山嶋が所属するシステム事業本部 コンシューマーデバイス事業部では、組み込み系のシステム開発に強みを持ち、あらゆる機器を制御するシステム開発を行っている。その一つとして、デジタルテレビに内蔵するプラットフォームを開発し、多くのデジタルテレビにミドルウェアとして採用されている。 

山嶋 「私の所属するグループでは放送系を担当しており、主なお客様は大手ケーブルテレビ事業者です。ケーブルテレビの受信機であるSTB(セットトップボックス)などのインフラを扱う、大手通信系企業やその関連会社も担当しています。案件は、ケーブルテレビをスマートフォンやタブレットで見たり、映像や画像を家庭内で共有したりするためのDLNA対応機器やスマホ向けアプリの開発などです。その中で現在私が担当しているのは、大手通信企業によるテレビ電話の開発プロジェクトです」 

山嶋は、7人のメンバーからなるチームのプロジェクトリーダーとして、プロジェクトの取りまとめや、お客様との折衝、進捗の管理などを行っている。

山嶋 「今回のテレビ電話の開発は、ユーザビリティを考慮したUI設計からシーケンス策定、独自プロトコル定義などが必要となるため、ユーザ目線の設計力と技術力とのバランスが重要になります。私のチームは技術力に優れたメンバーが多いので、設計の部分を私と一部の熟練者が担当しバランスよく開発を行っています。おかげで順調に開発が進み進捗管理も捗ります」

2006年に中間採用で富士ソフトへ入社した山嶋は、技術領域の広さを感じているという。 

山嶋 「富士ソフトには約7,000人の技術者がいるため、自部署で扱っていない技術や新技術なども社内で知見のある技術者を紹介してもらえるので、多くのことにチャレンジできます」 

恵まれた環境下で自分のやりたいことを実現する山嶋は、プロジェクトの潤滑油として社内外の信頼を獲得。中核的な存在へと立ち位置を確立した。

自分が望む働き方を求め転職。さまざまなチャレンジと経験を積み重ね可能性を拡大

山嶋 「前職の会社では、携帯電話の開発に携わり技術力を身に付けました。しかし入社6年目に大阪への転勤を命じられました。2年間の期間限定での転勤のはずが、期限を過ぎても東京に戻ることができなかったので、転職を決意しました」 

大阪で働きながら関東にある会社への転職活動を行った。 

山嶋 「当時の面接は対面で行うことが当たり前だったので、関東にある会社を受けることは簡単なことではありませんでした。しかし、富士ソフトだけは違いました。富士ソフトの人事の方に、大宮オフィス(埼玉県)での勤務を希望していることを伝えると、『富士ソフトの大阪オフィスで面接を行います。いつがよろしいですか』といわれました」 

大阪に居ながら、関東にある会社の面接が受けられることに喜ぶ山嶋。さらに予想外の展開が待っていた。 

山嶋 「富士ソフトの大阪オフィスへ行ってみたら、転職希望先の大宮オフィスの課長と本社(神奈川県)にいる人事担当者とテレビ会議がつながっていたんです。当時は、オンラインで面接を受けることは一般的ではなかったので、大変驚きました」 

山嶋は富士ソフトの柔軟な対応に感動したと当時を振り返る。 

山嶋 「担当者の方とはオンラインでの挨拶となりましたが、業務に関する話をしっかり聞くことができ、内容もすごくわかりやすかったです。前職の経歴などいろいろ話したところ、『ぜひ来て欲しい』といっていただきました。他社も受けていましたが、柔軟な対応と熱意から富士ソフトへの入社を決めました」 

希望通り大宮オフィスへの配属となった山嶋は、2008年にリーダーへ昇格する。 

山嶋 「入社後は、企業の業務システムを中心に開発を行う中で、設計に対する着眼点などを評価していただきサブリーダーとしての実績を積み上げてきました。その結果、『数年以内にリーダーとして活躍してくれることを期待しています』と入社時にいわれた言葉に応えることができ、転職して良かったと実感しました」 

2011年に山嶋は主任に昇格するが、これには戸惑いもあったという。 

山嶋 「自分に主任が務まるのだろうか、という気持ちが正直ありました。でも、当時の上司が私の得意なところや不得意なところをきちんと把握してくれていて、その上で『君であれば務まるよ。ぜひ、もう一段高いところで力を発揮してほしい』という言葉をいただきました。この上司の言葉で迷いが消え、前向きに取り組めるようになりました」 

山嶋は部署異動とともに勤務地が本社になった。しかし家庭の事情から遠距離への通勤は難しく、当時、試運用が始まった在宅勤務制度の対象者の募集に手を挙げた。 

山嶋 「在宅勤務制度のおかげで、自分のライフスタイルに合った働き方ができました。富士ソフトには他にもスーパーフレックスという制度があり、コアタイムがなく、1カ月単位で勤務時間を管理するので、メリハリをつけることで有給休暇を使わずに休みをとることができます。もちろん、上長に申請はしますが、自分で勤務をコントロールできる部分が大きいため、非常に働きやすい環境に満足しています」 

富士ソフトの環境を存分に活かしながら、柔軟に業務を遂行した山嶋に転機が訪れる。 

山嶋 「スマートフォンが出始めたタイミングで、富士ソフトのプロダクト製品である、かな漢字変換ライブラリ『FSKAREN(エフエスカレン)』の技術責任者を務めることになりました。着任した頃は、すでにリリースしていた『FSKAREN for Android』の大改修作業を行っていたので、技術的な取りまとめを行っていました」 

その後、技術チームのとりまとめから技術責任者としてプロダクトオーナーに近い役割に加え、営業マンのような役割までをこなした。 

山嶋「FSKARENはこういった使い方ができるのではないか、お客様の持っている製品と組み合わせれば一緒にビジネスができるのではないかといった点をまとめて、結構な数の提案書を書き、営業部門と連携してアポイントメールを大量に送ったり、お客様先へ訪問したりしていました」 

その後、FSKARENを扱う部署の組織体制の変更に伴い、2019年にかねてから興味のあった放送機器の開発を行っている現在の部署へ異動した。

技術力を活かした提案力・コミュニケーション能力を評価。売上・受注拡大に貢献

山嶋 「前の部署では営業に近い動きをしていて、技術的に手を動かすのではなく、仕様を取りまとめたり、お客様へヒアリングしたりすることを中心にやっていました。むしろ、そういった仕事の方が得意だと自覚しました。もともとは技術者になりたくて富士ソフトへ入りましたが、得意なことを頑張った方が組織に貢献できると考えています」 

そんな山嶋は現在の部署でお客様から高く評価され、年間売上250%増を成し遂げた。 

山嶋 「異動して間もない頃、大手通信系企業の関連会社を通して、ホテル向けのSTB開発のご依頼をいただき要件定義を担当しました。お客様が『部屋のテレビでこういうことができたら、夢があってすてきだと思うんですよね』、『これをやったらお客様が喜びますよね』などと、目をキラキラさせながらお話しされていたのが非常に印象的でした」 

要件定義を作成する際には、お客様の想いをくみとりながら進めていくことに最も注力した山嶋。 

山嶋 「現実的に難しい要望もありましたが、技術的にできないことを説明するだけでなく、『では、こういう機能があったらどうですか?』、『これなら簡単にできて、お客様にも喜んでもらえるかもしれません』といった形で、わかりやすく具体的に提案することを心掛けました」 

ビジネスを行う上で、お客様にも自身にとってもメリットが得られる道を探して行動するのが山嶋のやり方だ。 

山嶋 「立場などは関係なく、自分にできること、自分が良いと思ったことを積極的に推進していきます。その結果、一緒に仕事をしている大手通信系企業の関連会社から『富士ソフトさんがいないと困ります』といわれるような立ち位置を確立しました。ホテルの担当者の方にも名前を覚えていただき、会社の技術力を評価していただくことができました」 

その結果、1案件でスタートしたプロジェクトを7案件にまで拡大させた。 

山嶋 「スタート当初は私を含め3名で参画していましたが、今では当社から20名ほどのメンバーが入っています。また、お客様に満足していただくことができ、信頼関係も構築できたことで、その後ドローンやテレビ電話などの案件につなげることができました」 

山嶋のこうした姿勢は社内でも評価され、2020年度の年間MVP賞を受賞した。

“お客様と一緒にいいものを作るのがゴール”という意識を胸に

プロジェクトリーダーとして活躍する山嶋は、お客様との関係構築を重視したプロジェクト運営を行っている。そんな山嶋には、お客様と関係性を築く上で意識していることがあるという。 

山嶋 「開発の途中でお客様から仕様変更の希望があると、技術者は手間が増えるので、あまりいい顔をしません。時には『契約外だからできません』とお断りすることも少なくないんです。現実的に難しい要望もありましたが、技術的にできないことを説明するだけでなく、『では、こういう機能があったらどうですか?』、『これなら簡単にできて、お客様にも喜んでもらえるかもしれません』といった形で、わかりやすく具体的に提案することを心掛けました」 

山嶋がこうした考えに至るきっかけとなったのは、FSKARENのスマートフォン用アプリの開発での経験だ。 

山嶋 「FSKARENが搭載されたスマートフォンが発売された時、Twitterなどでいわゆるエゴサーチをしました。その時に、『すごく使いやすい』という嬉しい声もあったのですが、一部では厳しいご意見もありました。確かに、自分でも『こうしたほうがより良くなるよな』と思うことがあったのですが、当時はあまり積極的に発言していませんでした。しかし、こうしたことが何回か重なり、自分がいいと思うものはしっかりと提案していき、より良い機能を提供したいと考えるようになったんです」 

そんな山嶋は若手社員に向けて、これからは技術力だけでなく、提案力でも評価される人材が育って欲しいという想いを持っている。 

山嶋 「技術力では、私より優れた社員が他にたくさんいます。でも、お客様との関係性の構築や提案力の部分ではできることがたくさんあると自負しています。若手社員に主任として活躍する私の背中を見せたいですね。
私と同じように提案を主体とした動きをして、それが評価される若手が出てきてくれると嬉しいですし、お客さんによりいいものを提案して一緒に作っていけるチームができたら幸せです」 

お客様と一緒にいいものを作るために、山嶋は自身の強みである提案力や交渉力を活かし奮闘を続けていく。