柔軟な体制作りができる仕組みを活かし、お客様の負荷を減らしていく

中村が所属する西日本支社 第2システム部 第2技術グループの主な業務は、医療機器のシステム開発。担当する薬局機器のソフトウエア開発や保守業務で、プロジェクト開始時から売上500%成長という目覚ましい成績を上げている。

プロジェクトリーダーである中村の仕事は、メンバーの進捗管理や成果物などのレビューはもちろん、既存機種の新機能開発・機能改善・不具合対応など多岐にわたる。

中村 「売上500%を達成したお客様のプロジェクトは、当初5名で担当していました。私ひとりがお客様先に常駐して、他4名は自社作業でした。そこから積極的にお客様に提案して受注を拡大していき、現在は24名体制で担当するまでになっています。拡大に向けて注力した点は『お客様の負荷を下げる』ことでした」

このプロジェクトは流行によってプラットフォームが異なるため、非常に複雑なケースが多い。また、製品知識や専門用語を覚える必要もあり、依頼された通りに作業する「受け身の開発」が多かったという。

しかし、お客様も自社製品の新規開発で手一杯。既存機種の運用や保守まで手が回らないお客様の負荷を、「なんとかしたい」と考えたと中村は語る。

中村 「常駐しているメリットを活かして、お客様の代わりという立ち位置でプロジェクトに入り込み、エンドユーザーの『もっとこういうシステムが欲しい』や『もっとこういう風にならないか』という具体的な要望や悩みを吸い上げていきました。そして、お客様にとって『何が必要なのか』を常に念頭に置き、チーム内で勉強会やノウハウの共有を行ったのです」

中村は技術力や知識を底上げして、『一気通貫で開発する』ことをコンセプトにプロジェクトを推進してきたと言う。

中村 「また、お客様から『このシステムも見てほしい』とご要望が出たとき、『できません』と返答するのではなく、社内の体制を作り替えるなどして『どうしたらご期待に応えられるか』を柔軟に考えるようにしてきました」

一気通貫で開発できる当社の技術力や成果が評価され、徐々に信用を積み重ねていく中で、他社が担当する機器も巻き取ることができ、受注を拡大していった。お客様のさまざまな要望に対応できた背景には、富士ソフトの柔軟な体制が関係している、と中村は語る。

中村 「富士ソフトには、進行しているプロジェクトで人材や知識が不足した場合、ほかのプロジェクトから応援に来てもらったり、上司が他の部署から人を集めてくれたりするような仕組みがあります。あらゆる分野に特化した人がいるからこそ実現できることかもしれません。『こんなのムリじゃない?』と感じるような案件でも、横のつながりで助け合ったり、会社の臨機応変な対応に支えられたりして課題を解決できているので、案件を完遂できたときは非常にやりがいを感じています」

プログラマーにとって、知識以上に大事なのはコミュニケーション能力

文系出身の中村は、入社説明会で「文系出身でも活躍している人は沢山います」といわれたことをきっかけに、プログラミングの知識がないまま技術者として入社を決めたという。

もちろん最初は経験者に後れを取り、大変な思いもした。しかし、先輩の仕事を見ているうちに、プログラマーにとってプログラミングの知識よりも重要なスキルの存在に気がついたのだ。

中村 「プログラミングの知識があるに越したことはないので、研修中に基本情報の資格の勉強をしました。しかし、プログラミングのスキル以上に『コミュニケーション能力の高さ』や『説明力』が重要だと感じました。なぜなら、どんなに良いものができあがったとしても、コミュニケーション能力が低いと、お客様に設計や仕様の良さをわかってもらえないからです」

中村は、2008年に入社してから約2年間は、大阪の事業所で携帯電話のアプリやタッチパネルの開発などに従事していた。

中村 「当時はテスト設計がメインの仕事でした。作ったプログラムをお客様に説明をするとき、納得してもらえるように上手くかみ砕いて説明する上司の姿を見て、まねをしながら学んでいきました。また、自分でテスト設計を作った経験は、現在、開発の際にテスト設計レビューをする場面でも活かされていると感じます。過去にお客様から指摘された内容が、レビューする立場になってみるとよくわかるのです」

その後、開発設計やプログラミングをやりたいと思うようになり、タイミング良く募集がかかっていた九州の拠点に異動願を出したという。そこでは、半導体の製造装置開発に携わった。

中村 「アプリ開発と半導体開発は、どちらも『作ったものが動いている』という意味では同じです。ただし、半導体は装置が動いた後に出るログから『あぁ、できてる』と判断できるのに対し、アプリは作ったものが実際に動くかどうか自分の目で確認できます。半導体開発を手掛けてみて、はじめて過去に携わっていたアプリ開発のおもしろさを感じました」

2014年に関西支社へ異動して、工場の環境に対応した特殊なコンピュータであるシーケンサの開発に従事したのち、中村は西日本支社へ異動。ひとつ前のプロジェクトで医療系の業務に携わっていたこともあり、当時のプロジェクトリーダーに誘われ、現在の医療系システム開発のプロジェクトに参画するに至った。

失敗から学んだ「周りを頼る」こと、そして助けてくれる社風

九州事業所で半導体の事業に携わっていた際の失敗経験が、今の中村の仕事観を作り上げているという。それは「困ったときには、声をあげる」ということだ。

中村 「私が設計して実装したプログラムで問題が発覚し、半導体の製造装置を一時ストップしなければいけなくなった経験があるのです。当然のことながら、ストップした分だけ生産量が下がり、大きな迷惑をかけてしまいました。その当時の先輩や上司に『もっと周りに頼る癖をつけろ、自分ひとりでやっているプロジェクトじゃないんだから』、『声をあげないと、周りの人間も気がつくことができない』と口酸っぱく注意されたことが今でも鮮明に記憶に残っています」

自分が作った設計プログラムのテスト段階で不安があるならば周囲に頼って確認してもらう、時間が足りないならメンバーを追加してもらうなど、「声をあげて助けてもらうこと」が非常に大切だと気づかされたという。

もちろんこの経験は、現在のプロジェクトでも活かされている。自分のチームで対応しきれない要望があがって来たとき、中村はすぐに声をあげるという。上司もそれに応え、応援メンバーを配置してくれるなど、良好な関係が築けているのだ。

同じく「コミュニケーションの大切さ」という点から、現在のプロジェクトで気をつけていることがある、と中村は語る。

中村 「私はお客様先に常駐してシステム開発をしているので、トラブルが起こった際にトラブルの大きさや、お客様の温度感を肌で感じることができます。でも、ほかのメンバーはその場所にいないので、緊急性の度合いがわかりにくいのです。そのため、起こってしまった事象だけではなく、その背景までもきっちりと伝えるようにしています。

現場にいないから、知らなくても良いという問題ではありません。詳細をしっかりと伝えると『それは、やばそうだ』といった、現場の温度感が伝わりやすくなります。結局は、いかに人を動かすかという部分につながっていくのですが、チームとして仕事をする上でコミュニケーションは重要な部分ではないでしょうか」

2021年現在、24名体制で動いている中村のチームは、ひとりですべてを見ることが難しいほど規模が大きくなっている。しかし、信頼できる仲間に任せる範囲を増やしていき、コミュニケーションを大切にしながら業務にあたっているのだ。

自動化できるシステムを作って、医療現場の負担を減らしていきたい

医療系システムの開発に携わっている中村が、今後の目標としていることは「医療現場の負担軽減」だという。

中村 「医療の現場では、薬剤師などの有資格者とそうでない人とでできる作業がくっきりと分かれるので、どうしても有資格者に作業負担が偏りがちになってしまいます。その負担感は思った以上に重いのです。現場にいると、その負担の偏りを軽減できるような自動化が早急に求められているのを感じます。自動化できるシステムによって、有資格者にしかできない作業を少しでも減らすことが理想ではないでしょうか」

中村は、自動化できるようなシステム開発を進めることが、新型コロナウイルスの感染拡大で疲弊した医療現場にとっても役立つのではないかと考えている。また、クラウドやアプリを使った現場の負担軽減にも興味があるという。

中村 「現在のしくみでは、開発に使っているモジュールやプログラムを現地でシステムのバージョンアップをしています。だから、全国を対象に販売しているような医療機器メーカーの場合、アップデートがあるたびに全国行脚しなければいけないケースも多いのです。これをクラウド化したり、アプリ化してダウンロードができるようにしたりすると、現地へ行かなくても良くなるので非常に利便性が上がります。手軽にアップデートができるようになり、使う側も運用側も負担が減るのではないでしょうか」

お客様の負荷を軽減し、ベストに寄り添うことを常に考える中村。「できない」を「どうやったらできるか」という発想に変えていく。それはもちろん、中村本人の性格に由来する部分もあるが、富士ソフトという会社の社風も大きく影響しているのだ。

中村 「富士ソフトは、現場で臨機応変に行動することを認めている会社だと日々感じます。『こうあるべき』のような縛りがないのが良いところです。機転の利きやすさや、横のつながりで助け合っていく柔軟なしくみがあるからこそ、社員が挑戦できるのかもしれません」

さまざまな問題に直面したとき、諦めずに挑戦できるような社風が富士ソフトの魅力のひとつ。今後も「よりお客様のために」をキーワードに、中村の挑戦は続いていく。