顧客との関係を構築する喜びを知った銀行員、第二新卒で再び上京する

福井から上京し大学に進学した黒田 夏子は、文学部で日本史を専攻しました。4年間、自分の好きなことに没頭できたという黒田ですが、就職活動が始まると、それまでの経験を生かせないことを前提として仕事を探します。

黒田 「文学部での経験を生かせる仕事は、教員か学芸員しかありませんでした。ただ教員には興味が持てず、学芸員や図書館司書は資格こそとりましたが、それらは経験を積まないと進むのが困難な、狭き門なんですよ。そこで一般企業を受けることにしました。

就職活動は東京と福井の二軸で行っていましたが、特に業界は絞っていませんでした。判断軸としていたのは、東京なら楽しそうな業界であること。福井なら名の知れた企業であること。そのほうが親孝行にもなるし、自分の中でも大企業に入ることが就活の成功だと思っていました」

黒田は出版社、エンタメ、警視庁、地元の有力企業など、さまざまな業界を受け、最終的には福井銀行に入行します。

黒田 「銀行では、預金・出納・リテール営業など、ジョブローテーションでさまざまな業務を経験しました。特に長く従事していたのは住宅ローンで、個人や住宅メーカーから融資の相談を受けていました。

これが楽しくて、やりがいを感じていました。というのも、住宅ローンを組んでもらうと、その返済は毎月の支出の中で最も高い額になります。なので、大体の場合、給与受け取り口座もうちの銀行にしてくれます。するとメインバンクになるので、他に保険などを申し込んでいただけることもあるんです。お客様との関係性を一から構築できることに喜びを感じていました」

充実した日々を過ごす中、転職を考え始めたのは入行してから4年後のこと。

黒田 「このまま福井にいるとしたら、数年後に結婚して、子どもを産んで、育てて……、というように、これからの人生が容易に想像できたんです。なんだかワクワクしないな、と思って。『本当にそれでいいのか?』と自問したときに、東京に対する未練に気が付いたんです。

当時26歳でしたが、今ならまだ第二新卒として全く別の分野でも受け入れてもらえると考えました。それに、好き勝手やるならチャンスは今しかないと思い、転職に踏み切りました」

転職活動にあたってエージェントに提示した条件は、「第二新卒で私を採ってくれる東京の会社であればどこでもいい」というもの。黒田は業種や職種にはこだわらず、ピックアップされた企業を調べて、良さそうだと感じたところに片っ端から応募し始めました。

カスタマーサクセスが天職だと気が付いた

▲カスタマーサクセスチームでの会議。黒田は手前。

就職活動を開始して3ヶ月。東京にあるマーケティングツールを販売する企業から内定の連絡を受けました。

黒田 「海外のマーケティングツールの販売代理店に、新規事業立ち上げのセールスとして採用されました。しかし事業はまだ立ち上げフェーズで、日本に初めて導入されたサービスだったこともあり、1から全てを経験しました。

なかなかハードな毎日でしたが、マーケティングから新規営業、契約更新と一連のフローを担当できたことで、Webサービスを販売することのいろはが理解できました」

事業が育っていくと、黒田は自分の業務をカスタマーサクセスのオンボーディング(使い方のレクチャーなど、導入支援)に特化する決断をします。

黒田 「まず営業を経験してみたところで、これは向いていないなと思いました。直感で、買っても意味がないと思った人に対して、売るのを躊躇っていたんです。

一方で、サービスのフォロー体制には興味がありました。もちろん一つ一つが個別の案件ではありますが、業務を効率化しやすく、自分に合っているなと感じていました。というのも、私は色々なものを抽象化して、効率化するのが好きなんです。銀行員時代もあらゆる作業のマニュアルを作成し、ノートにまとめていました」

カスタマーサクセスに特化して着々と力をつけていった黒田ですが、その内心にモヤモヤした気持ちが芽生えてきます。

黒田 「2年弱働きましたが、途中から、自社で開発部隊を抱えていないと大変だな、と思うようになりました。というのも、既に使っていただいているお客様からカスタマーサクセスへのフィードバックは『なんかここ使いづらい』ってものが多いんです。もちろん私も、お客様にはストレスなくサービスを使って欲しい。

しかし、その意見を海外の本社にフィードバックしても、細かい機能の変更より、プロダクトの大規模なアップデートの方を優先されることが多くて……。私としては、お客様の生の声を聞いているぶん、改善が後回しにされる状況に葛藤を抱えていました」

そんな時、転職サイト経由でfreeeからのスカウトが届きます。黒田は仕事に区切りが着いたタイミングで転職を決意し、面接に臨むことにしました。

黒田 「freeeは条件的にもぴったりでした。続けてカスタマーサクセスに携わることができる上に、自社プロダクトもあります。ロゴが可愛いことも個人的なモチベーションになっています」

こうして2019年11月、黒田はfreeeに入社し、大規模企業向けのカスタマーサクセスチームに配属されました。

黒田 「入社後の1ヶ月間で会計知識と『freee会計』や『freee人事労務』といったプロダクトの使い方を吸収していきました。ちょうどfreeeも新しく入って来た人向けの教育コンテンツを考えていて、問題集をくれたり、過去案件を共有してくれたり、付きっきりで壁打ちしてくれたりと、充実した研修でした。

研修期間の途中からは先輩社員に同行してもらいながら、プロダクトを導入いただいたお客様のオンボーディング(有償導入支援)業務を開始しました」

人事労務領域で必要とされる存在になる!

▲社内で発表した時のもの。黒田は右。

入社から3ヶ月経った頃、コロナ禍によるリモートワークが始まり、オンラインでのカスタマーサクセス業務が始まりました。

黒田 「お客様とのコンタクトはオンラインになりましたが、お客様の課題に対して真摯に向き合うという点で、特にやることは変わりません。ヒアリングを行って、どういう作業をどんなタイミングでやりたいのか全て洗い出し、別の課題が眠っていないか考えた上で、『freee会計』と『freee人事労務』の最適な使い方を提示していました。

もちろん私一人では答えが出せないときもあるので、大企業で経理をやっていた同期や会計士の資格を持っている社員に頼りました。なんでも気軽に聞きやすい環境がfreeeにはありますね」

さらに半年後、社内の体制が変わり、黒田の業務は『freee人事労務』に特化することになります。

黒田 「以前は、担当するお客様の従業員の規模によってチームが分かれていたんですが、それを担当プロダクトごとに再編成することになりました。

『freee会計』ではなく『freee人事労務』を希望したのは、会計を極めるのには時間がかかりそうだし、会計士を超えることはできないなと感じたからです。それにfreeeには会計領域が好きな人、得意な人が既にたくさんいるので。

一方で、人事労務領域であれば、頑張り次第で社内で必要とされる存在になれるかもしれないと考えました」

さらにチームはオンボーディング(有償導入支援)を利用するお客様を支援する部隊と、利用しないお客様を支援する(セルフサクセス)部隊に分かれ、黒田は後者を選びました。

黒田 「導入支援にはお金がかかるんで、小さい規模の会社では希望しない方もいます。以前はその人たちを支援する部隊がなかったのですが、会社として注力していくことになり、形になりました。

私の業務は、そういったお客様がセルフサクセスできるように、ガイドブックを作成したり、セミナーを開催したり、さまざまなコンテンツを準備することです。得意なマニュアル化、標準化に関しては、チームで知見を出し合いながら実施しました」

さらにチームは、データドリブンな解析を利用することでお客様の解像度を上げることに挑戦しました。

黒田 「それまでは、セルフサクセスを目指すお客様が達成できたのか、できなかったのかは、課金を継続しているかどうかという結果しか見られなかったんです。詳細を知りたければ、電話するしかありませんでした。

そこで、エンジニアに協力してもらい、細かいデータを取れるようにしました。ステージ指標を持たせることで、お客様がどこで躓いているのか、状況をリアルタイムで追えるようになり、打てる施策も変わっていきました」

本当の意味で『マジ価値を届けきること』

▲趣味の生け花

セルフサクセスチームは実績をあげ、2021年7月、常設の部署となりその規模を拡大しました。

黒田 「サクセスに導けていなかったお客様が何を考えてるのか、知って向き合おうとし続けた結果だと思います。

freeeは自らを『マジ価値(=ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えること)を届けきる集団』であるとコミットメントしています。さまざまな規模のお客様がいる中で、全員が自分たちにあった使い方をできることが、本当の意味で『価値を届けきること』だと思うので、責任感を持って挑戦していきます」

入社からこれまで、業務の内容は変われど、一貫してカスタマーサクセスに力を注いできた黒田。freeeへの転職と、『freee人事労務』への業務の特化は正解だったと言います。

黒田 「徐々にですが、やりたいことがやれているなと感じるんです。

社内SNSでセールス担当者に向けた人事労務の質問部屋を運営するなど、今までの知見が社内で生かせるようにもなってきました。

また、ある日、馴染みのない会議にアサインされたことがあって、メンバーを見るとほとんどがエンジニアの方でした。私に求められたのは、お客様からの意見を伝えることで、フィードバックしながら、『転職した理由これじゃん!』って気がつきました。

それからはエンジニアのスクラムに週1回参加し、お客様からの生の声を届けることで、機能開発の初期段階に関わっています。freeeのあらゆる部署が課題を共有し、プロダクトをより良くしていこうと団結している姿勢がとても好きなんです」

黒田はfreeeでの業務や自身のこれまでを振り返り、地方出身者として、都会と地方のギャップを考えることも大切だと言います。

黒田 「都会のIT業界で働いてる人たちは、紙がないことや、業務の効率化を当たり前のように捉えていますが、まだまだ地方の中小企業などでは一般的ではありません。紙がないと不安だったり、慣れ親しんだやり方を変えることに抵抗があったり。

私も元銀行員として、手元に紙がある安心感とかは、わからなくもないんですよ。だからお客様の気持ちに寄り添いながら、ちょっとずつでも変えていこうというスタンスを忘れたらダメだなと思っています。

とはいえ、そういった方々もウェブミーティングの時に画面共有のやり方を伝えると、すぐに使いこなしてしまいます。そんな少しのきっかけでも、ITツールやクラウドにいい印象を持ってもらえるようにしたいですね。それが別のサービスを使うときにも生かされて、結果的に事業のサクセスに繋がればいいなと思います」

そんな黒田が、これからの目標を語ります。

黒田 「まずは、今携わっている『freee人事労務』を最高の労務プロダクトにするために貢献したいです。ユーザーの声をしっかりフィードバックすることで、セルフサクセスを目指して直感で使うユーザーが、ストレスなく使えるプロダクトになればいいなと思います。

『freee人事労務』を使って仕事が楽になった、使っていて本当に良かった、と言ってくれるファンを一人ずつでも増やしていくことが、freeeのミッションである『スモールビジネスを、世界の主役に。』にも繋がってくると思います。

個人的なこととしては、型化できるものをどんどん作成し、新しい価値を見出すことに思考を使いたいですね」

最高のプロダクトをつくることで、事業の成功に貢献する──
一人ひとりの「カスタマーがサクセスすること」を目指して、黒田の挑戦は続きます。