ロボット、デザイン、スクール講師。多方面から力を磨く

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子どものころからロボットが好きだった村泉は、大学でロボット工学を専攻。設計や製造を研究し、コンテストにも出場するも「ロボットは故障率が高い」という壁にぶつかります。

村泉 「故障しない設計にするには、重要部にカバーを取り付けたい。でも見た目のカッコよさも崩したくない──そんな葛藤からデザインに興味を持ち、本格的にインダストリアルデザインを学ぶために大学を中退して専門学校に通うことにしたんです」

専門学校では、主に工業デザインについて学びました。卒業制作では、電動歩行補助器を考えデザインし優秀賞をいただきました。また、特許を使用してデザインを提案するなど、おもしろい経験もできました。「この世界にあるモノは誰かが考えたもの」当たり前だが大切なことに初めて気づき、モノを観察する癖ができました。

専門学校を卒業後は、デザイン事務所に就職し、プランナーとして企画や試作を担当しました。

村泉 「某有名鉄道玩具の商品企画にも携わったことがありました。玩具のデザインは、魅力的であると同時に機能的でないといけない。たとえば簡単に作成が可能であったり、転用できたりするなど考慮しないといけないことがたくさんありました。

また大量生産をする場合の条件として、玩具に基盤や磁石などを使用すると生産コストが高くなるので、なるべくアナログでやる必要がありました。それらと機能的な条件をクリアーしつつ、魅力的であるという絶妙なバランスを考えてデザインする。非常に難しかったですが、やりがいを感じて仕事に取り組んでいました」

プランナーとして経験を重ねること3年。仕事にやりがいを感じつつも、今後の自身の仕事の需要と長期的なキャリアを考えた結果、村泉は新たな領域にチャレンジをしようとキャリアチェンジを決意します。

村泉 「1社目を退職をしたあとは、職業訓練校に通い、学生時代にも触れていたプログラミングに再び挑戦しました。すると、職業訓練校を運営していた企業様から『一緒に働かないか』とスカウトされたのです。それでSEとして働きはじめました。

しばらくしたら、お客様に『うちに転職しておいでよ』とお誘いいただきました。その会社に転職して技術ブログを書いていたところ、今度は外部の方から『副業でプログラミングスクールの講師をしてみない?』と誘われて。不思議と、あれよあれよと流れるようにキャリアの道がどんどん拓いていきました(笑)。

フレクトに転職したのも、そうしたご縁の結果だったのです。SEとして仕事をしながら、週末は講師をするというダブルワークを続けていたときに、エージェントさんから『フレクトという会社があるんですが』と声をかけていただきました」

周囲に求められるがままに、スキルを身につけ、期待に応えて続けてきた村泉。フレクトの入社を選んだ理由のひとつに、面接での印象的な出来事がありました。

村泉 「最終面接で、フレクトの管理職の方とお話をした際に、最新の技術の話で盛り上がりました。IT業界って、役職が上がるにつれて技術離れをするイメージがあったのですが、役職が上がっても、技術力をキャップアップしているんだという、いい意味のギャップを感じました。この会社であれば魅力的なキャリアが築けると思いました」

どんなプロジェクトにも躊躇しない。持ち前のポジティブ思考で挑戦を楽しむ

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▲バーチャルタレントであるloveちゃんのBirthday Event 「らぶちゃきんぐだむ2022」に友達と参加したときの写真です

こうして村泉は、2021年4月にフレクトに入社。最初に担当したのは、車両の自動運転技術のプロジェクトでした。

村泉 「地形を3Dで読み込んで、それを自動運転の管制システムと連携させ、車両を動かしていくというプロジェクトでした。私は開発とテストを手掛けました。自動運転の分野には前々から興味があって、フレクトに入社するときに、自分もどこかで携われたらいいなと思っていたので、さっそく担当できたのはうれしかったです」

次に担当したのは、大手通信会社様の社内向けシステムで新型コロナワクチンの職域接種に関する予約管理システム開発を担当しました。

村泉 「メインの開発としては、お客様がもともとExcelで管理していたデータを、社外の予約システムと連携しつつ、Salesforceで一元管理し運用できるように整えるといった内容です。

データの紐付け、クリーニングなどをしていくのですが、社員数が多い分、扱うデータの量も膨大。『実施』『未実施』を把握しながら、接種間隔も踏まえて2回分を管理するため、システム内容も複雑で非常に苦労しました」

お客様とコミュニケーションを取りながら、課題を見つけては改善をしていく日々。厳しい条件の中ではあったものの、村泉は、たった3週間という短納期での納品を実現します。その背景には、学生時代や前職で培ったデザイン思考(お客様の視点に立ち、課題の本質を発見し、課題を解決する思考)を学んだ経験がありました。

村泉 「こういうと語弊があるかもしれませんが、私はトラブルが起こると元気になるタイプ(笑)。目の前の問題を試行錯誤して、解決していくのが好きなんです。というのも、トラブルが起きるというのは課題を解決できる、もっと良くできる余地があるということ。

大学時代のロボット開発や、前職のおもちゃの企画でも、自分のアイデアで製品をもっと良くする、面倒だったことを解消する、という経験はたくさん積んでいました。なので、大量のデータを短期間で整えるというハードな状況も楽しめていたと思います」

強みを活かして短納期開発を実現。「フレクトアワード」グランプリを受賞

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こうした取り組みの結果、職域接種のシステムをともに開発したお客様は「社員の健康・安全を守るツールを素早く構築した」との評価を受け、お客様内での業務改善プロジェクトとして全社表彰されるモデルケースとなったとのこと。

そして、村泉自身も、超短期間のプロジェクトながら、プロジェクトを成功させて、お客様の業務改善に大きく貢献したことを評価され、2021年度の期待を超える貢献・活躍した社員に贈られる「フレクトアワード」のグランプリ(大賞)を受賞しました。

村泉 「フレクトアワードのグランプリ受賞を知ったときは、本当に驚きましたね。もともと設計いただいていた基盤のシステムがあったからこその成果だとは思いますが、振り返ると、自分のふたつの強みを発揮できたプロジェクトだったと思います。

ひとつは、コミュニケーション力。先方とコミュニケーションを取る中で、良いことも悪いことも言っていただけるような関係性を築くよう、常に心がけてきたことです。そのような信頼関係を積み上げたことプロジェクトを進める上でも、非常に役に立ったと感じています。

もうひとつは、大量のデータを処理する力。前職で銀行のシステムを開発したことがあるのですが、その際、大量のデータをシステムに移行し処理する作業を経験しました。本プロジェクトでも、数千件以上のデータを毎週扱ったのですが、前職での経験のおかげで膨大な作業に慣れていたおかげで、スムーズに対応することができました」

周囲が功績を認め、評価していく環境。村泉は喜びを噛み締めました。

村泉 「フレクトアワードのグランプリを受賞してトロフィーをもらったので、友達にめちゃくちゃ自慢しましたね。またお祝いにAmazonギフト券をもらえたので、大きい冷蔵庫も買いました(笑)」

2023年1月現在、村泉は大手セキュリティ会社様のプロジェクトをチームリーダーを担当。セキュリティサービスをユーザー様が注文する際の窓口となるポータルサイトを開発しています。

村泉 「このプロジェクトでいま自身が課題だと感じているのは、チームのなかでのエンジニアへの信頼感をもっと高めていきたいということ。私もプログラミング講師時代、最初は誰からも信頼を得られず苦労した経験があります。それを打開するために、とにかくコードが書けることを知ってもらい、言われたこと+αの仕事をするように心掛けていました。

相手の期待を上回ることで信頼を寄せてもらえますし、すると自分の意見を聞いてもらえるようになる。今回のプロジェクトのチームビルディングにおいてもその点を意識しています。

エンジニアでもデザイナーでも、大事なのは自分が何をできるのかを周りに証明すること。自分ができることを明確に持っている人は、それを相手に語れるはずですよね。

そうやってコミュニケーションを取ると、徐々に信頼関係を構築できる。相手の気持ちを汲み取りながら『私はあなたの味方です。あなたの力になれます』ということをうまく伝えて問題を解決する──コミュニケーションにもデザイン思考を活かして、チームをより良くしていきたいですね」

「正直さ」と「コミュニケーション」の両輪で信頼関係を積み上げていく

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村泉は、エンジニアがお客様から信頼されるために大切なことは、「正直さ」と「コミュニケーション」であると考えています。

村泉 「正直さというのは、なにかを提案するときにきちんと裏付けを持つことだと思ってます。たとえば、資料を提示しながら説明すると、お客様は信頼を寄せてくれるもの。また、調べてもわからないときに『できません』と明言するのも、大切な正直さです。要はウソをつかないこと。

ただし、できないことをできないと言ったままだと、信頼を得ることは難しい。だから『できません』と否定をしたら、同時に提案をセットで行うことが、信頼を得るポイントだと思っています。

また、コミュニケーションについては、とくにお客様の意向を知る上で不可欠です。我々SIerのエンジニアは、自分たちが開発したシステムを自分で使うわけではありません。だからこそ開発者の独りよがりで作るのではなく、ユーザー視点に立ち、しっかりとお客様と意思疎通をとることが大切です」

コミュニケーションを大切にする村泉は、相手視点に立ってやりとりを重ねることも大切にしています。

村泉 「技術力があるエンジニアの場合、自分には技術があるからいいやと、コミュニケーションをないがしろにしてしまうケースも多い気がします。

でも、技術力とコミュニケーション力は、両立したほうがいい。コミュニケーションが苦手だと思っている人でも、なにかしらの自分に合った方法はあると思うので、模索するといいのではないでしょうか。たとえば、しゃべることだけが、コミュニケーションではないですからね」

そんな村泉が描く、今後のキャリアビジョンとは。

村泉 「ひとつは、理想のチーム作りに取り組みたいという目標があります。昨今はアジャイルがトレンドではありますが、“なんちゃってアジャイル開発”が溢れていないか、疑問を感じることがあるんです。正しいアジャイルとは、行き当たりばったりではなく、テストファーストを基本にした開発プロセスであるべき。個人的には、テストの仕様書=お客様の要望する仕様書であると、開発プロセスとして美しいと思っています。

それを実現するために、チームメンバーの能力が十分に発揮できるチームにもしたい。たとえば、『エンジニアの手が空いているから、仕事を依頼しなくては!』という考え方って、本質的ではないと思うんです。

プロジェクトがきれいに進んでいるのであれば、多少手が空く時間があっても問題ない。私たちが目指すのは、人に仕事をさせることではなく、お客様の期待を満たすシステムを開発をすることなので、本来の目的を正しく達成できるチームを作りたいと思っています」

そして、もうひとつ。エンジニアがデザインを学ぶことも必要だと続ける村泉。

村泉 「特にUIやUXを学んでおくのは大事だと思いますね。たとえばゲームのUIって、プレーヤーがクリックしたときの動線とか、感覚的に操作できるようにものすごく考え抜かれているのですが、webデザインでそれと同レベルのものってなかなかないと思ってます。他のことが優先されて、結構デザインがおざなりにされることが多いんですよね。

そうしたユーザー視点に立ったデザインができるエンジニアが社内に増えることで、より幅広い開発ができるチームになれるはず。勉強会の開催など、デザイン経験のある私ができることで周囲に貢献していきたいですね」

エンジニア、デザイン、そしてコミュニケーション。多方向のマインドとスキルを武器に、村泉はフレクトという舞台で輝きを放ち続けていきます。