リモート化が進む世の中で必要とされる技術の研究開発

フレクト初のR&D(Research and Development)部門であるCI事業部 研究開発室。フレクトの事業領域に関する研究や新技術の開発を行っています。立ち上げの2020年から掲げている研究テーマは「リモートコミュニケーション」と「業務の自動化、効率化(AI, Operations Research)」です。

岡田 「『リモートコミュニケーション』は仕事でもプライベートでも、多くの人にとって身近なものになりました。オンラインで会議をしたり、飲み会をしたり。

そういった場面で使えるツールは増えていますが、やはりその場にいないとできないことや、ちょっとした不安感や違和感を覚えてしまうようなことがまだまだ存在しています。リモートでなにかをやるときの障壁を、AR(拡張現実)やAIを使って乗り越えたいと考えています。端的にいえば、リモートコミュニケーションをよりよく活用するための研究を行っています」

例えば、複数の工場を持つ製造業の会社で、機材点検を効率化するために、リモートコミュニケーションを導入したとします。従来は専任の担当者が各工場を訪問して点検を行っていたのを、担当者が各工場のスタッフへリモートで指示を出しながら、代わりに点検や修理を行ってもらうのです。

岡田 「リモートで指示を出しながら、その場にいないと共有が難しいことを、拡張現実によりその人の視界にオーバーラップで表示できれば、専門外の人でも点検や修理ができるのではないか。これはリモートコミュニケーションにおける一つの例ですが、「こういった状況下において必要となるであろう」と仮説を立てることは研究の考え方のひとつです。このような技術の研究を、研究開発室が担っています」

そんな研究開発室がミッションとして掲げているのが、「会社のビジネスの核になるような技術の開発」。この目的を達成するための手段として、室長である岡田が重視しているのは、メンバーがチーム一丸となれる環境づくりです。

岡田 「2020年に研究開発室を立ち上げてから、環境づくりのために重視してきたのが、業務の方法やその評価の仕方を考えること、また機材などのインフラの整備です。特に、評価の仕方は重要です。研究開発はお客様から直接評価を受けることがないので、各メンバーがどういう研究をしてどういう成果を出したのか、フェアに評価しないといけないと考えています」

立ち上げから間もない研究開発室。若手が集まっている組織の中で、岡田はこれまでの経験を活かし、研究の推進、組織の強化を行っています。

研究開発の道へいざなった、衝撃的な“おもしろさ”

▲学生時代から音楽が好きで、社会人になってからもサックスにチャレンジしたりしました。

大学時代はコンピューターサイエンスを学び、現在に至るまで研究開発の道を歩んできた岡田。そのきっかけは、幼少時代にありました。

岡田 「コンピューターサイエンスに興味を持ったきっかけは、子どものころにゲームが好きだったことです。将来はコンピューターを使っておもしろいことがしたいと思っていました」

漠然としたそんな思いを抱えながら、高校卒業後の進路を決める時期を迎えた岡田。実は大学では文系学部に進学を考えていました。しかし、願書提出直前に、考えが変わる出来事が起こります。

岡田 「願書を送る直前、インターネット配信されていた音楽家の坂本龍一のコンサートを見て考えが変わりました。そのコンサートでは、イベントを盛り上げるため、視聴者がPCのキーボードの“f”ボタンを押すとステージのスクリーンにfの文字が現れるという仕組みがあり、それがすごくかっこよかったです。

コメントを動画内に表示する仕組みは今でこそ当たり前ですが、その当時はインターネットってこんなにおもしろい技術なのだと、衝撃でした。そのまま、情報系学部にも願書を出そうと決意しました。この体験こそがのちのキャリアに関わるきっかけでした」

その後情報系学部に進み、卒業後は大手企業に入社して、研究所に所属した岡田。そこで経験した研究開発の環境が、現在の研究開発室の環境づくりにつながっています。

岡田 「前職では、世界最先端のシステムの研究開発に従事していました。そこでは、世界と戦うというのが普通で、新しいアイデアはすぐに試せて、良い性能であれば世の中に出すことができ、論文や特許も比較的生まれやすいという恵まれた研究環境でした。

また、技術を蓄積して伝承する重要性も経験しました。前職の職場では、数年間は先輩に指導してもらいながら一緒に業務を進めたり、書類として技術を残したりという蓄積があり、だからこそ、世界最先端で戦える組織だったのだと思います」

技術の隙間を埋める楽しさと、未来につながる研究開発

フレクトに入社した当初は、お客様の要望に対して新たな技術を用いて改善を検討するという仕事に従事していた岡田。しかし、将来的な技術開発を見据え、2020年に研究開発室を立ち上げました。

岡田 「お客様の課題を受け止め、真摯に解決に取り組むことは重要です。しかし、それだけでは、将来発生するお客様のニーズや課題をすばやく解決することはできません。もっと大きな視点で、将来に渡って広く適用できる技術開発に取り組む必要があることを提案して、研究開発室が立ち上がりました」

研究開発を進めるにあたっては、基本的に活用できそうな技術があったらまずは実装して実験、そこからプロダクトとして使える形へブラッシュアップすることを繰り返しています。

岡田 「良さそうな技術でも、実際に試してみないと分からないことは多いです。だから、自分で一度実装してみて、何がわからないのか、何が課題なのかを考えます。そのほうが技術的な知識も深まります。そして、その技術に足りないものを見つけて、その部分を埋めることを繰り返していきます」

技術の不足部分を見つけ、そこを埋めることで、世の中に提供することができるようになる。そして世の中をより良くすることができる。そこに、研究開発の楽しさがあると岡田は考えています。また、そういった研究開発を行う組織があることは、企業の価値にもなります。

岡田 「世の中で伸びているベンチャー企業の多くは、技術を大切にする必要性に気づいていると思います。コンピューターの世界は変化が激しいので、新しい技術が出たとき、それに取り組めているかは企業価値の違いになると思います。セールス担当者が、『フレクトにはこんな技術がある』と、堂々と胸を張れる技術を提供できるよう精進していきたいです」

自らの手でつくり上げる環境、そしてその中で追求する新たな技術。どちらも試行錯誤を重ねながら形をつくっていく、言わば道半ばです。岡田はその過程を楽しみながら研究に勤しみます。

価値観は全力投球。研究開発を通じて世の中の幸せを増やしたい

▲メンバーとのオンラインMTGの様子です。

研究開発室の立ち上がりから一年。今後のビジョンを考えるなかで、岡田は「世の中を良くする技術を開発していきたい」という想いを大切にしています。

岡田 「私一人が世の中を良くする技術を開発していきたいと思っていても、きっと一人では成し遂げられないでしょう。だからこそ、研究開発室の室長として、チームとして成果が出せるような体制づくりをしていきたいです。そうすることで、社内のみんなから信頼される技術力を持つチームをつくり上げたいです。そして研究開発室からも発信をし、最終的には会社全体としてお客様から信頼される組織にしていきたいです」

世の中を良くしたいという岡田の想いの原点も、大学受験前の進路選びにも大きく影響した、音楽家・坂本龍一のコンサートを見た経験です。

岡田 「あのコンサートを見たことは、私の原体験です。ああいった楽しいことがひとつ増えると、その分世の中が良くなる。楽しいこと、かわいいこと、かっこいいこと、そういったポジティブな評価をできるものをどんどん世の中に出していければ、みんながハッピーになるし、世の中が良くなる。研究開発を通じて、幸せの総量を増やすイメージです」

そして、世の中を良くする技術を開発していくために、岡田が大切にしている姿勢が、常に全力で取り組むことです。

岡田 「何が幸せかは人それぞれ違いますが、まずは自分が良いと思うものを増やすことに全力で取り組むのが一番だと考えます。そうすると、自分が良いと思っていることを世の中に問うことができます。それが違うなら微調整して、次に自分が信じたものに全力で取り組んでいく。

だから、中途半端は良くありません。妥協したことに対して指摘されても、それは自覚していることだと思うので成長できません。全力ですべて出しきったうえで、完璧だと思ったものにフィードバックをもらったほうが新たな気づきを得ることができて成長できるし、価値があると思います」

常に全力投球の岡田が、研究開発室の室長として今後どのような研究環境をつくり、そこからどのような技術を世の中に届けていくのか。リモートコミュニケーションが必須になりつつある世の中においては、その取り組みが世の中に幸せを増やすきっかけとなるに違いありません。