フレクトの先端技術室が担う“実現”というミッション

研究開発や技術開発などと語られる“R&D(Research and Development)”の役割は企業によってさまざま。フレクトでの技術開発は、顧客が抱える課題感に合わせた技術の刷新や開発を指します。

佐藤率いる先端技術室は、先端技術を用いて企業の力となることを担う部署です。

佐藤 「いわゆる研究職というと、研究のみに没頭するイメージがあるかもしれません。フレクトの先端技術は、プリセールスのような立ち位置で業務を行っています。営業商談でお客様から提示された話題について意見交換を行い、技術的な理由で未解決の課題がある場合は実現の可能性を提示し、実行へ移すまでが仕事です」

SalesforceやAWSなどのクラウド開発を中心にビジネスを行っているフレクト。先端技術や難度の高い技術への知見が豊富という強みを生かして事業を遂行しています。

佐藤 「お客様と対話する話題の多くは、業界定番のソリューションでは素直に解決できません。予め商談に向けてお客様が抱えているであろう課題の予備調査を行い、実際の対話の中で課題感を深く掘り下げ解決できるものを見つけていく流れで、ソリューション開発・提供を行っています」

コロナ禍において、企業が抱える課題は「オンラインコミュニケーション」に関するケースであることが一段と増えました。フレクトでは社内で要素技術を先行調査して、企業ごとの要望や希望をヒアリングし、解決に向けた技術提案を行っています。

佐藤 「今、最も需要があるのはオンライン会議の内容を記録してサマリーにまとめる機能です。会議の内容をテキストベースにまとめることや、話題による画面の向こうの人の表情変化をインデックスしたいなどの要望が多いです。

要素技術としては1年以上前から存在していましたが、時代の変化に合わせて需要が高まり、現在実装に向けて動いている段階です。複雑な技術が複雑に噛み合う開発なので、一筋縄ではいかない点が面白いです」

5年後の自分が同じ選択をできるのか──その答えはだいたい“No”

自身のキャリアの歩みについて、能動的な選択ではないと佐藤は言います。ただし、選択を必要とする場面に直面したとき、佐藤はその決断を先延ばしにしたり、決めきることから逃げませんでした。学生時代から、佐藤は未来を見て自分自身のキャリアを選択してきました。

佐藤 「大学、そして大学院時代はDNA配列やタンパク質構造について研究しており、その過程でプログラミングを必要とする場面があったので必然的に学んでいました。専攻に沿って将来を考えるならば製薬・食品会社などの研究開発部署への就職が妥当ですが、IT業界にも魅力を感じており、この方向に進むことにしました」

その後、佐藤はスウェーデン・ストックホルムで大学客員研究員として働く生活を送るようになります。海外での慣れない生活に加え、同時に育児を行うというハードな日々が続きました。

ストックホルムでの生活で身についたのは「チャレンジ精神」と話す佐藤。

佐藤 「妻がもともと大学の科学者で、ストックホルムの大学の研究室に所属することになりました。僕が新卒で入社した会社は、勤続5年で1年間の留学休暇を得られる制度があり、それを使って妻と共にストックホルムへ。妻の研究室の教授の手助けもあり、私もストックホルムで大学の客員研究員として少しの生活費を稼ぐアルバイトをしていました。同時に、産まれたばかりの長男の子育てにも明け暮れていました。

受動的にキャリアを歩んできましたが、慣例に流されるより、自分の納得できる選択がしたいと考えました。なぜなら、大人の5年間はとても大きい。29歳のときにできたことが34歳でもできるかというと、その限りではないのです。先送りは嫌でした」

2007年の帰国後、すぐさま転職活動を行い新しい環境に飛び込む準備を開始します。長男に次いで授かった2人目の子どもを育てながらのハードな生活を、佐藤は「ジェットコースターのような日々だった」と振り返ります。

佐藤 「子育ての事情で2年間ほど休職しました。妻も仕事で大変な時期だったので、共に乗り越えていた時期です。2社目は妻の仕事の関係で選んだ仙台のSIerでしたが、より未来を見据えてクラウドサービスを提供する企業へ移ろうと考え、フレクトに入社しました」

常に変化を見据え、最新技術のその先へ歩みを続ける

▲セールスフォースワールドツアー東京2017ディベロッパーシアターでの講演

フレクトへ入社後、佐藤の最初の配属先はクラウドインテグレーション事業部。Salesforceをベースとしたクラウドソリューションの提供に従事しました。長年関心を抱いていたクラウドサービスの魅力を、働きながら実感したと言います。

佐藤 「なによりも最先端のソフトウェアをごく短時間で導入できて、誰もが使用できる点が大きな魅力です。コストも数十円、数百円の単価で実現ができ、導入リスクがとても少ない。クラウドサービスに関われば関わるほど、進化の早さや未来への可能性を感じます。今の段階では、クラウドの魅力が無尽蔵なので永遠に飽きる日が訪れないのではと思うほどです」

佐藤自身は、クラウドの新技術を導入することで、幸せになる人を増やすことが仕事のゴールと据えています。新技術は人々の生活を大きく変化させ、豊かにさせることができるためです。

佐藤 「以前、当社で支援していたある企業で、建機管理システムを導入したことで事故が減ったという声をいただきました。自分たちの仕事によって事故を未然に防ぐことができ、怪我や機材の損傷を回避できたのです。とても嬉しかったですね」

これまでの仕事で思い出に残っているものは、モビリティ業務最適化クラウド「Cariot」の事業部でのIoT技術開発だという佐藤。“Internet of Things”という未知なる概念との格闘が続いた時代でした。

佐藤 「“Things”というからには、人ではなくモノとの関わり合い。インターネットに組み込まれたモノには融通がないため、モノの動作をコントロールできるようになるまでに多大な時間を要しました。

一番大変だったのは、あるデバイスの電源を自動でオフにするテスト。車につないでエンジンをかけると、デバイスの電源が入る。エンジンを切ると、デバイスの電源も切れる。たったそれだけの動作でも、なかなか設定が見つからず試行錯誤していました」

これらの「Cariot」開発経験から、新技術の開発に特化した部署を立ち上げようと鑑み、旗を振ったのも佐藤。現在、佐藤が室長を務める先端技術室は、佐藤自身の声掛けによって生まれた新しい部署です。

佐藤 「フレクトのようなスモールサイズカンパニーが生き残るために必要なのは、時代や技術の変化に応じて常に変わり続けること。これまでの開発経験から、我々は常に新しいことを学びながら変化するべきだと考え、社内セミナーを主催していました。その考えにCOOの大橋も賛同してくれ、先端技術室が新たに誕生しました」

“複雑な仕組みを解き明かす楽しみ”をこれからも

組織を率いる立場として佐藤が感じている仕事のやりがいは、事業への貢献や複雑な仕組みを解き明かす楽しみです。室長でありながら、一人の開発者としての姿勢もそこにはありました。

佐藤 「フレクトが掲げている“インターネットを通じて、みんなの人生満足を追求する”という理念に沿った働きができることが、室長として先端技術室を率いる喜びです。先端技術でお客様の課題を解決し、幸せな体験を届けることが使命です。

一方、開発者としては、複雑なシステムが期待通り動作するまでに紆余曲折する過程と実装できた瞬間が楽しいです。幼い頃から、自動車やテレビがどういった物理現象の応用なのか、生命体の複雑な動きがどう構成されているのか、などに関心がありました。複雑なものを繋ぎ合わせて動作をするという瞬間に、喜びを見出すタイプなのだと思います」

日々新しい技術が生まれ、研ぎ澄まされていく現代──佐藤は「長期的な目標はない」と語ります。目の前の課題を一つずつクリアする中で見えてくる未来を積み重ね、その先で大きな夢を描くのが佐藤らしいスタイルです。

佐藤 「当面は米国の巨大IT企業の最新事情を追いかけながら技術力を高め、日本社会に貢献することが求められていると思います。コロナ禍のIT需要と抑制された個人消費の影響で、米国のIT企業には空前のキャッシュがある。きっとそこから新しい技術が生まれてくると踏んでいるからです。

彼らが生み出した技術を国内の企業へ届けるためのハブとなることで、フレクトとしての付加価値をつくれたらと考えています」

あえて高望みはせず、虎視眈々とポジションを維持する。それは、来たる瞬間にチャンスを捉えるための徹底した戦闘態勢のようにも思えます。佐藤のその姿勢がこれまでも、そしてこれからもフレクトをさらなる高みへと押し上げる、そんな大きな力となるのでしょう。