EC事業未進出の国への展開。グローバルで活躍の場が広がる

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ファーストリテイリングの中核ブランド、ユニクロ。そのEC事業の新規展開国への拡大が進んでいる。

カナダを皮切りに、この2年の間にロシアとフィリピンでもEC事業を開始。今年度は、巨大な人口を抱えるインドやインドネシアを含め、世界各地のEC未進出の国や地域で、最短・最速での立ち上げを目指している。

このEC事業の新規展開国での立ち上げをリードするのが、グローバルデジタルコマース(GDC)部部長の、岡山 拓だ。

岡山「ユニクロのEC事業の新規展開国での立ち上げは、これからが本当の山場を迎えます。

自社で開発した『グローバル統一デジタルコマースプラットフォーム』の構築が進捗し、様々な国や地域でEC事業を立ち上げていく準備が整いました。また、世界トップクラスの技術を持つ先進企業とのアライアンスも広がっています。

このタイミングでEC事業、それもグローバルで携われるのは、画期的なことだと思っています」 

岡山は、大手SIerから、「クライアントワークではなく、自分の手で実行して、事業や会社に貢献する仕事をしたい」と、2016年にファーストリテイリングに転職。

入社して半年で、ECプラットフォーム構築の基本構想立案を任される。

岡山「このオファーは衝撃的でした。転職してきたばかりの人間に、今後のEC事業の成功を左右する基盤構築の基本構想という案件を任せるのですから。

日本の企業では、このような経営判断をする会社はないでしょう。しかし、ポテンシャルのある人材には、あえて挑戦の場を次々に与えるのが当社です。こんな新しいチャレンジができる会社を選んだ、自分の決断の正しさを実感できました」

そして、岡山はグローバルを統一するデジタルコマースプラットフォームの構築に着手するためのプロジェクト責任者に指名され、カナダでのEC事業立ち上げの責任者として奔走する。

カナダでEC事業を1年で立ち上げる

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カナダでのEC事業の立ち上げ時、ユニクロの実店舗は数店だった。カナダの国土は広大である。ユニクロというブランドと商品を知ってもらうには、顧客との接点が圧倒的に不足していた。そこで、EC事業の開始が急がれたのだ。 

岡山「すでにEC事業が行われている国や地域のお客様と違い、カナダのお客様は初めて当社のECに接するわけです。お客様からどんな反応があるのか。まっさらな状態ですから、EC事業やグローバル統一基盤の構築においても、課題の抽出が可能だと考えました」 

また、課題はそれだけではない。会社からは、半年後にはEC事業を開始したいということを強く求められたからだ。

岡山「当社では当たり前のスピード感です。意思決定が速く、スピーディな実行・実現のための行動を求められます。

新規事業の立ち上げは、すべてが新しいチャレンジです。誰も経験したことはなく、新規展開国のお客様が、私たちに何を求め、期待しているかも未知数ですから、答えは自ら見つけていかねばなりません。EC事業を最速・最短で開始するには、自発的に考えて行動し、ミッションを完遂するオーナーシップが必要です。

また、立ち上げは、自分一人ではできません。プロジェクトメンバー全員に、目指す姿を明確に提示し、ワンチームにまとめあげて、同じゴールへと向かうリーダーシップも必要です。

新規事業の立ち上げでは、困難がつきまといます。しかし、実際に事業を開始し、事業やメンバーが成長していく姿を見ると、貢献への手応えと達成感がある。これほど大きな喜びを感じられることはそうありません」 

岡山たちのチームは、スマートフォンサイト、PCサイト、アプリを、カナダにおいて次々にローンチした。

EC事業は、急成長分野であり、End to Endで自社で行っているので、売上や顧客・商品動向を把握でき、明確に会社への貢献を実感できる。そこに惹かれて、GDC部では、岡山を始め、SIerやITコンサルタント企業、EC、事業会社IT企画などから、プロジェクトマネジメントに優れた人材の中途入社が目立つ。

未展開の国や地域が数多くある。ユニクロを待ち望むお客様の期待に応えたい

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「ようやくユニクロのサイトがオープンした。ずっと待っていた」と、カナダのお客様からの声が、岡山の元に届いた。カナダの後にEC事業を立ち上げた、ロシア、フィリピンでも反響を受け止める。

岡山「お客様からの反応は、想像をはるかに超えていました。こんなに多くのお客様が、ユニクロを待っていてくださったのだと、本当にうれしかったです。

ECの最大の強みは、距離や時間の制約なしに、お客様とダイレクトにつながる接点を持っていることです。グローバル規模でのポテンシャルは高く、世界中のお客様のご要望を吸い上げて、あらゆるものづくりやサービスの改革を推し進め、改善することができます。

GDC部とは、ECサイトをつくるだけの部署ではありません。ECによって一人ひとりのお客様とつながり、お客様の要望に応える新しい価値を持つ服をつくって、お届けできるようにする。これらすべてに関わっていくのが、GDC部です。

私はこれからも、各国の経営者やパートナー企業と深く議論し、EC事業の拡大を進めていきます。まさに私自身が、グローバルプロジェクトのマネジメントの経験を積み重ねて、真の経営者になるための実地トレーニングを受けているかのようです」 

彼のミッションは新規展開国での立ち上げだけではない。新しいプラットフォームの導入を推し進めながら、既にEC事業を展開している国や地域での課題解決と安定化も主導している。

ファーストリテイリングには、グローバルで展開する店舗とECの両方がある

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GDC部は、これからさらにEC事業の拡大を加速させていく。そのために世界中から、このグローバルなプロジェクトに参加する新しい仲間を求めている。岡山は、「私たちの目指す最高のECをつくりあげることに共感して、実現への強い意志を持つ人と仕事をしたい」と話す。 

岡山「私たちは『ECを本業に』を掲げています。しかし、ネットでの販売だけが目的ではありません。

ユニクロには、すでに25の国と地域で2,000を超える店舗の展開があり、世界的によく知られるブランドになりつつあります。ジーユーやセオリーなど、グループブランドも国内外に多数の店舗を持っており、多くのファンがいらっしゃいます。

GDC部のミッションは、こうした自分たちの強みである商品や店舗を活かしながら、ECを強化して、世界中のお客様が、いつでもどこでも私たちの商品を買っていただける仕組みをつくり上げることです。

お客様が本当にほしい服が、ほしいときにそこにあって、すぐに買えるという、世界のどのアパレル企業も未だできていない商売を、ECと店舗がつながることで実現させたい。それと同時に、ECに集まる全世界のお客様からのご要望を、あらゆる先端技術を取り入れて、『無駄なものはつくらない、無駄なものは運ばない、無駄なものは売らない』を実現させたい。

しかし、最高のEC、世界一のECをつくるためには、数々の困難を乗り越えて、やり抜いていかねばなりません。こういう状況においても、強いオーナーシップをもって、やり切る覚悟と胆力のある方と一緒に、事業を成長させていきたいと考えています」

ファーストリテイリングのEC事業は、展開する国と地域が増えるにつれ、その影響力を高めていくに違いない。EC事業のグローバル展開に参画することは、既存のECビジネスを超える挑戦でもある。

▼グローバルデジタルコマース(GDC)部のコンテンツ

【第1回】 野田 隆広/ECを本業に。世界一のECをつくり、情報製造小売業を目指す

【第2回】 増田 直/グローバル統一デジタルコマースの基盤を自社で開発。全世界への展開を進める

【第3回】 岡山 拓/EC事業を新規展開国で立ち上げ。世界中のお客様がユニクロを待っている