EC事業の成長拡大に邁進。継続的な成長でEC化率30%を目指す

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多くの人が、ユニクロのオンラインストアを利用したことがあるのではないだろうか。

ファーストリテイリンググループの中核ブランドであるユニクロは、すでに21の国と地域でECを展開。これからも、新規国でのEC事業展開を進めていく考えだ。

2019年度は、ユニクロを含めたジーユーやセオリーなどグループブランド全体で、グローバルでのEC売上2,583億円を達成。売上全体に占めるECの割合も11%を超えた。2011年度からのEC年間成長率は平均31%。継続的な成長でEC化率30%を目指し、更なる売上の拡大を狙う。

成長著しいファーストリテイリングのグローバルにおけるEC事業。この事業を推進するのが、グローバルデジタルコマース(GDC)部である。同部の中枢でこの売上拡大を進めているのが、EC 経営戦略チームリーダーの野田 隆広だ。

野田「私たちは『ECを本業に』をモットーに掲げ、EC事業の成長拡大に邁進しています。ようやく、国や地域、ブランドの垣根を越えて、グローバルヘッドクォーター(日本にある本部機能)と各国・各グループブランドがつながる体制が整ってきました。その体制とは、1つは、各ブランドの EC事業に関する組織をグローバルヘッドクォーターに統合し、ブランド横断型の組織に一新しました。これが私の所属するGDC部です。

2つめは、グローバル統一のプラットフォームの構築です。私たちはこれを『デジタルコマースプラットフォーム』と呼んでいます。店舗とECの両方の商売のために使うプラットフォームを、デジタル上につくっているため、『ECプラットフォーム』などではなくあえて、『デジタルコマースプラットフォーム』としているのです。このプラットフォームを自社で開発し、日本を含むグローバルで導入を進めていきます。

3つめは、EC事業の展開国の拡大です。これをさらに加速させていきます。

4つめは、お客様の決済手段の多様化に合わせて、ペイメント機能を進化させ、顧客体験を変えていくことです。店舗とECのどちらでも、スムーズにお買い物ができる環境を整えていきます」

こうした体制の整備や改革、拡大の狙いは、EC事業に限ったことではない。「有明プロジェクト」と呼ばれる全社改革で、GDC部が果たす役割は大きい。

「ECを本業に」の目的は、世界中のお客様に選ばれるブランドになること

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「お客様が本当にほしい服が、ほしいときにそこにあって、すぐに買える」

これは商売の基本だが、これを完全に実現できた企業はいまだない。「有明プロジェクト」と呼ばれる全社改革は、この商売の基本を実現させるために、全社一丸で取り組んでいるプロジェクトだ。

「有明プロジェクト」の目的は、先端テクノロジーも積極的に取り入れ、世界各地から集まるお客様の声を収集・分析し、お客様が本当に欲しいと思う商品を開発・販売できる、「情報製造小売業」への進化である。既存の枠を超えた、新しい産業を創出しようとしているのだ。 

野田「私たちファーストリテイリンググループでは、ユニクロを始め、すべてのグループブランドにおいて『服をつくって売る』のが商売です。お客様を起点に、全世界から集まるお客様の声を収集・分析し、商品の企画・製造・販売を、一貫して自社で行っています。カスタマーセンターのみならず、店頭でのお客様とのやりとりも含め、様々なご意見やご要望に商売のヒントが詰まっている。つまり、私たちはEnd to Endで商売をしていて、これが成長の原動力になっている。モール型ECサイトとの明確な違いと言えるでしょう。

End to Endで商売する会社のEC事業に携われることを、私は最高に面白いと感じています。私たちは、ECという枠を超えて他部署を巻き込み、複数の部署が連動したプロジェクトを推進し、全社問題を解決していくチームです。だからこそ、ファーストリテイリンググループ全体を見据えた、組織の枠を超えた仕事ができるのです。

たとえば、販売動向やお客様からのコメントから、『この商品は売れる』とわかったならば、自社内にある商品開発チームに直接話をしにいって、商品をつくることもできる。実際ユニクロがつくるLifeWearは、寄せられたお客様の声を反映して、新商品開発や、商品のアップデートを行っています。ECをものづくりの起点にした、お客様との共創は以前から始まっているのです」

すべての取り組みは、すべてのお客様のためにある。世界中のお客様から信頼され、選ばれるブランドであり続けることを目指し、ECも、店舗も本業の会社として取り組んでいく。ECは全社に与える影響が大きく、またスピードが速い。野田の話からも、EC起点で多くの経営者や部署を巻き込んで、動きが進んでいることがわかる。

経営戦略担当として、急成長分野で経営者の近くでダイナミックに仕事をする

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野田は「私がいるEC経営戦略チームには、大きな予算も権限もない。だから、何でもできる。新しいことができる」と繰り返した。なぜ、そんなことが可能なのか。 

野田「他社にいると、この感覚はわかりにくいかもしれませんね。確かに、大きな予算や権限を持っているのは各事業であり、判断するのは各国・各事業の経営者です。しかし、経営の舵取りで最も重要なデータを把握し、徹底的に分析し、数字に裏付けられた提案するのは、私たち経営戦略チームです」

経営戦略チームのメンバーは、各国や各事業経営者とともに商売の在り方を追求し、部署横断プロジェクトのPMO(Project Management Office)機能を担っている。 

野田「EC経営戦略チームの提案が少しでも根拠が甘く、合理性に欠けていたら、会社から即、突き返されますが、確実に実効性のある提案ならば、各国や各事業と一緒にあらゆるアクションをとることができます。特に、経営戦略チームは担当者であっても、経営層とダイレクトにコミュニケーションができます。

こういうフラットな組織ですから、意思決定が速く、すぐに実行に移していく。一般的な会社だったら2~3年かかることが、当社では2~3週間でできます。急成長分野でダイナミックに、経営陣の近くで仕事ができるのが、この仕事の大きな魅力です」 

野田の前職は、外資系生命保険会社のチーフデータサイエンティストだった。リテール、しかもECは未経験だったが、これまで培ってきた素養は、今の仕事に十分に活かされている。

野田「データは分析するのが目的ではなくて、そのデータを使って、何かをより良く変えることが目的です。前職ではIT部門在籍のデータサイエンティストでした。今最も利益を生み出す提案をすると考え、業務にあたっていましたが、提案だけではなく、実行に携わりたい思いを抱くようになり、転職を決めました」

本質的な課題を突き止め、最短で解決したいという野田の志向は、今の仕事にマッチしていた。しかし、野田は「これまでの仕事のやり方を変えてでも、新しいことをしたいと思わない人には、これほど厳しい仕事はない」と釘を刺す。

世界一のECをつくる。この壮大な目的を達成するために何が必要か

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「ECを本業に」、そして「EC起点でのものづくり」は、驚くべきスピードで前進している。

ファーストリテイリングが進めているのは、世界一のECをつくり、最高のECと最高の店舗を融合すること。お客様の要望にお応えし、新しい顧客を創造し、アパレル産業で世界No1になる。それは、売上規模でNo1になることではなく、世界中のお客様から最も必要とされる「服をつくって売る」企業グループとなることを目指している。 

野田「世界で最も必要とされる企業グループになるには、最高のECと最高の店舗の融合において、最高の顧客体験を提供し続けなければいけません。すべてが新しいことへの挑戦です。

私自身の経験においては、2018年に入社して以来、前年と同じ仕事はまったくありませんでした。規定の仕事は1~2割。自ら提案し、創り出し、実行していく仕事が8~9割です。

『自分で仕事を創るとは?そんなことができるのか?』と思われるかもしれませんが、ずっと私がお話してきたように、EC を起点に社内のどの仕事にもコミットするのが、EC経営戦略チームの仕事です」

そして野田は、今がGDC部に参画する絶好のタイミングだと言う。

野田「ユニクロは、国内で800以上の店舗が、海外では1,900以上の店舗があります。O2O(オンラインto オフライン)も、その逆もできる。ユニクロアプリの国内ダウンロード数はのべ3,000万を超えました。広がりと伸びしろが大きい。

そして、End to Endの改革で、全社の事業にかかわれる会社は、世界を見てもそれほど多くはありません。ECを起点に新しいことができるのは、最高に面白いし、お客様にどんなに喜ばれるかを想像するだけでワクワクしませんか。

GDC部の経営戦略チームは、ファーストリテイリングの事業全体を見て、店舗とECの融合において、ベストな戦略を考えるためのチームです。新しいことへの挑戦に心が躍り、最後まで自分の手でやり抜きたい。ファーストリテイリンググループの理念に共感し、時には自分の役割を大きく超えてでもやり抜きたい。そういう気概と実行力がある人を、私たちは『経営人材』と呼んでいます。ぜひ、そういう方と一緒に仕事したいですね」 

急成長するファーストリテイリンググループのグローバルEC事業。組織を一新し、店舗とECを融合するグローバル統一デジタルコマースプラットフォームを構築しつつある。いわば、GDC部のストーリーの「第1章」で、EC世界一への大きな挑戦が始まる。これからが飛躍の本番だ。

▼グローバルデジタルコマース(GDC)部のコンテンツ

【第1回】 野田 隆広/ECを本業に。世界一のECをつくり、情報製造小売業を目指す

【第2回】 増田 直/グローバル統一デジタルコマースの基盤を自社で開発。全世界への展開を進める

【第3回】 岡山 拓/EC事業を新規展開国で立ち上げ。世界中のお客様がユニクロを待っている