経営視点とマーケティングスキル、両方を高められる「今のジーユー」

「マーケティングでさらに高みを目指したい、新しいマーケティングにチャレンジしたい。そう考えるならば、今のジーユーは絶好の会社と言えるのではないでしょうか」と、若山 幹晴は話す。

若山は現在、ジーユーのグローバル商品本部 バリュークリエーション&プランニング部 ウィメンズチーム兼グローバルカスタマーマーケティングチーム兼PRチームのリーダーだ。

2013年にP&Gに新卒入社し、日本とアジア本部(シンガポール)でブランディングやマーケティングのマネージャーを務め、2019年4月にジーユーに中途入社した。マーケティング業界で話題の“P&Gマフィア“の一人だ。

若山 「転職理由は3つです。1つは、日本人として日本のブランドやサービスやプロダクトを世界に広げる仕事をしたい。2つめは、より経営者の近くでマーケティングをしていきたい。3つめは、より大きな組織を率いるリーダーになる、でした。

最初はこれらが可能なのはベンチャーと考えていましたが、いくつもの会社で話を聞くうちに、その前提として転職先の企業が『どのフェーズにあるか』が非常に重要だとわかりました。3つの理由とフェーズ、すべてを満たしているのがジーユーでした」

若山のような“P&Gマフィア“がマーケティングスキルと経験を生かして活躍するには、一定以上の事業規模や活用できるアセットがあるほうが、その実力を十分に発揮できることは確かだ。そして、経営者のマーケティングへの考え方が今後の飛躍を大きく左右する。

若山 「このことに気づかされたのが、ジーユーの社長の柚木との面接でした。私は面接される側なのに、柚木からジーユーのマーケティングで何が必要なのかの意見を聞かれ、相当深いところまで議論ができたのです。

経営トップがこんなに真摯に耳を傾けてくれることに驚きました。ジーユーはまだ若い会社で、良くも悪くも成熟しきっていません。しかし、400店舗以上を国内外で展開していて売上高も2000億円を突破。事業規模や資金力、人材も含めた社内のアセットが揃っています。

成熟しきった市場だとシェアゲームになりがちですが、ジーユーにはマーケティングの力で会社を2倍にも3倍にもできる可能性がある。柚木との社長面接で、入社後も経営者と一緒に様々なマーケティングのチャレンジができると確信できました」

若山のこの確信は正しかった。入社してすぐに次々とマーケティングの新機軸を打ち出し、わずか一年で大きな成果を出す。

「生活者とコネクト」を大事にしてファンづくりを成功させたマーケティング

ジーユーはブランドメッセージとして「YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。」を掲げ、「生活者」「生産者」「地球」への3つのコネクトを宣言している。

若山がマーケティングリーダーとして特に構築しているのは「生活者とコネクト」だ。生活者とはお客様はもちろんのこと、ジーユーの服を販売するスタッフたちも含まれる。

オンラインストアではジーユーのコーディネートアドバイザーの「おしゃリスタ」およそ900名が参加するメディア「GU STAFF STYLING」が随時更新されていて閲覧率が高い。

Instagramの「インスタグラム gu_for_all_」はフォロワー数がわずか1年で約50万人から113万人に急拡大し、新商品をスタッフが紹介する動画「GU IGTV」はアップして1時間で再生数万回という人気コンテンツに成長している。

また、斬新な試みとして女性200人を計測して平均体型を算出し、そのデータを参考にしたバーチャルヒューマン「YU」を作成した。

若山 「SNSの発信を分析していくと、モデル着用のスタイリングよりスタッフやお客様自身がアップした着こなしのほうが反応は良かったんです。お客様目線でいろいろな提案したほうが喜ばれるという手応えがはっきりありました。

『GU STAFF STYLING』も『インスタグラム @gu_for_all_』も、こうしたお客様の反応から発想して開発されたメディアやサービスです。マーケティングで私たちが目指しているのは、お客様が着こなしを考えたり、悩んだりしたときに、真っ先にジーユーが思い浮かぶようにすることです。

ジーユーというブランドを伝えるには、一方通行ではなくてお客様とスタッフがつながって、一緒につくっていくほうが私たちらしい。ジーユーのブランディングやマーケティングでは、一時的な初動喚起や売上をつくるためだけではなく、『ジーユーのファンづくり』を大事にしています」

まさに今の時代や顧客行動にフィットした先進的なマーケティング戦略なのだが、ジーユーにはさらに他社との大きな違いがある。それは、圧倒的なスピードだ。「GU STAFF STYLING」はアイデアが生まれてから、わずか半年でローンチした。

商品開発から販売まで自社で行う強み。PDCAを高速回転させて進化する

マーケティングに携わる人の多くがもどかしさを感じるのは実行までの期間の長さ、そして結果が出るまでのタイムラグではなかろうか。しかし、ジーユーは自社で商品開発から販売まで行っているので、結果がダイレクトかつタイムリーにわかる。

若山 「あるお客様は『GU STAFF STYLING』にアクセスしそのままオンラインストアでお買い物される方もいらっしゃれば、別のお客様は着こなしをチェックしたのちに店舗を訪れているなど、顧客行動がスピーディに膨大な量が集まってきます。

私たちはジーユーの全商品の詳細なデータを把握できるので、何が成功し、何が成果に結びつかなかったかもわかる。それを回収してすぐに次の施策を打ち出せるのが、当社のマーケティングの大きな強みであり、面白さです。

さらにもう一つ、強みがあります。私たちマーケティングチームは商品開発から関わります。この段階からマーケティング戦略を構築できるので、全社の戦略においても個別の商品においても、サイクルを短くして高速でPDCAを回し、マーケティングの進化スピードを加速度的に速められるのです」

若山はジーユーのマーケティングにイノベーションを起こしながら、さらに新たな発見をする。

若山 「『GU STAFF STYLING』が盛り上がってくると、スタッフがどんどんやる気を見せて、着こなしもアップする画像の撮影もそれぞれが工夫してクオリティが上がっていったんです。

それを観たお客様ご自身のSNSでもジーユー商品を着用した投稿がますます増えて、お客様が発信者になってコミュニティができあがっていきました。

立ち上げからずっと生データを観ている私たちには、着こなしを楽しみ、さらに素敵になっていく様子がはっきりとわかりました。マーケティングの使命は売上利益への貢献です。

しかし、それ以上にストーリーへの共感の輪が次々に新しいお客様に広がって、お客様とスタッフが変わっていく喜びは大きいです。

ジーユーでは、お客様やスタッフが主人公となって自分の体験やストーリーを語ることによって、ファンづくりをしながら、より大きなコミュニティに育ち続けています」

プロのマーケターと経営者を輩出する組織をつくる

「30代前半で、この規模感でのブランドビルディングができるとは思わなかった」と若山は話す。この発言には、経営の意思がはっきりと見て取れる。ジーユーには社長の柚木を筆頭にマーケティングを経営として捉えており、若山のようにポテンシャルのある人材には、年齢に関係なく大きな仕事を次々に任せているのだ。

若山 「目標は、『マーケターの精鋭たちが集まるジーユーのマーケティングに学びたい』と言われる組織をつくり上げていくことです。ゆくゆくは『ジーユーはマーケター輩出企業』と呼ばれるまでにしたいし、実際、そうなるアセットは揃っています。

生活者視点でモノづくりやマーケティングを行うVoice of CustomerやVoice of Staffという概念から、ジーユーというブランドをさらに進化させていきます。

もっともっとお客様と一緒に商品とコミュニティをつくっていくためには、既存のマーケティングのセオリーや手法に囚われず、考え方自体も抜本的に変えていかなければならないでしょう。それには、新しい仲間が必要です」

ジーユーは海外展開を推し進めており、日本発のグローバルファッションブランドとしての存在感を高めている。マーケティングの担当者にとどまることなく、CMOとして、あるいは新しい国や地域でグローバルに活躍したい人にはチャンスがそこかしこにある。

「YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。」というブランドメッセージは、ジーユーで働くすべての人にも向けられているのだ。