日本発でグローバルで展開する、着こなし発見アプリ

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「StyleHint」はファーストリテイリングが提供する「着こなし発見アプリ」だ。現在は日本とアメリカから投稿された様々な着こなしを見ることができる、いま注目の新規事業である。今年6月5日に オープンした「ユニクロ原宿店」では、世界で初めてStyleHint専用の売場となる「StyleHint原宿」を新設。このことからも、このアプリに同社が大きな期待とパワーを注いでいることがわかる。

高橋 りさは、StyleHintとユニクロアプリ、両方のプロダクトマネジメントを統括するリーダーだ。「StyleHintをグローバルな服のプラットフォームに成長させる」と高橋は話す。

高橋 「『今日は何を着ようか?』『かっこよく着こなしたい』という悩みは、性別・年齢・国や地域に関わらず、誰もが持っています。そこで、『あらゆる人に着こなしの喜びを提供したい』という思いから、StyleHintを立ち上げました。アップされた着こなし画像には、ユニクロとジーユーの服や、それと似たデザインの服がタグ付けされます。

また、画像をタップするだけで、販売中のユニクロとジーユーの服を購入できます。アパレル領域で世界第3位である当社が、StyleHintを『服のプラットフォーム』に成長させ、全世界で利用してもらおうと本気で取り組んでいます。いまは日本とアメリカだけですが、今後はこのサービスをグローバルで展開していきたいと考えています」

搭載しているテクノロジーも先進的だ。独自の画像検索機能は、戦略的グローバルパートナーシップを締結しているGoogleの最先端画像解析技術を用いている。また、この開発部隊には中国やインドから、エンジニアやデザイナーが参加している。英語を使いながら直接コミュニケーションを取り、ワンチームで開発を進める環境は、日本発の企業では非常に珍しい。

End to Endで事業をつくり上げる絶好のチャンス

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ファーストリテイリングの主要ブランドであるユニクロの服づくりのコンセプトは、LifeWear。あらゆる人の生活を豊かにして快適にする、MADE FOR ALLな究極の普段着である。StyleHintという、あらゆる人のための「服のプラットフォーム」のグローバル展開は、当然の流れかもしれない。しかし、高橋は「StyleHintのようなアプリを開発するのは、企業規模とマーケットがよほど大きくないとできない新規事業」と話す。

ファーストリテイリングは「情報製造小売業(Digital Consumer Retail Company)」に変革するために、ITを含めて先端デジタル技術を積極的に導入し、すべての事業活動をお客様起点でつくり変えようとしている。ITとデジタル領域でこうした変革を推進しているのが、高橋が所属する「デジタル業務改革サービス部」だ。

渡邉はインターネット企業のコマースサービスアプリのプロダクトマネージャーを経て入社し、現在、StyleHintのプロダクトマネージャーだ。

渡邉 「コマースにすごく興味があるんです。ファーストリテイリングには、ユニクロやジーユー、セオリーなど、数々のグループブランドがあり、こうしたグローバルブランドの自社製品を、商品の企画・製造・販売まで一気通貫で行っています。私の仕事は、インハウスでオフラインとオンラインをシームレスにつながった顧客体験を提供するアプリをつくること。アプリ開発で、こんなことができる会社は他にはありません。End to Endで事業をつくりあげる絶好のチャンスです」
高橋 「ユニクロの服は、世界中で愛されています。こうした服を通して、自社開発したアプリなり、ITの力でどうやったら世の中を面白くできるのか、本当にお客様のためになるようなことができるのか。これを実現できる環境と条件が、ファーストリテイリングにはそろっていると、転職を決めました」

渡邉も高橋も、「これからのアプリ開発では、プロダクトマネージャーがより重要になってくる」と話す。では、プロダクトマネージャーとは、実際、どんな仕事なのだろうか。

プロダクトマネージャーはすべてをつなげる「ハブ」

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アプリやソフトウエア開発の「プロダクトマネージャー」は、シリコンバレーから生まれた。まだ日本では一般的ではないかもしれないが、GAFAなどのプラットフォーマーの成功は、プロダクトマネージャーというポジションをチーム内で確立させたことが大きいとも言われている。

渡邉 「プロジェクトマネージャーとは、エンジニアやデザイナーなどプロダクトと開発にかかわるすべての職種の人たちの中心となるハブです。また、関連する事業や部署とプロダクトチームをつなげるハブでもあります。あらゆるステークホルダーとコミュニケーションを取ってプロダクトをつくり、リリースまで見届けて、さらにその次の改善につなげていくのが主な仕事です」
高橋 「WhatとWhy、つまり『何をつくる』『なぜ、それをつくる』を決めていくのがプロダクトマネージャーで、HowとWhen、『どのように』『いつまでにつくる』をマネージするのがプロジェクトマネージャー。私はよくこういう風に説明しています。

プロダクトマネージャーもプロジェクトマネージャーも、エンジニアや社内の様々なステークホルダーと協業し、お客様が求めるサービスを提供するシステム開発を推進する中心的な役割です。今後はプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーをバランスよく組み、開発に集中できる体制にしていきたいと考えています」

現在、ファーストリテイリングではプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャー両方で新しい仲間を求めている。

なぜなら、同社が「情報製造小売業」になるためには、アプリやシステム開発でのプロダクトマネジメント体制の強化が必須だからだ。

すでに世の中の顧客体験は、実店舗での販売などのオフラインとオンラインのコマースサービスの境目はなくなっている。どちらも融合して、これまでにない顧客体験を提供する「一つの事業」になり、どう成長させていくかが勝負だ。StyleHintにおいても成功の鍵を握る重要な役割の一つが、高橋、渡邉のようなプロダクトマネージャーなのだ。

世界中で愛され、必要とされるStyleHintに育てる

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アプリやシステム開発のプロダクトマネージャーもプロジェクトマネージャーもその役割やポジションに上下はなく、どちらも今後のファーストリテイリングの成長には欠かせない重要な職務である。

渡邉 「StyleHintのプロダクトマネージャーは、何よりも一番にユーザーに興味を持っている人が向いていると思います。世界中で愛され、必要とされるStyleHintに育て上げるためには、お客様が何を求めていて、どんなときに、どんな情報やきっかけで行動するかを知りたいという強い欲求がないといけない。そして、いま世界でどんな技術が注目されていて、それをどう活かしたらお客様のためになるサービスになるかを突き詰めて考えられる力と、周りを巻き込んでものづくりを推進していく力です。

ITの知識と、論理的思考力、課題解決能力がもちろん必要ですが、決め手となるのは一緒に働くエンジニアやデザイナー、事業側や外部の人たちからの信頼です。当社に入社して約1年ですが、この短い間に、グローバルなチームをまとめる力とコミュニケーション力をすごいスピードで伸ばせたと感じています」
高橋 「すぐれたプロダクトマネージャーは、ある意味、コミュニケーションモンスターです。あらゆるステークホルダーに目指す理想の姿を提示し、繰り返し対話し、説得して、動かしていくことが求められます。

エンジニアやデザイナーが『これは本当にお客様にとって良いものになる』『このプロダクトマネージャーとだったら、必ずいいものがつくり上げられる』と全力で取り組んでくれたプロダクトは、本当にユーザーから愛されて使われるプロダクトになると信じています」

ファーストリテイリングは完全実力主義。経験や年齢に関係なく、その人にポテンシャルがあれば重要な仕事を任せていく社風だ。しかも、二人が所属するデジタル業務改革サービス部は、他社での経験が豊富で、第一線で活躍してきた人がそろっている。彼ら・彼女らとともに、そしてマネジメントや技術を学びながら、まだどこにもない着こなし発見のアプリをつくることは、これからの自分の可能性を確実に広げてくれるだろう。