ユーザー側からITサービスベンダーへ、そして期待を超える価値の提供へ
DXCの前身であるHewlett Packardから20年にわたる勤続の末、大井は2022年にデジタルワークプレイス部のマネージャーに就任しました。直近では協力会社を含む100名ほどの大きな体制を率いる大井が、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせたのはユーザー側でした。学生時代の漠然とした憧れと興味から浮かんだキーワードが、その先の長いエンジニアとしてのキャリアへと大井を導きました。
大井 「県内に小さな空港がひとつしかないような東北の田舎出身で、飛行機に関わる仕事に憧れていました。一方で、これからの時代はITが重要になるという意識もあって、『飛行機』と『IT』という2つのキーワードを手掛かりに就職活動をした結果、航空会社の関連システム企業に入社することになりました」
最初に就職した企業で約9年間、転職を経て金融サービスの企業で約2年間、ユーザー側の立場でシステムとそのインフラ・ネットワークの構築や運用を担当しました。そして、2002年、大井のエンジニアとしてのキャリアはひとつの転換期を迎えます。
大井 「それまではずっとユーザー側の立場でITベンダーと関わっていましたが、逆の立場になってみたいと思ったんです。というのも当時は、ITベンダーの事情や仕組みを理解してから、いつかユーザー側に戻れば、これまで買っていたものの中味がより詳しくわかるようになって、仕事がしやすくなるんじゃないかと思っていました。
ところがそれから20年、ユーザー側に戻ることはなく、ずっとこの会社で働いています。よほど居心地が良いのでしょうね(笑)」
そうしてDXCの前身であるHewlett Packardに入社した大井は、製薬会社や建設会社などいくつかのお客様のプロジェクトに関わった後、10年以上前から続いている製造業のお客様へのサービス提供に携わってきました。
大井のチームは、お客様の従業員が使用するPCの運用とユーザーサポート、さらにはリモートワークを実現する仕組みや、PCの稼働状況をプロアクティブに監視するツールの導入・運用などを行っています。海外のメンバーや協力会社を含む大きな体制で幅広いサービスを提供するチームにおいて、マネージャーである大井の仕事は「常に先を見つめること」だと言います。
大井 「決まった業務はメンバーが安定的に対応してくれますから、私の仕事はむしろ決まっていない領域の中にあります。お客様により多くの価値を提供して、もっと喜んでもらえるように、お客様の声や課題から常に新しいチャンスを探し続けることを心がけています。契約によって決められた品質を維持することは当たり前のことですから、そればかり続けていてはお客様も私たちも退屈してしまいますよね」
お客様のために動くチームを支える柱は、コミュニケーションと自主性
大井のチームには、ベテランから新卒で入社したばかりの若手まで幅広いメンバーが所属し、さらに中国のオフショア拠点からも30名以上のメンバーがサービスを提供しています。多様性に富んだ大きな組織をひとつにまとめ、お客様のために一丸となって取り組むために、大井は2つのことを心がけています。1つは、オープンで活発なコミュニケーションです。
大井 「一番大切なのはコミュニケーションです。とくにコロナ禍以降は、チームのメンバーもお客様も不安を抱えながらリモートで業務を進めているので、言いたいことを言い合える雰囲気と仕組みを作るように意識しています。
まずはチーム全体で情報を共有する時間を設け、担当範囲を越えて助け合うように呼びかけています。オープンなコミュニケーションは、DXCのカルチャーとして自然とメンバーの身についているので、スムーズに取り組みが成功しています。
そして、年次に関係なくメンバーがお客様と直接コミュニケーションを取れるようにしています。お客様から離れたところで目の前の業務に集中していると、サービスの目的を見失ってしまいがちです。お客様と直に接して仕事の成果を実感することで、モチベーションや自信にもつながります」
もう1つは、メンバーの自主性を尊重することです。
大井 「私から細かく『これをやりなさい』と指示することはほとんどなく、メンバーのやり方を尊重します。もちろん、お客様との契約に基づくサービスが、必ずしもメンバーがやりたいことにマッチするとは限りません。
それでも、それぞれが得意とすることや、プロフェッショナルとして自信を持てる領域を意識することで、サービスの提供の仕方や、モチベーションが大きく変わります。私はメンバーが自分で考えて進める業務のサポートに徹するようにしています」
オープンで活発なコミュニケーションとメンバーの自主性は、チーム運営の改善だけでなく、お客様の満足度の向上にもつながっています。
大井 「お客様から現場のメンバーに対して、直接相談を受けることがあります。規模の大きな問題であれば、もちろんチームで持ち帰ってしっかりとした提案を作りますが、小さな改善や現行サービスの応用であれば、その場ですぐにメンバーから自主的にアイデアを提示して、迅速に実行に進めています。
お客様からの新たな要望にはすべて営業担当が対応するようなサービスベンダーもありますが、それでは時間がかかります。お客様の要望に現場がなるべくスピーディに応えることで、お客様からは大変好評を得ています」
さらなる成長のために、目指すは「型にはまらない」チーム
マネージャーに就任してまだ間もない大井ですが、チームのさらなる進化のために、目指しているチームの将来像について力強く語ります。
大井 「型にはまらないチームを目指したいと思っています。メンバーがそれぞれの担当範囲を越えた広い視野を持って、もっとできることはないかという積極的な気持ちを持ち続けてほしいです。新しく取り組めることが見当たらなければ、自らお客様に『何かできることはありますか?』と聞きに行けるぐらいの積極性があれば素晴らしいですね」
型にはまらない積極的な姿勢こそが、その人を成長させる、という大井の考え方は、自身がマネージャーの立場になって、視点が変わったことで生まれたと言えます。
大井 「マネージャーになって、相談をする立場から相談を受ける立場に変わりました。すると、これまでの自分が、無意識のうちに仕事の進め方についてマネージャーに細かく相談していたことに気づいたんです。
実感として、相談し続けているうちは、自分の仕事に対する責任感が生まれないし、マネージャーの発想力を越えて成長することはできないと思っています。マネージャーの視点で過去の自分自身を振り返ってみた結果、メンバーには型にはまらずにチャレンジしてほしいと思うようになりました」
自主性やチャレンジ精神を尊重するということは、決してマネージャーとしてのサポートを軽んじるということではありません。大井は自身のこれからの目標について、こう語っています。
大井 「今はまだ、マネージャーとしての経験が浅く、日々の業務に追われることも多いですが、メンバーの一人ひとりの声に耳を傾けられるようになりたいです。メンバーがサポートを必要としているときに、すぐに気づいてしっかりと話を聞くことができるスタイルを築いていきたいです。
さらに、過去の経験を活かすだけでなく、時代の変化に合わせて自分も変わっていかなければならないと思います。たとえば、ここ数年で新卒として入社したメンバーは、業務やキャリアに対する考え方が、われわれの世代とは大きく違います。彼らの力を最大限に発揮してもらうためにも、自分が率先して多様な考え方を身につけて、一緒に成長していきたいです」
「ITサービスの総合商社」で輝ける人、「ITサービスの総合商社」だからできること
マネージャーに就任してからは、採用活動にも多く関わるようになった大井。これからどんな人たちと一緒に働いていきたいと考えているのでしょうか。コミュニケーションと自主性を重要視する大井の考え方は、ここでも一貫しています。
大井 「DXCはとてもグローバルで、なおかつお客様にサービスを提供する会社ですから、コミュニケーションに対してオープンな姿勢の方が馴染みやすいと思います。とくにユーザーサポートの領域では、システムやデバイスを使用するユーザーとのやり取りが仕事の基本になります。
プロジェクトによっては、ITの知識や資格よりも、社内外とのコミュニケーションの方が重要になる場面が多くあります。最近はDXCでも文系出身の方の採用が増えていて、プレゼンテーションやデータ分析など、得意な領域を活かしてそれぞれに活躍されています」
自主性と積極性が活かされるDXCの環境については、こんな言葉で表現しています。
大井 「DXCを一言で表すなら、『ITサービスの総合商社』だと思っています。特定の製品を持たずに、総合的にITサービスを提供するDXCだからこそ、お客様のニーズに合わせて柔軟な提案が可能です。やる気とアイデア次第でさまざまな新しい挑戦が可能な環境は、まだやりたい領域が定まっていない若い方が、成長の過程で進むべき道を模索するのに最適だと思います。
また、過去の私のように、ユーザー側で既存のシステムに関わる決められた業務だけを行っているような方にとっても、幅広い挑戦のチャンスがあるDXCの環境は魅力的なのではないでしょうか」
採用活動を振り返りながら、幅広いサービスを提供するDXCについて「簡潔に説明するのは難しい」と苦笑いでつぶやく大井ですが、お客様とチームのために取り組む日々の中で得た実感を通して、DXCで働くことの魅力を積極的に伝えようとしています。