はじめに

大日本住友製薬株式会社のリサーチディビジョンでは、研究者としての高い創造性や行動力を維持・強化するために、入社後においても研究員の育成に力を入れています。

革新的な創薬研究のためには、研究員の技術やスキルだけではなく、発想力やアイデア創出力など、さまざまな総合的な能力が不可欠と考えています。

当社の研究員が主体的かつ精力的に研究に励み、革新的医薬品をいち早く患者様に届けるという個々の研究員のモチベーションを具体化するため、それらをサポートする組織のニーズも考えながら、さまざまな人材育成施策を行っています。

その中の1つ、人材育成ワークショップについて研究職の人材育成を担当している私、矢島がご紹介します。

「非日常」と「日常」、両方の視点で“創造”する

リサーチディビジョンでは「株式会社ミミクリデザイン」と提携し、人材育成・組織活性化のプロジェクトを実施しました。ミミクリデザインは、「創造性の土壌を耕す」をコーポレートスローガンに掲げ、ボトムアップ型の方法論による組織開発や事業開発を専門とするデザインファームです。

このプロジェクトでは「ワークショップ」という普段の研究生活から離れた「非日常」の中で、研究員が自らの研究や自身のキャリアの本質について徹底的に深く掘り下げることで、創薬研究者が根源的に持っているモチベーションを再確認し、いかにそれらを実現するかを共創していくステップの体現を目的としています。

ワークショップは全3回で構成され、研究員がそれぞれ内発的モチベーションに基づいて健康の本質に迫り、アイデアを創出し続けられる組織の土台を形成するために設計されました。まずは、ミミクリデザインが得意とする、ワークショップが持つ共創の哲学や思想、姿勢を体験から学び、その後それらのエッセンスを日々の業務でも活用する方法を検討する、といった「非日常」と「日常」の両方の視点を往復しながら、より創造的な組織の在り方を探求することから始めました。

研究員の“主体性”を起点に、人々の健康に多角的にアプローチする組織構築をゴールに定めた

私たちは「精神神経領域」「がん領域」「再生細胞医薬分野」の3領域を軸とした研究領域を掲げ、患者様とその家族が健康で豊かな生活を過ごせる日々の実現を目指し、革新的な新薬創出に全力を注いでいます。時代の変化とともに医療の在り方が変化していく中で、従来にはない革新的医薬品の創出や、新規事業分野の開拓に向けた創造的なアイデア創出を促すために、社内外との創造的コラボレーションとそのアイデアを実現するための組織的な支援の必要性を感じていました。

人の健康に資する新たなアイデアを継続的に生み出し続ける組織であるためには、研究員自身が抱いている主体的な研究意欲、すなわち新規なアイデア創出力とそれらを実現する行動力、さらにはそうした取り組みを組織的にサポートすることの3点が重要です。このプロジェクトでは、研究員がそれぞれの観点から、健康の本質に迫る人材として成長し、組織全体にコラボレーティブかつサポーティブな風土を根づかせることをゴールとして設定しました。

具体的取組内容

Scene1 キャリアの原点や健康に対する価値観の再確認/グループディスカッション

ワークショップでは、まず、研究員が患者さまの健康に関わる上で主体性が発揮されるポイントを探索し、語り合う活動からスタートしました。

「研究者としてのキャリアの原点は?」「どういうアプローチを『治す』と考えているか?」「自分にとっての健康とはどういう状態か?」といった問いについて語り合うことで、自身の健康に対する価値観への理解を深めると同時に、他者の価値観にも触れ、多角的な気づきの獲得を目指しました。

Scene2 ワークショップのエッセンスが日常の創薬プロセスに浸透するための課題設定

続いて、ある共通の創薬研究テーマを設定して、グループワークを実施しました。k協同的な活動を通して、創薬研究テーマの根底にある哲学や思想、姿勢を徹底的に議論し、それらを創薬プロセスに取り入れるイメージを膨らませていくことで、日々の業務において創造的コラボレーションを起こす方法を探っていきました。

Scene3 非日常の場を、日常を変換する起点として活用する

後半では、ワークショップで体験した「非日常」を実際の研究現場である「日常」へ落とし込むためには、どうすればいいのか?行動を起こすための架け橋をかけるプロセスを学びます。この段階では、当社が強みとする精神神経領域の新薬開発プロセスにおける新たな提案や研究業務の効率化など、より具体的なアイデアも多数出てくるようになりました。

全3回のワークを通じて、徐々に多角的な観点からの意見が多くみられるようになり、熱心な議論が展開されました。また、研究員の研究に対する想いや本質を内省し、自身の仕事の原動力について改めて考える機会となりました。

大日本住友製薬の想い “社員がすべての根本である”

このような人材育成施策をその時々の組織のニーズに合わせて実施しています。私たちは、研究員がモチベーション高く研究に邁進できる組織であり続けたいと考え、社員の育成は組織全体の活性化や風土改革の根本であるととらえています。こうした取り組みが組織風土改革の一旦となり成果創出に、さらには組織や社会の発展につながっていくと考えています。