経歴
大学:理学部 数理情報科学
2009年:デンソー入社
2009年:電子技術部 配属
2012年:デンソー中国 長春支店 出向
2018年:価値創造塾
2018年:ベンチャー企業 出向
2020年:技術企画部
2021年:まちづくり企画室
2022年〜2022年11月現在:新事業推進室
- 業務内容
Q1.新事業推進室はどんなお仕事ですか?
新事業創出制度の企画・運営を担当しています。これは、デンソーグループの社員からビジネスアイデアを集め、新事業推進室のビジネスデザイナーとマッチングする制度のことです。8〜10ほどの事業領域に分かれていて、それぞれを担当するビジネスデザイナーらと共に、5年以内に100億円規模のビジネスへと成長させていくことを目指しています。将来、当社の売上のうち一定の割合を占めるような新たな事業領域を見つけることが当室の目標です。
Q2.その中での日下さんの役割
新事業創出制度の主担当者として企画・運営の全般を担当しています。集めたアイデアを各デザイナーに提案する、いわば橋渡し役です。寄せられたアイデアの中から芽が出そうなものを選定します。応募者に簡単なプレゼン資料を作成してもらった上で、発案者とデザイナーが議論する場として、ピッチコンテストを企画・実施しています。
アイデアの良し悪しも大事ですが、それ以上に新規事業に積極的に取り組む社内文化を育てていく必要を感じているので、今後はアイデアを提案する人達のネットワークが広がるような制度設計をしていく予定です。
Q3.これまでで一番印象的だったお仕事は?
ベンチャー企業に出向し、新規サービスの立ち上げをした経験が非常に印象に残っています。電子技術部にいたときの仕事は、自動車メーカーから受領する「仕様書」という正解があったので、それをもとにPDCAサイクルのP(Plan)をしっかりと検討し、次のD(Do)に移る進め方をしていました。
一方、ベンチャー企業での仕事には仕様書がなく、PとDを同時に実行しながら自ら答えを探り当てるような進め方をしていました。計画の緻密さよりも、サイクルを素早く複数回実行して見えない答えを形にしていくアプローチで、会社によって進め方や考え方に違いがあることを学びました。
今私が取り組んでいる新規事業創出の仕事も、これまでのような正解がありません。そんな中、自分が正しいと信じる方向へ進むのは不安も伴いとても困難な作業です。その不安を乗り越えて、企画を通すためには、自分自身の強い意志と、周りを説得するためのファクトを集める地道な作業の両方が欠かせない、と考えています。
- 働き方
Q4.職場環境や雰囲気はどんな感じですか?
新規事業という特性上、決められたワークがあるわけではないため、皆が自分の裁量の範囲で比較的自由に行動しています。デンソーの将来を憂いて実際に手を挙げて異動してきた人も結構いるので、責任感や危機感を持って働いている人が多い印象です。
チーム内の定例会だけでなく、他のチーム同士が積極的に意見を交換できるような環境づくりにも努めています。とはいえ、社内メンバーだけでコミュニケーションしていても新しい知見は得られないため、社外のさまざまな業界の方と出会う機会を設け、常に新たな学びや発見を得られるように意識しています。
Q5.ワークスタイルについて
社外の方とのコミュニケーションが多い仕事ですが、オンラインでのやりとりが中心のため、在宅勤務をしている方が多い職場です。私も週一で出社するかどうかといった具合です。フレックス、有休も自由に使えるため、私は朝の子どもの幼稚園の送迎とお風呂を担当していたりと、ワークライフバランスが非常に取りやすいです。
また副業もOKなので、会社の有志で“Mobirta”という会社を起業をしました。かつて運営を担当した新事業創出制度の中から出てきたアイデアをもとに事業化したもので、週2~3日は定時後に活動しています。かつては仕事中心の生き方をしていましたが、ITベンチャーへの出向経験や、新規事業の業務を通じて、社外の方と接する機会が増えたことで、自分の考え方や働き方を見直すようになりましたね。
Q6.休みの日の過ごし方
じっとしていられないタイプなので、子どもを連れて遊びにいったり、実家の農業を手伝ったりしています。また、最近は良い意味で休みと仕事の境目がなくなってきていると感じていて、休日の活動(副業)で得た人脈を自身の仕事に活かしたりしています。
たとえば、副業した会社では投資してくれている投資家の人たちと毎週のように情報交換しているんです。彼ら、彼女らは何年間も新規事業のみをやってきた、いわば新規事業のプロ。事業成功のためのノウハウを持つ人の話を聞いて、デンソーで新規事業に取り組む上での考え方や進め方にフィードバックさせています。
- 就職活動
Q7.就職活動はどんな風に進めていましたか?
大学3年の秋ごろから就活をはじめ、30社以上にエントリーしました。数をこなすにつれてエントリーシートの内容や面接での受け答えがうまくなると思ったので、あまり興味がない企業も受けた記憶があります。
大事にしていた点は、海外出向のチャンスがあるかどうかです。学生時代にアメリカへ短期留学した際、異文化に初めて触れて大きな衝撃を受けました。自分が井の中の蛙であったことを思い知り、知らない領域に飛び込むことで得られる刺激や学びによって視野を広げたいという想いから、海外に行く機会がありそうな会社を探していました。
Q8.どうしてデンソーを選んだのですか?
もともと自動車が好きで、中でも興味があったのがアメリカ車。幼いころ、知り合いがアメリカ車に乗っていて大きな車体と排気音に惹かれたのが理由です。なので、アメリカ車などの海外自動車メーカーを担当する機会がありそうな自動車部品メーカを中心に就職活動していました。デンソーに決めた理由は、自分が刈谷生まれ刈谷育ちで、家から通える距離に本社があったこと。もちろん、海外出向のチャンスが多いことも決め手のひとつでした。
Q9.仕事で役立ったスキル、入社後に身につけたスキル
事業部でソフトウェアエンジニアとして経験を積み、新事業分野にキャリアチェンジした後は、社外の方と会う機会を意図的に増やしています。デンソーに限らず、国内のどの業界の企業も新事業創出に悩んでいるので、同じような悩みをもつ人達との意見交換が一番業務に役立っています。
また、学生時代に得た人脈、部活動で学んだチームワークやリーダーシップなどは、今も仕事に活かせている気がします。あと、大学時代に1カ月ほどですが海外留学をして異文化に触れ視野を広げたことが、今となっては非常に良い経験だったなと感じています。今思い返すと、学生時代に授業で学んだことより、そういった経験の方が会社に入ってからも活かせる場面は多いですね。
- さいごに
Q10.これから頑張っていきたいこと
頑張ることが苦手なタイプなので、“楽しむ”という想いで、会社ともちょうど良い距離感で付き合っていきたいと考えています。給料をもらうのだから仕事を頑張るのは当たり前という考え方もありますが、会社の仕事は自分の人生の一部。
会社生活に全てを捧げるのではなく、趣味のテニスや子育てなどにも時間を使って、自分らしい生き方、働き方をしていきたいと思っています。自分の人生の夢や目標があって、そのためのピースの1つとして、目の前の仕事があるという状況が最高だなと思っています。
Q11.最後に、就職活動中の方にメッセージを!
一言でいうと、「経験と直感を大切に!」です。
個人的な考え方ですが、学生時代にいろいろな経験をしておくのが良いと思っています。私の場合は、“将来こうなるために、今これをやる”といった目的意識を特に持たず、さまざまな場所を訪れ、いろいろな方と出会って異なる文化や考え方に触れた経験が、その後の人生観に大きな影響を与えています。
就職活動、会社選びは今の皆さんにとって非常に重要な人生のターニングポイントだと思いますし、いろいろ悩まれると思いますが、そのようなときこそ頭で考えるのではなく、直感で決めてみるのもいいのでは?と個人的には思います。直感は自分の経験から導き出される“自分らしさ”だと思っているので、就職活動も周りと比べるのではなく、自分らしさを大切にしてほしいです。
もしいくつかの選択肢・進路で悩んでいるのなら、きっとどの選択をしても皆さんにとっては正解です。仮に失敗してもまたやり直せば良いので、少しだけ自分の直観に頼ってみるのはいかがでしょうか。経験と直感を大切に。