やりたいことは明確じゃなくて良い。それを探す行動がキャリアを作る
大学時代、イギリスに1年間、フランスに1カ月の留学を経験しました。私の目的は英語を学ぶことでしたが、他国の留学生はみんな、「〇〇を学びたい。そのための手段として英語が必要」という軸を明確に持っている姿が印象的でした。
帰国後は、グローバルを軸に就職活動を開始。留学時代の気づきを活かし、グローバル企業という軸の解像度を上げていきました。その中で、物理的に海外へ出る・英語を使うといった表層ではなく、職場環境やカルチャーがグローバルスタンダードであることに価値を置き、デル・テクノロジーズを選びました。
インサイドセールスとして入社し、3年間がむしゃらに目標数字を追いかける毎日。
4年目を迎えた2020年、コロナ禍に伴い、自分自身と向き合う時間が生まれました。ぼんやりとしていたキャリアを本格的に考えるようになったんです。でも、方向性も定まっていなかったので、まずはそれを探すための行動に出ました。
チームや部署を越えてさまざまな人と接点を持ち、話を聞く。社内公募制を活用し、オープンポジションで少しでも気になる募集を見つけたら話を聞きにいく。実際に面接を受けてみる。
先入観なくいろいろな人の話や考え方に触れながら、やってみたいことを探すにつれて、自分のIDP(Individual Development Plan:能力開発計画)が研ぎ澄まされ、自分の中で「これだ」と言えるものが見えてきたんです。
そうした結果、タイミングにも恵まれ、今の教育・研修のロール(職種)をつかむことができました。
フィードバックで成長し、恐れずに"らしさ"を出す
常々、マネージャーとの1on1ではどんどん新しいことに挑戦したいと伝えていたこともあり、インサイドセールスの中でもインバウンド営業、アウトバウンド営業、リテンション/リレーション(既存深耕)営業、そして関西拠点立ち上げ……と毎年新しいミッションにチャレンジしてきました。
中でも3年目に担当したリレーション営業は、新しいスキルを身に付ける経験となりました。
お客様からいただくご相談の難易度があがり、長期スパンで進める仕事に変化。さらに、幅広い製品やソリューションが提案に組み込まれ、外勤営業やプリセールスなど、さまざまな職種の人と協力して進めるスタイルになったことで当初は大きく戸惑いました。
目標数字に対して、営業戦略をどう描けばいいのか──
当時の私には仮説構築や最適な提案を見立てる力が足りていなかったんです。
また、役割の異なる人たちと一丸となって共通目標を追いかけるという、チームワークに必要なコミュニケーションスキルも磨く必要がありました。役割分担の引き方、連携の仕方、それらを正しく理解してもらう伝え方ひとつとっても、すべてが学び。もちろん、自分の行動が他人に影響してしまうことへのプレッシャーもありました。
考えるプロセスに多くの時間を費やし、思考力を鍛える過程はタフな時間でしたが、広範囲におよぶチームワークを経験するうちに、「人を巻き込んだ方が物事は進む」「自分ができる範囲も広がる」と実感したんです。
私は元来、人に助けを求めることが苦手なタイプ。しかし個人とチームの目標達成のためには、自分に足りない部分を教えてもらいたいと思い、積極的に周りに助けてもらうように変化しました。複数の方たちにフィードバックをお願いしたんです。「とにかく厳しく言ってください!」と(笑)。
ただし、自分が変わるためには、他人の意見を100%実行するのも違うと考えています。
まずは自分へのフィードバックを整理する。どこが吸収できそうか、それに対して自分はどうしたいかなど、自分のアイデアも反映させた上でアクションに移していくことが必要です。自分らしさを失うのはもったいないですし、納得できていないと、モチベーションも出ませんから。自分なりのフィードバックの活かし方を試行錯誤し、半年ほど経って成果が出てきました。
苦手だった見立てる力や思考力を武器に変えることができ、後に異動した関西の営業組織の立ち上げでは、リレーション作りに欠かせない、踏み込む強さも身につけることができました。
コロナ禍の自分を考える時間と行動でつかんだ、第二のステージ
2023年4月現在、グローバルのトレーニングチームに所属して日本と中国・大連の営業メンバーへのトレーニングを提供しています。これまでの営業経験、私の強み、今後チャレンジしてみたいことの3つが重なりあった仕事です。
この仕事に出会うまでの1年間、社内公募制を利用して人事やマーケティングチームなどいろいろな部署の選考を受けていました。面接に落ちる経験も含め、自分の強みや価値観を客観視して、アウトプットの機会を持つことが大切だったと思います。
セールストレーニングの仕事は、人に対する興味関心に加えて、現場経験を存分に活かせるため、私ならではの価値を発揮できているように感じます。グローバル方針をローカライズしてカスタマイズする際にも、日本独自でトレーニングを設計する際にも、自分の色を出していくことができます。
現場目線でいかに現場の負担なく、実践に役立つトレーニングを提供できるかがミッション。マネージャーたちとも協議しながら、組織運営にも携わっています。また、完璧なトレーニングは存在しないので、常に課題の洗い出しと改善が必要。それが次へのモチベーションにつながります。
とくに2022年は組織の変化に溢れる年だったので、セールス・イネーブルメント(営業組織の強化)は重要なテーマでした。部門長やマネージャーと連携し、フラットに意見を出しあってゼロから作る仕事も多く、やりがいを感じています。
変化を楽しむ柔軟性を持つと、外資系企業はもっと楽しくなる
当社は世の中の流れを踏まえてどんどん方向転換していく組織です。チーム編成やフォーカスポイントなどもめまぐるしく変わっていきます。大変だと捉える人もいるかもしれません。
こういった変化の背景には、いつも「お客様第一」の価値観があります。
社会の変化に合わせて、お客様にとって今、何が最適であるかが迅速に戦略に活かされていきます。その検討から決断までの早さは大企業とは思えないスピードです。
入社当時、「他社で過ごす1年が、当社においては四半期だ」と言われたことを今でも覚えています。変化の早さについていくためには柔軟性が求められますし、「先日までAと言っていたのに、今度はBになったぞ」と驚くこともあります(笑)。けれど、変化に楽しさを見出せる人には、とてもおもしろく、やりがいのある環境ではないでしょうか。個人の裁量も大きいため、戦略に沿いオーナーシップを持って物事を動かしていくことができます。
最初からやりたいことがあるに越したことはありませんが、やりたいことがなくても、それをネガティブに感じる必要はありません。大切なのは、人に相談し、助けてもらいながら、チャレンジしたいことを探す行動です。そうして出会えた仕事は楽しく、やりがいがあるものになるはずです。
私にとって目下のチャレンジは、経験と強みが合致した現在のLearning & Development分野でもっとインパクトを出していくこと。起こりうる変化を楽しみながら、オンデマンドの教材作りなどでコンテンツの幅を広げたり、あるいは、アジアパシフィックの中でも担当地域を広げたり、どんどん経験の幅を広げていきたいですね。