バンド生活と並行して、派遣社員として始まった社会人生活

▲バンド活動と並行して、ソロでもライブを実施@下北沢

高校卒業後はバンド活動に励み、夜はスタジオに入って音楽活動をしていました。稼げる仕事を探し、出会ったのが家電量販店でインターネット回線を販売する“派遣社員” でした。

都内トップの売上面積を誇る店舗に派遣され、すぐにトップの販売実績を残しました

当時はパソコン知識を持つ女性スタッフが珍しく、ご年配の方やカップルのお客様に選んでいただけたという背景もあります。また、祖父の仕事の関係で、私にとってパソコンは子どもの頃から身近な存在。Windows98のPCをISDN(電話線を使用したデジタル回線)でインターネットに接続していた記憶があります。

実績を評価され引き抜かれた次のメーカーでも成績を残すことはできたのですが、その職場では「新規契約数」が至上命題。「新規」としてカウントするために、半ば無理矢理な方法を奨励することも。事情は理解できるものの、誠実な仕事がしたいと感じて派遣先を変えました。

そうして出会ったのがデル株式会社(*当時)でした。

英語を使ってみたかったんです。子どもの頃から英語が好きで。留学経験はありませんが、物心つく前から母が頻繁に英語の童謡を流してくれたり、年に2回は海外旅行に連れて行ってもらったり。覚えた言葉が通じたときのうれしさが記憶に残っていたので、学校での授業や英検、TOEICなどの試験も抵抗なく楽しんでいました。

ただ、英語を使う仕事はなかなか見つからず……。

派遣会社から「学歴や経験がないと応募が難しい」と言われました。想像していましたが、やはり学歴の壁があると実感しましたね。学歴不問で就業できたのがデルでした

ハイパフォーマーとしての活躍、リーダーとしての学び

▲複数部署が集まって楽しむ終業後のフットサル@川崎。子どもを変わるがわる見てくれる優しい仲間たちと♪

入社後は、家電量販店での経験があったことからコンシューマーリテールビジネスへ配属されました。

家電量販店本体に納品している製品に対して、各店舗からの納期や仕様詳細、返品、お客様対応に関する相談などに電話で対応する内勤業務でした。

現場経験やパソコンの製品知識が重宝され、チームリーダーの役割も担いました。

日々の仕事も徐々にレベルアップでき、電話対応に留まらずさまざまな仕事に携わるようになりました。外部のECプラットフォームを使ったオンラインビジネスの立ち上げ、配送会社の変更時などではオペレーション業務の補佐まで担当するようになりました。

1度目の産休・育休に入るまであっという間の3年間でしたね。

復帰後は社員が担当していた仕事を引き継ぎ、業務委託のメンバーのみで対応できるようオペレーションを整備。アワードを受賞することもできました。

復帰後、私のリーダーとしての在り方に変化が起きました。

産休前、メンバーへの指導方法が厳しいとマネージャーから指摘を受けていたんです。私自身は自分が厳しいと自覚していなかったので、指摘を受けて見つめ直すことができました。それまでは、自分がやってきた方法や経験を基準に、そのまま伝えていたんですね。メンバー個々の状況や特徴によって最適な接し方が異なるんだと学びました。どうやったらその人自身の良さを活かせるか、一緒に考えて育成する方法に切り替えました。自分では気づかなかった観点に気づかせてもらい、自分自身がひとつ、成長できたと思います。

そして2度目の産休・育休中に社員登用の誘いを受けて、正社員になりました

できることを増やして楽しむ、キャリアの広げ方

社員登用後は派遣メンバーの全体統括を担いながら、オペレーションに関する業務フローの設計やロジ業務の設計を担当しました。そんな中あるとき、マネージャーから「営業(AE)にならないか」と打診を受けたんです。

でも、家電量販店での販売時に抱いた、営業に対するネガティブなイメージがすぐ浮かんでしまって。数字が必達ゆえに誠実な仕事はできないのでは……。自分にも嘘をつくような仕事はしたくないなと最初は悩みましたが、上司ともしっかり話し合った結果、納得してAEにポジションチェンジしました。

私が担うミッションはふたつ。

ひとつは、担当するオンラインビジネスの仕組みを学び、オペレーションを整えること。どうやれば効率良く、そのプラットフォームで売り上げを伸ばせるのか。次に、パソコンに不慣れなお客様からも購入してもらえるようなオンラインでの販売戦略を考えること。Web上でどうやって棚を取っていくかです。

リテールビジネスは、「在庫があって、正しい製品情報が展開されていて、ポップや広告などでお客様を誘導し、お客様が良いと感じて」購入してもらうことができます。営業チーム単独では成果が出ず、サプライ、オーダーマネジメント(納品)、マーケティングなど他部署と連携しなければ成果につながりません。数字(KPI)はありますが、KPI達成にはさまざまな要素が影響します

実は昨年、8カ月間ほどWebマーケティング業務にも携わり、広告出稿やクリエイティブのPDCAも担当したんです。本当に幅広い業務を担当しています(笑)。いろんな仕事を任せてもらっていると感じます。

派遣社員として入社した当初はExcelも使えなかったので、売掛金の処理でExcelを勉強しました。電話対応から始まり、オペレーションやロジスティックスの知識をつけ、今はビックリテーラーを担当しています。国内外の人たちの協力を受けながら、営業・Webマーケティングまで経験範囲を広げることができました。もちろん大変なプロジェクトもありましたが(笑)、自分のできることが増えて、キャリアが広がることはすごく楽しいです。

デルで求められるリーダーシップは「まず自分で進めてみること」だと理解しています。進めていく中でわからないことがあれば、とにかく周りにたくさん聞いて回ります。相手が海外の人であっても、です。知らない人でもチャットを飛ばせばすぐに返信をくれる文化なので、安心して積極的にコミュニケーションを仕掛けていくのが大事。そうすることで、やったことがない仕事だってチャレンジできるし、学びがあります。

コンプレックスを感じない。多様性が尊重される場所

▲ERG"Mosaic"で企画した「Cultural Diversity Day」のイベント。日本で働くことについてのパネルディスカッションを開催

デルのカルチャーを聞かれたら、真っ先に「多様性!」と答えます

業務委託であろうと社員であろうと、雇用形態に関わらず意見を聞いてくれますし、学歴も関係ありませんでした。自分から発信したいことを「私はこう思います」といえばみんなが聞いてくれる。それに対して、「違うよ」だったり「それは考えてこなかったよ」ときちんとフィードバックをくれる環境です。

私そのものと向き合ってくれる感覚があります。

ただ、私自身の心のなかには葛藤がありました。充実した仕事生活を送りながらも、心の奥底には「学歴がなく、能力だって高くない私が、ここで働いて良いのかな」という想いがあったんです。

そして見つけたのが社内のERG(Employee Resource Group/従業員リソースグループ)でした。

ヨーロッパなどで活動していた“Mosaic”というグループが日本でも活動を開始したので、コアメンバーとしてジョインしました。多様な文化や背景を持つチームメンバーをつなぎ、多文化の視点を大切にし、影響を受けられる環境を作るという活動方針を見て、とても共感したんです。

お互いを理解し、尊重し合い、仕事を進めていく環境って素敵ですよね。学歴や経験がなくても、英語が完璧でなくても。相手と1対1になったときに相手を見て、話を聞いて、理解し合っていけば上手くいくと学びました。

人種や言語の観点で、日本でダイバーシティを意識することはそう多くないかもしれません。それでも、なんらかの部分で自分もマイノリティだったり、他者と比較して壁を感じてしまったり……。誰もがそういう経験を持っていると思うんです。

特に、学歴や経験がなくて悩んでいる人、それゆえ前へ進めない人がいたら、私みたいな生き方もあると示していきたい。「ない」ことを悩み、卑下して、自分を制限してしまうのはもったいないですから。個人個人が多様性を理解し、自分の仕事・人生そのものをさらに楽しめらたらと願っています。

Mosaic Japanとしてはこれまでに、日本で働く外国籍の社員を招いて文化の違いを語るパネルディスカッション、インドの女性格差を知る講演会などを催しました。今後は、相互理解を深めるプログラムを展開していく予定です。