風が吹いているときに風に乗る。私の人生の選び方

──まずは就職活動、1社めのご経験について教えていただけますか?

杉岡 「学生時代はイギリスでの留学生活を楽しみ、海外旅行も大好き。旅行業界や航空業界で就職活動をし、航空券予約・発券システムのリーディングカンパニーというおもしろい会社を見つけて就職しました。カスタマーサポートとして働くなか、社内のITプロジェクトに関わることになりました。

ホストコンピューターのマイグレーションという一大プロジェクトのメンバーに抜擢され、米国ダラスの会社と仕事が始まりました。これが私にとって英語でのビジネスの第一歩でした。IT関係の仕事をしている意識はなかったですが、振り返ると、この時の経験が現在のデル・テクノロジーズでのキャリアともつながっているかもしれません」

──転職を考え始めたきっかけ、そして次の会社で、現在ご担当されているオンラインビジネスに携わることになった経緯も、詳しく教えていただけますか?

杉岡 「転職を意識しはじめたのは入社から5年ほど経った頃でした。異業界へのチャレンジは今しかできないだろうと思ったんです。当時、趣味としてワインへの興味を持っていたのですが、ワインの世界は20代にとってはなかなか敷居が高く、日常的に触れる機会は少なくて。スクールで学ぶことも考えましたが、仕事にして、そこで学んでみることを決めました。20代ならではの思い切ったチャレンジだったと思います。

そうしてワインの輸入販売を手掛ける企業へ転職し、業務を通してワインの勉強をしながら、通販ビジネスの経験を積みました。ただ、想像以上に体力勝負の業界でしたし、特にボジョレーヌーボーが解禁する11月から冬にかけては繁忙期。早朝から深夜まで休む間もなく働きました」

──具体的にはどんな業務を担当されていましたか?

杉岡 「直営サイトの運営はもちろん、電話受注、商品遅延のクレーム対応などカスタマーサポートの業務にも携わりました。

そんななか楽天市場の開設を手掛けることになりました。なんと担当は私ひとり。デイリーで数字を分析し、売れ筋商品を用意しつつ、メールマガジンの配信、商品撮影やバナー制作などクリエイティブもひとりでやりました。

お客様はネットからオーダーできても、『売り場がオンライン』というだけで、ご注文を受けたあとのこちら側の業務は実はかなりアナログ。毎日がてんやわんやで過ぎ去っていきました(笑)。慌ただしくも充実した日々を過ごしていましたが、家庭の事情で宮崎へ転職することになりました」

思いがけないデルとの出会い。任せられた仕事の重さ

日中合同のチームランチ

──宮崎の企業を探し始めた頃、日経新聞の記事を発見したそうですね。

杉岡 「“デルが宮崎にカスタマーセンターをオープン”とありました。IT業界や商材には詳しくありませんでしたが、英語が使えるマーケティング職はおもしろそうだと思って応募しました。

『宮崎での仕事を探し出したら、不思議なご縁と巡り合わせがあり、そしてデルに出会った』という感覚
です。マーケティングチームが組織として本社に戻ってくるまでの2年半ほど宮崎ライフを送り、そのあともデルで15年以上勤務してきていますが、それはこの環境が大好きだから。退屈することのない毎日をずっと過ごしています」

──杉岡さんがデルに入社し、最初に担当した仕事はInspiron製品(ノートPC)のサプライ&デマンドマネージャーだったそうですね。

杉岡 「サプライ&デマンド(需要予測)の仕事は未経験でした。未経験のIT業界で、さらに未経験のサプライ&デマンドの仕事なんて!自分にとって、デルのキャリアは『神風が吹いた』ように始まりました

入社後に驚いたのは裁量権の大きさ。担当製品のサプライ担当者は私だけ。未経験の私が、このノートPCは来月何台必要かを決めていくわけです。もちろん、決定のためのスキームやプロセスは存在しますし、セールスチームなどからも必要な情報をもらいますが、「サプライ&デマンドマネージャー」の自分が主導していかねばなりません。慣れるまではとにかく必死でしたし、楽しさが分かってきたのは1年以上経ってから。試行錯誤のなかでたくさん失敗も経験しましたね。

モノの供給をサポートする上で、自分起因ではないトラブルが多々発生します。パーツを供給するサプライヤー都合や工場のミスなどで商品遅延や商品不良が起きた場合も対応していきました」

──思い出深いプロジェクトはありますか?

杉岡 「カラーバリエーションがあるノートPCが発売された時のことですね。業界でも珍しい商品展開は過去事例がなく、色ごと・サイズごとに需要予測を立てることがとても難しいケースでした。パーツ入庫が安定せず、製造スケジュールが見えない状態。お客様が楽しみにしているのにトラブル続きで、入荷が数カ月待ちになってしまい、具体的な入荷日の見通しが立たない状態。数字を見極めて見立てを修正し、営業チームやマーケティングチームと連携するなかで怒られることもありました。

なぜこんな大変な仕事をやっているのだろう……。と感じることもありましたし、会社に行きたくないと思う時だってありました。それでも、厳しい時期はずっと続くわけではありません。数カ月が経って製品の供給が安定してくると、勘所の良さもあり、未経験なりに『需要予測』のコツが分かるようになってきました。むしろ、進捗が順調だと過信して確認作業を遅らせた時こそミスが起きてしまうんですよね。さまざまな出来事を経てトラブルにも動じなくなりました」

──段々とコツを掴んでこられたんですね。未経験でありながらそれだけの大きな裁量権を持って働くことは重圧でもあったと思いますが、続けられた理由をもう少し教えていただけますか?

杉岡 「サプライ&デマンドの仕事は、営業やマーケティングなど複数部門と仕事をします。頼れる人を持っておくことが大事。いろんな人にとにかく聞いて、キャッチアップしました。デルの人はみな素敵だなと思っています。

ダイレクトビジネスメインだったデルが、リテールビジネスを始めた時のこと。1件あたり数件規模のスモールビジネスとは反対に、量販店のお客様からは数万台の発注が入ります。これまでとはまったく規模が異なり、新しい仕事にてんやわんやの日々でした。今や大企業のデルですが、現場はベンチャー精神で進めていくことが多々あります。物事が決まった時に、そのために必要なセットやバックエンドの準備が整いきっていないケースも。とりあえずやってみよう!というスタンスでやりながら学んでいくことが求められました。

万事が順調だったわけではないですし、モノがないのに販売を続けてしまうという大きなミスで謝ることもありました。会社にも関係者にも迷惑をかけながら、成長させてもらったと思います」

スペシャリスト志向だった私が感じた、マネージャー職の楽しさ

──その後、サプライ&デマンドからオンラインビジネスのポジションに異動されていますね。

杉岡 「マーケティングチーム組織内で横のつながりもあり、私の前職での経験や、オンラインビジネスをもう一度やってみたい想いを知ってもらっていたので、空きポジションが出たと誘ってもらいました。

まずは中小規模のビジネスセグメントを担当するオンラインビジネスマネージャーとして経験を積みました。そして今は個人のお客様向け(コンシューマー)ビジネスと中小規模の法人のお客様向け(スモールビジネス)の両方のオンラインビジネスを統括するシニアマネージャーを務めています。

コンシューマービジネスとスモールビジネスは、マーケットとお客様は異なりますが、スモールビジネスは個人事業主も多く、一般的な個人のお客様と同様に価格に敏感であるなど特徴も似ています。この二つのビジネスを見ることで、双方に良い影響を生み出すことができています。デメリットとしては、物理的に時間がなくなること(笑)。それでも、マネージャーの立場での仕事にやりがいを感じています」

──もともと杉岡さんはマネージャー志向だったのでしょうか?

杉岡 「管理職を志したことはありませんでした。スペシャリストのプレイヤーとしてステップアップしていくつもりでしたので、マネージャーにならないかと打診されて初めてその道を考えましたね。

自分では考えていなかったキャリア
だからこそ、選択しました。人生の岐路で私はそういう判断を大切にしています。今までもそうですね。宮崎に引っ越す必要があり、偶然デルの募集を見つけて、今があります。「風が吹いているときにその風に乗ったほうが上手くいく」と思うんです。

管理職へのオファーが来たということは周りにそう評価されている(それができると思われている)から。だったらチャレンジしてみるべきだなと。自分で希望していなかった、想像もしていなかったことにチャレンジするほうがおもしろそうだと思いませんか?」

──とても素敵な捉え方ですね。マネージャーになってみて、ご自身に変化を感じる点はありますか?

杉岡 「スペシャリスト志向だった私ですが、視点を変えるとマネージャーになったほうが『できること』って多いなと思ったんです。自分ひとりで動くには限界がありますよね。やりたいことをもっと増やそうとすると、誰かの力を借りる必要があります。マネージャーの立場に就いて、誰かと一緒に目標を実現させることに魅力を感じました

実際マネージャーになって感じたことは、『マネージャーじゃないと分からないことがある』ということ。マネージャーだからこそ入ってくる情報があり、考えることがあります。会社から下りてくる情報に対して、なぜそのディレクションが出ているのか、背景がより分かる。会社が進む方向や施策への納得度も、より一層持てるようになりました。そういった情報にアクセシブルになる点も、マネージャーポジションならでは。

上層部とのミーティングに参加する機会も増え、たとえば重要指標など、耳でわかっていたことの実感が強く持てるようになりました。経営サイドの考えが分かるようになり、自分の世界も広がりました」

──マネージャーとして、今はどんな目標を掲げていますか

杉岡 「今の目標は自分のチームを強くすること。新たな採用枠が取れたとしても、ただ人が増えたら良いわけではありません。『どういう人が良いのか?どういう配置が良いのか?』を考えます。

また、それらも私ひとりで考えるのではなく、メンバーと話し合い、メンバーにも考えてもらうことが良いチーム作りにつながります。メンバーとして自分の業務中心だった人も、新しい人が入った時にどうするかを考えることがきっかけで、その人の視点が広がる。新しいメンバーを通して、コラボレーションやチーム運営を考えて既存メンバーの成長をも生み出せる。やればやるほど、マネージャーの仕事が楽しくなってきました。今も毎日そう感じているところです。

機会を与えてメンバーをプロモーションさせてあげられることが嬉しいですし、苦戦していたメンバーがロールチェンジをした結果、年度末のフィードバックで他のチームの人から良いコメントが返ってくると、それもとても嬉しいんです。彼・彼女の頑張りが認められることが誇らしく、変化や成長を間近で見られることがマネージャーの醍醐味だなと思います。

今回のマネージャー職に限らず、デルでは、新しいことへのチャレンジは終わらないなと感じます。ひとつクリアすると、また次のチャレンジがやってくるんです。それがこの会社の素晴らしいところですね、まったく退屈しません(笑)」

デルで求められる、空気を読まない個性的な人

──一緒に働きたいと思う人はどんな存在でしょうか?

杉岡 空気を読まない個性的な方ですね!デルはフラットで多様性を受け入れるカルチャー。私はこのデルらしさが大好きなんです。他の人の意見を尊重し、お互いに意見を言い合える環境。出る杭は喜ばれるこのカルチャーのおかげで15年以上も働いています。まさに私自身が空気を読まない個性的なタイプ(笑)。そんな私をデルは受け入れくれています。

例えば、私はオンラインビジネス担当ですが、自部署以外のことで意見してもそれが理にかなっていれば受け入れてもらえます。良い意見はいつでも歓迎されます。遠慮する必要はなく、どんどんアウトプットしていけばOKです。

これまでも意見を言い合える環境で私自身が育ってきたので、私もメンバーから意見を聞きたい待ちの姿勢ではなく、一緒に働く人にはそういう姿勢であってほしいですね」

──デル特有のカルチャーということですね。

杉岡 「デルではよく、上の人から『Askしろ』と言われます。何がやりたいかを尋ねてくれて、『私に何かできることはない?』『サポートできることはない?』という問いかけは普段からしょっちゅう出てくる質問。日々の業務でも、実現したいキャリアプランでも、メンバーがやりたいことを実現させる手助けをするのがマネージャーの役割だと捉えています。

例えば、楽天市場とPayPayモールの専任者を採用し、チームを増員したことがありました。これはメンバーからの意見を実現させたプロジェクトでしたし、それで入社した方が毎年ビジネスを伸ばしてくれています。私ひとりではできなかった取組みです。立場に関わらず、自分にはない意見やアイデアを聞くことがチームとして前進する秘訣だと改めて感じた出来事でした。

人がいないからできないのではなく、いないならどうしたらいいか?を考えて動くことが大切。現場の声を上にあげて、説得し承認をもらって、現場を動かすのがマネージャーの仕事ですね」

──マネージャーとして、多様なチームメンバーから意見を常に聞いているということなんですね。

杉岡 「ええ。そしてこの先も、チームみんなで意見を出し合い、さらに強いチームを作っていきたいです。ミーティングでどれだけビジネスタイムが埋まっていたとしても(笑)。メンバーを最大限支援して、みんなでビジネスを成功させたいフラットで多様性を認めるカルチャーをこれからも楽しんでいきたいです」