エンジニア業界を離れ、営業経験を積もうと決意

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私は大学卒業後、インフラエンジニアとして就職しました。顧客先で常駐するヘルプデスクや、通信会社のデータセンターの基盤運用・構築を手掛けました。しかし、実は入社前から営業を希望していて、20代も後半になり、やっぱり営業を経験したいという想いが強くなったんです。

エンジニア派遣を行う自社においては営業のヘッドカウントが少なく、実際に異動できるチャンスも少なく、転職を決意。そして、不動産会社の法人営業に就きました

ビジネスの第一線で経験を積むには、営業職が最適だと思っていたんです。お客様の課題を聞き、最適なアプローチの仕方や解決方法を考えて、さらに売り上げやコスト・マージンといったお金の流れや感覚までバランスよく学べますよね。若いうちにそういった経験をする必要があるなと。なかでも不動産営業を選んだ理由は、実力主義で鍛えられると思ったからです。

IT業界以外の世界も見てみたい」と思っていました。システムを作る側にどっぷりと浸かるうちに、自分の仕事がユーザーにどう享受されているかまで考える余裕がなくなっていました。仕様書を元にどう動かすか、新しい技術にどう対応するか、といったシステムの裏側しか考えることができず、仕事の実感がどこか持てなくなっていました。

社宅の法人営業を行い、企業の福利厚生に導入してもらう提案・建設現場のマンスリーマンションの提案を日々行いました。当時はエリアごとの担当だったため、横浜エリアにあるさまざまな業種や従業員規模の顧客を担当しました。限定された顧客群ではなかったおかげで、相手によってコミュニケーションや提案の仕方を変えるスキルを磨くことができました

アナログな世界に入って体感したIT化の重要性

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不動産業界に入り、そのアナログさに驚きました。契約書や経費精算、勤怠、顧客管理など社内システムの観点はもちろん、個人レベルでも紙媒体が主流でPCやシステム関連の小さなトラブルに困るケースを日々たくさん見かけて痛感したんです。

IT化が進んでいないとこんなに非効率になんだと……。業界を離れたことで、ITがどれだけ必要不可欠化であるかをまさに気づくことができました。企業にとっても人にとっても、今後ますますITへの依存度が高くなると思いました。

気づきに加えて、離れてしまったことに対して心の中で葛藤がありました。当時は若さゆえの勢いもあって、別の業界にチャレンジしましたが、IT業界でやり残したことがあるのではないかとずっと感じていました。

そして、新しく身に付けた営業スキルを持って、「ITの将来性を企業に提案したい」と思うようになりました。

次の転職はIT業界に的を絞り、業界内では特定領域に限定せず、ハードウェア・SaaSやクラウドなどいろんな企業の面接を受けました。

ただひとつ決めていたのは、「入社してから自分次第でいろんな可能性を広げられる会社」であること。実際にその会社で営業したことがない中で、商材やサービスに自分がフィットするか不安がありました。SaaS系やクラウドサービスがトレンドでしたし、給与やブランディング観点でも魅力的でしたが、ソリューションの範囲がある程度限られていたり、パッケージ化されたソリューションが主体であった場合、入社後にさらにITの興味範囲が広がってしまった場合、外に出る(転職する)しかないのでは……と。

これまでやったことがないことにチャレンジするからこそ、入社後の経験の中で変化していく興味、貢献できる範囲、キャリアの可能性の選択肢を狭めたくなかったんです。

その点デルは、メインになる商材はハードウェアですが、全てのITサービスの基盤となるインフラをメインで扱っている分、その上に乗せるアプリケーションやサービス、運用といったITシステム、サービスの全体に目を向けて考えていく必要があります経験や意欲といった自分次第で、関われる範囲が広がる

社内公募制という制度にも惹かれました。最初は目の前の仕事に全力投球で取り組んで結果を出すことは当たり前ですが、その過程の中でさまざまな人と関わりながら自分の将来の専門(やりたいこと)を見つけられるって魅力だなと。

人って、経験したことによって多少なりとも価値観や考え方、目指す方向が変わっていくと思うんです。

未来の自分を縛りたくない。未来の可能性がいちばん広いデルに入社を決めました。

インサイドセールスとして、外勤営業・技術セールスとチームを組んで大企業のお客様を担当しました。

面接の際に記憶に残っているのは、デルの営業姿勢が「カスタマーファースト」である話。面接官に「売上が厳しいときに少し強引にでも自社の目先の利益を取るか、お客様の利益のどちらを優先しますか」という質問をしたときに、「お客様との付き合いは短期的なものではなく、中長期的にWin-Winな関係性を構築するべきだと考えています」と教えてもらいました。その回答は決して面接トークではなく、普段の現場でも、個々の営業メンバーがそのマインドを持っていて、組織の共通文化としても根付いていると感じます。

人の良さも面接で感じた雰囲気そのままだったので、入社後のギャップは特になかったです。

驚いたのは、3年間IT業界を離れている間に知らない技術がたくさんあったこと。技術進歩の早さに驚きました。IT業界で働くことのおもしろさ・やり甲斐は尽きませんね。

営業現場でもスピード感が溢れていました。営業個人に裁量が任せられているので、自立して動くことができます。事務的な手続きや社内承認など、とにかくスピーディに進められるので、常にお客様へクイックに対応でき、自分でどんどん進める楽しさがありました

不動産営業を振り返ると、人となりを認めてもらい、場の雰囲気に頼って提案していた部分がありました。インサイドセールスの場合、そうはいきません。

声だけ、メールだけ、という非対面な世界で提案しなければなりません。言葉のニュアンスによって捉え方が異なることもありますし、その捉え方がコントロールできないリスクもあります。細かい点まで気を使いながら、リモート環境で信頼を獲得し、価値を感じて対価をもらうのが仕事です。普段のやり取りにもロジカルさが求められますし、このような条件下での商談だからこそ、お客様から評価をいただけた際の喜びはとても大きいです。

当時は複雑な案件・大型案件の場合、対面商談に移行していくケースもありましたが、現在はオンライン商談が主流になり、インサイドセールスが大型案件・複雑な提案においてもチームの中心を担える機会はさらに多いと思います。

営業キャリアも充実する一方で、3年後に人事へ異動しました。「人事になりたい」という想いよりも、これまでの経験を活かしながらさらに視野を広げて貢献したいという想いが強かったです。一度きりの人生ですし、エンジニア・不動産営業・IT営業の経験すべてを活かして、新しいチャレンジも良いなと思っていたんです。

キャリア公募制のデルに入ったからには自分の可能性を最大限広げよう」という考えがあって、いつか来るチャンスに向けて入社時から準備をしていました。他部署の人に1on1をしてもらう機会も積極的に作りましたし、さまざまな可能性を見据えて社内ネットワーキングも行っていました。

バックオフィスのポジションに興味を持った理由は、特に外資系企業において現場経験を持つバックオフィスの人はそこまで多くはなく、現場のことが分かることは強みだと思ったんです。

現場を知っている自分だからこそ潤滑油になれるなと。潤滑油となって、チームやプロジェクトを動かしていくことに魅力を感じました。

異業界・異職種の経験こそが新しい風になる

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内定者懇親会を開催

まずは新卒採用の担当になったのですが、ちょうど新卒採用が拡大する変革フェーズでした。採用部門が3倍程に拡大し、受け入れが初めての部署のサポートが必要でした。採用基準の定義から入社後のトレーニングまで全てが求められました。

本来ならば採用担当の仕事の範疇外とも言える部分もありましたが、そういった部分も現場の人たちと連携し、初年度の一連のサイクルと一緒に回しました。

外資系企業の業務は縦割りだとも言われますが、業務を区切ることが100%正解だとは思いません。担当業務ではない分、関わり方のバランスは調整が必要ですし、協業相手に背景を理解してもらう必要はあります。でも、業務範囲を広げることは無駄なことではないですよね。自分の経験が増えれば、翻って自分の仕事にもプラスの影響があると思うんです。

採用業務それ自体も、1人で解決する仕事でもありませんし、現場の協力なしには進みません。会社としての全体最適を考えれば、自分の関わりを増やして相互に影響し合うほうが良いですよね。

この考えは僕自身の生き方が反映されているかもしれません。IT業界一筋ではなく、回り道をした自分だから「無駄なことってないな」という想いがあります。

キャリアの遠回りをすると、一貫したキャリアと比べて経歴書としてきれいとは言えないかもしれません。でも、遠回りして感じたこと・学びが人生に彩りを加え、豊かなものになっています

他業界での経験があるからこそ、いろんな視点で物事を捉えることができます。例えば誰かの意見を聞いたとき、この立場ならどう思うか?をイメージしやすい。ずっとIT畑だったら、ITに精通した人の意識や見方が先行してしまうと思うんですね。人それぞれの立場に立つこと、それを踏まえてアクションが取れることは、多様な経験のおかげだと思います。

そして見つけた自分の専門。次のキャリアの広げ方

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エンジニア、営業、採用を経験して、今後はこの人事領域でキャリアを広げていきたいと思っています。人事の仕事は想像以上に刺激的で学びが多い。働くことは人生の大きな部分を占めますし、転職は一大イベント。求職者の大事な部分に携わり、その人を通してたくさん教わります。人の数だけバックグラウンドや考え方があり、自分では気づけなかった視点を学ぶことができる

普段の業務においても、入社後の活躍まで見据え、ギャップを生まないよう丁寧にリレーションを築きながら納得したうえで大きな意思決定をしてもらう。そして、実際に活躍している姿が見ることができる。非常にやり甲斐ある仕事です。

インフラエンジニアだった当時、自分のキャリアがこんな変遷をすることは想像もしていませんでした。不動産営業をしていた時も、IT業界に戻ることを決めた時も、です。可能性の幅が広いデルを選び、自分から手を挙げて異動するなど、さまざまな経験を積める環境に感謝しています。

「やりたいこと」が描けずに悩んでいる人もいると思うので、まずは目の前の仕事に全力で取り組みながら、さらに先の未来で「やりたいこと」を考えていけば良いチャンスが来たタイミングで自ら動く、という働き方があることを伝えたいです。焦らなくても、なりたい自分をデザインしながら日々の仕事を積み重ねていけば、毎日も未来も楽しいものになると思っています。