マンション管理の「あした」をつくる──裾野の広さが新たな可能性に
建物の高経年化、住人の高齢化、従業員の高齢化、ビジネスモデルの老い──マンション管理業界における「4つの老い」を課題に挙げ、新しい事業のカタチを模索する大和ライフネクスト。
未来に向けた課題解決に取り組む次世代ソリューション推進課で、新規事業や社内向けデジタルツールの導入、Well-beingソリューションの開発などを手掛ける木綿 秀行は、「新しいアイデアをフラットに提案できる環境」だと、大和ライフネクストにおける業務の醍醐味を語ります。
木綿 「『次世代ソリューション推進課』は、ITを使った業務効率化に留まらず、次世代につながるあらゆる可能性を模索する部署です。経営ビジョンにもある『あしたのあたり前を、あなたに。』という言葉にも直結しますが、3~5年後を見据えた、近い将来に向けたソリューションを検討しています」
前職でも新規事業の創出に取り組んでいた木綿。これまで培ってきた力を大和ライフネクストで発揮することの意義を、このように語ります。
木綿 「マンション管理は人々の生活に密着したビジネスで、関わる人や事業が非常に幅広い。その裾野の広さから、さまざまなアイデアが出せることに魅力を感じています。
新しいことを自分で考えて動いていくことを歓迎する社風ですし、中でも『次世代ソリューション推進課』の仕事は、自分の仕事を自分でつくっていく側面があります。ラフな言い方をすると『言ったもん勝ち』。それが魅力だと感じています」
前職で直面した危機感と悲壮感をバネに、新たな価値観の創出へと突き進む
修士課程まで化学を学んだ木綿は2002年、大手電機メーカーに入社。エンジニアとして開発を担当するうちに家電分野に興味を持ち、2006年にマーケティング部門へ。順調にキャリアを重ねていた矢先、事業への考え方を変える転機が訪れます。
木綿 「海外向けのテレビ商品企画を担当したとき、海外メーカーの勢いに押されて事業規模縮小になったんです。大きな波に抗えず、優秀な先輩社員たちが会社を去っていきました。
自分の無力さを感じましたし、事業の方向性を間違うことの重大さ、新しい事業を生み出していくことの必要性を痛烈に感じました」
「新しいことを生み出して、人の役に立ちたい」。テレビ事業で直面した強烈な危機感と悲壮感が、木綿を新規事業創出の道へと突き動かしていきます。
次に異動したメーカーEC部門では、新しいマーケティング手法や商品企画などを多く手がけました。動画マーケティングやクラウドソーシングの活用、異業種とのものづくりコラボで新たな価値を生み出し、実績を重ねていきます。
木綿 「自ら行動を起こして周囲を巻き込む力は、この時期にたたき込みました。新しい価値観というのは、ニーズが顕在化しておらず、事業活動に反映させるのは難しい。でもそれを実行していくために、周囲の共感を得て、巻き込んでいく必要があるんです」
2013年には大きな転機がありました。デジタルカメラのデザインをクラウドソーシングで募集し、大きな話題を呼んだのです。
木綿 「スマートフォンが普及し始めた時期で、デジカメには撮影機能以外の付加価値が求められていました。そこで外装デザインでの差別化を考えました。それも、㈱ランサーズとタッグを組んで、クラウドソーシングでコンペを開催し、50種類を商品化することにしたんです」
最初は不安もあったと言います。
木綿 「(当時、ランサーズの)山口豪志さんは『300提案くらいは集まるのでは?』と言ってくれましたが、内心『40提案しか来なかったらどうしよう』と。ところが、最終的には1,300以上も提案が集まったんです。当時の最多記録を大幅に更新したと聞きました」
この取り組みは、オープンイノベーションの好例として、世の中へ大きなインパクトを与えました。社内外から注目が集まり、人脈もより一層広がって、木綿はさらなる新たな価値創造へと突き進んでいきます。
2016年には本社技術事業部門へ異動し、オープンイノベーション推進や新規事業立案を担当しましたが、2018年に退職。翌年大和ライフネクストに入社しました。
木綿 「介護事業へのIoTサービスの導入に携わる中で、社会課題の解決に強い興味を抱きました。ただ大企業の本社部門では、スピード感や求められる事業規模に齟齬があったのも正直なところです。
そんなときに大和ライフネクストを知りました。面接で直観的に『課題解決型の新規事業に挑戦できそうだ』と感じたんです」
社員の「人間力」をもっと生かしたい。Well-being向上の実証実験
大和ライフネクストに入社後、印象に残っているのは「人間力」だと木綿は語ります。
木綿 「大和ライフネクストに来て驚いたのが、いい人が多いということですね。きつい仕事に対しても前向きに取り組む。それも社内の内向きな評価ばかり気にするような人はおらず、素直にお客様のほうを向いて仕事をしている人が多いと思います。
お客様対応の中では当然難しいシーンも出てきますが、明るく情緒的に接すると言いますか。人が誰でも持っている感情の部分をうまく受け止めて、コントロールしながら仕事をしているところが魅力であり、強みだと感じました」
こうした人間力の高さを、より事業活動へ反映させるために、木綿は「従業員の Well-being 状態の可視化」と「パーソナリティ分析」を組み合わせた実証実験を始めました。
世界初の技術を活用した「従業員のWell-being状態の可視化」と「パーソナリティ分析」を組み合わせた組織パフォーマンス向上の実証実験開始(PR TIMES)
木綿 「Well-beingとは、WHOが定義する『ココロ』『カラダ』『キズナ』が十分に満たされている、幸福な状態のことを指します。大和ライフネクストの社員がそれぞれ、スマホアプリを通してココロ・カラダ・キズナの健康度を可視化し、自分自身でスコアを上げられるようなプログラムを開発していこうとしています。元々は健康経営の更なる拡充施策として考え始めました。
アプリそのものは友人が立ち上げたSocial Healthcare Design ㈱が手掛けています。世界初のWell-Beingにおける健康度のスコア化と、脳科学に基づいたパーソナリティ分析ができる、というものです」
現段階ではまだ詳細を公開できないものの、まさに0から1を生み出す渦中で奮闘中だと話す木綿。
木綿 「予想外のことも頻発し、スピーディーな軌道修正が求められている状況です。また『可視化すること』の威力も大いに実感しているところですね。取り組みはまだ始まったばかりですが、この実証実験を通して得るものは大きいと確信しています。
今後は、各自のセルフマネジメント向上施策のほか、互いのパーソナリティの情報をコミュニケーションに生かすことで、チーム力を向上させるような取り組みも考えています」
自ら突き進む姿から、新たな可能性創造の好循環を生み出していく
大和ライフネクスト、ひいてはマンション管理業界の課題として、木綿はアナログとデジタルの融合について語ります。
木綿 「完全にアナログなところへ中途半端にデジタルを入れると、かえって工数が増える場合があります。たとえばマンション内の集会室を予約するときに、管理事務室で紙に記入すれば済んでいたものを、ウェブで仮押さえをしたうえで結局管理事務室に届ける仕組みにしたら、手間が増えるだけですよね。本当の意味で効率化できる仕組み、という意味で難しさがあります。
また単なる効率化ではなく、付加価値をつけることも必要です。これはまさに私が考えている新規事業で、必ずやり遂げようと考えています」
さらに、社員が気づいていない大和ライフネクストの魅力がたくさんあるはずだという木綿。気づきを得て、ビジネスチャンスを生み出していくためには、横のつながりを持ち、お互いの仕事を理解し合うことが大切だと指摘します。
木綿 「事業部の垣根を越えていきたいですね。かしこまる必要はなくて、定期的に集まるオンライン飲み会のような形でもいいと思います」
木綿自身も、事業を越えて社員が集まる場を生み出しています。
木綿 「スタートアップの起業家などをお招きして、新規事業やマーケティング、組織変革に関する勉強会を開いています。大和ライフネクストの社員にもっと新規事業のことを知ってもらい、共感や気づきを得てもらうために始めました。
まだ手探りなところがありますが、外部からインプットやインスピレーションを得る場でもあり、異業種との化学反応から新たなビジネスチャンスを生むための場でもあります。同時に、大和ライフネクストの社員が事業の垣根を越えて集まり、お互いを刺激しあえる空間にしていけないかと思っています。
それに加えて、これからは私自身が実際にアイデアをカタチにしていく姿を見せることも大切ですね。Well-being向上の実証実験の取り組みが、大和ライフネクストでの第一弾になります」
木綿自身が率先してアイデアを形にする。そのアイデア・価値観に感化された人材が、新しい可能性をどんどん創造する。そんな良い循環を作り、マンション管理業界の「あしたのあたり前」をカタチにするべく、木綿は人を巻き込みながら前進していきます。