「損して得(徳)を取る」 営業マン。資格と知識を活かし、信頼を得る

▲2011年、高校時代に所属した野球部の友人の結婚式にて

2021年6月現在、大和ライフネクスト株式会社(以下、大和ライフネクスト)シニアライフデザイン課で、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった施設の紹介サービスを行っています。業界的には「紹介会社」といって、入居希望者様と施設をマッチングしていくサービスです。入居希望者様からではなく、施設側から紹介手数料をいただいて運営しています。

車で見学同行も行い、ご家族のご相談に乗りながら、医療的な側面も考慮して総合的に合う施設をご提案し、ご入居までサポートします。

当社では2019年に「プレシャスライフ相談室」というシニア向けサービスの総合窓口を設置しました。例えば、施設の入居に際して、家具や家電の販売を行っている部署と連携して、お部屋のトータルコーディネートも行っています。元の住まいを売却する場合も、不動産仲介の部署を通じてお手伝いできます。他にも、家事代行や空き家管理、相続税対策まで、お困りごとをワンストップでサポートできます。こうしたトータルサービスを提供できるのは、大和ライフネクストならではの強みですね。

私が介護業界に興味を持ったのは、祖母との思い出がきっかけでした。小学生のころ、近所に住んでいた祖母に一時期食事を届けていました。そこで「おばあちゃんは自分で作るのが大変なんだ」「お手伝いが必要な人がいるんだな」と気付いたんです。また、そのすぐ後に祖母が脳卒中で倒れたときも、デイサービスの迎えに来た職員の方が発見したそうで、そこから高齢者の暮らしについて考えるようになりました。

大学は社会福祉課程に進学し、その後社会福祉士の資格を取得しました。「ソーシャルワーカー」ともいいますが、介護現場で働くというより、困っている方に社会資源をつなげていく仕事で、私自身もそれが性格に合っていると感じていました。

大学卒業後は、営業が向いていると思っていたところにご縁もあって、マスクや衛生材料などを扱う医療材料メーカーに入社しました。医療機関や介護施設の営業担当をしていたのですが、前職で培ったのは、目先の効率だけにとらわれずに、「損して得(徳)を取る」精神です。

人の気持ちというものは複雑で、効率的に進めようとしても、相手の納得が得られなければ逆にうまくいかないことも多いですよね。営業も介護もそうですが、多少遠回りに見えても、労を惜しまず着実に信頼を得ていくことで、結果的に効率良く進むこともあると考えています。 

葛藤の多い施設入居。それでも、納得の住まいが見つかるように

有形商材の仕事から、無形商材の仕事にシフトチェンジして、スタイルの違いによる力不足は嫌というほど実感しましたね。

前職では、商品について知識のある看護師さんや介護士さんに提案をしたのですが、高齢者の方々やご家族で、仕組みや制度を理解している方はあまり多くありません。そういった方々に施設をご紹介するにあたり、介護サービスや施設の仕組みをきちんと伝えるためには、自分がしっかりと理解していなくてはなりません。

そのため、先輩社員に同行してどのような言い方をしているか、何をどう伝えるといいかなどを実際に体感して学びました。

お話をする際には、お客様が具体的にイメージできるように話をすることを心がけています。お客様自身の葛藤を少しでもなくし、納得していただけるようにしなければいけないからです。

実情として、自ら進んで施設に入りたいと思う方は、ほとんどいません。ご本人ではなくご家族が施設を決定するケースが多いですし、ご本人が決断された場合でも、葛藤しながらも入居時に「最後の住まいに出会えてよかった」と思えるのは全体の2,3割ぐらいだと思います。

我が家で暮らす、そんな当たり前のことができなくなる。その現実を受け入れられず、気持ちが追いつかないケースが圧倒的に多いのではないかと思います。

そんな葛藤を抱えているお客様に、納得していただける住まいをご紹介するのが私のミッション。最初は後ろ向きな気持ちから始まることが多いですが、最後には「入ってよかった」と少しでも前向きな気持ちになっていただけるよう心がけています。

紹介会社もソーシャルワーカーもいわば「社会資源」。その社会資源である第三者が仲介に入ることで、施設入居も円滑に進むようになると考えています。大和ライフネクストを介することで、少しでも安心できる住まいが見つかることを目指しています。

目の前の労を惜しまない──最後の住まい探しに欠かせない想い

▲仕事中の様子(撮影のため一時的にマスクを外しています)

この仕事にやりがいを感じる瞬間は、数えきれないほどあります。

今でも忘れられないのは、とある90代の女性のお客様のことです。私が関わる数年前にご主人を亡くされて、身寄りがなく、持病で入院されていました。はじめは非常に厳格な印象で、どうすれば信頼をいただけるかと悩んだのですが、車椅子を押しながら一緒に施設を回っていく中で、「あなたしか頼れない」という言葉をいただくようになりました。

そして入居先が決まったとき、封筒に入ったお金を渡そうとしてくださったのです。「受け取ってもらわないと、私は死に切れない」と言って……。もちろん受け取れないので、押し問答になってしまいましたが、最後の住まいが決まった安心感や、私を信頼してくださったその気持ちを十分に受け取らせていただきました。

残念なことに、その2か月後くらいに亡くなってしまったのですが、できることなら、施設を気に入っていただけたのか、どんな思いで過ごしていたのか、聞きたかったですね。

当社では、お客様が入居してから3か月ほど経った段階でアンケートを送り、施設の状況はいかがだったか、ご満足をいただけているか、伺っています。そこで「齋藤さんと出会えてよかった」と書いていただけると本当にうれしいですし、この仕事をしていてよかったと感じます。

こうした最後の住まいを決める仕事は資格が必要なわけではありませんが、仕事に対する想いは欠かせない仕事だと思っています。

ビジネスだからと、目の前の効率にとらわれるとうまくいかない業界だと思います。

遠回りに思えても、目の前の労を惜しまない。この仕事では特に、ご本人やご家族が、きちんと納得感をもって決断できるようにするのが大切だと考えています。そのために必要なことであれば、 他人からは無駄なことのように見えても、労をいとわずに取り組む。その中で成果が出て、結果的に効率や利益にもつながると思います。思わぬところで次の話につながったりもしますね。

そこだけはブレずに仕事をしています。

プロフェッショナルの知識と個性を伸ばし、信頼される相談員を育成する

▲課の仲間たちと。左から2番目が本人(撮影のため一時的にマスクを外しています)

お客様から信頼される存在になるためには、知識も欠かせないと私は考えています。

最後の住まいを見つけることは人生の中の大きなできごとですから、お客様の不安を払拭できる、安心を与えられるだけの知見が必要です。少なくとも介護の知識や情報を一定以上持っていなければ、紹介会社の相談員としてお客様の前に出るべきではありません。 

大和ライフネクストには、それぞれの想いを持ったメンバーが多いのですが、知識や経験値といった面では、まだ個人差があることは否定できません。これからさらに教育環境を整えて、知識の底上げができるようにしていきたいと思っています。

すべてのメンバーが一定水準の相談スキルを持ちつつ、それぞれの個性を活かしていく。プロフェッショナルとしての知識と個性、このふたつのバランスが取れているのが理想だと考えています。

私自身、すべての人に自分が支持されるとは思っていません。私とは合わないお客様がいたとしても、別のメンバーとはよい関係を築けることもあると思うんです。

だからこそ、個性を伸ばしつつ知識という下地を整えていくことで、幅広いお客様に対して安心感を与えられると思っています。

当社はマンション管理から高齢者への住まいの情報提供まで幅広く行っていて、お客様も小さなお子様からご高齢の方まで多岐にわたります。

多世代に影響を与える大和ライフネクストにおける高齢者向けサービスの社会的意義は大きいと感じています。

最近は、マンションにお住まいの方からのご相談はもちろん、当社のマンション管理員の親御さんたちの相談も増えています。建物管理だけ、あるいは高齢者向けサービスだけ留まらない事業や知見が、世の中から求められていると感じています。

最初の住まいのご提供から、毎日の暮らしのサポート、最後の住まいを見つけるところまで、トータルでサービスを提供できる。その強みを活かしつつ、相談員が持つ「人」の強みを伸ばし、これからもお客様の人生をサポートしていきたいです。