「社会にとって自分たちの役割とは」新規部署で意識しているCSRの視点

以前は分譲マンション管理に関わる業務に携わっていました。2020年4月から半年間の、ベンチャー企業へのレンタル移籍※を経て、10月からは技術営業推進課で分譲マンション以外の、オフィスビルや複合施設、倉庫などの管理事業の新規顧客営業に携わっています。

レンタル移籍とは:大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。大和ライフネクストでは2019年4月より導入。

また、ホテルのバックヤードサービスに関わる部署も兼務しています。建物管理会社として、ホテルの客室清掃だけではなく、修繕メンテナンスや、さまざまなコスト削減の提案を一気通貫で行うための組織です。こちらも2020年11月に新設されたばかりですね。

分譲マンション管理では、お住まいの方の集まりであるマンション管理組合(組合様)がお客様でしたが、現在は基本的に法人がお客様です。当然ビジネスとしての視点が加わるため、その目線を自分の中に刷り込ませることを意識しています。

レンタル移籍を経験する前は、自分の所属する課や、当社のマンション管理の事業がどのようにあるべきかを考えて仕事をしていました。しかし、そこからさらに発展して「社会にとって自分たちの役割は何か」を考えるようになりました。

建物管理は建物やビジネスを維持させるために非常に大切な仕事だと思いますが、修繕工事もホテルのサポートもさまざまな会社が行っています。その中で、私たちの強みやサービス提供の価値がどこにあるのか。そういった「社会的な役割」の目線を持ちながら提案していくことが重要だと考えています。

私たちは利益追求をするだけではなく、介在し続けることで価値を生み出しており、それをお客様にきちんと伝えていきたい──それが、現在は一番のモチベーションになっています。

現状とキャリア展望とのギャップを埋めたのは「レンタル移籍」だった

▲息子の七五三にて。家族の協力のおかげでチャレンジを続けられる

私は建物、とくに人が住む空間が好きで、建築学科を卒業後はデベロッパーに入社し、その後内装や水回りの設計をする会社に転職しました。しかしライフステージの変化もあり、あらためて働き方ややりたいことを考え始めたんです。

そこで、学生時代から考えていた「建物の寿命」という課題に向き合いたいと思い、建物管理に興味を持った私は、大和ライフネクストに入社しました。入社から3年間は建物の劣化診断業務に携わり大きく成長できましたが、産休・育休を経て、仕事への取組み方が大きく変わりました。

復職後、初めは時短勤務でした。しかし生産性の向上や今後のキャリアを考える中で、時間的制約によって全力を出し切れないことに、フラストレーションを抱えていたんです。

そんなとき、私の性格をよく知る夫が「納得がいくまでやり切った方がいい」と背中を押してくれたこともあり、フルタイム勤務に復帰しました。夫と子どもの協力のおかげで得られた限りある時間だからこそ、最大限の力でチャレンジし続ける。そう決めました。

復帰当時は建物全体の細かい設備まで網羅的な知識が必要となる長期修繕計画の作成や運用を担当し、組合様の資金計画にも関わることになりました。やりがいを感じながら、同時に社会的な課題も感じたんです。

資金不足の組合様も多く、高齢化で年金生活の方が多ければ積立金の増額も難しい。一方で管理会社の業務は定型化・パッケージ化されている……。私自身だけでなく会社も変わっていかなければいけない、と危機感を覚えました。

社内の有志で新規事業提案にもチャレンジし、当社の高品質な長期修繕計画を海外に輸出できないか模索しました。しかし通常業務のほか、家では家事や育児もあり、割ける時間はわずか。また新規事業を提案しても、それを社会に実装するまで持っていく力が足りなかったんです。

そんなとき、会社がベンチャー企業へのレンタル移籍の希望者を募っていたんです。「これだ!」とすぐに手を挙げました。自分の成長を会社がバックアップしてくれるのは、非常に魅力的でした。

「ハブ」として、お客様や業界全体への介在価値を高めていきたい

▲レンタル移籍中、Rapyuta Robotics株式会社にて(写真:宮本 七生)

レンタル移籍先はRapyuta Robotics株式会社。ロボット開発を加速させるロボティクスクラウドプラットフォームづくりを軸とした事業を展開しています。

私のミッションは、できたばかりのロボットをサブスクリプションサービスの中で動かし続けるために、会社としてどのような体制を組み、どのように保守をしていくのかを考えることでした。

最初はとにかく大変でした。まず共通言語が英語で、さらにソフトウェアやプラットフォームの専門用語もまったくわからない……。そもそも何がわかっていないのかわからなかったんです。

それでも、半年という短い期間で本当に多くの学びや気付きを得ることができました。まず、サービスを開発し、それを運用して社会に実装していくとき、サービス自体が良くてもすぐに浸透するわけではないということ。

お客様の望むものを解きほぐし、プロダクト改善と運用の仕組みを調整しながら、いかに現場にフィットさせていくかを考える。そのプロセスが大切です。

レンタル移籍先と当社では業界もターゲットも大きく異なるので、同じようなプロセスでうまくいくとは限りません。それでも「動きながら考える」姿勢や、うまくいかないときも「うまくいかないことが『わかった』から、また次を考えればよい」と前向きに考え、動き続ける基礎体力が身についたことがとても大きいです。

これまでの経験を踏まえて「介在価値」という言葉を最近よく使っています。中心に自分がいて、ハブのようにさまざまなところとつながって介在していくことで、さまざまな価値が生まれると思うんです。そのために自分自身がいろいろなところに顔を出し「打席に立つ」ことが必要だと感じています。

またサービスの提供先も、一顧客だけではなく、その先の業界や社会全体というように、ポイントではなく面で見るようになりました。その社会全体を考えた上で、自分自身が、そして事業や会社がどうあるべきかを意識しながら仕事をすることが重要だと考えています。

歩みを止めず、自らの価値を磨き続けたい──社会課題への挑戦は続く

育児で時間がとれないときなど、気持ちが萎えそうなときに自分自身を奮い立たせていたのは「ずっと現役でいたい」という想いでした。年齢的にも一定の成果を求められる立場ですが、一生涯から見れば「まだ半ば」。歩みを止めてはいけない、と常に思っています。

また、「どこの会社の誰々」と見られたくないという気持ちがあります。会社の中でのポジションではなく、社会における自分の価値を磨き続けたいんです。そのためにもチャレンジを続ける必要があります。遅かれ早かれ、そのような価値観が一般的になると思いますね。

もしチャレンジできずに迷ってしまうとしたら、きっと自分の中で「できない理由」をつくっているのだと思います。でもそれはあくまで言い訳に過ぎません。足を止めてしまう「本当の理由」を見つめ直し、取り払うことが大切です。

もしかすると「失敗したらどうしよう」「周囲からどう見られるだろう」という恐れかもしれません。しかし、その恐れを生み出しているのは自分自身。むしろ新しい環境に飛び込んでいくことで、これまでの評価にとらわれずありたい自分の姿を生み出せると思います。

当然のことですが、この先当社がずっと存続する保証はどこにもありません。だからこそ社会全体の視点から、会社として何をするべきなのかを考えていく必要があります。

たとえば昨今、日本全体で「観光立国」として世界中から観光客を受け入れ、産業を活性化させようと取り組んでいます。そして、当社のホテルバックヤードサービス部はそれを支える業務を担おうとしています。

一方、この業界は圧倒的な人手不足という課題を抱えていますが、同じように人手不足に悩む物流業界に導入されたのがロボットでした。こうした労働集約型産業の業務負担という社会全体の課題に対し、レンタル移籍先での経験を生かしたアプローチの可能性を感じています。具体的に落とし込んでいくのは、まさにこれからですね。

産業活性化や地方活性化など、社会課題に対してどのようなしくみをつくっていけるか。自分がどのように介在し、価値を生み出すか。それを常に考えながら、これからもチャレンジを続けたいと思います。