各分野の”目利き“たちと一緒に未来の定番となるモノ、コトを探す毎日

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▲東京 台東区谷中にある未来定番研究所

大丸松坂屋百貨店は2017年、5年先の未来に定番となり得るモノやコトのタネを発見し、育てるために創造型マーケティング組織「未来定番研究所」を発足しました。2021年11月現在、中島実月は未来定番研究所に所属。各分野の”目利き”と言われるスペシャリストたちなどとコラボレーションし、これからの、“未来の定番生活”を探究しています。

中島 「社外の方と積極的に交流し、その知見を活用するオープンイノベーション活動によって5年先の新たなマーケットを創る、というのが未来定番研究所のミッション。クリエイターや文化人、大学や地域、NPO、そして多くの企業と柔軟にコラボレーションをしたいということから、台東区谷中の古民家をリノベーションした事務所を活動拠点としています。

また、オウンドメディア「FUTURE IS NOW(以下、「F.I.N」)」の運営も行っています。「F.I.N」では、さまざまな分野の目利きの人たちに取材をすることで、5年後の未来を探索するヒントも得て、企画づくりや人脈づくりへ繋げています」

さらに谷中の事務所は、時代を先行く目利きの方を講師として招き、参加者全員で5年先の未来定番を共に考える「未来定番サロン」というイベントも開催しています。

中島 「参加者のみなさんから伺う感想や意見も、未来のくらしを考えるうえでとても重要で、貴重な共創の時間となっています。事務所を一般のお客様にも開放し、交流することでより多様な価値観に触れられるのでたくさんの気づきを得ています」

日々の未来定番生活の探究活動において、今、中島が注目しているのは、生ごみを肥料に変える「コンポスト」です。

中島 「都会でもコンポストが注目されるようになってきていますが、当たり前に普及していくのはこれから。でも、5年先には定番になっている気がしているんです。現代の生活にフィットするコンポスト製品を開発している方々を未来定番サロンに招いて参加者と共に学んだことで、コンポストが未来の定番となりうる可能性について再確認しました。

コンポストを媒介にすることで人と繋がり、地域が繋がることができる。環境問題だけではなく、現代の地域コミュニティの側面からも非常に意義のあるものなので、わたしは未来のくらしの定番になると確信しています」

大丸300年、松坂屋400年の長い歴史のなかで、当社はいつの時代もお客様のくらしを豊かにする提案を行うことを使命としてきました。そのため人々の価値観や社会が急速に変化する現代においては、明確な将来が見えづらいからこそ、未来の定番となるモノやコトを種から育てて花を開かせようという活動こそが未来を生む。その役割を、未来定番研究所の研究員として担っています。

後世につなげていくためには変化もいとわない。会社の姿勢に共感して入社

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▲シジェームギンザ勤務の頃(写真中央:中島)

幼いころから両親に連れられて百貨店によく行っていたという中島は、催事を担当したいという理由で百貨店への就職を希望。2014年に新卒で大丸松坂屋百貨店に入社しました。数多くある百貨店の中から選んだ理由は、採用イベント時の人事担当者の言葉に共感したからです。

中島 「採用イベントのときに、担当者の方が『私達は従来の百貨店という業態にこだわらず、さまざまなチャレンジをしている』と言っていたんです。もちろん伝統的な姿勢も大事ですが、後世に連綿と続いていくためには、変化もいとわないという姿勢にすごく共感して。加えて、百貨店業界の厳しさも明確に説明があるなど、企業としての雰囲気が泥くさくて良かったです(笑)。

就活生に対して誠実な印象を持ったので、大丸松坂屋百貨店なら、入社後のミスマッチがなさそうだなと感じて、入社を決めました」

入社後は、大丸神戸店の紳士の肌着や靴売り場を担当し、経験を積みました。転機が訪れたのは、ギンザシックス内のショップ「シジェームギンザ」への異動です。

当時、大丸松坂屋百貨店が、業態の異なる商業施設のギンザシックスを手掛け、さらにショップを出したことは非常に大きな挑戦でした。中島は2017年にシジェームギンザに販売員として異動。当初はお客様への接し方ひとつとっても、百貨店のそれと違うことに戸惑ったといいます。

中島 「お客様がショップに求めてこられるスタンスやサービスが百貨店と全然違うんです。ギンザシックスにいらっしゃるお客様は、個々の価値観をはっきりと持ち、接客でもそれに合った提案を期待されている方が多かったです。

そのため、接客をはじめ、販売員同士のコミュニケーションの取りかたや、販売計画の立てかたも百貨店で販売していたころとは意識を切り替えて取り組んでいました。じきに手応えも感じるようになり、そこにこれからの百貨店のありかたのヒントがあるように感じましたね」

2019年、中島は未来定番研究所への異動を自ら希望。その理由について、このように語ります。

中島 「大丸松坂屋百貨店の伝統や信頼、歴史など、江戸時代から長い年月をかけて培ってきた資産をもとに、現代において新しい価値をつくっている目利きの方々とのオープンイノベーションを通して、将来定番となるコンテンツを開発する。未来定番研究所のそんな方針にとても共感できたんです。

当時所属していたシジェームギンザも、従来の百貨店と現代の新しい価値観や知見を掛け合わせることで新しいお客様を獲得していたので、非常にやりがいを感じていました。

そのため、このような百貨店ならではの新しい試みを全社向けに実践したいと考え、異動に手を挙げたんです」

シジェームギンザでの経験は中島の百貨店がお客様に提供すべき価値の認識、そしてそれを全社対象に実践したいという気持ちに大きく影響。未来定番研究所での新たなチャレンジを決意させたのです。

コアな領域から未来の定番を生む──反響の大きさにやりがいを感じる

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▲2021年3月開催した「未来定番サロン」

未来定番研究所に異動した当初は、転職でもしたのかと思うほど業務内容の違いに驚いたという中島。売り場では業務内容もシフトも決まっていましたが、未来定番研究所では、ミッションに対してどう行動するのか、またミッション達成までのスケジュールを組むこともすべて自ら行わなければなりません。そこには、大丸神戸店やシジェームギンザで積んできた実務経験を活かせる場面もありました。

中島 「未来定番研究所は百貨店のひとつの部署ですから、何か企画を実践する際は、大丸・松坂屋のどこかの店舗を使って行うことも少なくありません。スムーズに進行するためには、店舗の動きや実態をしっかり把握しておくことが重要。その点、現場で積んできた経験が大いに役に立っています。

また、大丸神戸店とシジェームギンザの双方で勤務していたため、百貨店と商業施設のお客様のニーズや属性の違いを把握できていることも自身の財産になっていますね」

5年先の未来の定番をつくるという中島の現在の仕事は、視点を変えれば「答えのない仕事」だとも言えます。答えがない中でどのように模索していくのか。それに対して中島は、自身で企画を実行し、社外の人々の反響を得られたときに大きな手ごたえとやりがいを感じると語ります。 

中島 「自分が興味のある領域の情報をもとに企画を練っていくので、それらを自分で実践できること、またその際に反響をもらえることは嬉しいですね。『これは未来の定番になる!』とコンテンツを考えて準備していても、やはり実際にやってみるまでは少し不安なので(笑)」

さらに、やりがいを感じたエピソードがあるといいます。

中島 「私は、ラジオを聴くのが好きなんです。1年半ほど前、そのような音声メディアコンテンツは今後、生活の定番になっていくのではないかと考え、未来定番サロンを企画したことがありました。

実は当時、部署内で賛同してくれる人があまりいなくてどうしようかと思っていたんですが、参加してくださった方からは反響がかなりあって。それをきっかけに、自分で考えた企画を社外の人に体験していただいて反応を得ることに、すごくやりがいを感じるようになりました」

5年先の未来の定番をつくるポイントは、規模は小さいけれどもコアなファンがいる領域を探すことだという中島。見つけ出したモノやコトの反響の大きさが、中島のモチベーションをアップし、さらなる探索欲求を刺激しているのです。

“好き”をエネルギーに変えられる底力を持つ百貨店、それが大丸・松坂屋

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今後の展望について中島が考えているのは、「多様な価値観のなかには、規模は小さくても熱狂的に支持されている領域がある」ということ。つまり、熱狂的に支持する人たちがいるコアな分野が必ず存在するので、その熱狂を何かしらの形にしたいと考えているのです。

ただし、そうした小さい熱狂的な領域に注力することは簡単なことではありません。現在の百貨店業界を取り巻く状況からすると収益面で厳しいのも事実。ほかにもさまざまなハードルはありますが、中島は希望を込めてこのように語ります。

中島 「未来を見たときに、小さくても熱量のあるマーケットはすごく大事な存在になってくるはず。近年言われている『多様な価値観が存在する現代社会』とはそういうことだと思います。そこに対応できる新しいコンテンツを実現していきたいですね。

それを地道に続けていき、その結果、『大丸松坂屋っておもしろいよね』というように、会社のブランディングにも貢献したいです」

百貨店業界を取り巻く状況はたしかに厳しいですが、中島はこの状況についてもポジティブにとらえています。

中島 「今が右肩下がりだということは、これまでにはない新しいことにトライすれば右肩上がりにできる余地があるということですよね。江戸時代に呉服屋として創業して以来、業態を変えながら続いてきた当社だからこそ、挑戦できることがあると思います。いま、そのような新たな試みを強く求めているので、躊躇せずにどんどんやる価値があります」

さらに、大丸松坂屋百貨店を志望する人たちに対して、中島はこのように語りかけます。

中島 「当社では、自分の考えを自らの言葉で語れて熱意がある人なら、やりたいことが実現できます。会社が求めているのも、“好き”をエネルギーに変えられる人ですから、ぜひ飛び込んできてほしいですね」

ファッションや、メイク、音楽、イベントなど、自分の「好き」を実現する幅広い選択肢がある大丸松坂屋百貨店。チャレンジが求められる環境のもと、「少し先の未来」を見据えながらアイデア探しに奔走する中島の活躍から目が離せません。