婦人洋品売り場で、「こんな売場でありたい」を設計する

私は2021年現在、大丸東京店1階の婦人洋品売り場のマネジャーをしています。担当しているのは業績管理をはじめ、商品展開や販促の計画、そしてそこで働く販売員さんたちの人財育成、マネジメントです。

売り場では、お取引先様の販売員さんも含めて約50名の方が一緒に働いています。その内、大丸松坂屋セールスアソシエイツ(DMSA)のメンバーは30名ほど。比較的ベテランの方が多く、長く大丸・松坂屋で販売をしてきた方が中心です。

一方で新入社員が研修をする最初の場所にも選ばれているので、本当に賑やかで(笑)。キャリアの浅い長いも関係なく、色んな経歴を持った人が集まっている売り場です。

そんな中で直近私が携わった業務は、バイヤーと行った2021年春夏の商品展開や販促の計画作成。

お店の中での婦人洋品売り場という立ち位置を考えながら、半年の中でどこに山場を持ってくるかを考えます。そのためにどのような販促を入れるか、販売員にどう売ってもらうか、などの組み立てを行いました。

婦人洋品売り場として「こんな売り場でありたい」「こんな価値をお客様に提供したい」というイメージを持って、それをヒト・モノ・コトの視点から具現化していくことがマネジャーの役割です。

婦人洋品売り場では、ひとつのブランドだけではなく、多岐に渡るカテゴリーを扱っています。ネックウェアや帽子などのシーズンアイテムから、ハンカチや傘まで取り扱いをしているので、婦人洋品という名前でありながら非常に幅広いアイテムを置いているんです。

さらには期間限定でアクセサリーを取り扱うことも。なので、色んな分野にチャレンジができて大変でもあり、楽しくもあります。

また最近は、コロナの影響を鑑みて展開する商品を調整しました。今までの売り上げのつくり方とはまったく違う考え方をしなければなりませんでした。わかりやすいところで言うと「これが無いと困るよね」ということで、マスクをいち早く展開しました。緊急事態宣言が明けて営業再開するタイミングで、これまで取り扱いがなかったところから展開したんです。

マスクと同様に、抗菌の手袋も例年になく売上があがりました。電車のつり革に直接触れたくないという需要の高まりゆえです。お客様のニーズの変化を感じました。

小さな積み重ねですが、これまでの婦人洋品売り場だったらなかったものを新たに入れていくことが大事です。

接客力を高めたくて大丸へ。そこで「相手の気持ちに立つ」という学びを得る

▲サービストレーナーとして鉄道会社に出向していた当時の写真

大学までずっと吹奏楽をやっていたので、音楽に関わりのある会社に入りたいというのが就職活動時の軸でした。

初めはある楽器会社に新卒で入社して、店頭で販売をしていました。

2年ほど働いた頃、直属の上司である店長が仕事を急に辞めてしまって、私が店長代理として店舗で社員をまとめなければいけない立場に。しかし、販売員としてもまだ未熟である上に、店舗を管理する知識やスキルも当然無かったため、手探りでやらなければいけない状態になって、非常に悩みました。

接客についてきちんと理論的に学びたいという想いが強くなり、転職しようと考えた時に、自然と百貨店が選択肢に入りました。私自身神戸で育ち、大丸に非常に馴染みがあったので、応募に至りました。

百貨店だったら、接客についてきちんと教えてくれそうだというイメージもありましたし、自分へのご褒美や大事な人に物を贈りたい時に行くのは百貨店だと思っているので、そういう場面での接客を学びたいという想いも大きかったですね。

入社後、大丸神戸店で婦人靴の販売をして3年ほど経った時、鉄道会社にサービストレーナーとして出向する機会をいただけました。

駅ナカのショップで、販売員さんたちにサービス教育をすることがミッションで、ショップチーフと話をして、サービス教育の計画を立案し、推進していく仕事でした。

ただ、最初はコミュニケーションがうまくいかず、苦戦しました。

実は最初にショップチーフさんと打ち合わせをした時、その方を泣かせてしまったんです。相手と同じ目線に立てていなかったのが原因でした。

問い詰めるつもりは無かったのですが、販売員さんが挨拶や笑顔を作れないことに対して「なんで、なんで」と聞いてしまって、ショップチーフさんが言葉に詰まってしまい……

人の価値観や背景はそれぞれ異なるので、それをよく理解して同じ目線に立って話さないと心閉ざされてしまうことを学び、ものすごく反省をしました。

それからは、まずは「何故やらなければいけないか」というところから販売員さんに話をするようにしました。また、働き始めてからのギャップをなくすために採用も見直し、入社後の新しいサービス研修づくりまで行ったんです。

会社のしくみを構築する大きな枠組みにも関われたことは、非常に大きな経験だったと思います。正直、本当に大変なことも多くて、それこそ泣きながら帰ったこともありますけれど(笑)今となっては本当に良い経験をさせてもらえたと思いますね。

チーフ・サブマネージャーでの経験が、視座を高くした

ショップチーフを指導する役割を担当したものの、実際に私自身がチーフをやったことがなかったので、チーフをやってみたいという想いがとても強くなっていました。

弊社には「やりたいことは手をあげて言ったほうが良い」という風土があると感じています。それなりの根拠、やりたい気持ちなど、理屈の通ったものであれば応えてくれるんです。

なので、どこかのショップのチーフにさせて欲しいと人事に伝えました。その結果「一旦サブチーフで経験を積んでからチーフに上がったらどうか」という話になり、DMSA販売代行事業部に異動し、サブチーフを担当することに。

販売代行事業部は、ブランドを持ってらっしゃる企業さんの売り上げアップや顧客のファンづくりなどを支援する代行業務を行う部署。その中でも自社がつくっているプライベートブランドを扱う婦人服のショップに参画しました。

チーフになったら必要になる店運営の知識を、サブチーフとして仕事をしながら学んでいきました。そして半年経ったぐらいで大丸東京店へ異動して、念願のチーフに。

チーフとして仕事をしてみて、鉄道会社に出向していた時に指導をしていたほど簡単にはいかないのだと実感しましたね。サービス面だけでは無く、ショップの売上げ、メンバー育成など、業務は非常に幅広かったです。

大変ではありましたが、全体を動かすことが出来たり、売上アップにつながったりすることが大きなやりがいでした。たとえば「お客様にこういう内容でDMを送ろう」と考え、それに対するリアクションがあって売り上げが取れた時には、大きな手ごたえを感じました。

自分が言ったことで何かいい方向に動いたり、指導した内容でその子が上手くやれるようになったりと、日々の喜びがたくさんあるので、それが本当にやりがいで楽しかったです。

その後、営業1部サブマネジャーに昇格しました。サブマネジャーに昇格したことで、担当のフロア全体を見ることになります。出店しているブランドの売上向上や、固定客づくり、サービスレベルの強化に向けた取り組みなどを推進、サポートしていく役割なんです。

ですので、1ショップのチーフをしていた時より、視野が広がりました。

ブランドの数だけやり方があるので、弊社のやり方で話をしても通じない部分もあります。すり合わせしつつ、ベストを探していました。いろんな会社の人と話が出来るというのは、本当におもしろくて刺激がありましたね。

「好き」をエネルギーに、温かい「お買い物体験」をつくる

私が入社した動機は、店頭が好き、販売が好きという想いなので、現場のマネジメント業務を中心にやっていきたいという気持ちは入社の時からずっと変わりません。

弊社の採用ポリシーに「『好き』はエネルギー」という言葉があります。私自身もお客様や店頭のメンバー、お取引先様とお話するのもそうですし、皆と一緒に目標達成に向かって力を合わせる、そしてメンバーが楽しそうに働いている姿を見ることが好きで、それが仕事の原動力になっているんです。

ただ、現在コロナによって店頭も大きな影響を受けており、メンバーも感染リスクなどの不安からモチベーション維持が難しくなっています。そんな中でも「いま、自分たちに何が出来るか」を一人ひとりに考えてもらい、目標を決めて取り組んでもらっています。

毎日の小さな目標や、これを達成した先に何があるのかを共有することで「そこまで言うんだったら頑張る」と言ってくれると嬉しいですね。毎回上手くはいかないのですが、思わぬところでやる気を出してくれるのを見ると、やっていることは無駄ではないんだなと思います。

婦人洋品売り場は、大丸東京店の玄関口のような場所です。コロナを経てどう百貨店を変えていくかということも含めて、いかにお客様が集まる楽しい場所にしていくかを考えていく必要があります。そこに携われるのは非常にやりがいある仕事だと思っているので、しっかり力を注いでいきたいです。

今後は、お客様に楽しく快適にお買い物をしてもらえる売場をつくっていきたいと思っています。そのために、一緒に頑張ってくれるメンバーを育てていくことに注力したいです。

また、生涯を通して、目の前のお客様・人を大切にする気持ちで仕事をし続けたいです。そして、百貨店自体もそういう存在であって欲しいと思っています。

これからお客様が百貨店にますます求めるものは、商品・サービスへの信頼であり、また販売員とのつながりや温もりですから。それは店頭でしか味わえない「お買い物体験」です。

そういうところにお客様は価値を見出してくださるのではないかと思っているので、自分の力を発揮して、売り場の人・モノ・器を通じてつながりを体現できる売り場をつくっていきたいですね。