ファンの人たちの好きを追求し続けることが自分の仕事

▲穏和であり情熱的であり──プロデューサーの藤野 弘明

2020年現在、藤野はゲームプロデューサーと新規事業推進の二足の草鞋をはいています。

そんな藤野が手がける新事業の「FaneX(ファネックス)」は、これまでサイバードが20年以上にわたり幅広いジャンルにおいて数多くのエンタテインメントサービスを提供してきたノウハウを、BtoB向けに事業展開するものです。

藤野 「デジタル領域のサービスに興味を持っている企業や、これから挑戦してきたいと考えている企業から『やり方がわからないから手伝って欲しい』といった要望を頂く機会はこれまでもありました。 

その要望に応えるために、我々はデジタルサービス化の支援に加え、ファンマーケティングという付加価値をつけて、企業を支援していきたいと考えています」 

入社以来、一貫してキャラクターのライセンス(IP)を借り、ゲームの企画・開発・運営をやってきましたが、その中でファンの目線を強く意識してきました。 

藤野 「IPは、一般的に人気で売れそうだから使うというイメージを持たれますが、実際はIPを使うことで、ある種の制限が生まれるものだと考えています。何もない白地のキャンパスに絵を描くことは自由にできますが、IPであることによって、それを好むお客様の色が出てくるようになります」 

IPに関心を持っていない人は自ずと排除される仕組みであるため、限られたパイの中で、どうサービスを展開するかが非常に重要になります。 

藤野 「ファンはいったいIPの何が好きで、何だったら買ってくださるのかという分析が大切です。しかし、その心理を理解しているのは、本当にIPが好きなファンだけです。ですので、サービスを成功させるには、ファンの心理を理解して展開していくことが重要なポイントになります」

サイバードはその点を常に追求し、ファンと同じ心で好きなものに向き合うことを徹底的に考えてきました。こうした想いを「FaneX」としても活かしていくことができたらと考えています。

モノづくりは紆余曲折──失敗の数だけ学んで成長していく

▲入社3年目で初めて新規サービスの主担当に

藤野はファンとキャラクターライセンスの関係性について、失敗を積み重ねながらその重要性に気付いてきました。

藤野 「これまで、『金田一少年の事件簿R』『名探偵コナン』『モブサイコ100』『ケンガンアシュラ』といったジャンルが異なるIPのゲームの企画、開発、運営のディレクションしてきた中で、IPの力を最大限引き出す難しさを常に感じてきました。

そうした中で、IPに関わるサービスをつくるとしたら、本当に好きな人をアサインしたり、本当に好きな人からアイディアをもらえる状況をつくったりすることが、大切だと考えています」

IPを扱う場合は、企画を考えライセンサーに提案し、承認をもらってからがスタート。企画提案当初は絶対に売れるという構想を描いていても、完成するまでの過程においてその気持を揺るがすハードルがたくさんあります 

藤野 「はじめのハードルは予算です。会社やライセンサーに『売れるものをつくるので投資してください』と言って、青天井で投資してもらえれば、つくりたいものを制作できますが、まずそんなことはありえません(笑)。 

投資した予算を回収して利益を出すために何人のお客様にプレイしていただき、どれくらいお金使ってもらうのかなどを現実的に計算する必要があります。そうやって話し合って決めていくと現実的な目線となり、そこまで大きな予算にならないことが多いです。 

会社の状況や市場の状況もありますが、最高の結果を出すための的確な予算を決めることがはじめのハードルとなりますね」 

そうして決められた予算から人を集めていきますが、人数やスキル、ベストな状態をつくるのにいいメンバーを集めたいと思っていても、チームにベストフィットするメンバーに常に空きがあるわけではありません。限られた期間と予算の中で最適な人員を集めながら、リリースに向けて動いていきます。 

藤野 「ヒットサービスは奇跡のような組み合わせと運があって初めて誕生すると考えています。どれだけ企画が良くても人員がそろわない場合もあれば、人員が完璧でもリリースのタイミングによって注目されない場合もあります」 

制作をする上では、常に失敗や試行錯誤を前提として進まないといけません。そこには、どれだけ紆余曲折の数を減らして、ストレートに近づけるかという考えが必要になってきます。 

藤野 「何を目指してどうつくるのか、難しさを理解した上でどれだけ揃えることができるかが大事です。

なので私たちの仕事って、こうした奇跡のような組み合わせの中で、もがきながら、好きな人へ好きを届けていくような仕事なんだって思っています」

チームの強みは、ファンに向き合うことを続けてきた蓄積

▲新規サービスリリース時には部門を超えて祝いが寄せられる藤野

今期より始まった「FaneX」。そのサービスは一言でいうと「ファンのロイヤル化」を支援するもの。潜在ファンの開拓、ファンの囲い込み、「ファンと企業」や「ファンとファン」でのコミュニケーションの活性化、ファンによる収益化をソリューションとして提供しています。 

そんな「FaneX」チームには、藤野と近しい想いを抱いてきたメンバーが多く在籍しています。 

藤野 「あらゆる苦労の中でのリリースを経験し、どういうことが成功につながり、失敗になるのか正確に判断できる人たちです。それができるのは、ちゃんと失敗もしているからこそですね(笑)」

BtoBのサービスとはいえ、企業からの「こういったことをやりたい!」といった要望に対して、両手を上げて歓迎するのではなく、「何をファンにもたらすためにやるのか?」という問いを大事にする「FaneX」チーム。やりたいからやろうではなく、ファンの視点に立ってうまくいかないものは、はっきりと伝えることを心がけています。 

こうしたさまざまな想いが込められている「FaneX」。その取り組みの一例には、『名探偵コナン検定』があります。 

藤野 「『名探偵コナン』にはコアなファンの方が多くいらっしゃるため、検定というサービスがマッチしました。こういったサービスは、やはり『好きなモノやコトをより深く知りたい』というニーズにお応えできているんじゃないかって思います。著名人にもプライベートで受験して頂いたり、メディアにも取り上げられたりと、ファンの心にしっかりと届けることで、話題になりました」

このようなコンセプトを持つサービスは、サイバードが提供するものに限りません。もちろん、差別化を問われることも。そうしたときに、藤野が心がけているのは、プロジェクトを推進するメンバーの話をすることです。

藤野 「好きを仕事にしてきたサイバードの社員の強みは、それぞれの思考が違うからこそ生まれる、千差万別な企画やターゲットへのアプローチ方法の部分で発揮されていると思っているんです。ですから、そこを強く押し出すようにしています。 

そうした違いがある一方で、私たちは、コーポレートステートメントである『Empower Your Love!」を体現することを常に目指していますし、それを創業のころから続けてきたサイバードのDNAは今も脈々と私たちにも引き継がれています」

エンタテインメントの力で世の中に貢献していきたい

▲藤野が担当する「FaneX」は、ファンのロイヤル化を支援します

これまで、サイバードで幾多のサービス制作に携わってきた藤野。良いサービスをつくっていくためには、経験を重ねることが大切だと考えています。 

藤野 「一口に経験と言っても、ただ自分でやってきたことだけが経験ではありません。街を歩いているとき、お店に入ったとき、ふと周りを見て人が並んでいるお店があったら、すぐに注目することも経験のうちです。 

さらに、この人達はお店のどこに引かれて集まってくるんだろうか?とか、 ファンづくりができている場所は、なぜうまくいっているのか?など、周囲の状況から拾うようにしているんです。こうした意識が、今では私の日常になっています」

「何が起きるにも理由がある。では、なぜそうなっているのか?」と、考える習慣は仕事の中で根付いてきました。藤野のようにあらゆる良いものからフレームを学ぶことができれば、全てを仕事に活かすことができます。

ただし、良いサービスをつくる上では、チームや組織の力も欠かせません。

元来、自分でなんとかしたい、自分でやったほうが早いと考えてしまうタイプの藤野も、一人でできることは限られることを、仕事で経験を重ねる中で学び、その考えを改めてきました。

藤野 「役割を振って、力を伸ばして、まとまったチームになれば、より良いものができていきます。さらに、同じ方向性に向かって歩むことができれば、会社だけでなく、『「Happy」な瞬間を創り出し、世界中にスマイルを届ける』というビジョンにもつながっていくと感じています」

そんな藤野のやりがいの根底にあるのは、“好きなもの”だからこそ注げる熱意でした。

藤野 「私自身、シンプルにデジタルコンテンツが好きなんです。IPの領域が好きな人間のひとりとして、好きなことを仕事にしていることが、努力を重ねられるポイントです。 

好きをもとにサービスを企画しているときと、それがリリースされ、思ったとおりに反響をもらい売上が上がったときが一番のやりがいで、達成感を覚える瞬間ですね」

今後は、これまでの経験を活かしながら、「FaneX」の中でお客様に提供できるフレームワークの数や種類を増やすことを目標として掲げる藤野。新規事業を立ち上げるという新たな挑戦の中でも、大きな可能性を感じています。

藤野 「ゲームやエンタテインメント領域において、とくに重要視されるユーザビリティ―やお客様に気持ち良い体験をしてもらうという部分は、教育や飲食、アパレルなど、さまざまな領域に広く活用できるはずです。 

このような形で、会社への貢献だけでなく社会への貢献をしていきたいです。さらに、自分たちだからこそつくり上げることができ、ファンの人たちが好きなモノやコトとの絆をより強固なものとできる環境の醸成と拡大へとつなげていきたいと考えています」

ひとつでも多くの「スマイル」を生み出すためにも、藤野は自らの使命として「FaneX」を通じ、描く未来を目指していきます。