社員同士がつながり、ポジティブな変化を起こす場“ヨクスル”

▲ヨクスル事務局の集合写真(吉田は写真左上)

2001年に、新卒でクレスコに入社した吉田。最初はいちエンジニアからスタートし、チームリーダーやプロジェクトマネジャー、部長を経験し、2021年に第一エンベデッドソリューション事業部の事業部長に就任しました。

吉田 「第一エンベデッドソリューション事業部は、組込みソフトウェア開発を行っている事業部の中でも、車のメーターや、車内のオーディオ機器など、車載機器の開発を担当している事業部です。事業部の中には部が3つあり、人数は合計で約120名の大家族です」

吉田は事業部長として部門運営を行っているだけでなく、“ヨクスル”の事務局リーダーでもあります。ヨクスルとは、社内コミュニケーションツールを使った、全社員参加型の提案・改善プラットフォームです。

吉田 「ヨクスルを開始したきっかけは、会社の動きを見ることができる立ち位置を経験したことでした。実は、2016年に出産・育児休業をしまして、復帰直後はエンジニア部門の事業推進担当となり、その後の異動で管理部門に配属になったんです。

長年運用しているクレスコの仕組みとして、毎月Webで提出する“業務報告書”という報告書があります。報告書の項目の中には、“提案/希望”という欄が、すでにありました。管理部門時代は、全社員の業務報告書を読ませてもらっていましたが、その中で、提案に対して必ずしも機動的に動けているわけではないことや、提案に対する会社の動きを発信できておらず、社員にとっては、自分の提案がどうなったのかが見えにくいことに気付きました」

そこで吉田は、週次で実施しているランチオンでヨクスルを提案しました。ランチオンは、執行役員以上が集まって、社員からの提案や相談をその場で議論し、判断する場所です。

吉田 「お試し期間として、2020年度の1年間だけ、ヨクスルを実施することが決まりました。全社の活動であることを社内に浸透させるために、社長にオーナーになってもらいました」

業務報告書と違って、全社員が見えるツール上にあり、提案そのものや改善プロセスの進捗も、すぐに確認できるヨクスル。初めての試みではありましたが、1年間で30件を超える提案がありました。

また、「〇〇部門へ問い合わせをしたら、迅速に対応してくださいました。実際に対応してくれた社員の名前がわからないので、ヨクスルという場を通して感謝させてください」という投稿から、社員同士の感謝を伝える場がヨクスル内に設置されるなど、想定外の良い方向にヨクスルは変化しています。

ヨクスルは、テレワークが進み、社員同士が直接会うことが少ない環境の中でも、社員がつながる場所になっているのです。

良いモノを提供する──厳しくも一体感のあるチームで奮闘した技術者時代

▲プロジェクトマネジャー時代に受講した、洋上研修での懇親会にて

社員の声を大事にするという、クレスコの理念のひとつである“人間中心”を体現する活動を行っている吉田。 

しかし、技術者として開発案件にいたときは、メンバーに厳しい部分をたくさん見せてきたと言います。

吉田 「同じチームにいた人たちは、私のことを“怖い”と思っている人が多いと思います(笑)。特に印象に残っているのは、プロジェクトマネジャーを任された、スマートフォン関連の開発案件です。要件の変更が多くあり、成果物の難易度も高かった。メンバーには厳しいことも言いましたし、かなり苦労させましたね。

厳しくした理由は、結果を重視していたからです。お客様が満足するモノを提供できなければ、どんなにプロセスが良くても、評価されないし、達成感もないんです。最終的に、みんなが『良かったね』と言えることを目指しました」

当時は、現在のように残業時間を抑制する潮流がなく、深夜まで勤務をしたり、休日出勤することもしばしば。しかし、当時のメンバーに話を聞くと「この案件が一番おもしろかった」と言うメンバーもいる、と吉田は言います。

吉田 「私としてはすごく嬉しい言葉です。多分、本当に皆が同じ方向を向いていたから、おもしろかったと振り返ることができるのだと思います。実際に、メンバーとは頻繁にコミュニケーションを取り、新しい情報はすぐに連携し、作業の目的を何度も共有していました。

また、“自分もやる”という意識がメンバーに伝わっていたのかな、とも感じました。お客様の期待に応えるという意識もありましたが、マネジャーなので、『メンバーを守らなきゃ』という気持ちも、もちろんありました。なので、私も必ずメンバーと一緒に手を動かしながら、自分の役割を遂行するという意識を持ってやっていました」

会社を自分で成長させる──1人ひとりと向き合う新たな取り組み

チーム一丸となって成果を上げてきた実績が評価され、吉田が部長に抜擢されたのは2014年のことでした。元々いた案件が担当部門の管轄だったため、顧客の顔ぶれなど、ビジネス面の変化は大きくなかったものの、メンバーとの関わり方は大きく変わり、悩んだと言います。

吉田 「開発案件内の温度感を、全然感じ取れなくなってしまったんです。メンバーとの距離は、私が大事にしてきたことだったので、距離を縮めるにはどう動けばいいのか、非常に悩みました。『部員はみんな楽しんでいるのかな?』『この部門で嬉しいと思っているかな?』と考えていましたね」

部員1人ひとりと向き合いたいと考えていた部長時代の経験が、ヨクスルの立ち上げにもつながっています。

吉田 「多くの社員は、『アイデアはあるけれど、実現するにはどうしたら良いのかわからない』という状態だと思うんですよね。

ヨクスルの立ち位置は、事務局がアイデアを実現することではなく、提案者がアイデアを実現するサポートをすることです。アイデアに賛同する仲間を募ってタスクフォースを立ち上げたり、迷ったときにどの部門に問い合わせればいいかはアドバイスしますが、活動を進める主体は提案者です。

この方針は、“人間中心”もそうなのですが、クレスコの理念のひとつに『皆が経営する会社』があるからです。クレスコを自分から成長させる風土をつくって、より働きやすい会社にしていけたら、と思っています」

吉田自身、ヨクスル立ち上げにあたって事務局の仲間を集めたときは、公募ではなく、吉田が信頼できる社員に対して、1人ひとりスカウトするという、自分で動く方法を取りました。

吉田 「1年間、必ずきちんとやり遂げたかったので、私の信頼できる社員や、信頼できる人が推薦する社員だけに声をかけました。みんな即答で“いいよ”って言ってくれて、すぐ決まりました(笑)。クレスコは人が好きな社員が多いのだと思います。私が声をかけた人以外にも、事務局をやってくれる人はたくさんいたんだと思います」

周りのみんなに楽しさを。これからの挑戦

▲ 第一エンベデッドソリューション事業部 事業部長 吉田 真樹

1年間限定で活動していたヨクスルですが、社員の希望もあり、2021年も活動継続が決まりました。

吉田 「2020年の1年間で、ヨクスルが社内に浸透したと思っているので、今後は事務局の人数を増やして、もっと多くのアイデアを実現できるようにしたいです。

将来的には、『私はここをこうしたい。賛同してくれる方はいませんか?』と、勝手にタスクフォースが立ち上がって、改善活動が行われている状態が理想だと思っています。経営理念にある通り、クレスコは、みんなが『クレスコを良くしよう』と思った時から、経営者になれる会社だと思っています」

吉田のもうひとつのミッションである事業部長については、これからアクションを起こしていく段階だと言います。

吉田 「事業部長の直属の部下は部長だけなので、今までよりもメンバーとの距離が開いてしまいました。話をじっくり聞くには1on1という方法もありますが、初対面で『事業部長です。よろしくお願いします』と言われたら、構えちゃいますよね(汗)

なので、例えば『部門内で技術の共有をしたいから補助をしてほしい』など、会社に対してプラスになる活動を支援することや、その活動に私自身が入って、みんなでワイワイしている中で『吉田さんってこういう人なんだ』と感じてもらうなど、メンバーとつながる努力をしていきたいと思っています」

そんな“人”を重視する吉田は、企業理念のひとつ“人間中心”をどう捉えているのでしょうか。 

吉田 「私個人の“人間中心”の定義は、『私の周りにいる人たちが楽しいと感じていて欲しい』ということです。周りの人達とは、社員、社員の家族、お客様も入ります。その人たちの今や未来が楽しければいいな、と思っています。

会社の成長ももちろん考えますが、周りの人たちが、クレスコや、私とつながったことで、楽しいとか、幸せだと感じてくれればそれでいいと、ずっと思っています。あまり経営者っぽくないかもしれませんが(笑)」

吉田は今後も、人に寄り添って、楽しさや幸せを提供する後押しをしていくことでしょう。