思い返せば刺激的だった報道の仕事。仕事のポリシーは両親の言葉

六十ならぬ、四十の手習いから始まった営業(ウー)マン生活も、今年で10年目に突入です。

少しは板についてきたかなと自負しつつも、振り返れば、私の会社人生、半分以上は報道現場にいました。

その道へのきっかけは、大学受験の浪人生活の中、テレビで目にしたある1人の女性の姿でした。湾岸戦争を現地からリポートするフジテレビのキャスター、英語もペラペラで、もう、それはそれは、たくましく格好良かったのを、今でも鮮明に思い出します。

報道というお仕事は、世界中の誰よりも最前線にいて、渦中にいる人の声を聴き、その心に触れることです。普通に過ごしていては、決して経験できない世界に身を投じられるこのお仕事にどうしても携わりたくて、ABCに入りました。

報道時代は、和歌山で起きた毒物混入カレー事件で容疑者にインタビューしたり、大阪府池田市での小学校乱入殺傷事件で亡くなったお子さんのご両親を長期間にわたり取材したりしました。

はたまた、大阪府知事によるセクハラ事件では、まるでドラマに出てくる刑事のように、電柱の陰に隠れながら張り込み、相手が出てきたところをデジカメ片手にてコメントを取ったこともあります。

休日も何もあったものではないお仕事ですが、新鮮で刺激的で、辞めたいと思ったことはありませんでした。

とはいえ、たとえば、池田の事件で遺族からお聞きするお話は、とんでもなく心が痛み、あまりにも辛かったです。決して同じ気持ちにはなれないけれど、自ら目にした、自ら耳にした、体全体で感じたその悲しみを、強く広く世の中に伝えなくてはという思いだけは、ずっと奮い立っていました。

実は、報道に異動したのは入社3年目で、初期配属は総務部でした。配属先の発表を受け、がっくりと肩を落として帰宅した私に、父親が戒めた言葉が今でも忘れられません。

「人事は天の声。目の前のことに全力で取り組むべし」。重ねて母親の言葉も、「前進あるのみ」。

以来、この両親の言葉は、総務、報道、そして営業と、どのお仕事にも共通する私自身のポリシーとなっています。

何がスポンサーの狙いにマッチングするか?を追い求める営業の仕事

相手のお話にしっかりと耳を傾けるという初めの第一歩は、営業も報道も同じだと感じます。

迅速に、正確に、できるだけ詳しく情報を掴み、いかにタイムリーに課題解決に向けた提案に挑めるか。毎日がその闘いです。報道と営業では、相手先との信頼関係を築き、とにかくお役に立とうと動くことで、かけがえのない経験を積ませていただいてきました。

2021年3月、「芸能人格付けチェック」の春の特番がありました。番組連動のオリジナルCMや視聴者が参加できるスマホ施策は、営業現場が大きく売上を作るためのキラーコンテンツです。

今回、ハウス食品さんがこの企画を採用してくださいました。CMに登場したのは「プロ クオリティ」というレトルトカレーです。ちょうど、電子レンジ対応のパウチにリニューアルしたところでした。それによりCO₂排出量が大幅に削減できるというもので、美味しさだけでなく、環境に配慮している点を大々的にPRしようというハウス食品さんのタイミングと、ABC屈指の超人気番組の放送のタイミングとがマッチングした結果でした。

スポンサーとの距離が縮まるのは、営業(ウー)マンにとっての醍醐味です。

日清食品さんとの関係では、また違った経験がありました。2015年の「M-1グランプリ」復活以来、冠スポンサーの1社として名を連ねていただいていますが、私はその手前から4年間の担当でした。世界的企業を前に、初めはどんなアプローチをすればよいのかタジタジでした。

しかし、2013年にチキンラーメン誕生55周年という節目がやってきたんです。これを受けて、私は半ば反射的に、チキンラーメン発祥の地である大阪府池田市へ向かいました。池田では、地元の飲食店がこぞって趣向をこらしたアレンジメニューで町興しをしていることを目の当たりにしました。そして、このことを取り上げた特集放送の企画書を番組サイドへ提出します。

この企画がOAに至ったしばらく後、忘れた頃でしたが、日清食品さんから予期せぬ出稿をいただいたことがありました。それには、スポンサーからの御礼の意味もあるということを知り、一生懸命に取り組めば、ちゃんと見てくれている人がいて、しっかりと応えてくださるのだと実感できた、ありがたい出来事でした。

周りの人を巻き込んで、よりよい仕事を仕上げる

YouTubeなどの動画サイトや、インターネット広告が台頭する中でも、テレビ放送への期待、信頼は、まだまだ高いと感じます。

ABCの看板番組「おはよう朝日です」「ナイトinナイト」で、いかに商品やサービスを取り上げられるか。その相談が、毎日のように企業さんから営業に寄せられるからです。

営業部門は、私たち外勤だけではなく、内勤と二人三脚です。内勤の中には、各番組とやりとりする企画担当がいて、日々、各番組の考え方を探り、どうすれば、営業から持ち込むネタがOAできるかを研究しています。

たとえば、ある回転寿司チェーンに絡んで、企画担当に相談した際には「こんな切り口なら番組のテイストにも合い、視聴者にとっても有益な情報にもなる」と、絶妙なアイディアを逆提案してくれました。私の半分くらいの年齢の女性社員なんですが、なかなかやるなと感じました。

モノにできる額面が大きければ大きいほど、また、他局ではなくABCを選局していただけそうだとわかると、お互い余計にスイッチが入り、燃えるというものです。

「朝日」だからこその連携も進みつつあります。油性ペンが消えるシャワーヘッド「ミラブル」で知られるサイエンスさんの場合は、「おはよう朝日です」での特集OAだけでなく、朝日新聞の記事にまで発展しました。

「ミラブル」のお風呂版で「ミラバス」という製品があるのですが、それが誕生したきっかけは、実は1970年の大阪万博にありました。サイエンスさんの代表は、幼少の頃、万博の会場でサンヨー館の「人間洗濯機」を目にし、その衝撃がずっと忘れられずにおられたというのです。

叶うことなら「人間洗濯機」の開発者に直接会って話してみたい──会長からその願いを耳にした私は「おはよう朝日です」のディレクターとも連携し、お二人の対面を設定することになりました。

ABCと朝日新聞では報道現場での人事交換もあるので、その場を両社で一緒に取材することになりました。お二人は、2025年の大阪・関西万博でも、子どもたちに未来を伝え、夢を与えたいと熱く語り合われました。50年の時を超えた共通の思いに触れ、その場に立ち合った私自身もジーンとくるものがあって……。なんだか誇りに感じます。

ABCを最強のコンテンツ集団にするために。決してタイミングは逃さない

年々、企業さんの要請は複雑化し、放送局も単にCM枠を売っているだけではダメだと痛感しています。

そこで、ABC自身は、最強のコンテンツ集団を目指すことを打ち出しています。「相席食堂」「ドラマL/ドラマ+」「虎バンチャンネル」「オンネラ」「ベスティ」「ABCアニメーション」「シルバーリンク」「DLE」「マッシュ」「バーチャルカンファレンス」「NTTスポルティクト」「ABCハウジング」等々……みなさんは、どれだけご存じでしょうか。これらは放送以外の場面でも、営業活動に関係してくるものばかりです。

「ドラマ+」で2月~3月に放送した「ももいろ あんずいろ さくらいろ」は、NTTソルマーレの「コミックシーモア」で公開されている原作をドラマ化したものです。

Tverの見逃し配信では爆発的な再生数をたたき出し、売上に大きく貢献しました。放送、配信用にドラマの主演者が登場する連動CMも制作しました。企業さんとの対話も深まり、かつ、ドラマ自体が人気を博すことは、担当営業としてもとても嬉しいことです。

「オンネラ」は、若い女性ターゲット層から広く視聴されている動画サイトで、ABCテレビとグループ会社のABC開発とで運営しています。サイト上では独自の商品キャンペーンを描き、かつ、テレビのOAとも連動させることもできるので、企業さんに対してはこれまでになかった新たなアプローチとなっています。

「バーチャルカンファレンス」は、ABCのグループ会社で撮影・編集技術を専門とするアイネックスが、同じくグループ内のイベント会社、マッシュと協業して新たな“外貨獲得”に成功したものです。

コロナ禍で人を集められないことに課題を持つ企業さんからの依頼で、オンラインで世界中をつなぐ、趣向を凝らしたプレゼンテーションの場を作り上げました。ABCに「熱闘甲子園」のスタジオ演出等でCG合成の技術を駆使してきたノウハウがあるからこそできた試みで、別の企業さんからも問い合わせが入っていると聞きます。

私は2021年4月からは営業部長となったことで、これまでとは違ったレイヤーでも情報が入るようになっています。企業さんのニーズを迅速に正確に掴み、決してタイミングを逃さず、マッチングした最強の提案を手掛ける──そうして、ABCグループ全体で、数々のコンテンツを武器に稼ぎたいという気持ちが高まっています。

自由闊達に言い合えるABCが大好きなので。