銀行員から監査法人へ転身。トラブル対応で身についたやりきる力

私は元々、大学卒業後に銀行に入社しました。このころから、ゆくゆくは転職してテレビ局などの在阪のインフラにも関わりたいと思っていました。しかしリーマンショックが転機となり、公認会計士を目指すことになります。

当時は会計士バブルと言われていて、働きながらでも公認会計士の資格を取ることができました。また、生まれも育ちも大阪で地元愛が強く、あまり離れたくないという気持ちも当時から強かったんです。

試験に合格し、就職活動を行っていた際に興味を持ったのが有限責任監査法人トーマツでした。トーマツは2-3年目の社員が採用活動に出てきて対応してくれたのが印象的でしたね。聞きたいことを近い距離で聞けたことで社風が伝わってきたため、入社を決めました。

2012年にトーマツに入社し5年弱在籍をしました。そこで学んだことは、知ったかぶりしてはだめだということです。うわべだけで理解していては、間違えたときに信頼を失います。少しでもわからないと思ったことはしっかり調べてお返しするべき、ということを学びましたね。

また、当時もっとも印象に残っているエピソードがあります。それは、職位があがってはじめて担当した会社で起きたトラブル対応です。

とある数字にミスがあったことが発覚すると、監査法人は業務量は格段に増えます。間に合わないようなタイトな期限で、メンバーも限られているという状況下でトラブル対応を行わなければいけませんでした。それでも、なんとかやりきることができたときに、大概のことはなんとかなるんだなと精神面の強さを手に入れることができました。

そのとき一緒に乗り越えた先輩から「一緒にいてくれて良かった」と言ってもらえたことが深く心に残っています。しんどいときは、そういう一言がとても嬉しくて沁みましたね。

また自分の部下のように厳しく接してくれるとても怖いクライアントさんがいたのですが、その人からは「あのやり方は良くないよ」などの助言をいただき、社会人としての基本的なルールを学びましたね。とてもユニークな方で、今でも感謝しています。

どうお金を使っていくべきか──コロナ禍で変わった戦略の立て方

2020年10月現在、私は日常の経理業務に加えてABCの予算づくりを担当しています。コロナ渦のこのような時期にどう工夫してお金を使っていくのか、という施策を考えたり、現場と話したりする仕事です。

本来あるべき姿は、お金を稼げるところにいっぱい予算をつぎ込むことだと思っていますが、今年はなかなか収入が増えない状況です。とはいえ、社としてコンテンツファーストという方針があるので、制作やクリエイティブなど大事な部分は守りつつ、どこで補填できるのかということを日々考えて動いています。

一方、コロナがきっかけで考え方に変化が生じてきている部分もあります。

これまでテレビは収益も安定傾向であり、予算に関しても前年を踏襲するなど、そこまで深く経営戦略を考えてきた経験がありませんでした。しかしコロナを経験したことでこれからは、どうお金を使っていくべきか、という戦略を考えていかなければならないなと。

また、どうしても今は経費削減などを行っていますが、メリハリをよりつける必要があると思っています。今あるものをしっかり有効活用するために、無駄をなくして、頑張っているところ、今後伸びていく分野にもっと予算をつぎ込む。そのために、できる限り現場の話を聞きたいと思っています。事前に話を聞いていれば予算の考え方もお伝えできるので、できる限り現場に近くにいって、話を聞けるタイミングをつくることが重要です。

特に私は中途採用で同期もいないため、できるかぎり飲み会やイベントなど社内コミュニケーションの機会があれば積極的に関与するようにしていますね。前職の監査法人のときから、現場との距離を近づけることは意識していたかもしれません。監査ということもあってか、現場の方は緊張して、かしこまってしまいがちなので、できる限り緩い感じを出すようにしていましたね。

在阪インフラで働きたい──朝日放送で経理の仕事

いずれは在阪インフラで働きたいと漠然と考えていた中で、転職サイトを見ていると、たまたま良いタイミングで朝日放送テレビの募集を見つけました。迷わず飛びついたのが転職のきっかけでした。

元々両親が共働きで夜まで帰ってこない家庭だったので、テレビは大好きでしたね。当時から「探偵!ナイトスクープ」など有名な番組がありましたし、どこに行こうかとなったときに自然と朝日放送がいいなという風になりました。転職活動中、人事の方と面接の控え室で話しているときも、雑談を交えながら、リラックスさせてくれたんです。その上で面接に臨めたので好印象でした。

そして2017年、朝日放送テレビに経理として入社。

監査は数字ばかり扱い、仕事はもくもくとこなしていくところがありましたが、今の経理の仕事は現場と話す機会も割と多いという点で違いを感じます。

朝日放送はクリエイティブで話が面白い人が多いので、飲みにいってもとても楽しいです。番組の裏話とか、自分が好きだった番組のことを話せていると嬉しいですし、本人もとても楽しそうに話してくれるのが印象的ですね。

「テレビ業界は今後もしっかりコンテンツを作れるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、当社はコンテンツを生み出す部署や活用する部署など戦略を練りながら投資をしています。だから、売上が厳しい中でも成長投資についてはかなり精力的におこなっているんです。

また朝日放送は、これから新たなことをやっていこうという動きがあります。その中のひとつとして、テレビだけでなく、新たなビジネスをつくっていくゼネラリスト的なコンテンツプロデューサーを生み出そうという動きが出てきています。

たくさんの人に見てもらえる企画にすることは当然のことながら、どのようにすればそのコンテンツが最大限の収益を生み出すのかを含め、営業も企画も制作もなんでも携われる人を生み出そうとしているんです。たとえば、当社ではYoutubeなどテレビ以外のコンテンツにも手を伸ばしていて、そことテレビをつなげるところに力を入れています。テレビで終わるのではなく、そこから周りに波及する動きができるのが一番強みになるのかなと。

経理の仕事をしていると全体の動きの良し悪しが見えるので、新しい分野にお金を使っている様子が伝わってきますね。

多くの人に見てもらわないともったいない。テレビだけじゃないあらたな挑戦

正直コンテンツが当たるかどうかなんて誰もわからないので、皆が納得いく判断をするというのはとても難しいですね。

そうした判断力をつけていくためにも、有志でやっている社内横断プロジェクトには手を上げて参加し、社内で顔を広げることに力を入れています。

やはり今は経費削減が先立っているので、現場の方も経理に相談しつつも、完全な味方だとは思っていないのではないかと思います。

そこで大切なのが、序盤から密に現場とコミュニケーションして、共創していくことです。結論だけ持っていっても、現場はきっと納得できないと思います。序盤から入って動ければ、たとえ「NO」と言っても少しは納得感が生まれるはず。

そのため、まずは現場の人が想いを伝えやすいようにコミュニケーションしていくことを意識してます。前職が監査ということもあり、現場の方の緊張を和らげられるよう、現場との距離を近づけることを意識していた経験が生きているのかもしれません。いち経理としては個人的に仲よかったら相談してもらえると思うし、「どうしよう」というときにまず思い浮かべて電話してもらえるような人になりたいです。話しているとやはり現場はとても熱い想いを持っています。

経費削減を行う現場の敵のような存在でなく、また馴れ合いの関係でもない、腹を割って本気で話をしてもらえる経理になることが重要です。さらに個人としてだけでなく、「まず相談してみようかな」と思ってもらえる部署にしたいですね。

なぜこういう想いがあるかというと、当社のコンテンツは大阪の人にとってとても馴染み深いものだからです。こんなにいいものつくっているのだから、多くの人に見てもらわないともったいないという気持ちがあります。

経理はコンテンツをつくれないけど、最適予算を配分することはできる。そのためにはやはり対話が必要です。お金がないからという理由で辞めるのはいやだなという気持ちが一番自分を突き動かしていますね。いいものをつくれる状態でいるように、経理が調整弁として機能しなくてはならないと思っています。

また、今あるコンテンツは大阪の人には絶対に親近感があるものだし、それ以外にもYouTubeに限らず色々なコンテンツやプラットフォームに投資をしています。「あの会社こんなこともしていたんだ」とテレビ以外のところからも朝日放送テレビを知ってもらえると一番嬉しいなと思いますね。