リモートワークを当たり前にすることで、「労働革命」の原動力に
人類の「労働」の歴史はとても長いものです。農業からはじまり、工業が生まれ、いつしか世界中にあらゆるサービスがあふれるようになりました。さて、では次に私たちを待っているのは……?
まだ見ぬ新しい産業が世に出るよりも、これからは「労働」そのものの在り方が問われることになることでしょう。いや……「これから」というのは、少し甘いのかもしれません。もうとっくに、人類は“次の時代”に足を踏み入れているのですから。キャスターは、今の時代をそう捉えています。
では実際、私たち人類(とりわけ日本人)は、働き方をどのように変えていく必要があるでしょうか。この大きな問題に対し、多くの人たちに提示したいひとつの解答が「正社員、派遣、アルバイトなどの雇用形態に関わらず、リモートワークを当たり前の働き方にする」ということなのです。
キャスターが提供しているオンラインアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」を支えるおよそ100名のスタッフは、もちろん全員がリモートワークで働いています。
現状では、この「リモートワーク」という言葉から「女性活躍支援」「地方創生」などの社会的な課題をイメージする人が多いことでしょう。しかしそれは、結果として実現できることの一部です。キャスターが展開する事業の真の目的は、働く女性たちのサポートや、地方の雇用を盛り上げることのさらに先にあります。
根本的なところから、「労働革命」を推進する――働き方そのものの在り方を変え、性別や、住んでいる場所に関係なく、すべての働く人々を自由にすること。つまり、「労働革命で人をもっと自由に」する。それこそが、当社が掲げるビジョンなのです。
そしてそれを後押ししているのは、加速度的に変わっていく労働環境への危機感に他なりません。
「より人間らしい働き方」に移行するべき? 労働集約型ビジネスの終焉
100年後の未来を、あなたは予想したことがありますか?。100年は少し先すぎるとしても、10年後、20年後……働き盛りの世代がこれから生き抜いていかなければならない社会は、一体どんなものになっていくのでしょう。
当社の代表である中川祥太は、「たった10年後でも、世界は大きく変わっていく」と確信しています。それは「予測」ではありません。人類が進化していく過程での「決定事項」だと捉えているのです。
中川 「もうすでに、多くのビジネスが労働集約型ではなくなりつつあります。それも、ものすごいスピードで。それに伴い“新しい働き方”が生まれてきていますが、実はその情報は、働く人たちにまだほとんど伝わっていないんです」
先端的な企業にリードされる形で生まれる恩恵は、都心部の、さらに一部の企業ばかりに提供されており、日本全国に行き届いてるわけではありません。人が生きていく上でさまざまな意思決定を行うとき、仕事はひとつの重要な要素です。しかし、未だにその仕事が「場所」や「土地」と密接に絡みあっているのが現状です。中川はそこに目をつけました。
中川 「リモートワークによって生産性を上げるとか、在宅だから隙間時間が活用できるといったことには、すでに多くの人が気づき、共感し始めています。しかし生産性を究極まで高めていくと、実は人間自体が労働現場にいる必要がなくなっていくんです。であれば、これまで当たり前だった労働環境を乗り越え、機械に支えられながら、より人間らしい働き方に移行したほうが良いと考えています」
自分の祖父母や両親が過ごしてきた時代と同じ働き方をしていれば、その先に見える景色もこれまでとさほど変わらないかもしれません。キャスターが「労働革命で人々を幸せに」という壮大なビジョンをあえて今、掲げている理由はそこにあります。労働革命によって“新しい働き方”が浸透すれば、人の生き方の可能性をさらに広げていくことができるのです。
ただし、その運命をすべて「働く側」が背負わなければならないというのも、少々違和感のある話ですよね。
中川 「雇用する側、働く環境をつくる側の意識も重要だと思うんです。働く人たちの選べる選択肢が、もっとあったっていいじゃないかと」
それは中川自身が、前職であるBPO業界の現場で痛切に感じてきたことでした。
大きな可能性を秘めたはずの、クラウドソーシングの現状とは
もともと個人的に「通勤電車に乗ることが大の苦手だった」という代表・中川。雇用する側に合わせてほとんどの会社員が満員電車に揺られながら通勤しなければいけないことに、違和感を感じていたのです。
そして中川がBPO業界に勤務していた時代、その目の前に時代の潮流として出現したのが、クラウドソーシング・サービスであり、リモートワークという新たな働き方でした。可能性への期待は大きく膨らむ。しかし現場では、そう感じていた人は少なかったようです。
空いた時間を有効に使える。世界中どこにいても仕事ができる。クラウドソーシング、そしてリモートワークは本来、そういった自由な可能性を秘めているはず。しかし現実は違いました。とにかく安く、とにかく早く、効率的に。報酬は度外視され、仕事が集まれば集まるほど、働く側が摩耗していく……。
そうしたワーカーの中には、ハイキャリアでとても優秀な人たちも大勢いました。しかし、通勤が難しいというただそれだけの理由で、驚くほど安い時給で仕事をせざるを得ない現状がそこにはあったのです。
中川 「働ける人、働きたい人はこんなにいる。だったらもっとできることがあるんじゃないか。リモートワークの可能性を提示するひとつの事例として、こういうカタチならきちんと成り立つという、自分なりの答えを示したかったんです」
目の前にある課題に対する、ひとつの答えのカタチ。そこから生まれたのが、新しいオンラインアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」です。株式会社キャスターとして事業をスタートしたのは、2014年9月のことでした。
しかしサービス開始早々、想定外のことが起きます。リモートワーカーの求人に対し、なんとおよそ500人もの募集が殺到したのです。
中川 「前職の経験から、それなりに需要があるだろうとは思っていました。しかし実際に求人を出してはじめて、想像以上のワーカーが働く場所や仕事に困っているということが浮き彫りになりましたね」
今まで、誰も挑戦してこなかった事業領域。誰も目を向けていなかったリモートワーカーの現状。それがぴたりと重なった瞬間でした。
新サービス「在宅派遣」と「Remote Style」を展開
創業時から行なっているCasterBiz以外にも、新たなサービス展開をしています。
そのチャレンジの一つが「在宅派遣」。在宅で働いているリモートワーカーを、企業に派遣というカタチでマッチングするサービスです。秘書や人事、総務や営業アシスタントなどから、マーケティングやPRの経験者まで、各企業の要望に合わせた人材のマッチングをオンラインで実現しています。
また、「Remote Style」は、フリーランスのデザイナー・エンジニアと、企業の案件をマッチングするサービスもスタートしました。リモートワークをはじめとし、時短・副業など、フレキシブルな働き方の実現を支援しています。
「リモートワークを当たり前にする」というミッション、そして「労働革命で人をもっと自由に」というビジョンを掲げている以上、より多くのリモートワーカーが適正な報酬を得て働ける環境を提供していきたい。新たなサービス立ち上げの根底にあるのは、そうした使命感にほかなりません。
中川 「CasterBizではリモートワーカーを完全に社員として雇用しているうえ、かなり厳しい選考基準を設けているため、採用できる人数にはどうしても限りがあります。だからといって、その他の人たちをただお断りするのではなく、別の方法を考えなければならないと思いました」
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私たちはこれから、激動の時代の真っ只中を生き抜いていかなければなりません。誰も予測ができない、未知の世界の中をーー。
たとえどんな世界を迎えるとしても、働き盛りである自分たちの手で活路を切り拓かなければいけないのは明らかです。だからこそ私たちキャスターは、ひとつでも多くの可能性をたぐりよせ、働く場所を求める人たちの一つの指針であり続けたいのです。