新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、不意に訪れた人生の転機

賃貸住宅の家賃保証サービスを行っているCasa。入居者の中には、突然の病気や怪我など、さまざまな事情で家賃を支払えなくなってしまう人もいます。そのような入居者の対応を行っているのが林の所属する顧客管理部。家賃支払いの相談や、生活保護や緊急小口支援金などの公的支援のご案内、貸主・管理会社への状況報告など業務は多岐にわたります。

林 「人の役に立つ仕事がしたい、そう思って何を仕事にしようか考えていたとき、サービスの最高峰といえばホテルだなって思ったんです。なので悩むことなくホテルマンになるため専門学校に進学しました」

もともと友人の誕生日をサプライズで祝ったり、誰かを喜ばせたりすることが好きだったという林は、都内大手のホテルへ就職します。長身の見た目と高いサービス精神が買われ、ホテルのバーテンダーとして活躍していた2020年。新型コロナウイルス感染症が大流行し、職場であるバーの閉鎖が決まりました。

林 「出勤日が1週間に2日と激減し、給与も半分に減りました。家賃の支払いも、生活するのもギリギリでしたが、手取りの金額では住宅確保給付金の条件に満たず、対象外となってしまいました」

このままではやりたい仕事ができない、と退職を決意した林は、転職活動時にCasaの社員インタビューのページを見て応募を決めたといいます。

林 「この仕事なら、さまざまな手段で困っている人の役に立つことができる。自分自身がコロナ禍で家賃の支払いに苦労したこともあり、身近に感じて応募しました」

入社後に直面したギャップ。本当にお客様のためにできることは何か

ホテルマンから家賃保証会社へ入社した林は、思い描いていた仕事と現実とのギャップに違和感を覚えました。 

林 「入社する前は、入居者に最後まで寄り添い、支えてあげるものだと思っていました。でも、一般的には長期に渡って家賃の支払いがないと、法的な手続きが進み、退去せざるを得ない状況になります。すべての人を助けていては、事業が成り立たないことは頭ではわかっていましたが、正直なところモヤモヤしていました」

長期に渡る家賃の未払いは、大家さんと入居者の間で信頼関係が破綻しているとみなされ、契約の解除事由になります。一見すると、入居者が退去しないといけない現状に、林は納得できませんでした。

林 「でも、あるとき、上司に言われたんです。『その入居者の親の立場になって考えてみたことはあるか?』と。『人に迷惑をかけて住み続けているよりも、一旦家に戻ってきてやり直そうと声をかけるんじゃないか』と言われました。そのとき、住み続けることだけがその人の唯一の選択肢というわけではないと気づき、納得することができました」

その人にとってのベストな提案は何か。マニュアル通りのやり方にとらわれず、入居者一人ひとりに向き合うようになりました。

「ありがとう」の一言で実感。やりがいを感じた瞬間

顧客管理の仕事は、ときに人の命と隣り合わせになることがあります。当時林が担当していたのは、一人暮らしをしている高齢の女性。家賃の支払いが数カ月遅れており、退去に向けた法的手続きが進もうというところでした。

林 「入居者に何度電話をしても連絡が取れず、なんとか連絡を取らねばと部屋を訪問したところ、扉越しにかろうじて会話をすることができました。扉も開けてもらえないし、何度話をしても『自分は大丈夫だから』と言うばかり。パンの耳を食べてなんとかしのいでいると聞いたときには、どうにかしないと、と思いました」

普段通りに生活できる状況を整えるべく、林はすぐに入居者への食糧支援を始めました。

林 「CasaではNPO法人のセカンドハーベスト・ジャパンと提携し、さまざまな企業・メーカーから集められた食品を無償で入居者に提供しています。

届ける段ボールには約2週間分の食品が入っており、お菓子やパンなど、すぐに食べられるものが入っています」

それと並行して、入居者が利用できる公的支援の案内を開始しました。

林 「大家さんにも相談し、退去よりも支援を受けて生活を立て直してもらおうと、2人で協力して入居者に役所へ行くよう説得しました。しかし、入居者は相変わらず『自分は大丈夫だから』 の一点張り。なかなか説得に応じてもらえず、どんどん日が経っていきました」

後日、林宛てに役所の担当者から連絡がありました。

林 「入居者が役所に来て生活保護の申請手続きをしていったという連絡でした。『状況を見るに、あと数日遅かったら、本当に亡くなっていたかもしれない。根気よく説得してくれてありがとう』と言われて。このとき初めて、自分がやったことで本当に人の役に立てたんだと実感できました。この仕事をやっていて良かったと心から思いました」

持ち前の行動力で、社内でも力になれる存在に

入居者とのコミュニケーションを通じて、顧客管理としてのやりがいを感じている林。

林 「もちろん最初は、まったく取り合ってくれない入居者もいます。家賃保証ってあまり馴染みのないサービスですし、部屋を借りるときに契約するといっても、どこの会社か意識している人はほとんどいませんから。

でも少しずつ話ができて、信頼関係を築くことができると『林さん、仕事決まったよ』とか、『今月も支払い大丈夫です』と、入居者さんから連絡をくれるんです。中には、その後も近況を報告してくれる方もいて、元気に生活している様子を聞くと安心します」 

顧客管理としてスタートして今年で丸2年。林は今後の目標を次のように話します。

林 「入居者とのやりとりも、これからももっと良くしていきたいですが、それだけではなく、社内でも人の役に立ちたいと思っています。

会社の方針や方向性に対して、しっかり自分のこととして捉え、行動できるようになりたい。先輩たちも、納得できるまでとことん話し合って、最後まで付き合ってくれます。今度は自分がそういう立場になって、部下や後輩を守る──じゃないですけど、みんながもっと気持ちよく仕事できるようにしたいと思っています」

 人に向き合って真っ直ぐに行動する。林が活躍するフィールドはどんどん広がっていきます。