改正育児・介護休業法により、2022年10月1日から施行された出生時育児休業(産後パパ育休)は、従来の育児休業とは制度が異なり、子どもの出生後8週間以内の期間で2回まで分割して休みを取得することができます。
この制度により、長期の一括での育児休業取得が不要な場合は、柔軟に産後パパ育休で短期間の休業を利用し、その上で育児休業を取得するというようなメリハリのある活用もできるようになりました。
今回は産後パパ育休を取得した人事総務部長の弥上 史郎に、インタビューを行いました。2022年9月に息子が誕生し、1週間の育児休暇を取得した弥上。
復帰してすぐのタイミングで、産後パパ育休を取得したことで感じた業務・育児に関する率直な話を聞きました。
──育休の取得を考えたのはいつごろですか?
妊娠後期(出産予定日の約3カ月前)から、可能な限り取得しようと思っていました。出産は母子ともにリスクが伴いますから、何かあったときのために備えておきたいと。妻は「あなたが休まなくても自分でできるから」と言っていましたが、自分から取得したいと話し、産後パパ育休を取得することに決めました。
──取得に際して不安はありましたか?
ありました。管理職としての立場で、承認するものも多いので、自分がいないときの業務フローをどう構築するか考えていました。
取得期間は1週間を予定していたので、まずはその期間のスケジュールの調整を行いました。重要なミーティングなどが被らないように関係部署と調整したり、承認フローに関しては各部長に依頼したりと自分がいなくても回るように考えました。
──実際の引き継ぎにあたっては業務の棚卸しをしたのでしょうか?
棚卸し作業はやっていないのですが、引き継ぎをしていくうちに「あ、自分がいなくても意外となんとかなりそうだな」と感じることが多くなって、逆に「自分じゃないと」みたいなものは、自分の思い込みだったんだなと気づきました。
それが今回お休みを取得したことで気づけた点ですね。業務改善の要素を会社に還元していく、これも大切なお休みの意義だったと思います。
──実際にお休みを取得してみて、いかがでしたか?
普段から育児には積極的に関わっていましたが、この休みの期間には妻が日中やっていることをすべてやろうと心がけていました。そのための休みでもあるので、家事も育児も私が主にやって、妻にはなるべく休んでもらっていました。
昼夜問わず2~3時間おきにミルクやおむつ替えが必要なので、夜中も妻より先に起きて、ダッシュでミルクを作りに行って、ミルクをあげて寝かしつけて……。と、そんな感じで過ごしていました
──家庭でもフルコミットな日々を過ごされていた弥上さん。一番苦労したのはどんなことでしょうか?
日ごろからなるべく家事をやるようにはしていたのですが、育児はなかなか慣れなくて大変でした。やっぱり子どもが泣き始めたらおろおろしてしまうし、何がほしいのか、なぜ泣いているのかがわからなくて。
そのうち徐々にですが、泣き出す様子を見て、これはまだ様子を見ていて大丈夫なものか、眠いのか、ミルクなのかがわかってくるようになりました
──推進していく立場の弥上さんが実際にご自身で取得されて、率直に「産後パパ育休を取得すべき」と思いましたか?
国として積極的に取りましょう、という流れはありますが、個人的には単純に「取得してみてほしい」と思いました。
私は、マネージャー職というのは、社員の皆さんが業務に集中できる環境を整えること、そしてさらなる改善に向けて、皆さんの一歩先、二歩先の障害を取り除くことが求められていると考えています。その役割を担うためにも、定期的に業務の棚卸しを行い、属人的な業務に対して「やる」「やらない」「誰かに依頼する」などの判断をする必要があります。だからこそ、この育休を仕事面でもうまく活用して業務の棚卸しをしてほしい。自分が取得してみてそう感じました。
それから、これは誰のための制度か、ということを考えてほしいです。決して会社ではなく、パートナーと一緒に子どもを育てるための──「家族」のための制度なんですよね。サポートをするにあたって、家事に関しては妻に勝てないと思うことももちろんあります。掃除の仕方、洗濯物のたたみ方、そういうところは何年も毎日やっている人にはどうしても勝てない。
でも、育児は2人にとって初めてのことじゃないですか。もちろん最初は多少の劣等感はあります。たった数日間でも、先に病室で過ごした母親の方が、子どものことをよくわかっているのは当たり前です。だからこそ家に戻ってきてからは積極的に育児に参加して、夫婦2人で一緒に悩んだり、話し合ったりする時間があると、その後の育児参加もしやすくなると思います
──産後パパ育休を取得した当事者として、どんなことが変わりましたか?
家族にとって必要なタイミングで、都度休みを取得できるという点がすごく良いと思いました。子どもが生まれてからは、出生届を出す、母子の退院、1カ月検診など、さまざまなイベントや手続きで父親の手が必要になりますので、非常にバタバタした日々を過ごしていました。そういったタイミングで柔軟に休みを取得できるというのはとても便利だなと思います。
休みの活用としては、まだ育児休暇が残っているので、子どもが外出できるくらいになったら、今度は家族でゆっくり実家に帰りたいなと思っています。
産後パパ育休を、家庭だけでなく自分の仕事を見直すきっかけに。
Casaでは今後も社員のライフスタイルの変化に応じた働きやすい環境づくりを目指していきます。