ECの売上貢献と並行し、全社的な改善施策を担う

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デジタル戦略本部 デジタルビジネス推進 プロダクトマネジメント部は、カインズのECを中心とした売上貢献と開発・運用効率化のバランスをとりながら、部署を横断して改善施策を取りまとめる、いわば司令塔。下雲はその部長を務めています。

下雲 「ECの売上貢献を『攻め』、開発・運用の効率化を『守り』と称して、攻めと守りのバランスを図ることが、われわれプロダクトマネジメント部の役割です」

ホームセンターからスタートしたカインズは、小売業としていち早くDXに着手。オンラインショップのCVR向上施策に取り組んでいます。 

下雲 「並行して、部署を横断した交通整理も担当しています。カインズはEC強化へと舵を切りましたが、商品開発や組織上で新たな課題が浮上した場合は、改善施策をまとめたり、ロードマップを作成したりします。舞台でたとえると、演者が演技しやすい舞台を作ることがうちの部署のミッションだと考えています」 

2022年8月現在、ミッションの一環として、新たなプロジェクトが進行中です。 

下雲 「たとえば、いま力を入れているのが『店舗出荷プロジェクト』。ECで購入した商品を、川越にある倉庫だけでなく、近くの店舗から出荷できるようにするプロジェクトです。お客様にすばやくお届けでき、当社としても送料を抑えられるメリットがあります。そのために、どの商品をどの店舗に配置するのが最適かを検討しています」

ほかにも、ECに適した商品価格の検討、A/Bテストによるサイト改善、お客様のインサイト分析、次世代購買層であるZ世代へのアプローチの検討など、課題は山積しています。

下雲 「これらの結果がつながってくると、いわゆるOnetoOneマーケット、すなわち、お客様一人ひとりに寄り添ったECチャネルが実現できます。いまがふんばりどきですね」

司令塔を担うプロダクトマネジメント部のメンバーは、EC運用担当、SEO対策やスピード改善担当、顧客分析担当など、7〜10人体制。

下雲 「われわれはデジタル部門ですが、役回りはITシステムの『プロジェクトマネジメント』ではなく、あくまで『プロダクトマネジメント』。メンバーはエンジニアでありながら、事業に貢献する視点を持って仕事を遂行しています」

“DXに本気”なカインズに転職──SIerの経験を生かして事業に貢献したい

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下雲は、大手コンサルティングファームなど6社でSIerを経験。中でも、外資系コンサルティングファームでの経験が、いまに続く価値観を形成したといいます。

下雲 「“いかにしてお客様の立場に立つか”という考え方を叩き込まれました。先輩コンサルタントたちは、お客様よりもお客様の会社のことを熟知しているんです。衝撃だったし、格好いいなと感じました。事業やシステム上の課題を、スマートにまとめながらリーディングしていく姿を目の当たりにして、事業に寄与するとはどういうことかを勉強できました。いまでも、当時の先輩たちを目指して仕事をしています」

カインズに転職したのも、この価値観がベースにあると話します。

下雲 「SIerの経験を生かしつつ、事業に貢献できる仕事をしたいと考えていました。トレンドである小売りのDXに注目する中で、カインズのDXに対する本気度を感じたんです。いちばん衝撃を受けたのが、会長の土屋がAWS(アマゾン ウェブ サービス)のイベントに単身で足を運んでいたこと。

また、土屋自らデジタルのプロを集めてデジタル部門を作りはじめていると聞きました。そして、『プロダクトマネジメントを任せる』とご提案いただいたことが、入社の決め手になりました。私にとっての新しいチャレンジです」

入社後、早速ECサイトのリニューアルを行った下雲。試練が待っていました。

下雲 「サイトに不具合が多く出てしまい、対応に追われました。また、うちの部は部署を横断して施策を取りまとめる役割を担っていますが、当時は立ち上がったばかり。メンバーがアプローチ方法に戸惑った部分もあったと思います。今期は、ようやく売上貢献施策に本腰を入れられるようになりました」

一方、「入社して良かったといえる理由がひとつ、明確にある」という下雲。

下雲 「カインズには協力的な人が多いんです。みんな率先して改善案を出してくれて、社名の由来でもあるKINDNESS(親切心)のカルチャーが浸透していると思います。

いままで数々の大企業を見てきたのですが、規模が大きくなるほど、保守的な意見が目立ってしてしまうケースがありました。当社も従業員12,000人以上の大企業ですが、それがありません。前向きで協力的な環境が、心地いいんです」

短期間でサイト評価が上昇──ぶれない指示でチームをリード

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入社してから8カ月間、下雲はECサイトの不具合解消のためにタスクフォースチームを組み、SEO対策と並行して改善施策を推進。結果、2カ月ほどでサイト評価を急上昇させることに成功しました。

下雲 「短期間で改善できたことについては、自分でも達成感があります。私の上司にあたるCDO(最高デジタル責任者)の池照から、『月1回定例でサマリー報告会をやろうよ』と提案されたときは、自分の仕事や今後のプランを認めてもらえたのかなと。うれしかったですね」

百戦錬磨のCDOとの定例会は、下雲にとって経営戦略を学べる貴重な場。自身のチーム運営にも成長を感じているといいます。

下雲 「メンバーの話を以前より傾聴できるようになったし、トラブルが起きても一歩引いて考えられるようになったかな、と思います」

マネージャーとして成長する下雲が大切にしていることは、ぶれないこと。

下雲 「指示がぶれないことを意識しています。サイトの不具合が発生したとき、メンバーはほかの案件をたくさん抱えていましたが、『いまは不具合に集中しよう。その後に売上施策を落ち着いて考えよう』と指示したことで、短期間に改善できました。

軸を定めて、メンバーが目標にまい進できることを大切にしています。その意味でも、池照とのコミュニケーションが増えたことは、会社の意向の確認ができてありがたいです」

力強くメンバーをリードする下雲。モチベーションの源泉は“事業を伸ばすこと”と話しますが、メンバーへの想いが表裏一体となっていす。

下雲 「まずは、事業を推進すること。その上で、プロジェクトメンバーがいきいきと働き、それぞれのキャリア像が描けるのがいいですよね。メンバーがどんどん成長していく姿を見るのは、うれしい限りです」

DXの中枢で数々の野望を実現させ、皆で成長していきたい

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今後の課題として下雲が挙げるのは、“アプローチしきれていない顧客層”の存在。いま、新しい可能性を模索しています。

下雲 「カインズは、店舗を全国展開しているアセットがあり、プライベートブランド(PB)を開発する日本有数のメーカーでもあります。いままでアプローチできていなかった顧客層に新しい可能性があると思うんです。

たとえば、大人用オムツをECで注文して届ける“たすかる便”を介護施設向けに展開したり、建築資材ブランド“カインズプロ”を工務店とマッチングさせるといったBtoBのアプローチを試みたり。BtoCでも、PBの掃除用品を商品単体として販売するだけでなく、掃除と整理整頓をトータルにバックアップするサービスを提供できないか。モノを売るだけでなく、サービスを売ることで成長できると考えています」

社会課題解決にも貢献したいという下雲。次のように続けます。

下雲 「店舗とメンバー(従業員)がハブとなって地域の困りごとを助け合う“くみまち構想”が2021年にスタートしましたが、デジタルコラボも進めたいです。ECの売上、カインズの売上に貢献しつつ、地域活性化や介護問題などの社会課題解決の助けにもなって、たくさんの人がハッピーになれるといいなという野望があります」

下雲が思い描くのは、会社と共にメンバー全員が成長する姿です。 

下雲 「カインズのECも含めたデジタル購買比率を数%から5%、10%に引き上げ、数百億のビジネスに拡大させることは、私自身も経験のないチャレンジです。デジタル領域から携わることで成長に貢献し、結果、私が事業をけん引する存在であれたらうれしい。携わる人全員がウィンウィンで成長できるようなビジネスモデルが作れたらいいですね」

さらに、この仕事は、プロダクトマネージャーを目指す人やエンジニアにとって稀有な経験になると強調します。

下雲 「この仕事は、新事業にチャレンジしたい人にとって大変やりがいのある仕事です。DXの中枢を実感できるし、経営的な視点で会社の事業を一緒に考えることもできる。なかなかできない経験です。カインズの強みは、全国にリアル店舗があること。

店舗とEC、大小さまざまなプロダクトをマネージメントすることを『すっげえ楽しそうだなあ』と思える方、『自分ならカインズでこんなことをやりたい』と考える気概のある方に、ぜひジョインしてもらいたいです。世の中に、楽しいことを提供していきましょう!」

いままで蓄えた知見のすべてを注ぎ、EC事業をリードする下雲。野望を成し遂げた先に、日本のDXの未来が広がっています。