いきなり戦場!?笑顔で乗り切ったバイヤーとしての初仕事

株式会社カインズでバイヤーとして活躍するふたり。所属する事業部はそれぞれ異なり、矢島はペットSBU、佐藤は日用雑貨SBUに所属しています。

矢島 「私はペット事業部で、ペット用ベッドの開発を行っています。バイヤーという言葉から、商品をメーカーから仕入れるイメージを持たれるかもしれませんが、ペット事業部は扱う商品の9割がカインズオリジナル商品そのため、日々商品開発に取り組んでいます」

佐藤 「私は日用雑貨、特にビューティのカテゴリーを担当していて、化粧品やスキンケア用品、生理用品などが主要な商材です。私の部署は、矢島さんのペット事業部とは逆で、ほとんどの商品をメーカーから仕入れています。メーカーの担当者と商談をして、その商品をカインズで扱うかどうかの判断と、販売計画を設計をするのが主な業務ですね」

矢島は2012年に、佐藤は2014年に現在の部署に配属されて以降、バイヤーとして長く経験を積んできました。それまではふたりとも全く別の部署にいたため、着任当初は苦労したといいます。

矢島 「忘れられないのは、着任して1カ月で海外出張して、中国の取引先と商談したこと(笑)。もちろん通訳の方は付いてくださっていましたが、商品の専門知識がない上に、文化の異なる相手ですから商談を進めるのが大変でした。手探り状態のまま、なんとか笑顔で乗り切ったという感じでした」

佐藤 「よくわかります。いきなり戦場に出たような感じですよね。私もバイヤーになった当初は、化粧品業界の専門用語や常識とされていることを知らなかったので、まさに笑顔で乗り切るという感じでした。バイヤー業務はスケジュール感も特殊なんですよね。発売日の半年ほど前からメーカーとの商談が始まるのですが、常に季節を先取りして仕事をしなければならないんです。夏が始まって日焼け止めを使い出したときに、もう冬のハンドクリームの話をする……みたいな」

矢島 「そうそう。企画して完成した商品を販売しながら、頭の中ではもう来年の新しい企画を考えているんですよね。一年先、さらにその先を常に考えながら動く必要がありますよね」

クオリティにもコストにもこだわる──ヒット商品の開発秘話

▲左:ペットウェア×HARRIS TWEED(ハリスツイード) 右:化粧水、日焼け止め、ハンドクリーム

バイヤーとしての苦労を感じつつも、全ての商品にこだわりを持って仕入れ・プロデュースをしているふたり。これまでを振り返って、とくに思い入れのある商品を紹介してもらいました。

矢島 「私は長い間、ペットベッドだけでなく、ペット用のウェアも担当してきました。その当時、プロデュースした、ある1着のウェアが印象に残っています。お客様にとって良い商品とはどんなものなのかを突き詰める一方、利益を出すために、プリント方法やデザインを変えてコスト削減にもつなげたんですよね。その結果、“コストを下げたのに、こんなにかわいいものが作れた!”と自分でも驚くような商品ができあがったのです。実際に売上も伸びて、お客様に喜んでいただけたという実感を得られたことが、印象に残っていますね」

コストを抑えながらも、納得のいく商品を作ることができた矢島。その後彼女は、カインズのペットウェアの知名度をあげるべく、アパレルブランドとのコラボレーションも企画しました。

矢島 「『OLIVE des OLIVE(オリーブ・デ・オリーブ)』とコラボしたり、『HARRIS TWEED(ハリスツイード)』の生地を使った商品を企画したりしました。次第に店舗メンバーから商品を褒めてもらえるようになり、お客様からも『カインズのペットウェアは安くてかわいいので毎年買っています』といってもらえるようになりました」

一方、日用雑貨担当の佐藤は、日焼け止め商品の開発が印象に残っているといいます。

佐藤 「3年前に、日焼け止めのオリジナル商品を企画しました。日焼け止めの人気商品の多くは、内容量が100グラム程度、日焼け止め効果の指数であるSPF値は「SPF50」のものが多いのです。そのなかで私は、250グラムという2倍以上の大容量の商品を作り、SPF値もあえて「SPF31」に設定しました。女性だけでなく、男性や子どもも含めた家族みんなが使える日焼け止めを作りたかったのです。男性や子どもが使っている割合が低いという、世の中の“抜け”に目をつけて発想しました」

佐藤の鋭い分析によって生まれた日焼け止めは、売り上げ上位の人気商品となりました。

佐藤 「ブランドや信頼性の強いメーカー品のなかで、カインズのオリジナル商品が売れるようにするためには、低価格を前面に打ち出すしかないと思っていました。でも、お客様のニーズに合った商品を作ったことで、しっかり結果が出たのです。私のなかでも分岐点となった経験ですね」

バイヤーはチームの中心軸。やると決めたらブレない、絶対に諦めない

▲生地サンプルの選定

さまざまな経験を糧に、成長を続けてきた矢島と佐藤。バイヤーとして仕事を進めるうえで、どんなことを意識しているのでしょうか。

矢島 「バイヤーはプロデューサーという立場でもあるので、チームと一緒に仕事を進めているんだということを、常に意識していますね。社内のメンバーだけでなく、開発で関わる海外の取引先の方々もチームメンバーだと思っています。決断しなければならないことも多い立場なので、最初から最後までブレのないように心がけています」

佐藤 「本当に共感します。普段、バイヤー同士でこのような話をする機会がないので、矢島さんも私と同じような熱い想いで仕事に向き合っていることがわかって、嬉しくなりました(笑)。

私も、バイヤーである自分が妥協したり途中で考えを変えたりしたら、全てがダメになってしまうと思っています。カインズの代表として商品を仕入れるので、しっかりとした情報を元に意思決定し、交渉にも最後まで粘り強く取り組むようにしています」

矢島 「私も今日の対談で佐藤さんと共通する部分を感じられて、バイヤーとしてもっと頑張ろうと思えました(笑)」

「カインズを代表して商品を選んでいる」という意識を持つ一方で、ふたりとも「バイヤーの仕事はひとりでは成り立たない」と感じています。

佐藤 「商品の品質・性能の面では絶対に妥協はしたくないので、周囲に相談したり、商談に上司に同席してもらったりもします。いい意味で周りを巻き込んで、チームで解決することも必要かなと思っています」

矢島 「自分ではいろいろ勉強したつもりですが、まだまだ専門知識が足りないと実感することもあるので、品質管理の担当者にアドバイスしてもらったり、売り場づくりの担当者には販促活動に協力してもらったり。迷惑をかけてしまうことも多いのですが、『こういう経緯で開発して、こんな風に売っていきたい』と自分の想いを伝え、ひとつのチームとして、商品をお客様にお届けできるよう心がけています」

自分が仕入れ・開発した商品が店頭に並ぶのは、バイヤーならではの醍醐味

▲日用雑貨事業部メンバーとのMTG

カインズに魅力的な商品を増やすため、チームの中心として走り続けるふたり。最後に、バイヤーという仕事のやりがいと、今後の展望について聞きました。

佐藤 「私は、買い付ける商品を選び、販売価格も自分で決めるという業務にやりがいを感じています。責任も伴いますが、その分達成感も大きいのです。自分が仕入れたり開発したりした商品が店舗に並んでお客様の手に届くことは、バイヤーならではの醍醐味ですね。売れる商品を仕入れる精度を高めていくのも、バイヤーの楽しさだと思います」

矢島 「私も同じで、自分の判断で商品をつくっていくこと、そして利益を残していくことをやりがいに思っています。利益を生むことができれば、それを原資に次の新しいチャレンジにつなげられるのです」

自分たちが選んだ商品がお客様に受け入れられ、会社にも貢献できることが嬉しい──そんなふたりは、カインズで働くうえでどんな未来図を描いているのでしょうか。

佐藤 「私は今、女性用の吸水ライナー(尿漏れシート)の開発を進めています。吸水ライナーって、年齢を重ねると誰にでも必要になって、使うととても快適になる商品なのに、現状は女性の半数程度しか使っていないんですよね。その理由としては『買うのが恥ずかしい』という気持ちが少なからずあると思うので、そこをクリアできる商品をつくりたい。これまで買いにくいとされてきた商品の、ネガティブなイメージを払拭できるような提案をしていきたいですね」

矢島 「私の目標は、お客様に“ペットベッドを買うならカインズ”と思ってもらえるようにすること。飼い主さん目線だけでなく、ペット目線でもいいベッドというのを開発し、お客様に愛されるブランドになっていきたいです」

そんな矢島は、育児休暇からバイヤーに復帰し、現在は時短勤務で業務を携わっています。幼い子どもを持つ親として、伝えたいことがあるといいます。

矢島 「子どもを育てながらバイヤーに復帰すると決めたときは、周囲から心配されました。多忙な部署ですし、70〜80名いるバイヤーのなかで、女性は現在5人しかいないので。でも、チームのみんなに頼りながら、仕事と子育てを両立できる環境があります。私の姿が、他の女性メンバーの働き方の選択肢のひとつになったらいいなと思っています。子育てをしながらでも、仕事を諦めなくていいんだと伝えられたら嬉しいです」

華やかで颯爽としたイメージを持たれる一方で、確かな結果や決断力を求められるバイヤーの仕事。ふたりはその責任感も楽しみながら、より良い商品を求めて走り続けます。