リフォームのハードルを下げるために生まれた独立部隊

▲カインズ リフォーム・エクステリアカンパニー部部長 高木育雄

私が部長を務めるリフォーム・エクステリアカンパニー部は、カインズの中でも少し特殊な部署で、言うなれば「小売業の中の建設業」です。

一般の方が「カインズ」と聞くと、DIYや園芸にまつわる商品、もしくは日用雑貨品を思い浮かべる人がほとんどではないかと思います。しかし、私たちはゼロから家を建てるのではなくリフォームに特化しています。つまり、「できあがっている住宅をお客様と一緒にDIYする」部署なんです。

ですから、“くらしの場”としての住宅を作るというのは、私たちからするととても自然なことと言えます。

リフォーム・エクステリアカンパニー部の具体的な業務は、大きく分けると4種類あります。

1つめは「スマイルサービス」と銘打った、小規模な工事・施工を行う事業体。本当に小さなものだと、電球交換もスマイルサービスが請け負う仕事のひとつです。少子高齢化や核家族化の中で、こうしたサービスの提供は、社会のインフラを自負するカインズとして欠かせないことだと考えています。

2つめは「カインズ365」。厳密に言うと同名の子会社で、小さな建設会社のようなものです。あえて別会社を作り、リフォームのプロを採用しました。難易度の高いリフォームを得意とし、カインズ本体のメンバーの良い手本となっています。

そのほかに、本部を拠点とする商品の買い付けチーム、電話やWeb受付の窓口となるお客様対応チームがあります。

こうした4つの業務パートからなる組織が、リフォーム・エクステリアカンパニー部です。

私たちが実現したいのは、「リフォームのハードルを下げる」こと。

お客様がいつでも気兼ねなく、どんなことでも相談できるサービス体制を目指しています。店舗を持つカインズであれば、直接話を聞くことができるので、まずは「安心してご利用いただける」ということを知ってもらいたいと思っていますね。

そのために、「早くて安いサービスを専門家が提供する」ということを第一に考えているんです。とはいえ、リフォーム事業の範囲は屋内と屋外にまたがっていますし、方法や資材についても専門性が必要なので、店舗で対応するメンバーの知識レベルにも差が出てしまう可能性があります。

そこでチェーンストアとしてどの店舗でも同レベルのサービスを提供できるよう、積極的にデジタル化を推し進めているところです。

アナログだったリフォーム事業にデジタルで風穴を開ける

デジタルの導入を決めてから、店舗の困りごとを徹底的に調べました。調べていくと、もっとも重要な「お客様とのコミュニケーション」に支障をきたしていたことが判明。ときにはお叱りを受けるケースもありました。

そんな状況を打破すべく、成功している企業の責任者の方にお話を伺ったことがありました。各社に共通していたのは、「いかにお客様とコミュニケーションがとれているか」を重要視しているということ。当たり前のことですが、リフォーム事業の原点をあらためて学ばせていただきましたね。

そこで、お客様とのコミュニケーションを円滑にするために、店舗と本部と施工業者をデジタルでつなぎ、役割と組織を見直す実験をはじめました。デジタル導入に伴って見えてきた課題もいくつかありますが、今のところ大きなトラブルもなく順調に進んでいます。関わる全員の意識が変わったことも、要因のひとつではないでしょうか。

リフォームは安い買い物ではないので、当然お客様の要求も高くなるもの。この実験を拡大することで、店舗がお客様とのコミュニケーションづくりにより専念できるようになるので、早く理想のカタチまでもっていきたいと考えています。

もうひとつ、これから注力していきたいのが「リモート接客」です。

リフォームを行うときは現場調査がかなり重要で、現場を直に見ないと進められない作業がたくさんあります。その度に施工業者や大工さんへの依頼が発生し、コストが発生しているのです。

そこで一部ではありますが、お客様から送っていただいた写真や動画で判断して作業を進められるようにしました。お客様にとってはコストダウン、業者にとっては手間の削減と、双方にとってメリットがあるモデルを作ることができました。

リモート接客自体は各社が導入を始めていますが、時差があってスムーズに会話できないなど、課題も多くあるという話を聞いています。幸い、一歩目を正しい方向に踏み出せたと思っているので、これからどんどんブラッシュアップしてきたいですね。

人数が増えても変わることのない、風通しのよい組織

▲早起きが高じて、日の出や明媚な風景を見に行くのが趣味のひとつに。こちらは和歌山県にある那智の滝

私は10年ほど前に、リフォーム関連のバイヤーに着任しましたが、その当時は今の売り上げの6割程度。人数も20人ほどの小さな部署でした。

小売業とリフォーム事業って、実は根本の考え方が異なるんですよね。誤解を恐れずに言うと、小売業は“数を売ってなんぼ”。それに対してリフォーム事業は、お客様である1つのご家族に寄り添って、どれだけ満足度を上げられるかが問われます。

カインズの主たる事業は前者なので、当時はリフォーム事業にスポットライトが当たるような状況ではありませんでした。

ですが、上司が「リフォーム事業はこれから伸びる」という信念をもっていて、実際に数字は右上がりで伸びていきました。

当時は家庭への太陽光発電の導入が進み始めていたのですが、その波に乗ってカインズも売り上げを伸ばすことができたんです。すると業績に比例して、社内からの理解・評価も高まっていき、店舗からも「リフォームの窓口を設置したい」という声があがるようになりました。

今では、リフォーム事業はホームセンター業界で高いシェアを占め、エクステリア事業は国内でも有数の規模となり、メンバーも100名と立ち上げ当初の5倍以上になりました。

全員が本部にいるわけではないうえに、人数が増えたことでコミュニケーションが取りづらくなったところもありますが、全員の週報にくまなく目を通すなど、一人ひとりの状況をきちんと把握するように心がけています。

ただ、もともと縦割りではなく部内の別グループとも気軽に意見交換やアドバイスがしあえる組織だったので、そのカルチャーは規模が大きくなってからも変わっていません。

組織はそこに所属する人の価値観やポリシーによって変わっていくものですが、人数が増えても、いまの風通しの良さは必ず残していきたいです。新しくジョインしてくれる方が遠慮なく、積極的に意見を言えるような環境を、今のメンバーたちと一緒に作っていきたいですね。

変化を楽しみ、自ら変化を起こしていけるチームに

リフォーム・エクステリアカンパニー部には、商品の仕入れ・施工・営業・売場管理・店舗運営・本部での業務など、多くの職種と職場があります。そしてその分、さまざまな角度からプロフェッショナルへのアプローチができるところが大きな魅力。誰もが自分の長所を活かせる、可能性を発見できる環境だと思います。

人にはそれぞれ向き不向きがあるもの。今やっていることがうまくいかなかったら、どんどん別のことにチャレンジして、自分に合った仕事・環境を見つければいいんです。

1つの部署にいながらいろいろなことにチャレンジできるという点で、リフォーム・エクステリアカンパニー部は、カインズの中でもっともチャンスが多い部署ではないでしょうか。そこにデジタルをうまく組み合わせ、他の会社・業種で経験を積んだ新たなメンバーが加わると、できることや身につくことがさらに増えていくはず。

建設業界は、デジタル化がもっとも遅れている業界だと言われていて、私もたしかにそう思います。

でも、遅れているからこそ、新たに導入できるフィールドが広いのも事実。アナログとデジタルが融合していくさまを目の当たりにできるし、それを自分で実現できる──これからますます刺激的な環境になっていくと思っています。

既存のメンバーたちも最初は変化に戸惑うことがあったようですが、今は意識が変わって、それを楽しめるようになってきていると感じています。基本的には、効率が上がる、今までできなかったことができるようになるなど、プラスの変化ばかりですから。

なので、変化に対する否定的な意見はほとんど出ません。これから加わってくれる新しいメンバーにも、その変化を楽しんで、そして自ら変化を起こして、上り調子のリフォーム・エクステリアカンパニー部をさらに盛り上げていってほしいですね。

※この記事は、Webメディア『となりのカインズさん』の記事を転載したものです。ロングバージョンはこちらでお読みください。

https://magazine.cainz.com/article/42067