自動車の電子化の流れに合わせ、包括的かつスピーディーな開発を実現

自動運転や車内のインフォテインメント(※)などが急速に進化し、自動車が単なる移動手段ではなくなってきている現在、車載システムにおけるエレクトロニクスやソフトウェアの重要性はますます高まっています。

※インフォテインメント:インフォメーション(情報)とエンターテインメント(娯楽)を組み合わせた造語。ナビゲーションや音楽や動画のマルチメディア再生などを指す

ボッシュではこうしたニーズに対応するため、2021年1月、各事業部のソフトウェアとエレクトロニクス部門を集約し、クロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部(以下、XC事業部)を設立。スピーディーな開発や新たなユースケースの創出に取り組んでいます。

張 嘉捷(チョウ カセツ)と酒井 美佳は、設立当初からこの事業部に配属され、それぞれの部門でマネージャーとして活躍しています。

張 「自動車の電子化が進み、今までの制御系のECU(Electronic Control Unit)だけではなく、さまざまなユースケースに対応できる電子制御ユニットが必要になっています。ECUはこれまで各部門が縦割りで開発してきましたが、車載システムの活用がより広範囲にわたるにつれ、それぞれのシステムの連携が重要になってきました。

そこで、この連携を効率的に進めるため、各事業部の電子部門を統合する形で生まれたのがXC事業部です。複雑化するシステムを包括的にコントロールするとともに、新たなニーズに対応できるシステムをスピーディーにつくり上げていくのが狙いです」

酒井 「コックピットの領域をとっても、これまではカーナビやオーディオといったインフォテインメントと、メーターパネルなどのクラスターはすべて個別のECUでした。しかし現在は、自動車メーカーでも、ECUを統合して数を減らし、よりパワフルなコンピューターを搭載しようという動きになっています。

ボッシュはかねてから同様の考えを持っており、これまでも多くの提案を行ってきました。XC事業部の設立は、こうした提案を加速させるものであり、市場やお客様のニーズと、われわれの取り組みが合致していることを肌で感じています」 

転職先の新設事業部で、新たな学びとチャレンジ

▲ XC事業部のアドバンスドネットワークソリューション部門に所属するマネージャーの張

張が所属するアドバンスド ネットワーク ソリューション部門は、セントラルゲートウェイやビークルコンピューターといった、カーエレクトロニクスの中枢を担うシステム開発部門です。

セントラルゲートウェイは、車載ECU間の通信を管理・監視し、通信プロトコルやデータ形式の異なるネットワークを円滑につなげるためのもの。それに加え、いろんなコネクテッドサービス機能や車両を制御するための機能を、統合して管理するのがビークルコンピューターです。

張 「開発部隊はドイツやインドにもあり、技術者は2021年時点で約1,800人。大規模なプロジェクトをグローバルで進めています。われわれは日本のお客様に向けて、プロジェクトのマネジメントやシステムエンジニアリング、実際の車両テストのサポートなど、さまざまなタスクに携わっています」

張自身、前職ではトランスミッションのシステム開発に携わっていた技術者でしたが、ボッシュに入社したのは自身のステップアップのためだったといいます。

張 「前職では、ひとつのECUの開発にトータルで4年間関わりましたが、3年目からは製品についてほぼ理解できていました。ただ、その仕事に5年、10年と深く携わるよりも、新しいことにチャレンジしたいと思い、転職活動をスタートしました」

複数社から声がかかった中の1社がボッシュでした。

張 「人事担当者の話から、ボッシュの中には思っていた以上に多種多様な製品があることや、海外との開発も日常的にできることを知り、自分にとって新しいステージになると思いました。同じころ、他社からもオファーをいただいたのですが、私は技術が好きで、自分の手でシステムを開発したいと思っていましたし、幅広い製品に携われるところにも魅力を感じていたので、迷わずボッシュを選びました」

現在手掛けているシステムの開発は、基礎となる部分で前職との共通点はあるものの、新しい取り組みや学びが多いと語る張。ハードルの高い仕事を通じて、チャレンジできる環境を楽しんでいます。

張 「2015年に入社してから、ずっと新しいことにチャレンジさせてもらっており、本当に仕事がおもしろいです。新設されたばかりのXC事業部で働くこともチャレンジとして捉えていて、昨年からまた一つ新しいステージに上がった感覚です」 

海外赴任やグローバルでの仕事を通し、やりがいと成長を実感

▲ XC事業部コックピットテクノロジー部門のマネージャー酒井

酒井が所属するコックピットテクノロジー部門は、その名の通り、コックピット周りのシステム開発や販売を担当する部門です。ナビゲーションをはじめ、音楽や動画などの再生、インターネットへのアクセスなどを提供するインフォテインメントの機能や、メーターパネルなどのインストルメンタルクラスター、車内向けのカメラといった室内検知機能をつかさどる製品を手掛けています。 

酒井 「その中で私は、製品のプロモーションや見積も含めたお客様への販売活動、日本でのビジネスにおける戦略の立案などを担当しています。XC事業部の中には、マーケティングや営業担当もいますので、各所と連携を取りながら、これらのタスクを進めるのが私の役割です」 

前職では、携帯端末のシステム開発に従事していた酒井。彼女も自身のステップアップのために、ボッシュへの転職を決めたといいます。 

酒井 「以前から、グローバルな環境で働いてみたいという希望がありました。ただ前職では、グローバルで仕事ができる環境が限られていたほか、仕事内容もプロジェクトに部分的に参加することが多かったんです。

ボッシュでは日常的にグローバルで仕事ができる上、自社の製品を最初から最後まで責任を持って手掛けることができます。そこに魅力を感じて入社を決めました。自分が携わってきた携帯端末と、車載用のインフォテインメントに共通する部分が多かったので、ここなら自分の力を活かしながらステップアップできると思いました」 

2013年にボッシュに入社してから、インフォテインメントに関わる仕事を担当してきた酒井。フロントエンジニアとして、長年お客様との折衝や技術課題の改善などに携わってきました。 

酒井 「2020年にはドイツに行く機会をもらい、初めてプロダクトマネジメントや、アクイジションと呼ばれる、新規顧客、新規ビジネス獲得の仕事にも携わりました。ドイツでの仕事は自分がやってみたかったことでもあり、2年間本当に良い経験をさせてもらったと思っています」

XC事業部の設立で、酒井の担当領域はインフォテインメントからクラスターを含むコックピット全体に広がっており、また新しいチャレンジが始まっています。

酒井 「大変なことも含めて、たくさんの経験を積ませてもらっていますが、グローバルで働いていることを実感しています。また、フレキシブルに働ける環境が整っている上に、トレーニングも充実しているので、 やりがいも成長も感じられます」

ボッシュのトレーニングは、テーマごとにプログラムが設定されています。酒井が受講したプロジェクトマネジメントのマネージャー研修のほか、近年ニーズが高まっているソフトウェアに関連するプログラムにも力を入れており、Coursera(コーセラ)やGoogleのソフトウェアのコース、Python、サイバーセキュリティ、システムエンジニアリングなど、従業員一人ひとりが自らリスキリングに取り組む組織文化づくり(Learning Culture)を推進しています。 

酒井 「従業員の成長を考えた、さまざまなプログラムが用意されているのがありがたいですね。特徴的なのは、対面トレーニングが多いことです。講師による一方的な説明ではなく、人数を絞って、お互いにディスカッションして、ちゃんとチームワークを意識して発表するところに共感しました。環境的にも、仕事内容的にも、本当にボッシュに入社して良かったと思っています」

イノベーションを起こし、100年に1度の変革期をリードする

現在XC事業部は、グローバルでも順調に拡大しており、ボッシュの中でも一番成長の早い分野だといっても過言ではありません。日本市場でも、新たなシステム開発とともに組織の強化も進められています。 

張 「目の前の開発を手掛ける一方、将来の大きな成長に向けた準備も必要になっています。グローバルでの開発能力を持ち、ローカルサプライヤーと同じような動きで新しいソリューションを提供できるのはボッシュだけなので、自動車メーカーからの期待も高まっています。その期待に応えられるような組織にしていくのも、私の役割です。個人的には、今までの2倍、3倍の努力をしないといけないという思いで取り組んでいます」

ソフトウェアがさまざまな領域に広がれば、新たなシステム開発はもちろん、アップデートなどのオペレーション業務も増えてきます。開発体制やサイクルが大きく変わろうとしている中、その変化も見据えた組織づくりが進められています。一方で、1年間の活動を通して、課題も見えてきたといいます。 

酒井 「XC事業部ができてから、情報交換や方向性を共有する場は格段に増えました。ただ、各事業部から集まった組織なので、真の連携という意味では、もっと話し合ってお互いを理解していかなければならないと感じています。私が担当するコックピットは、エンドユーザーの目に触れる部分です。真の連携を図るスピードを上げ、エンドユーザーにより魅力を感じてもらえるような製品を生みだしていきたいと思っています」 

多くの課題や苦労がありながらも、確かなやりがいを感じているという2人。未来に向けてワクワクできる仕事が、モチベーションを高めてくれていると口を揃えます。

張 「今、自動車は100年に1度の変革期を迎えています。その中で、自分が一定の役割を担えていることは非常に幸運だと思っています。これまでもさまざまなイノベーションを起こしてきたボッシュの強みを活かしながら、この変革期をリードしていきたいですね。そして世の中を変えるような革新的な製品を、自分たちの手で世の中に送り出すことが今の目標です」

設立から約1年が過ぎ、市場への手応えとともに、期待も感じさせてくれるXC事業部。未来に向けてどのようなイノベーションを見せてくれるのか、今後の活動に注目です。