ワークスコープを広げ、得た人脈をキャリア形成やチーム強化へ活かしたい

1年半で3つのポジションをローテーションし、対象年齢を30歳未満に限定しているfastpatH(前回の記事をご参照ください)。今回インタビューに応じた田中は、現在二期生として参加しています。

そんな田中がそもそもボッシュに新卒で入社したのは、大学院卒業後の2016年。入社以降、エンジンへの吸気量を調節し、エミッションNoxなどを最適化するディーゼルのAir Model適合を主な業務として担当していました。

数名の少数精鋭のチームで複数クライアントのプロジェクトを担当していて、2019年まではインドへの出張なども多く、目まぐるしい日々を過ごしていました。そんな時に、社内通知でfastpatHの存在を知った田中は、2020年4月に応募を決めます。

そこには二つの理由がありました。

田中 「一つ目の理由は、電動化に関わる製品がお客様の手に渡るまでの、最初から最後までを一通り見て理解したいと思ったからです。やっぱりずっと開発現場にいると、開発の目線に偏ってしまうんです。

二つ目の理由は、自分がいる部署エンジニアリングサービス統括アプリケーション開発2部のメンバーが大好きだからです。試験のためのツールや試験の自動化など、自分で何でも作れてしまうくらい技術的にレベルが高い人が多く、そうしたメンバーがいる中でより良い結果を生み出すチームを作りたいと思いました」

もちろん田中には目標もあります。

田中 「fastpatHを通してもっとできることを発見してワークスコープを広げ、このプログラムを通じて得た人脈などを、今後のチーム作りに活かしていきたいです。横浜オフィスと東松山工場、ロケーションが代わるだけでも見え方が異なりますから」

早期育成プログラムに参加して変わった、リーダーシップや働き方の価値観

応募した選考が進み、田中がパワートレインソリューションの事業部長と面接したのは、2020年8月のことでした。

fastpatHでは3つのポジションで業務をこなすことが課題として与えられ、まず参加者自身でその対象ポジションを探しに行きます。しかし、田中の場合は、最初から3つ全てを決めるわけではなく、参加が決まってから随時探す計画をしていました。

参加内定以後、田中の本格稼働は2021年1月より始まりました。そして、6月で一つ目のポジションが終了した田中は、7月から次のポジションへ移ることになります。

田中 「一つ目のポジションは元の所属部署で、より難しく、責任範囲が広いタスクを任されました。今は二つ目のポジションとなる他部署へ切り替える準備をしています。まだ確定していないのですが、既に三つ目のポジションの課長とも話をしているところです」

自己分析をしてやりたいことが出てきたら、その担当をしている関係者やマネージャーに声をかけていくのもプログラムの一環です。枠が空いていることを教えてもらい、最終的に自分で進路を決めます。

田中 「もうすぐ終了する一つ目のポジションでは、元から所属していたチームとしても新規の案件であり、挑戦となるプロジェクトに参画しました。前任者は引継ぎ時に既に一つ上のポジションへの昇格が決まっていたので、その空いたポジションを私が引継ぐことになり、自身がチームリーダーとなりました」

実際にfastpatHに参加することで、これまでのポジションとは違った視点で業務を行う経験を通し、働き方やリーダーシップの価値観が変わったと語ります。

田中 「自分がチームリーダーになって、自分がチームメンバーの持っている業務の進捗状況や試験結果のレビューを行う立場になりました。レビューすることが、自分の考え方を押し付けてしまう、意見を一方的に発信してしまうものであることに、はじめて気が付きました。そこから、既にあるやり方や表現などに対して、尊重や肯定の意見を付け加えていく大切さを学びました」

田中がレビューをするのは、年下のメンバーだけではありません。年上のメンバーに対しても行います。

田中 「自分よりもひとまわり年上のメンバーも多くいる環境では、一人ひとりが決まったやり方やこだわりを持っている場合もあります。30歳手前である私は、そうしたメンバーへレビューする際に、各々の個性や考え方を尊重する方向で接していこうと思いました。 

また、これまでは決まった納期に対してタスクを進めてきましたが、効率性をいかに高めていくかを前提に考え、より細かく刻んだスケジュールを作りました。そうして他のチームとも連携を密にすることで、より広い視野でプロジェクトを見渡す体験もできました」

事前の社内での積極的な情報収集や人脈作りが重要

今後もfastpatHのプログラムは進化していきます。そんなfastpatHのプログラムの3分の1を終えようとしている今、田中はプログラムに対してどのように感じているのでしょうか。

田中 「このプログラムは、参加者の自主性を重んじるところがあり、自分で考え、自分で動き、受け入れ先を探し出すミッションも与えられます。私の場合は、もともと関心の高い電動化関連のプロジェクトにタイミングよく就くことができました」

思い返せば、参加前の社内での人脈作りが肝だったと語る田中。人事に空いているポジションを確認すれば見つけられる中でも、参加以前から部署にとらわれず、自主的に情報を探しに行っていました。

田中 「全社で展開している類似の若手リーダー育成プログラムであるJMP(詳細はPart1をご覧ください)に参加していた人が自分のチームに在籍していたことがあったので、事前に情報収集をしていました。JMPでは、24ヵ月の間に1回の海外勤務も含め、4つのポジションを回りますが、入社時にのみ応募が可能です」

その結論として、田中はfastpatHを選択しました。

田中 「私はプロジェクトマネージャーも経験したかったのですが、話を聞くと、半年しかないJMPのローテーション先ではその経験を身につけることが職種柄難しく、プロジェクトのタイミング次第ではアウトプットが出せない場合もあると感じました。

また、2020年から流行している新型コロナウイルスの影響が現在も続いているため、お客様のもとへ足を運ぶこともハードルが高いです。その結果、プロジェクトマネージャーの醍醐味を享受するためにも、身近なポジションを自分で選べるfastpatHを選択しました」

実現したいビジョンがある若手こそ、挑戦し甲斐がある経験に

fastpatHの最初のステージでは、「現部署でよりチャレンジングなタスクを担う」もしくは「他部署へ異動」の二択となっていることから、プログラム開始時にはもともとの所属部署でスタートを切る参加者がほとんどです。

前者を選び、さらなる挑戦に挑もうとする田中から見て、実際にはどういった志や目的を持った人が向いているのでしょうか。 

田中 「自分のやりたいことを実現できることが、このfastpatHの特徴であり、強みです。自分の人生なので、人に決められるよりも自分でこうやりたいと考えて実現したいことがある人に向いています。逆にやりたいことがないと負担に感じてしまうかもしれません。

常に刺激を求めており、その状況を楽しめ、プラスにできる人は、ぜひ挑戦して欲しいです。私の場合は、全然苦になることはなく、見える世界が広がりました。自分と向き合える良い時間になっています」

二つ目のポジションへチャレンジする最中で、既にプログラムに参加して良かったと胸高らかに考えている田中。fastpatHでの時間は、田中にとって、自らの視野を広げ自分と向き合う大切な時間になっています。そして、それを経験した今後の田中のキャリアには大きな期待が寄せられています。

そんな田中の姿を見て、この経験が事業やチームのビルドアップに繋がると考える若手社員が、将来の事業を担うキーパーソンになっていくことでしょう。

今後もfastpatHは、次の梯子を上る新たな挑戦者たちを待っています。