前職で経験した、プロジェクトマネジメントのおもしろさ

▲シャシーシステムコントロール事業部の松浦

高校から大学までの学生時代をアメリカで過ごした松浦 大輔。大学では機械工学部に進み、自動車工学を学びました。F1レースが好きだったこともあり、就職活動では迷うことなく自動車関係の会社を希望していました。そんな松浦が新卒で入社したのは、日系のサプライヤー企業でした。

松浦 「最初に機械系エンジニアとして担当したのは、軽自動車がメインの日本の自動車メーカーでした。1年目にしては任せられる仕事の範囲も広く、図面を描くところから設計まで、最初から自分で考えて対応できる環境でした。ビジネスをする上で守るべき納期や一般的な仕事の進め方を自分の責任の中で学ぶことができたのは、非常に良い経験でした」

入社6年後、転機が訪れ、オーストラリアの営業所に駐在することになります。そこでの仕事は、約20人のエンジニアチームをまとめるプロジェクトマネージャーでした。プロジェクトを進めていく上で、重要なスケジュールや予算など顧客との折衝をすべて担っていました。まずは、松浦が顧客と話し合い、それをチームに共有し、チームの進捗管理を行う形でプロジェクトを進めていました。

松浦 「いちエンジニアからプロジェクトマネージャー、そして海外の駐在、初めてのことばかりだったので、最初はやはり不安でした。一番気にかけていたのは、チームメンバーが気持ちよく仕事ができるようにマネージャーとして環境を整えること。顧客からのクレームなどが必要以上にメンバーの耳に入らないようにするなどに、非常に気を遣っていましたね。

そして、一番勉強になったのは、難しい判断がすべて私のところに来ることです。自分の発言ひとつで多くのことが動くので、何をどう伝えるのが適切かを考える実務を通じて経験ができた。そこで得られたことが一番大きかったですね」

松浦は、この仕事を通して責任の重さを感じると同時に、自分の裁量で仕事を進めていけるおもしろさを知ります。

前職を経たからこそ見えてきた、ボッシュのエンジニアとして働く魅力

オーストラリアで約3年半の駐在を経験した後、帰国した松浦に与えられたのは、駐在前と同じ、いち機械系エンジニアとしてのポジションでした。 

松浦 「最初は、重圧から解放されてほっとした気持ちの方が大きかったです。でも、1年ほどすると、だんだん物足りなさを感じてきて。ある程度の権限を任されていたときの方が、仕事のおもしろみがありました。そうした経緯から『またプロジェクトマネージャーをやりたい』という想いが強くなり、転職を考え始めました」

転職を検討し始めたことを機に視野を広げ、新しい技術に携わりたいと考えた松浦は、リサーチを進める中でボッシュの自動運転に関する取り組みを目にしました。

松浦 「学生時代に見ていたボッシュは、ドイツの外資系企業でカッコ良いというイメージでした。転職時は、前職でボッシュの製品や取り組み自体を実際に見ていて、その中で自分には何ができるかなど、具体的なイメージが湧いていました。学生のころとは見え方が変わっていましたね」

ボッシュに入社をする決め手になったのは、松浦が前職で海外赴任期間中にやりがいを感じていた業務とボッシュから求められたことが近いところにありました。

現在、松浦は顧客である日本の自動車メーカーのニーズをヒアリングし、技術的なアプローチでプロジェクトをマネジメントしています。ドイツで開発したプラットフォームの価値を、国内のお客様のニーズを踏まえた上で伝えていきます。

 松浦 「私に求められるのは主に“ブリッジエンジニア”と呼ばれる役割です。しかし、ただ技術情報を伝えるだけでは成り立ちません。日本と海外の企業では言葉はもちろん、文化が違うので技術アプローチの考え方も異なります。

『この技術がなぜ必要なのか』『なぜここで活用するのか』など、ボッシュとしての考えを用いて伝えていかないと理解してもらうことが難しい。そういった技術だけではない“思想のブリッジ”が求められる環境はとてもおもしろいなと感じています」

顧客の要望に合わせて製品改良の必要性が出れば、日本とドイツの開発チームの橋渡しを担います。その役割を通して松浦がやりがいを感じる瞬間は、「ドイツ本社に、自分の存在を認めてもらえたとき」といいます。

松浦 「たとえば、『〇〇社のことだったら松浦に聞けばわかる』と思ってもらいたい。最近は、さまざまな問い合わせが私に直接入ってきたり、『ドイツ本社のスタッフから紹介された』と、海外の今まで関わったことがなかった人から連絡が来たりといったことが増えてきました。それは、多分これまでに関わった方が『松浦に聞いたらいいんじゃない?』と紹介してくれているのだと思うので、そういうことが増えていくとやりがいを感じますし、楽しいですね」

難しい状況もポジティブに楽しむマインドセットが重要

松浦が、ドイツのメンバーと仕事をする上で意識しているのは「相手の話をよく聞き、まず自分が理解をすること」。相手を受け入れた上で、自身の顧客である日本の自動車メーカーの要望をドイツのチームメンバーにわかるよう、きちんと説明することです。

松浦 「時間はかかりますが、そうすることで相手も納得感を得られるし、それを繰り返すことで信頼感が構築されてくる。だから、そのステップは大事にしています。ボッシュのグローバルメンバーは、みんな個性的で多様性にあふれています。しっかりした考えを持って仕事をしているので、互いの価値観をすり合わせることできっと良い解決策が生まれるはず。

しかし、当然難しい局面が出てくることもあります。私自身もプロジェクトをマネジメントする立場なので、私なりの希望もあります。それに共感してもらうためのコミュニケーションは重要ですね」

2020年現在、入社4年目となる松浦にとって、ボッシュで働く魅力は「チャレンジできる環境があること」だと語ります。

松浦 「正しいロジックで考えて、きちんと説明をすれば、ボッシュはチャレンジをサポートしてくれる会社です。今まで、自分が希望したことでできなかったことはほとんどありません。それは日々の仕事も本人に任されている部分が大きいからできることです。

一方で、業務の進め方は自分で考え、ルールをそれぞれがしっかりと守る必要があります。ですので、業務の下地を整えて環境を与えてほしい人にはマッチしない部分はあるかもしれません。ですが、楽しんで自ら下地をつくっていける人なら、ボッシュはとても魅力的な会社だと思います」

「自主性を発揮できる環境を創出し、自分の意見をフラットに伝えられる」そんなカルチャーが根付くボッシュにおいて、プロジェクトマネジメントをする上で松浦が大事にしていることがあります。

松浦 「相手の言うことをただ全部受け止めるのではなく、『相手が本当に言いたいことは何か』『情報の中でとくに相手が重視している部分はどこか』を見抜く力が非常に大事だと思います。ボッシュでは、それを多言語で対応することが求められるのは大変ですね。そこを鍛え、乗り切るために、常にポジティブに考えるようにしています。『これで絶対にいいはず』と考えた方が、周りの人とも前向きに会話ができますから」

現在の松浦の思考はこれまでの失敗や成功体験、周囲のメンバーのサポートがあったからこそ築き上げられたものでもあります。

松浦 「自分はもともと、きちんとつくり込んだもの、納得できるものを見せないとみんなに失礼だと思っていたのですが、個人的に完成度の高いものをみせるとたいていはメンバーから異なった意見が出るんです。

あるとき上司から『もっとアバウトな状態で見せて、みんなでディスカッションをするのでもいいのでは?』と言われたことがあって。試してみると、そのほうがスムーズにことが進むことがわかったので、それ以来はあえて不完全なレベルで見せるようにしています。異論が出ることを前提にしていれば、何を言われても想定の範囲内と思えますから」

これからの未来を作る製品づくりを目指して

松浦が今後、意識していきたいと考えているのがドイツ本社側とのコミュニケーションの強化です。今の良好な関係を維持しつつ、より自分の成長につながるいい関係を築いていきたいと考えています。

松浦 「なるべくメールではなく、30分でもいいのでオンライン会議で顔を見ながらの会話を心がけています。向こうも結構歓迎してくれているので、今まで以上に会話する頻度を増やすようにしています。吸収できるものはどんどん吸収していきたいですね」

信頼関係を築き、将来的には、「日本のことは松浦に聞けばいい」と言われるくらいの存在になっていきたいと目標を掲げています。

松浦 「自分の存在感が高まるということは、きっと日本のメーカーからボッシュがより認知されている状況のはずです。もちろん社内だけではなく、お客様からも『これは松浦さんに聞けばいい』と言われるような存在になることも重要です。ゆくゆくは、現在担当している日本のメーカー以外の方からも認識されるようになりたいですし、信頼を重ねていきたいと思います」

現在は、完成された製品をベースにお客様の課題解決に繋がる提案をすることが中心ですが、今は存在しない未来を提案する、コンセプトをつくる側にも将来的にチャレンジしたいと考えています。

松浦 「ボッシュの中には、数十年先の未来を予測して、今の世にはないものをつくっていこうと考えている人たちもいます。最終的には私もそういったことに取り組んでみたい。そのためにも、いずれはドイツ本社でも仕事をしてみたいですね」

身近なプロジェクトメンバーだけでなく、ボッシュのグローバルメンバーはもちろん、日本のお客様から頼られる存在になりたい。常に自分のやりたいこと、目標に向かって日々業務に打ち込んできた松浦は、ボッシュのブリッジエンジニアとして国を超えてその存在感を高めています。