ボッシュではグローバルで毎年6月、「ボッシュ・ダイバーシティ・ウィーク」を実施しています。従業員向けに、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(以下、DEI*)への理解・参画を促進する目的で実施するもので、日本でも6月20日から5日間にわたり開催しました。
メインイベントとなる講演会は、3年ぶりにオフライン会場に参加者を迎えつつ、オンラインと対面でのハイブリッド方式で実施しました。イベントの見逃し配信も実施し、多くの従業員に参加してもらう機会となりました。2022年は、イベントの準備段階から例年以上に従業員の声を取り入れ、より多くの従業員に関わってもらうための機会や仕掛けを用意しました。
* ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)&インクルージョン(自分とは異なる相手を尊重しサポートする)の略称
特別講演会「DEIが生産性と働き方を変える」
▲講師:株式会社クロスリバー 代表取締役CEO 越川 慎司氏
毎年講演会テーマを事務局で選定していましたが、今年は従業員からDEIについて知りたいテーマを募りました。コロナ禍を経て在宅勤務制度を利用する従業員が増え、事前アンケートでは「働き方の多様性」について関心が高まっていることがわかりました。
具体的には、「コロナ禍、そして今後さらに加速するさまざまな働き方やライフスタイルを知り、行動していきたい」、「在宅勤務や時短勤務など、働き方の多様化により、会社に来て仕事をする意味、上司や同僚とコミュニケーションをとる意味が変わってきていると感じている」等、さまざまな意見が出てきました。
こうした意見を踏まえ、グローバルな知見をお持ちで、ビジネス視点での講演をしていただける講師として、株式会社クロスリバー 代表取締役CEO 越川 慎司氏をゲストスピーカーとしてお迎えしました。「DEIが生産性と働き方を変える」というテーマで、イノベーションや働くうえでのDEIの活かし方、そして多様なチームメンバーと協働するために肝要な心理的安全性をどう確保するかを中心にお話しいただきました。
講演会後に参加者が取り掛かれるアクションとして、会議時間を短くし、発言を増やすための「会議冒頭2分間の雑談」や、成果につながらない仕事のムダを削るための「週に15分、内省の時間を取る」等も紹介いただきました。加えて、Q&Aでも多くの従業員が積極的に質問をする、参加型のセッションとなりました。
講演会後の参加者アンケートでは、参加者の90%以上が「行動したい」と感じ、既述した実現可能なアクションにすでに取り掛かっていると回答しています。
また、「『行動しないと意識も変化しない』という言葉がとても響いた。実行すべきことは自分でもできると思えるものだった」、「講演を聞いて待ち(受け身)の姿勢を改めようと思った」等のフィードバックもあり、多様なチームメンバーと協働し成果を出すために一人ひとりがどんな貢献ができるかを学び合う時間になりました。
経営陣や人事からのメッセージビデオ
「なぜ私たちはダイバーシティを推進する必要があるのか、あなたにとってのダイバーシティとは?」──多様性のある働き方をより自分ゴトに感じてもらうために、日本のボッシュ・グループの経営陣や人事から従業員に向けたビデオメッセージを発信しました。
それぞれが、ボッシュのスローガンでもある「Invented for life(人々を魅了し、人々の生活の質を向上させる)」を実現するのに必要なこと、そしてDEIへの想いを語りました。
DEIが活かされている職場の紹介
各従業員の職場でDEIを考えるきっかけとして、すでに多様な人材が活躍している職場へのインタビューをコンテンツ化し、社内SNSで従業員へ公開しました。従業員研修を実施しているボッシュ・トレーニングセンター、障害者雇用専任の組織へ、それぞれインタビューを実施しました。
たとえば、従業員研修の運営を実施している部署では、業務を委託する部署が委託先メンバーの得手不得手や個性を把握し、それに合わせたコミュニケーションを取りながら、成果物を明確にして業務を遂行しています。また、ミスが発生した際には、作業担当者の声を取り入れながらプロセスを変える等、ミスが起きにくい仕組みを作るようにしています。
そして、障害者雇用専任の組織である業務サポートセンターでは、事務作業などの一連の作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)に関して、業務を委託した担当者と共にメンバーの特性を理解し活かしながら、サポートする業務から開始しました。週1回のミーティングを通して少しずつ得意分野を広げ、成功体験を積み、現在では、メンバーはRPAの開発エキスパートとして活躍しています。
さらに、パワートレイン ソリューション事業部の組織開発を担う部署では、社内へ情報発信をする時にターゲット層へ伝わるコンテンツ作りを意識しており、そのために異なる部署での経験を持つメンバーの声を活かしています。
各職場で多様なチームメンバーがそれぞれの強みを活かし、協働しているインタビュー記事は、記事を読んだ従業員が自分の職場におけるダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを考えるきっかけをもたらしました。
ダイバーシティ・ウィーク期間限定メニューの企画&提供
ボッシュには、一部事業所を除き、各拠点に従業員向けのカフェテリアがあります。例年、「食を通して世界の文化を知る」ことを目的に、世界各国の伝統的なメニューをダイバーシティウィーク期間中に提供しています。
今年はメニューの選定に際し、世界のメニューの人気投票を従業員に向けて初めて実施し、上位5位にランクインしたメニューを日替わりで提供しました。ビーフフォー(ベトナム)、フリカデッレ(ドイツ)、アドボ~豚肉の酢煮込み風~(フィリピン)と、さまざまな国を代表するメニューを従業員が思い思いに楽しむ様子が見られました。「毎年楽しみにしている」という声や「こういう世界のメニューも食べてみたい」という声も寄せられ、従業員が楽しくDEIに触れることのできる機会となりました。
ボッシュでは、ダイバーシティを「財産であり、成功するための要素」と考え、すべての従業員を大切にし、多様な従業員のポテンシャルを最大限に発揮できる企業文化を醸成、 また活かすための取り組みを積極的に行っています。
今後もより多くの従業員が「多様性やその活かし方」を理解し、積極的に取り組むことができるよう、イベントをはじめとした啓蒙活動を推進し、誰もが他者を尊重し自分らしく働ける環境づくりを構築していきます。