ボッシュは2022年7月現在、横浜市都筑区にて2024年竣工予定の新社屋の建設を進めています。新社屋にはボッシュの最先端技術を複数導入予定で、建設段階からボッシュの技術が活かされています。すでに着工とともに建設現場で活躍しているのが、ボッシュセキュリティシステムズ株式会社の「防犯カメラ」です。この防犯カメラの事業開発を担当している堀 哲朗が解説します。

▲ボッシュセキュリティシステムズの事業開発を担当している堀 哲朗

ボッシュセキュリティシステムズは、1981 年に設立。主な事業内容は会議・同時通訳システム、プロ・業務用音響機器、防犯カメラなどの輸入販売です。

当社の防犯カメラは、実環境における安定性と正確性により、顧客から高い信頼を得ています。同時に、侵入者を検知する映像解析機能を、サーバーサイドではなくエッジコンピューティングカメラ側に搭載しており、高精度な処理解析を実現しています。防犯目的に加え、AIやIoTと組み合わせた技術により、車両や人の数量を高精度でカウントできることから、スマートシティでの利用やマーケティング用途での活用が期待されており、需要は高まりを見せています。

最近では、サードパーティ製のソフトウェアをインストールできるオープンプラットホームを採用したカメラシリーズや、AIをベースとした最新の映像解析エンジンを搭載したカメラを市場投入しています。あらゆる要求仕様に対して柔軟に対応できるようポートフォリオを拡充しています。

私は、日本における防犯カメラビジネスの立ち上げメンバーとして入社しましたが、現在は、顧客のニーズをヒアリングし、どのように導入を進めるかを提案するプリセールスを主な業務内容としています。今や、防犯カメラにおいては映像解析がトレンドのひとつとなっていますが、長年にわたり、このデバイスであるカメラ側で情報処理する製品の担当を望んでいました。

近年、ボッシュの防犯カメラは多くの重要施設などで活用されていますが、今後はスマートシティの方面で役立てていきたいと考えています。ボッシュの防犯カメラは、人々の安全を守る目であり、頭脳です。今後も、高精度な技術を提供する存在であり続けます。

実際に、ボッシュの新社屋の建設現場で活躍している防犯カメラをいくつかご紹介します。現在、建設現場では「記録用」と「防犯」のふたつの目的でカメラが使用されています。

暗い環境にも対応、記録用に特化したカメラ

広報および工事記録を目的に、タイムラプス用システムを搭載した防犯カメラを設置しています。タイムラプス用システムには、屋外バレット型カメラが利用されています。

このカメラは、照明強度が十分ではない環境下でも映像を撮影できる「starlightテクノロジー」という低照度性能を特徴として有しています。人が視認できないほど暗い環境においても映像を提供できることから、ビル外周警備などでとくに活用されています。

また、設置を容易に行うことができる点も特徴です。一般的なカメラは、設置の際に多くの部品を必要としますが、バレット型と呼ばれるこのタイプでは、ボルトなどがあれば短時間で設置可能です。着工した2022年1月より、工事範囲全体が映るアングルから定点観測で撮影が開始されています。2024年の竣工後には、このカメラで記録された画像を数分に編集した動画の制作が予定されています。

他のカメラは設置に必要な部品(台など)が多いのですが、バレット型と呼ばれるこのタイプではボルトなどあれば設置可能です。 

防犯を目的としたカメラ

防犯面では2種類のカメラが設置されており、竣工後も、新施設において継続的に利用される予定です。

1.工事現場の安全性を守る重要なカメラ

「ミック」の愛称でも親しみを込めて呼ばれているMIC IP starlight 7100i。一般的な稼働型カメラは、カメラを高い位置に設置し、カメラ設置位置から下方向を撮影しています。一方、当カメラは遠隔制御により真上を撮影することが可能なことから、現在建設中の新社屋においても、下からの撮影に活用されています。竣工後も継続して使用することを考慮し、耐久性の高い当カメラを採用しました。 竣工後には、多くの人が集まる広場を見守る役割を担い、安全性の向上に貢献します。 

なお、防塵防水性能として最も厳しいIP68規格への準拠、耐塩仕様となっており、海沿いなどの非常に厳しい環境下でも遠隔操作が可能です。

また、光学30倍ズーム機能を有し、赤外線/白色光照明器をサポートしているため、離れた高所での建設進捗状態を鮮明に撮影することが期待されます。これから建設が進んでいく新施設の工事現場における安全性を担保する重要なカメラです。

2.AIとIoT連携も可、地上での作業を見守るカメラ

AUTODOME IP starlight 5000iは、価格も抑えられた一般的な稼働型カメラ。タイムラプス用カメラなどでも採用されている「starlightテクノロジー」をサポートしています。MIC IP starlight 7100i同様、遠隔で撮影方向を変える操作、光学30倍ズームが可能で、地上での作業に対して撮影を行う目的で設置されました。

今回の防犯カメラ設置については、工事現場の安全性のために外部に設置されましたが、新社屋の内部にも防犯カメラの設置を検討しています。建物内のカメラは、AIとIoTを組み合わせて建物内の共有スペースの混雑状況の情報を提供するもので、日本のボッシュ・グループの象徴的プロジェクトになればと思っています。シンガポールのボッシュ社屋でも「インテリジェントビルディング」というコンセプト技術として、すでに導入されています。

今後は、自社の電動工具も活用していくシーンもありそうです。自社のリソースも余すことなく活かしながら、2024年の竣工を目指すボッシュ。マンスリーピクチャーレポートでは、竣工の様子をご覧いただけます。ぜひ、竣工後の姿にご期待ください。