「突撃!隣のリーダーシップ」、社内でも好評につき、5回目となりました。今回は、社内で本連載を読んでいる社員から「インタビューして欲しい!リーダーシップ論を聞いてみたい!」とリクエストのあった購買部門で働く 馬目(マノメ) 悠司に突撃しました。

■プロフィール

私は絶滅危惧の動物を守りたくて『環境保護』を仕事の軸にすると決め、大学・大学院とディーゼルの排ガスに関する研究をしていたので、業界トップのディーゼルテクノロジーを持つボッシュに2008年に入社しました。入社後2年半は東松山工場でコモンレールポンプの設計を担当していましたが、2010年に現在も所属する副資材購買部へ異動となりました。この異動が本当に人生の転機となりました。

■人生の転機になった理由

2012年に副資材購買組織・プロセスが一新され、チャレンジングなタスクは自分ではなく、周囲のメンバーにアサインされている状況に気付きました。その時に、自分が今後どうしていきたいか、徹底的に自己分析し、未来日記(年単位で将来自分がどうなっていたいか)を初めて書いてみました。

その時ようやく、今自分が自ら変わらないと何もできないまま老後を迎える危機感を覚えたのです。そこからは必死で、英語を3カ月間勉強し、英語スキルが必須であるバイヤー業務だけではなく購買のプロセスやシステム導入のプロジェクトを担当させてもらえるようになりました。工場や研究施設にある設備機器保守部品のバイヤーから、グローバル調達のメンバーにも加わりました。

その後も未来日記に基づいた自分のキャリアを計画し、そのために必要なターゲットを毎年の業績目標に落し込み、それらを達成していくことで、マネージャーにアサインされることができました。現在は、自分の購買担当分野のメンバーとプロセス改善や発注を行う部署と新規設備の購入をする部署の現地マネージャー兼、全世界のボッシュグループと取引のあるグローバルサプライヤーとの戦略的な価格交渉・契約締結や自動化システムの導入を行っているプレイイングマネージャーをしています。

■今までのキャリアの中で出会ったことのある、ロールモデルとなったリーダーとは?

イタリア出張時に1週間一緒に行動していたイタリア人の上司です。一番印象に残っているのは、難しい価格交渉の場で先方より強気なオファーを提示されてから早々に、これ以上は話しても難しいと判断し、交渉をやめ、退出してしまったこと。今後も取引が続く重要取引先であるため、このようなことは普通できない行動なのですが、購買やトップマネジメントから現場、部下やメンバーに至るまで、社内の全員が彼に全面協力している状況だからこそできた交渉戦略です。

そのイタリア人の上司は、工具の購買を担当しており、彼の当時のロールは、コーポレートリードバイヤーという、全世界のバイヤーのリーダーの取りまとめ役でした。私自身も工具の日本代表のバイヤーであり、その上役でした。

通常、購買だけでは取引の中止や新たな工具の導入を決定することはできません。実際にその資材を使用する、製造や開発などの合意が必要となります。工場で使う新しい工具を導入するには、少なくとも半年以上、何度も試作機でテスト・評価を繰り返し、量産機で確認し問題ないことが前提になります。この確認には工場の現場が何人も何時間も工数を割く必要があり、工具としてのメリットもさることながら、提案をしてきたバイヤーの現場での信頼関係度合いも大きく関係します。

彼の交渉を中止するという行動は、購買の戦略が普段から工場側の上席者やリードプラントの現場側にしっかりと伝えられており、工場側からもボッシュが不利益を被るなら取引をやめて他を検討しようという意識に共感が得られていた背景があったからこそできたことです。

非常に厳しい上司でしたが、常にメンバーのため、会社の進むべき方向のために泥まみれになりながら動いてくれる方でした。彼の、普段から現場に赴き、現場の声を聞き、単なる購買の価格交渉ではなく、会社の代表として交渉をしている点に衝撃を受けました。他のバイヤーも、彼を今も信頼し尊敬しています。

私のリーダーシップの原点はここ、周りの方々との協力にあります。私もコミュニケーションを大事にし、自分が信頼される人間であるよう日々心掛けています。

■ビジネスに必要なリーダーシップとは?

「自分で物事を動かせる」ことが一番のキーワードだと思います。自分の力で、できたら楽しいことは、みなさん持っているはずで、それが実行できる環境にいたら自主的にやろうと思うはずです。実は気付かないところでリーダーシップを既に発揮し、発揮しようとしているのではないかと思います。

リーダーシップは各個人それぞれの価値観からできているので、それらを適切に評価できる環境を作り、力を発揮できる環境にいるということを教える、という部分をマネジメント側としてできるように日々精進しています。

■入社の軸となった環境保護の実現

担当業務の中で挙げると、設備機器等を導入する際に、TCO(購入後5年間の電力消費量やメンテナンス費用も購入価格に追加した費用合計)で仕入先を選定することで、環境にやさしく各費用も抑えられる調達をしています。また、ボッシュの利益の一部が環境保護に使われていることや、環境にやさしい製品を開発していることから、会社として環境保護へより影響を及ぼすことができていると感じています。

なお、これまでに携わった副資材の業務において、環境保護に関わる最重要課題は、見積書、発注書、請求書のシステム連携を進めることによるペーパレス化の推進です。このシステム連携によるぺーパレス化で、CO2削減にも貢献できます。

私にとっては、製品の製造に関わっている人々を含め、ボッシュの企業活動に関わっているすべての方がお客様です。お客様ないしは従業員の副資材の調達に関わり、良いものを適正価格で調達することと、プロセスを効率化することで企業活動をサポートし、ひいては環境保護の一翼を担っていると自負しています。

■ボッシュで成し遂げたいこと

ボッシュでは最近グローバルで副資材購買の組織再編を実施し、現在は組織体制の平準化を進めています。新しい組織のコンセプトは、少数精鋭とシステムの自動化(IT化、RPA化)により、コストを抑えて最大のパフォーマンスを出せるものになっており、このコンセプトを日本に合う形で完璧に標準化させることで、本来副資材購買が会社として本当にやるべき役割を全うできる組織を目指しています。

業界内を見ても、ボッシュの副資材購買のコンセプトは最新鋭のものであると自負しています。この経験と知識を生かして、ボッシュに所属しながら、同じような業界で中央購買化などを進めている企業のサポートができたらと考えています。日本の製造業が世界に負けないこと証明するために、何か力になれないかという思いが最近は強くなってきました。

■若い世代に向けたメッセージ

自分の人生は、これまでもこれからも自分がリードしなければなりません。つまり、今まで自分が自分に対してリーダーシップを発揮して生きてきたはずです。

入社した会社や部署により、中々うまくリーダーシップを出せない環境にいるかもしれません。ボッシュは自分が本当に覚悟を決められるなら何でもできる会社だと私は信じています。それで悩んでいるようでしたら、周りをみてください。部門間・事業部間という枠を超えて活躍しているリーダーたちがたくさんいます。

私もその一人になれるように、私と一緒にチャレンジしてみませんか。人生は楽しんだもの勝ちです。