家電領域からさまざまな業種へ。市場が広がる「接客オンデマンド」

「最高の接客をいつでもどこでもオンラインで」をコンセプトに、ビーモーションが展開する「接客オンデマンド」。新型コロナウイルスの感染拡大で外出が制限される中、店舗での接客を自宅でも受けられるようにと開発されたサービスです。

2020年9月、大手家電量販店の通販サイトでサービススタート。接客オンデマンドが利用できる商品ページにバナーを設置し、そこから直接オンラインでの接客につなげるしくみです。利用者からは「自宅でも接客が受けられること自体が便利」「夜遅くてもしっかり対応してもらえて感動した」といった声が寄せられました。利用者のプライバシー保護も考慮した設計にもなっており、好評を得ています。

磯部は、2021年10月から接客オンデマンドを担当。サービス開始からまだ1年ですが、市場ニーズの高まりを肌で実感しています。

磯部 「もともとビーモーションのビジネスは、家電領域でのセールスプロモーションや人材派遣がメイン。そのため、サービス開始当初は既存顧客である家電メーカー様による導入が多かったのですが、今は業種も多岐にわたっています。

サービスのラインナップも充実。現在のところ、オンライン接客の『SDライブ』、自動会話プログラムのチャットボットやアバターキャラクターを活用した『SDボット』、仮想空間演出による『SDバーチャル』の3つに大きく分けられます。

最も展開が大きいのは『SDライブ』です。また、『SDバーチャル』もバーチャルショールームのような形で、1社の導入が決定。今後、どんどん展開していきたいですね」

接客オンデマンドの特徴の一つが、システム導入から運営までの一連の流れをビーモーションがワンストップで支援する点です。

磯部 「接客オンデマンドは、実店舗でも通販サイトでも活用可能です。必要な機材はビーモーションで準備し、システムを導入。お客様によっては、店頭を装飾する製作物の作成やスタッフの用意、オペレーターの教育なども行います。そして運営がスタートした後は、コール内容の分析やレビューをし、課題があれば解決方法を検討します」

サービスのラインナップも、導入業種も広がりつつある接客オンデマンド。しかし、営業の現場を熟知する磯部には、課題意識もあります。

磯部 「オンラインの接客が、まだエンドユーザーに浸透しきれていないというのが現状としてあると思います。だから店頭だと、なかなかアクセス数が稼げない。そこをどう解決していくか、お店の中で接客オンデマンドをいかに目立たせていくか。そういったところを強化ポイントとして、非常に注力して取り組んでいます」

ライバル会社までも巻き込み、「売らなくても売れる売り場」をつくる

磯部は約15年前、エンターテインメント業界から転職し、ビーモーションに入社。営業代行、地方支社の運営や採用担当を経て、2021年10月に事業開発本部配属となり、接客オンデマンド担当になりました。

ビーモーションでの社歴の中では営業代行が長く、家電業界を中心にさまざまなメーカー、エリアを担当。営業代行の前には、セールスプロモーションも経験しました。担当した商品を売り上げトップシェアに導くなどの実績を上げてきたのです。

セールスプロモーション時代には、「自分で売らなくても売れる売り場」を実現したというエピソードもあります。

磯部 「自分1人で売るのにはどうしても限界があると思ったので、同じ売り場にいるライバルメーカーの人たちを巻き込もうと考えたんです。たとえば、同じ売り場にA社、B社、C社の商品が置かれていて、自分がA社を担当していたとします。B社、C社の人たちは、それぞれ自社の製品を売るためにいるわけですが、どうしても自社製品を売ることができないときは、A社の商品を売ってもらおうとする作戦です。

ヒマな時間に『ちょっとそっちの売り方を教えてよ』とライバルメーカーの人に声をかけ、こちらの売り方も教えます。すると、自分のところの商品がどうしても売れないとき、私の方にもってきてくれるようになって。いつの間にか、『自分で売らなくても売れる売り場』が出来上がっていました」

現場では、ライバル会社のスタッフであってもコミュニケーションを密にとり、考え抜いて工夫することを続けました。

磯部 「営業代行でも同じように仕事をし、とにかくいかに売ってもらうかを心がけ、『売れる売り場づくり』をしていきました。するといつの間にか売れていた、という感じですね」

磯部の事業開発本部への異動は、担当役員からの指名でした。磯部自身は、異動で自身の名前が上がったのは、どこに行ってもある程度こなすだろう、順応するだろうからでは、と語りますが、販売・営業の現場での豊富な経験、知見が買われた形。磯部のミッションは、営業のエキスパートとしての蓄積を、接客オンデマンドという新たなサービスで活かすことなのです。

導入準備から導入後まで徹底サポート。売り場に赴き改善点を探る

事業開発本部で磯部は、接客オンデマンドの導入準備から導入後まで、クライアントに対するサポート全般を担っています。

磯部 「まずはクライアントと、どういう形でサービスを進めていくか、どのサービスを使っていくかを話し合います。たとえばチャットボットを使うのか使わないのかなど、細かいところの打ち合わせをしていって、全体像が決まった時点で各システム会社に対してシステム内容やスタート時期を伝えます。それと並行して機材や製作物などの準備を進め、スタート日までに設置を終わらせる。スタート日にきっちりスタートできるよう準備する流れです」

クライアントが導入を決めてからサービスの開始までは、1カ月半程度。その期間内に、磯部は社内の関係部署や社外のシステムベンダーなどとともに準備を進めるのです。サービスが開始後は、クライアントそれぞれの状況を踏まえたサポートを実施します。

磯部 「スタート後、多いところだと週1回ミーティングをして、『今週はこういう結果でした』と報告し、『こういうコールのときは今後、どういう対応をしていきましょうか』といったことを具体的に話し合います」

磯部自身が現場に赴き、運営状況を確認することも多々あります。

磯部 「実際に売り場がどう装飾されているか、あるいは製作物がどうなっているかについては、見に行かなければわかりません。実際に行ってみると、ああ、こんな場所にただ置かれているだけだともったいないな、と思うこともけっこうあるんです。売り場の写真を撮って『こういう展開ではこれ以上コール数は増えないですよね、こういう風に変えていきましょう』と提案をすることも少なくありません」

磯部が現時点で強化が必要だと感じているのは、「売り場づくり」。店舗では、売り場に設置したQRコードを利用者に読み込んでもらい、オンライン接客につなげるシステムが主流ですが、設置の仕方などによっては十分な効果が期待できません。

磯部 「要は、ただ置いてあるだけでは、意味がないんです。今後は事前に売り場の写真などをもらって、それに合わせた作り物をしていくことに取り組まなければいけません。先日も、営業代行時代の経験をいかして、製作物やその配置について現場で試行錯誤を重ねました」

導入実績の多い家電量販店では、好事例も蓄積されつつあり、効果的な売り場づくりが進んでいます。ただ一方で、家電量販店以外の業種に関しては、お客様と一緒に取り組む中で学びも多いと言います。

磯部 「システムも日々増えていっている状態なので、その中から何を選び出すか、私たちももっともっと勉強が必要です。クライアントのニーズに合わせ、いかに効果的なサービスを実現するか。それこそがわれわれの使命ですね」

ゴールは「商品が売れる」こと。クライアントとも対等な関係を目指す

コロナ禍をきっかけに開発された接客オンデマンドですが、利便性の高さから今後のさらなる活用も期待されます。

磯部 「人手不足で、採用面がだんだん大変になってきている中、オンライン接客だからこそカバーできることも多くなるはずです。たとえば、従来なら10人が店頭に立っていたところを、1人のオペレーターがオンライン接客で対応できるようになりますから」

磯部の目標は、接客オンデマンドをビーモーションの売り上げの柱にすることです。

磯部 「まだまだ売上規模としては小さく、柱にはなり得ていません。やはり接客オンデマンド自体を幅広く認知していただくことが必要ですね」

接客オンデマンドを成功に導くため、販売・営業の現場を経験してきた人間ならではの目線で運営を支えている磯部。「売り場づくり」へのこだわり以外にも、大切にしていることがあります。それは、クライアントとの“対等な”関係です。

磯部 「クライアントはお客様ではありますが、協力会社という存在でもあります。その意味で、対等な立場で意見が言えて、対等な立場で話を進めていくことが一番大事ではないかと私はいつも思っています。

お互いに最終的なゴールは一緒だと思うんですよね。つまり、『お客様の商品が売れる』ことがゴールです。ですから、お客様だからといって遠慮をしてばかりでは、結局そのゴールに到達することが難しくなってしまうと思うんです。お客様にも『できないところはできない』と正直に言えなければなりませんし、よりよい方法があればどんどん提案していかなければならないと感じています」

接客オンデマンドのサービスが目指すのも、「商品が売れる」というゴール。実際に動いている現場をしっかり見て、クライアントにもさまざまな提案をし、サービスのさらなるブラッシュアップを図る──。磯部の今後の活躍から目が離せません。