購入の判断基準となる接客・商品説明を、店頭と同様のクオリティで再現

秋山 宗一は、2019年にビーモーションへ入社。地方拠点を管轄する第二営業部の部長を経て、現在は2020年に新設された事業開発本部の部長を務めています。そんな秋山が、サービスの立ち上げから携わり、新部署の発足以来担当しているのが「接客オンデマンド」です。

秋山 「『接客オンデマンド』は私の上長が何年も前から温めていた構想を形にしたものです。企業の販売業務におけるデジタル化をサポートする仕組みで、リモート接客のサービスを中心に、VRやCGを活用したシステムの提供から運用支援まで幅広く行っています」

「接客オンデマンド」は、「SDライブ」「SDボット」「SDバーチャル」という3つのサービスカテゴリで構成されています。

秋山 「『SDライブ』は人が遠隔で操作することで、ユーザーとオンライン上で対話することができるスタンダードなサービスです。時にはオペレーターがアバターとして映ったり、チャットも使って画面の向こう側にいるユーザーに商品の説明や質問の回答をします。
リアルタイムの有人サービスである『SDライブ』 に対して、『SDボット』は自動化や省人化を目的に、AIやチャットボットなどのWEBツールを活用したサービスです。
そして『SDバーチャル』は、実際の店舗やショールームをVRカメラやCGを使ってオンライン上に再現します。そこにリモート接客をはじめ、動画や3Dコンテンツなどさまざまな仕掛けを取り入れて、回遊するユーザーに新しい顧客体験を提供するサービスです。

この3つのカテゴリの中から、クライアントの要望や課題に合わせたサービスをカスタマイズして提供しています」

ビーモーションはもともと、家電メーカーをメイン顧客として事業を運営していたことから、「接客オンデマンド」の導入企業も家電メーカーが中心です。

秋山 「消費行動が店舗からネットに移るなか、コロナ禍になってその傾向に拍車がかかりました。ECでモノを購入するときの判断基準として、レビューをよく読む人もいれば、商品説明をじっくりと読む人もいます。そうした要素のひとつとして、オンラインでも接客が受けられるサービスがあれば、大きな判断基準になるのではと考えたわけです。
『接客オンデマンド』を導入いただくことで、お店での接客と同様のものをオンラインで提供できます。とくに高額・高付加価値商品の販売には、人による説明が不可欠。その面からも、ECでの接客を補完するサービスとして、受け入れられると考えています」

システムから広告まで、オンライン接客に必要なものをワンストップで提供

「接客オンデマンド」が生まれた背景には、これまでビーモーションが蓄積してきた販促のノウハウを、オンラインの領域でも活用したいという想いがありました。

秋山 「ECの利用が広まると、購入時に迷われるお客様も同時に増えることになります。そこで、既存のリソースや販売に対してのノウハウを、オンライン上で再現したいと考えたのが始まりです」

「接客オンデマンド」には、販売促進事業を手掛けるビーモーションならではの強みが詰まっていると秋山は語ります。

秋山 「オンライン接客サービスの運用は6つの要素に分かれていて、その歯車が嚙み合って始めて成功に導けます。まずは目的に適したシステムを提供し、オペレーターを教育することも必要。また、商品を効果的に見せられるデモ素材の準備やスタジオを設置することも、お客様を魅了する接客シナリオを構築することも大切です。
サービスを認知させるためのランディングページやバナーを作り、さらにそれを広めるための広告も必要。こうした『必要なもの』をワンストップで提供できるのが、『接客オンデマンド』の強みです。システムの開発・販売を担う一般的なSlerでは絶対につくれないサービスだと自負しています」

そんな「接客オンデマンド」を最初に導入してくれたのは、大手掃除機メーカー。秋山にとって印象深いのは、2020年6月、サービス利用がまさに始まった日のことです。

秋山 「10店舗ほどの家電量販店の売場で、当時の新製品と一緒にタブレットとスタンドを設置しました。ユーザーが画面を操作すると、当社のスタジオにいるオペレーターと繋がり、リモートで接客ができるという仕組みです。
当日までは様々な関係者に協力をいただき、接客シナリオを作り込み、スタジオやデモンストレーションはどう見せるのがいいのか試行錯誤し、リハーサルも行いました。
ところが、初日はオペレーターへのコールがほぼゼロ。しかも数店舗では通信状態が悪い、バッテリーが飛ぶなどのトラブルも起きました。このサービスの本質と課題が浮き彫りになった出来事として今でもよく覚えてます」

どんなに素晴らしいサービスでも、使ってくれるユーザーがいなければ意味がない。サービスを提供するためには、インフラや機材も含めて整える必要がある──初日の失敗を踏まえ、秋山はサービスを細かい部分までブラッシュアップすることを決意したのです。

コスパの高さと新しい顧客体験。新時代のプロモーションに役立つサービス

サービスの提供開始から約1年半が経過した「接客オンデマンド」。現在では家電業界にとどまらず、コンタクトレンズやインテリアのメーカーにも導入され、順調に成長しています。

秋山 「サービスの導入や運用での気付きやヒントから、多様なソリューションモデルが確立できています。あるオーディオメーカー様では、ECとリアル店舗で複合的にアクセスポイントを置いたOMOモデルが築けました。あるプリンターメーカー様では、数百店舗の店頭にQRの入った専用POPを散りばめ、最小限のオペレーター数で運営。これは『高露出・低コスト』型のQR接客モデルとして次のクライアント商談へも波及しています。実際に店舗にスタッフを配置した場合の人件費と比較すれば、一人で複数店舗の接客窓口を務められるのはコストパフォーマンスが非常に高い。これが『接客オンデマンド』導入の大きなメリットの一つです」

 さらに、「接客オンデマンド」の導入は、これまでにはないプロモーションの創出にも繋がっています。

秋山 「大手総合家電メーカーでは、関西のショールームでライブコマースのようなデモンストレーションを実施し、その様子を『SDライブ』で生配信するイベントを開催。お客様は量販店の店頭に設置したモニターで見ることもできるし、QRを読み込んでスマートフォンから視聴することもできました。
こうしたプロモーションは、DX化やウィズコロナ時代のもう一つのスタンダードになるのでは、と期待しています。また家電メーカー以外、多くの業界に接点ができたことが何よりも収穫。日々新しい顧客企業と接するなかで、その業界特有の課題や要望を聞くのはとても良い刺激になります」

 さまざまな形で活用されている「接客オンデマンド」は、実際にサービスを体験したユーザーからも好評を博しています。

秋山 「大手パソコンメーカーでのサービスで実施したモニターアンケートでは、利用したユーザーの満足度はほぼ100%。『すごく便利』『利用する前は半信半疑でしたが、店頭で接客を受けるのと変わらない』というポジティブなコメントをいただきました。
オンライン上でオペレーターがデモンストレーションをしたり、カタログを見せたり、いろいろなアプローチをしたことが評価に繋がったのかもしれません。また、自宅で落ち着いて説明を受けられるという点にも、大きな価値を感じていることがわかりました」

リアルな接客データを活用し、サービスの品質向上と新たな価値創造に挑む

2022年には、サービス開始から3期目を迎える「接客オンデマンド」。今後の展望や課題について、秋山は次のように語ります。

秋山 「現状では『SDライブ』を中心に導入が進んでいますが、今後はもっと体験提供型のビジネスに移行していきたい。そのためには『SDバーチャル』や『SDボット』の普及が必要で、さらにそこから生まれた利潤とデータを次のUXづくりに還元する、好循環を創出したいですね。
また、運用支援の面でも、まだまだ改善の余地があると思っています。事業部のメンバーは日々の課題に真摯に向き合っているので、『接客オンデマンド』の総合力の強みにさらに磨きをかけていきたいですね」

さらに秋山は、「接客オンデマンド」の接客データを活用することで、サービスの品質向上・新たな価値創造を目指したいと考えています。

秋山 「お客様との会話など、リアルな接客データを活用したサービスって、現状では世の中にあまりありません。ですから、『接客オンデマンド』に日々集積されるデータを使って顧客の嗜好性を分析したり、ノウハウとして役立てたり、ビーモーション流のデータサイエンスとして確立させたい。
たとえば、『初めてプリンターを買う人』というのは、どんな目的があって、どんな機能を求め、どんなデザインを好む傾向にあるのか。チャットボットでの接客を通して、お客様の趣味嗜好をデータ化し、購買行動を可視化していきます。そこに対して、どんな商品をレコメンドすればいいのか。メーカーが売りたい商品と合致させるにはどんなシナリオが必要か、毎週レビューを行い、精度を高めているところです」

さらに、企業の社会的責任が求められている昨今、社会貢献活動に寄与していくことも、ビーモーションや秋山にとっての課題です。

秋山 「つい最近、被災地でもある南三陸町のある高校の先生から、商業科の生徒たちにオンライン接客を体験させたいから、復興市にアバターのしくみを借りられないか、という相談をいただいたことがあります。
このケース以外でも、リモート接客や仮想技術を活用して、たとえば買い物難民といわれる人や障がい者雇用などの面でも役に立てるのではと考えています。収益や事業の成功はもちろん大切ですが、こうした社会的意義のあることにも、今後は企業としてどんどん取り組んでいきたいですね」

 「接客オンデマンド」を通じて、企業の販促の課題を解決し、新たなプロモーションの形を提案したい。秋山が牽引するこのサービスの成長・進化から、今後も目が離せません。